「あ〜疲れた…」
五十食やら八十食作らされて、その次は二百食…これまでに無いほど調理したからか、かなり疲れた。
「いやぁ〜、圧力鍋って偉大だわぁ〜」
文明の利器最強!!
とは言っても…かなり四苦八苦したけども…。
教科書通りに包丁扱うだけでも精一杯だったわホント。
「片付け…結構手間だなぁ…」
ぶつくさ言いつつ、手は動かす。
いやもう、この合宿で身についたのは下っ端根性くらいなモンだよね!!アハハ…笑えねぇ。
何せ二百食分だ。
重いしキツいしめんどいし…。
世の料理人はコレを毎日やってると思うと…まぁ、無碍にはできないなぁ…なんて思いはするけどもさぁ…。
「にしても…やっぱり味噌ってウケがいいんかねぇ〜」
ポケっとそんなことを考える。
でも…正直そろそろキツいモンがあるよなぁ〜。
これまではわりと騙し騙しやってきたけど、それだっていつまでも出来るわけじゃあ無い。
今回のことだって、味噌の知識っていうアドバンテージがあったから通ったようなモンだろうし〜。
それが無かったらたぶん実家に顔向けできなくなっちゃうもんね。
「前途多難にも程があるよなぁ、ホント…」
しかも突如として流れたアナウンスによれば、この後でもう一個プログラムがあるんだろ〜?
そのうえ…従業員として扱う〜って割には給料も出ないっぽいし。
いやまぁ?ポジティブに考えれば、在校生的には卒業生の先輩方へのアピールの場ってもとれるのかねぇ?
まぁ、わたしは別に料理人志望ってわけじゃあ無いんだけどもさ…。
「あぁもう!!ダメだダメだ!!」
疲れからかついつい考えすぎちゃうわぁ〜…。
っと…取り敢えず、片付けは済んだし…次の予定までは四時間あるから、大人しく部屋で寝てますかねぇ…。
そう思って、いざ部屋に向かおうと思っ…
「少しいいかな?」
「え?わたしですか?」
部屋へと戻る廊下で声をかけられたのは…堂島先輩だ。
「すまないが、ついてきてくれ」
それだけ言うと、クルリと背を向けてツカツカと歩いていく。
…断られるとか思わないんだろうか?
いやまぁ…拒否権なんて無いんだろうけどもさぁ…。
「は…はぁ…」
にしても…何なんだろう?
キョロキョロと同じ境遇の生徒を探して周りを見回すも…他に該当者らしき生徒は居ない。
え?わたしだけ?
え?もしかしてなんかしちゃいけないことでもした?
他の生徒達は片付けの最中で、何やらいいのかなぁ?なんて思いつつエレベーターに乗り、最上階にある偉い人用の部屋っぽい所に案内される。
途中、会場でお客さんとしてやってきていた先輩方が通りすがったので慌てて頭を下げるのを繰り返す。
その度に意味ありげに笑みを向けられて気が気じゃない。
正直言って緊張がハンパないんだけど…。
まぁ…呼ばれた部屋に他の先輩方がいないだけマシだと思おうかなぁ…。
「さて…キミを呼んだ要件だが…」
そう言うと堂島先輩は懐から小さな鍵を取り出すと、それを使って机の引き出しを開ける。
「コレを、返しておこうと思ってね」
取り出されたのは…透明な袋に入れられた、かなり使い込まれたのだろうボロっちいノート。
「えっと…これ、わたしのじゃあ…」
身に覚えのないものを受け取るわけにはいかないと思って、受取拒否しようとしたものの…。
「あぁ、コレは…君の父親の在学時のノートだ」
「……へ?」
「いつか、返さなければならないと思ってな。約束なんだ」
…えぇ?どゆこと?
「アイツは…訳あって、この遠月に戻ってこられない身だからな…」
堂島先輩はそう、真剣な目で言ってくる。
……えっこれ、どう返すのが正解なのよ?
ははっ…帰りたい…。
合宿編はたぶん次回で終わり…かなぁ?
遅くて申し訳ない…。