ふぃ〜…緊張したぁ〜。
結局あの後聞きそびれたけど、父さんの学生時代のノートって…なに?忘れ物ってこと?
あれか、中退した帰り際に引き出しの奥の方に追いやられて、いつしか存在も忘れられた頃に掘り出されるって言うやつか?
約束って、忘れ物あったらとっといてね〜って?そんなことある?無いよなぁ?
そもそも単に忘れただけなら郵送なりすれば済む話だろうし…。
さも大事なモノみたく鍵付きの引き出しに入ってたから、よっぽど父さんと堂島先輩の仲が良かったのか、それともこのノート自体にそれだけの価値があるってことなのか…。
かと言って、詳しく聞こうとちょっと踏み込んだ質問してみると、「今はこれ以上は何も言えない」ってそればっかりで、全然当時のことなんて聞けなかったんだけども…。
「ど〜すんのよこれ〜?」
自室で椅子に腰掛けつつ、どうしたモンかと思考する。
いやまぁ、本当の持ち主がこの場にいない以上、わたしが持ってるしかないんだろうけどもさぁ〜…。
ここの責任者である立場の先輩がわざわざ丁寧にしまってくれてたモンだから間違っても粗末に扱うわけにはいかないし…。
「行き詰まった時はコレを読むといい。きっと助けになってくれるはずだ。だが…」
決して他の誰かに見せちゃあいけない…か。
やたらと念入りに、真剣な顔で言われたから思わず頷いちゃったけどもさぁ…。
あの眼光の鋭さなんなん?絶対なんかやってるって。
「もう中身見てやろうかなぁ」
行き詰まった時とか、正に今だし。
別に何百年前の貴重な遺物…それこそ源氏物語かなんかの原本ってわけじゃあ無し……。
って言うか、わたし以外に見せちゃあいけないって、それアレかな?一族秘伝のレシピ的なかなんかかな?…無いか。
そもそもウチの家系で料理人を目指そうって飛び出したのはわたしの知ってる限りじゃあ父さんが初みたいだし〜…むむ〜…このままだと謎が謎を呼んで、タコ足配線みたくこんがらがりそうだなぁ…。
「ハァ…」
まぁ、そんなこと思ったところで何だけどもさぁ…我ながら無駄な抵抗がすぎるなぁ…。
「それに…遠月に戻ってこられないって、どういうことよ?」
まるで意味がわからない。
来たけりゃあくればいいんじゃ無いの?
憂鬱な思いを抱いて、考えばっかりが頭を巡り、気がつけば次のプログラムまで一時間を切ってた。チクショウ。
考えすぎるのも悪い癖…母さんにも言われて、頭じゃあ分かってんだけどなぁ〜。
にしても先輩方よ…そんなに後輩苦しめたいんかこのやろー。
帰りたい……。