はぁ〜…。
これでわたしも晴れて…と言って良いかは分からないけど高校生かぁ…。
実家や入院中の母にそのことを連絡したら、何故だか母さんも職人のみんなも嬉しそうにしてたモンだから、辞めようにも辞められないし…。
特にゲンさんは…。
「お嬢!!この源三郎!!信じておりましたとも!!」
だなんて、電話越しに涙声で言われちゃあねぇ…。
はは…笑えねぇ。
それにしても…。
かさ…とカバンから入学式の終わりに渡された紙を見る。
そこに書かれていたのは…。
「入寮腕試し…ねぇ…」
文字通り、入寮を許可出来るか否かを決定する腕試し。
唯一の救いは何度でも挑めるってとこか。
決まりとして、持ち込む食材は基本自由。
寮の担当職員に合格をもらえれば認められる…か。
ほとんど個人の好みに左右されるんじゃあないかこれ?
いやまぁ…名門校の人だし、かなり舌は肥えてるのかな…。
とにかく、最低限の腕があるかは職員自らが審査するってことか。
わたしは別に食事なんて最悪カップ麺でもいい人だから、世の料理人達のこだわりってのはよー分からん。
そりゃあ…味噌に関しちゃあど素人よりは知識もあるんだろうけど、それだって一般人に毛が生えた程度…だと思うし…。
って言うか味噌以外に味の違いなんて正直そんなに分からんし。
はは…。我がことながらしょーもな。
「なんでこんなめんどくさいことを…」
あぁ〜…胃が痛い…。
しんどい、帰りたい。
でも帰れない。
ここは地獄か。
地獄だった。
そもそもの話、わたしはただ、実家の味噌蔵で伝統の味を守るだけでよかったんだ。
未だに帰る気配すらない父に対しては、思うところがないわけじゃあ無いけど、それでもあそこはわたしの産まれた場所で、育った環境で、それはこれからも変わらない。
誇りだなんてそんな高潔なモンなんかじゃあ断じて無いけど、それでもあそこは…嫌いになれなかった。
思い出なんて、センチメンタルに浸れるほど人生重ねてなんていないけども。
料理は嫌いだ。まして、赤の他人の食べるものをわざわざ作るなんて冗談じゃあ無い。
でもなぁ〜…。
「持ってきた材料は重いし…そのせいで寮に着くのは相当遅くなりそうだし…」
最悪野宿か?
いやでもなぁ〜。
寝袋とか持って来てないとキツイよなぁ〜。
坂道は地味にキツイし、この学園の敷地は恐ろしく広いし…。
「わたしなんぞに期待なんかすんなよなぁ〜…」
よっ…と荷物の入った鞄を背負い直す。
……重い。
ちょっと持って来過ぎたか?
「はぁ〜…」
テンション上がってんのか?わたし…。
いや、無いか。