「なんであれで通るんだろうか…」
寮であてがわれた部屋、そのベッドで横になりつつ、わたしは頭を抱えて悶々としていた。
おっかしいなぁ〜。
半端な品を出してヘンに期待されないように、すみません。コレが限界なんです。許してください。勘弁してくださいって、心の底から料理人の皆さまへの謝罪と言い訳の気持ちをたっぷりと込めに込めた料理…っていうとおこがましいだろうけども…をお出ししたんだけども…。
運命のイタズラか、合格してしまったわけで。
うっ…思い出しただけでも胃が痛くなる…。
人って何であんな簡単にプレッシャー出せるんだろう。
絶対若い頃なんかやってたってあのおばあちゃん。
…だがまぁ受かってしまったものは仕方ない。
それにいつまでもあの納屋で暮らすってことになれば、帰る以前に確実に体調を崩す。
それでは本末転倒だ。
しかし心配はいらない。別のプランだって練ってある。
どのような経緯であれ、遠月に通う以上はルールに従わなければならない。
如何にここ…極星寮が事実上の治外法権を有しているとは言え、守らねばならない規定は最低限あるはず。
そう。わたしが目をつけたのはまさにそこだ。
問題行動をして、この寮や遠月にふさわしくないと思われれば、退学処分もやむなしとなるはず!!
とは言え、喧嘩したりだとかは痛いの嫌だし。
かと言って逆に成績が悪かったり、入学式の彼みたく振る舞って悪目立ちしていじめの標的にされるのもわたしの精神衛生上よろしくない。
ならば…自ずと手は限られる。
さっそくわたしは計画を実行に移した。
クックック…さぁ、どうだ!!
もう就寝時間はとっくに過ぎてるのに、入寮早々深夜に厨房で料理なんかしてる奴がいるぞー!!
校則違反だぞー!!
寮母さーん!!早く叩き出してー!!
およ?部屋の扉が少し開いて…。
チャンスかもしれないなぁ。
そっと、音のした方を振り返る。
やっぱり寮母さんだ!!
さぁ!!いけない生徒を注意するんだ!!
「……ふっ」
えぇ!?なにその、全部わかってるよ。頑張るんだよみたいな優しい眼差しは〜!!
ヤメロ〜!!そうやってわたしをほだそうとするのはヤメロ〜!!
何も言わずに差し入れを置くな!!
そしてそっと扉を閉めるな〜!!
まぁ、後日改めて行われた入寮歓迎会は…楽しかったけども。
って言うか、よくよく考えればわたしは総帥殿のいうところの捨て石だろうし。
ま、気負うだけ損だよねぇ〜。
それと…。
「手紙の送り主の人からいつ連絡が来るんだろうなぁ…」
何でわたしをわざわざ入学までさせたのか…その理由やら目的が不明瞭過ぎてなぁ…。
要件を伝えるだけならそれこそ前も言ったように同じ手紙に書いとくなり、長くなるようなら同封するなり、電話で伝えるなり色々あったろうに…。
まさか、わたしに秘められた料理人の才能を見抜いたとか!?
……無いか。
帰りたい…。
水分補給はだいじ。