皇国の守護銃~零~   作:キノコ飼育委員

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終わりの終わりから始まる終わり

むかし、むかし。

 

ではなく。

 

みらい、みらい。

 

ある年、ある月、ある日、ある時間。

 

つまりはその時。

 

歴史が大きく動いた日。

 

平行世界が滅茶苦茶のぐちゃぐちゃのデタラメに混じりあった、『世界界』と呼ばれる世界で。

 

とある男(70歳)が、焔に抱かれくたばろうとしていた。

 

いや火葬されてんじゃなくて。

 

なんとこのガラクタと化したスーパロボットのコクピットに座る紋付き袴のジジイは、古式ゆかしい言い方をするならば『魔王』と呼ぶべき存在だった。

 

そしてついさっき、『勇者』に破れ、こうして剥き出しとなったコクピットの中より、自らの城である巨大兵器工場が爆発炎上していく様を眺めているのだった。

 

ちなみにこの工場、自爆ジャスト30秒前。

 

だというのにこのジジイ、逃げようともせずにPSVita∞を取り出し、レトロゲームをやり出す始末。

 

「っあ゛ぁ〜ーあ、負けた負けた。我が事ながらなーんで負けたかねえ? 運命ってヤツか?」

 

爆発音が喧しいのでイヤホン繋げてオープニングムービー鑑賞。

いい度胸である。

 

「どう考えても負けるはずがないってのによぉ……主人公、それに魔王。その要素を入れて計算すっと、俺の勝率が0.000000001パーたぁ笑わせてくれる……ふっ、まあいい。どうせ勇者サマもすぐ俺の後をおうことになる。くくく、ハッピーエンドが終わったら、そのまま人生もジ・エンドだ。……しかし儂口調とかマジワロス二度としねぇ」

 

と、男の眼が霞んできた。

腹に空いた穴から命がだくだくと流れ出ていた。

 

あまり耳も聴こえなくなり、男は舌打ちしてイヤホンを外し、ゲーム機を置いた。

 

そしておかしそうに、楽しそうに笑った。

 

「くくっ!まあ悪くねえ人生だった。いや、最高の人生だった!!」

 

明るい焔の光と、鼓動のように聞こえる爆発音。

 

楽しそうに楽しそうに、男は笑った。

 

「くくははははは、ははははははは、あーはっはっはっは!!」

 

何もかもが、光に包まれて――――――

 

 

 

 

 

 

男の人生は、こうして幕を降ろした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あばよ皇帝陛下。アンタじゃこの先生きのこれない」

 

「貴様の選択、その先を、地獄から見ておるぞ」

 

パン!と一発の銃声。

 

豪奢な玉座の上で、ミリテス皇国皇帝だった老人は息絶えた。

 

それを行った男、シド・オールスタイン元帥は硝煙をくゆらせる拳銃を懐に仕舞いつつ吐き捨てる。

 

「気色悪い。とっとと去ねい」

 

と、そこまで口にして、シドは目の前に座っている、見覚えのない老人(・・・・・・・・)が誰だったか考える。

 

場所は玉座の間で、華美な冠などつけているのだから、こいつが皇帝だろう。

 

一応懐から粛清リストを取り出し、最後のページの写真に大きくバツをつける。

 

そしてぐるりと振り返り、ずらりと整列した兵士たちを見る。

 

抵抗していたわずかな敵勢力、皇帝の側近中の側近だった近衛数名の死体はすでに壁際に寄せてあった。

 

シドは彼らを見渡し宣言した。

 

「これからが始まりだ。今日をもってミリテス皇国は生まれ変わる」

 

「このオリエンスの覇権を握る、強大な軍事国家へと!!」

 

「さぁ諸君、新たな時代は、皇国の未来はすぐに来るぞ!!」

 

「繁栄の時代が!栄光の未来が!!」

 

「ミリテス皇国に、栄光あれ!!!」

 

拳を突き上げるシドに倣うように、兵士たちも声を張り上げて叫ぶ!

 

「「「「オオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」」」」

 

「「「「ミリテス皇国に!!栄光あれぇえええええ!!!」」」」

 

玉座の間は、やがて来る激動の時代に奮い立ち、そして手に入れる栄光の輝きを想って叫ぶ彼らの熱気で渦巻いていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

皇国歴647年 嵐の月 15日

 

若くして既にミリテス皇国軍元帥の座についていたシド・オールスタインは、軍事クーデターを決行。

 

もともとクリスタルの弱体化にともなう国家衰退により、求心力を失っていた皇帝派はこれを抑えることができなかった。

 

さらにはシドによる軍部の完全掌握と、帝室親衛隊の切り崩し工作により、皇帝に従う戦力は一滴の雫程しかなかった。

 

これによりシドは『ほぼ』無血でクーデターを成功させ、皇帝は“病により隔離”されることとなる。

 

ただ、ここ十数年皇帝は暗殺などを過度に警戒し、人前に姿を現しておらず、最近の容姿を知っていた近衛はクーデターにより死亡したため皇帝のことを覚えている者はいない。

 

なお、絵画類は焼却された模様。

 

同日、シドは『ペリシティリウム白虎』も軍の制御下に組み込み、白虎クリスタル、さらにはルシをも手中に収める。

 

 

皇国歴647年 嵐の月 17日 エネルギー増幅装置、新型鋼機開発に着手

 

皇国の実権を握ったシド・オールスタインはルシ・クンミの協力の下、クリスタルエネルギー増幅装置開発に着手、同時に新型鋼機開発にも着手する。

 

皇国歴652年 水の月 21日 玖機関、重装甲型、試製飛行型鋼機開発に成功

 

クリスタルエネルギー増幅装置は徐々にその増幅効果を上げ、十番目に製作された装置はそれまでとは比べ物にならない性能となる。これを“(きゅう)機関”と命名し、制式化する。

試製飛行型鋼機は、飛ぶことは飛んだが姿勢制御にかなりの問題がある上にすぐにC機関が枯渇、機能停止状態になり、より大出力のC機関開発が必須となったが、玖機関の完成により高性能C機関の開発も順調に進んでいた。

対し重装甲型鋼機は既に実用段階に至っていたが射撃管制システムに若干の不備が見受けられ、改良の余地ありとされた。

 

 

皇国歴657年 嵐の月 17日

 

シド・オールスタインは数人の孤児を引き取り様々な戦闘訓練を積ませ、特殊部隊として養成するべく秘密裏に行動を開始する。

 

 

皇歴658年 風の月 1日 クリスタル・ジャマー、魔法障壁開発

 

玖機関により白虎のエネルギー事情は一時的に回復したが、それはあくまで延命措置であり、シド・オールスタインは早急に他国のクリスタルを手に入れねばと考えていた。

それにより他国侵攻のためクリスタル・ジャマー、とくに対朱雀用に魔法障壁の開発に乗り出す。

 

 

 

 

 

 

そして皇国歴667年、鴎暦にして842年 水の月 3日

 

ミリテス皇国、朱雀に向け侵攻を開始。

 

これが、オリエンス全土を巻き込んだ世界大戦、その幕開けであった。




初めましての方は初めまして。
そうでない方はまたお会いしましたねこんにちは。

キノコはゼロ魔×零式のクロスを書いてるんですが、その内零式単体でも書きたくなって投稿した次第であります。

まぁこの小説は、ミリテス皇国が好き過ぎるキノコが暴走した結果です。
この作品は溜まったら投稿する形になるのかな?


それにしてもオリキャラもオリ主タグ付けるべきなんだろうか…?主人公ではないんだけど。

では、感想ご意見等ございましたら、気軽にどうぞー。
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