皇国の守護銃~零~   作:キノコ飼育委員

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クポ!(お知らせ)
クポクポ(クラスゼロ死亡時の演出は小説に合わせる)
クポォ♪(理由は、その方が魂が高まる(おもしろそうだ)から)
グポォ…(これに合わせて「皇国の守護銃」のごく一部も改訂)
クッポォ~♪(そして今回でようやく一区切り)


魔導院制圧作戦『日蝕』、伍

 

魔導院噴水広場。

 

そこで氷塊と炎弾、さらには雷撃が吹き荒び、三脚の自走砲『ニムロッド』を破壊する。

 

「よし、うまくいったな」

 

「おかしいですね……既にボロボロでしたが……」

 

「ンなんどーでもいいっつーの!さっさとこの先の候補生を助けてジャマーをぶっ壊そうぜ!」

 

実のところここにいた『ニムロッド』は、先にここを通った、候補生であるレムによって一度破壊され、搭乗員は既に死亡している。

 

しかしその後、ジャマー搭載艦のジャマー起動調整に出向き、そこから帰ってきたルシ・クンミの『限界を超えて機械を動かす能力』によって自律機械と化し、クラスゼロの前に立ち塞がったのだ。

 

ただそのジャマー搭載艦のジャマーは、入れ違いで彼ら『クラスゼロ』が破壊し、戦艦も内部から撃沈した。

 

そんなことは露とも知らない三人。

 

そう言って先を急ごうとし――――

 

「ッ!? 止まれ!」

 

エースの警告に従って全員が立ち止まる。

 

「朱イまんとノ候補生……キミタチガ『くらすぜろ』カナ?」

 

鎧だ。

 

長身の鎧男が、道のど真ん中に立っている。

 

銀色の装甲を、全身に隙間なく纏った男だった。

 

どことなく『皇国っぽくないな?』と思わせる、西洋甲冑、それもフリューテッドアーマーのような装甲。

 

だが、その男には異常な点がいくつもあった。

 

まず、鎧にしては『目』の切れ込みや、『関節』にあたる継ぎ目がない。

 

次に、全身に等間隔で線が横向きに引かれており、それぞれに小さな球体が一つずつ嵌っている。

 

そして何よりも『手』。

 

まるで人間の『手』だけを何倍も大きくし、『指』を全て鋭利なダガーと交換したかのような、異形の『手』。

 

総評としては、『手だけが不恰好にデカい怪人』が一番近いだろう。

 

 

「誰だテメェは!」

 

ナインの誰何の声に、怪人はその爪をシャリン!シャリン!と鳴らした。

 

「俺ハ『のあ04』、スプリング。貴様ラヲ始末シニ来タ」

 

「あ゛ぁ!?『ノア』だぁ?!あンだそりゃ」

 

「皇国兵にしては、派手な格好だな」

 

「フッ、派手ダト……?イイカ『朱雀』、ヨク聞ケ!俺ノ身体ハァアアアア!!我ァガミリテス皇国最高技術ノ結晶デアリ!“誇リ”デアルゥ!!ツマリ!全テノ人間ヲ超エタノダァアア!!!」

 

「『ファイルァ()』!!」

 

「ギャアアアアアアア!!!」

 

キレたナインに火球をぶつけられ、燃え上がるスプリング。

 

彼はそのままどうと倒れ、少し悶えたかと思うと、ピクリともしなくなった。

 

「……何だったのでしょう?」

 

「さぁ?とにかく急ごう」

 

意味不明な奇人を残し、三人はその横を通り過ぎた。

 

最後尾にいたナインの腹から血塗れの剣が五本生える。

 

「がっ?!」

 

そしてそのままナインは胴体部を大きく裂かれた。

 

「マズ一匹」

 

そのままポイとナインの身体を投げ捨て、先ほど紅蓮に焼き殺されたはずのスプリング中尉が、平然と立ち上がる。

 

「ナイン!?お前ええええぇぇぇ!!!」

 

唐突な仲間の死に激昂したのか、クイーンが強弓から放たれた矢のように駆ける。

 

一瞬で間合いを詰め、手にしたフランベルジュを繰り出す。

 

瞬息の刺突は狙い誤らずスプリングの心臓のあるべき位置を通り過ぎた。

 

「えッ?!」

 

クイーンの目が驚愕に見開かれる。

 

そこには心臓などなかった。いやそもそも接触する場所さえなかった。

 

スプリングの心臓があるべき場所、そこには四角い『穴』が開いており、向こうの景色が見えてすらいた。

 

「そんな……?!」

 

深い動揺、致命的な隙。

 

「離れろクイーン!!」

 

「遅イ」

 

次の瞬間、十本の剣、スプリングの十爪にクイーンの身体はズタズタにされた。

 

そのまま崩れ落ちるクイーン。

 

「クッ!はぁ!!」

 

エースが腰のポーチから数枚のカードをドローし、魔力を込めて投げ放つ。

 

「オォット!」

 

スプリングが両腕を突き出すと、手の甲から機関銃が露出し、弾幕を張る。

徹甲弾の雨はカードと相殺され、さらにその物量でエースに迫る。

 

弾丸の軌道上にいたエースはこれを『ウォール』で全て防いでいく。

並の候補生が張ったものではすぐさま粉々になったであろう『ウォール』は、少しの罅が入ったのみ。

 

対しスプリングへは弾幕をすり抜けたカードが迫る。

 

スプリングはそのカードを上下左右(・・・・)に躱した。

 

「なっ?!」

 

絶句。

 

それに相応しい奇想天外な光景が広がっていた。

 

スプリングは、『上と下と左と右に別れた』身体を再び合体させる。

 

「ハハハ!!驚イタカ?!」

 

そして凄まじい脚力で突っ込んでくる!

 

ハッとしてエースはすぐさま新しいカードを投げるが、スプリングはそのことごとくを『真っ直ぐに』避けていく。

 

スプリングは、身体中に走る『線』に沿って時に肩を、時に腹を、さらには首まで分離し、合体させながら最短距離で迫ってくる。

 

「シャァア!!」

 

スプリングの両手が手刀を形どり、削岩機の如く回転。

 

そしてそれが、『ウォール』をガラスのように粉砕し――――――エースをも貫いた。

 

「ッ!!」

 

だが今度はスプリングが驚愕する番だった。

 

手応えがない、と思った瞬間、エースの身体が蜃気楼のように溶け消える。

 

「驚いたか?」

 

後ろから声。

 

振り向く暇もなく、スプリングの身体は周囲の空間ごと氷漬けになった。

 

魔導師に不用意に近づく輩を一掃するために開発された、『BOM型』と呼ばれる型式の魔法。

 

魔法的現象を『飛ばす』ための『RF型』と違い、こちらは自らの周囲に『爆発的に拡散させる』ためのものだ。

 

射程は短く、使用する魔力も高めだが、その分威力はこちらの方が上だ。

 

これによりエースは、接近してきたスプリングを氷漬けにしたのだ。

 

ガシャンと、凍った部分からはみ出ていたその特徴的な手だけが地面に落ちる。

 

胴体も頭も凍ったスプリング、動き出す様子のないそれを見て、ようやくエースは安堵の息を漏らした。

 

 

「ふぅ、危なかったな」

 

「全クダ」

 

全方向からの銃撃がエースを襲った。

 

頭からつま先まで、全身に鉛弾を浴び、エースは倒れ伏した。

 

地に落ちた手がふわりと浮きあがり、氷漬けのスプリングを平手打ちした。

 

大きくひびが入った氷棺、それが内部より砕け飛び、封じていた怪物を解き放つ。

 

「イヤハヤ、驚イタナ。存外冷静ナ奴ダッタ」

 

倒れ伏したエース、その亡骸を観察しながら、スプリングは周囲にも目を向ける。

 

と、周辺の草むらから、小さな自動機械が集まってきた。

 

それは、『大口径の拳銃が飛び出した円盤』と言えば、一番近いだろうか。

 

それが十数機、ふよふよとスプリングの周りに滞空する。

 

「全ク、ふぁざーノ造ッタ装甲ト『仕掛ケ』ニ感謝ダナ」

 

スプリングの腕の断面、そこから薄らと紫の光が漏れている。

 

「サテ、死体ハ消エルンダッタカ?『朱ノ魔人』トヤラハ」

 

三人分の死体を、宙に浮いた『手』がつんつん、ドスドスとつついたり突いたりして待つスプリング。

 

だが―――

 

遠くで何かの爆発音。

 

同時に辺りを包んでいた緑白色の光が消えた。

 

「ッッ……!?」

 

振り返ると、先程まであったジャマーの光が消失していた。

 

「ヤハリ別働隊ガイタカ……デハぱたーんβダナ……速ヤカニ引クトシヨウ」

 

周囲に浮いていた円盤は、拳銃部分を内部に格納すると、そのまま連結、合体していく。

一本の柱のようになったそれは、スプリングの身体に組み込まれていく。

 

最後にその特徴的な『手』が合体し、身長が4メートルまで伸びたスプリング。

全体のバランスも取れており、少々『手』だけが大きい巨人となった。

 

その身体をバネの如くたわめ、石畳が大きく凹むほどの勢いで飛ぶ。

 

宙高くに上がったスプリングは、そのまま全身から緑白色の光を放ってさらに上昇していった。

 

 




今回ずいぶんアッサリとスプリングが勝ちましたが、これは初見ボスだからです。
みなさんもダーインスレイブにさっくり殺された覚えがありませんか?

というか朱の魔人の真の恐ろしさは「死んで経験を積める」という点でしょう。
本来なら慎重に相手の出方を探って倒さないといけないのに、死ぬ前提で突っ込んで情報を回収し対策を立てられる。
三段階の変身と最後の奥の手があっても、それぞれに完璧な対応を準備できる。
まさに戦えば戦うほど強くなる。
怖い!


さ、チート科学で百段階変身しようか。デスピサロも真っ青だぜ!
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