星が照らす行く先は   作:健健

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第13話

 

アルナイルは期待とは違った本の内容にがっかりしたが、取り合えずやれるだけやってみる事にした。

 

分かっている情報を整理すると、光魔法を発動する為には光の魔力を持ってなければならず、光の魔力は水・木・火・土・金の一般的に認知されている五つの魔力の属性では無いという事。

 

光の魔力がないとそもそも光魔法は習得不可能であるため、アルナイルはまずはそこから確認する事にした。

 

したのだが・・・

 

(そもそも光の魔力があるかどうかの判別ってどうやったらいいんだろ・・・?)

 

本の内容通では継承者ならば光の魔力を認知できるらしいが、当たり前だがそんな知り合いはいない。

 

というより、そもそも現代に継承者がいるかどうかもアルナイルは知らない。

 

初めの一歩から手詰まりである。やっぱり無理なのかなという思いが頭をよぎった。

 

ふと時計を見ると、丁度六時だった。ベナトばあちゃんが起きるのは大体八時だからまだ時間はある。

 

だが無駄にも出来ない。

 

光魔法の事は残念だが本来の目的は、魔法の鍛錬と固有魔法を創る事だ。アルナイルは本を広場の目立たない隅の方において、気持ちを切り替えて魔法の訓練をする事にした。

 

 まずは各魔力の属性を一つずつ練り上げていく。身体の内側で魔力が流れている感覚を感じながら、ある程度練り上げたら両手の魔力を集中させる。

 

掌の上に五つの魔力が淡い光を放った光球が現れる。

魔力の籠める量を増やしていくと光球も大きくなり光も強くなる。

 

この魔力の球を単純に相手にぶつけるのが放出魔法の基礎魔法である。そして魔法の強さに応じて階級が設定されている。

 

一番下が六等級で一番上が一等級という感じで六段階に分かれている。

 

アルナイルが掌に浮かべている魔力の光球は、一番低い六等級程度の威力だ。この程度なら魔力の強い個体の魔物が使ってくるとベナトはアルナイルに教えていた。

 

一番威力が低いとはい油断はしてはいけないとも。

 

アルナイルは五属性の魔力が使えるが、その中でも適性が強いのは水と木だ。

 

他の三属性の魔法はベナトが紹介した魔法使いから教えてもらい四等級の評価を貰っていたが、水と木に関してはベナトから三等級を貰った。

 

「この調子じゃあもう一年したら二等級に上がりそうだねぇ。ほんとにたいしたもんだよ、アル」

「ベナトばあちゃんの教えのお陰ですよ。これからもがんばります」

 

魔法の訓練の時の会話を思い出してアルナイルは思わず口角が上がる。

 

(あの時はとてもうれしかったなぁ)

 

ベナトに魔法の事で驚かれたり褒められる事が、アルナイルは好きだった。単純に魔法を学ぶこと自体も好きだが、一番の活力になっているのはやはりそれだろう。

 

気合も入れなおして訓練を続ける

 

アルナイルは魔力の光球の内、水と木以外の魔力を消した。全属性が使えると言ってもやはり得手不得手がある。

 

アルナイルは自身の適性が最も強い水と木の魔力特化を目指す事にしている。

 

ベナトもアルナイルにそうアドバイスをした。全部の魔力を練ったのは準備運動のようなものだ。

 

残った水と木の魔力をさらに籠めていく。

 

魔力を練る感覚は人それぞれらしいが、アルナイルの場合は、まず各魔力の属性を色としてイメージする。

 

火は赤色、木は緑色という感じだ。そしてそれらの魔力の元になる無色の魔力を身体の中にイメージし、その魔力をそれぞれの色に染めていく感覚でアルナイルは魔力の属性を練っていた。

 

目を閉じて集中し水と木の魔力を練っていく。腕を広げ右手に水、左手に木の魔力を集めていく。

 

それぞれの魔力の光球がどんどん大きくなっていく。

 

直径三十センチ程の大きさになったところで籠めるのを止める。このまま魔力の光球を放つだけでもそれなりに威力は出るが、それだけでは戦地で戦える魔法使いとはとても言えない。

 

何故なら魔力には物理的な重さが無く、練った魔力をそのまま相手に放つだけだと威力に欠けるからだ。

 

魔法使いが魔法使いたる所以は、詠唱を行い魔力に形を与えるからである。

 

創造(クリエイト)(ウォーター)

 

魔力から水が創り出され水の塊が右手に現れる。そのまま右手を前に突き出し左手を後ろから添えた。

 

「魔法詠唱:突風(ガスト)

 

左手から放たれた魔法により右手の水の塊が前方に勢い良く押し出され五十メートル程遠くにあった練習用の的に命中した。ドガンという音が広場に鳴り響く。

 

(威力は十分。後は効率と発動の短縮化だな)

 

魔法を発動するには詠唱が必要だ。発動させたい魔法の名称とそれに対応する詠唱を唱えて魔法を発動させるのが魔法使いだ。

 

だが優れた魔法使いは出来る限り詠唱を短縮化する。

 

研究職の魔法使いはいいとして、戦闘職の魔法使いにとって戦闘中の詠唱時間は隙が大きい。前線でも魔法使いが戦える様になるには詠唱の短縮は必須だった。

 

アルナイルは再度、両手に魔力を溜めた。先程と同じ大きさまで溜めると、今度は両手を前に突き出し掌を的に向ける。そして、、

 

突風(ガスト)

 

と、一言呟くと先程と同じ現象が起こり広場にドガンと音が再び響いた。

 

(よし、精度も威力も落ちてない。短縮詠唱も随分慣れてきたな)

 

アルナイルは次の段階の片方の掌だけで今の魔法を発動させるべく、再び魔力を籠めようとした。

 

その時ふと、なんとなく置いておいた本の事が気になり後ろを振り向いた。

 

目に映ったのは、見知らぬ男がアルナイルが置いた本を胡坐をかきながらペラペラ捲っている光景だった。

 

一瞬驚きに動きが止まったアルナイルだったが、あの本はベナトの書斎から勝手に持ち出したもので、何かあればまずいと思いその男に声を掛けた。

 

「おはようございます」

 

まずは何にしても挨拶からだろうと思いそ声を掛けた。

 

「・・・・・」

 

だが男は集中しているのかアルナイルの言葉に反応しない。

 

もう一度声を掛けようと少し近づいた。

 

するとアルナイルの影が男の方まで届いたからか、男の方から顔を上げてアルナイルに声を掛けてきた。

 

「おはよう嬢ちゃん。毎日精が出るな!」

「え?」

 

よく見るとその男は、最近走り始めてから毎朝挨拶を交わす程度には顔見知りのおじさんだった。

 

 

 

 

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