少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE -   作:リカル

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「はっ!、はっ!、はっ!、はぁ・・・!」



金色のポニーテールを激しく揺らしながら走るのは彼女にとって見慣れ始めた輝きの無い世界。

「飛ばし過ぎだぜ、アルル!」
「兄貴の言う通りだゼ」
『クールダウン!、クールダウン!』
「だって・・・!、早く見つけなくっちゃ・・・!



ウィザーモンを!」






自称・魔法使い、ぺてん師のホンネ

☆輝きの無い世界

 

 

数十分前・・・・・・・・・

 

 

捻くれたコンサートホール跡地

 

 

 

「でゅ、デュナスモン、だと・・・!?

あいつが聖騎士きっての武闘派の転生体!?

いや、だが、あれ程レベルが高いプライバシーエリア

デジタルワールドの最高位セキュリティたる聖騎士ならば造れてもおかしくはないか」

「じゃあ、本当なの?

ウィザーモンが『先輩』達を唆した『黒の逢魔』の友達だっていうのも・・・」

「あの反応を見るにそうだろうが

チッ!、何が痛くない腹だ!?、くそ!!」

「う!うう!!ああああああ!!」

「デュナスモン」

「ひい?!!ひいいいいいいい!!!!」

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

アルフォースブイドラモンの青く逞しい腕が伸ばされた途端、ただでさえ脅えていたウィザーモンはとんがり帽子ごと頭を抱え、ずんぐりとした体躯を限界まで縮こめてガタガタ震え出した。

 

「おぉーっと!、キャストに話があんならよぉーまずは俺を通しちゃくれねぇーかぁー?」

「お前は、なんなんだ?」

「ハッ!、俺のことを知らねぇのか?

だったら教えてぐむぅー?!」

「いやほんとにナンナン??」

「(え?)」「(あれ?)

 

 

 

(今のイントネーションどこかで・・・)」」

 

 

 

割り込んできた合成体の右腕が自分の口を塞ぐシュールな光景にさしもの聖騎士も困惑を隠せない。

 

「やめろシャウトモン!!

いくらなんでもコイツに逆らうのだけはマズい!!

この場の全員が一瞬で消されるぞ!!?」

『『!?』』

「いい加減泣くぞコンニャロー・・・ッ」

〔フガ?〕

「ん!、ん"ん"!、私はこいつやロードナイトモンが舞台少女を利用して何を企んでいるのかを知りたいだけだ

きみ達に危害を加える気はモトにニャイン」

『(噛んだ!?)』

「も、毛頭に無い!!」

『(しかも無理矢理誤魔化した!!?)』

 

最も、それは舞台少女達も同じである。

 

「・・・・・・・・・ーーー、ッーーーーーー

 

 

 

ぶたい、少女を利用だと?

 

 

 

ハッ!!、どの口がッ

 

貴君らとてそうだっただろう!?

 

黄金や白騎士、果てはレイド帝国の支配者!

 

それらの戦いに彼女達を巻き込んだのは!?

 

だというのに私ばかりを責めるのか!?

 

 

 

ええ?!!どうなんだよ『英雄』様!!!」

 

 

 

「!、・・・・・・・・・」

 

突然の開き直りにアルフォースブイドラモンが押し黙った

 

 

 

次の瞬間、《サンダークラウド》が炸裂。

 

 

 

「ーーーーーー!!」

「!?、ウィザー・・・モン・・・・・・?

ま、待って!!、待ってよぉ!!」

「アルル!!」

「うおっ!?」「わあ~ー!?」

『「兄貴!」』〔フンガ!〕

「ああ!?、もう!

先輩達!、あたし、行ってきますんでここをお願いします!」

「ララフィンも行くよ!!」

「わ、わかった・・・!」

「みんな、気をつけてね」

 

目映い稲光の中、消えていく自称・魔法使いを

 

ひとりぼっちで泣いている孤独なデジモンを

 

少女は追い掛けることにした

 

だって、その姿がまるで

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・プライバシーエリア『エメラルドの宮』

 

 

そして現在、家主を欠いた外観は立派な家の中では舞台少女やパートナーデジモン

 

「そうか、コレが

 

 

 

ダガシか・・・!!」

 

 

 

更には最速の聖騎士が集っていた。

 

「ねぇ、見て文

あのすっごい綺麗な正座!、しかも何かちょっと浮いてるよ!?

未来から来たロボットとおんなじヤツだよ!」

「しーーーっ・・・!、静かにしなさい・・・!」

「あ、あのー

本当にそんな物で良かったんでしょうか?」

「ムモンだ、・・・・・・・・・無論だ!!」

「~"~"~"っ」

「鶴、ヒョラヒョっ」

「わ、わか、て、ま、ブフッ!」

「ねぇ、見て文

あんなにおっきな指で包装紙剥いてるよ!

しかもちゃんと並べてるよ!、聖騎士って結構几帳面みたい!?」

「いちえぇ・・・!、あんたねぇ・・・!」

「いや、聖騎士が皆ブ

私のようではない、一晩過ごした場所を汚部屋にするモンもいる」

「え、あ、はぁ・・・?」

「そ、そうなんですか??」

「はいデ、ん!、ん"ん"!

ああ、しかも出立の時に整理整頓すれば良いという考えの持ち主だ、理解にクムシム」

「ねぇ見て文!

あの口ってあんな風に開くんだね!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もういいわ」

 

天井に角をこすりつけながらつかさが持っていた駄菓子を器用に摘まむアルフォースブイドラモンにこの場の誰もがあらゆる意味で落ち着かない様子。

 

「あ、あの、紅茶をお持ちしました・・・」

「人間界の茶か、頂こう

 

 

 

ふぇ!?、おいしっ!」

 

 

 

『!!??』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・美味だ!!」

「ふぁ!?、は、はいぃいいい!!」

「怖がらなくても大丈夫だヨンハニー

上位種特有の無駄な威圧感振りかざしてるけどアルフォースブイドラモンは別に怒ってないヨン」

「ねぇねぇ文!、今の聞いた!?

栞ちゃんがいれた紅茶美味しいって!!」

「そんな風に言わなくてもちゃんと聞こえてるから・・・」

「ううっー~!、僕の駄菓子ぃー~!」

「ごめんね、後で酢イカ上げるから今は我慢してて」

「え!?、ほんと!?、わー~い♪♪

ひぃっ!!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

 

 

 

『!!!!』

「ど、どうしたんでしょうか・・・ッ!?」

「イヤ、ベツニ、ナニモ」

「(だったら無駄にプレッシャーかけんな!

まったくコレだから上位種は嫌なんだヨン!

それでも『前』の情報よりかはマシだけど!

でも、どうせ聖騎士が来るんなら白騎士とか神威とか救世とか矛盾とかの比較的マトモなヤツに来て欲しかったヨン!!)」

 

何せ、少し身動ぎしただけで家が崩れるんじゃないかってぐらいの振動をもたらすような規格外と対峙しているのだ、さもありなん。

 

「(聖騎士

デジタルワールドの最高位セキュリティ

同じ究極体でもボルトモンとは格が違うんだって私にもわかる)」

「ヒ・・・ン・・・ー・・・っっっ」

「(弟子に至っては完全に戦意が喪失してる

最も、ソレは他のデジモンだって同じか

クダモンに至っては嫌がり過ぎて逃げ出したし

メイファン、見つられるといいんだけど)」

「んん、え?、あぁ!?、く!!」

「(あれ?、アルフォースブイドラモン

 

 

 

きなこボーンを食べる度にどうして?)」

 

 

 

「・・・・・・・・・さてそろそろ本題に入ろうか」

『(何か落ち込んでる!!?)』

 

綺麗に並んだ爪楊枝の列、その白い先端を見つめるアルフォースブイドラモンの羽が心なしか萎れているので、舞台少女達の困惑が更に加速した。

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

「成る程、やはりあいつも宝物・・・虹色の石を持っていたのか」

「虹色?」

「チラッとしか見てないけど私達が最初にここへ来た時にはタダの石にしか・・・」

「大方レイド帝国の探査から逃れる為に

『前』の記憶が戻った時点で破壊したんだろう

でなければとっくの昔にアイツに」

『あいつ?』

「!!」

「キュウ?」

「あ、いや、何でもないデん!、ん"ん"!

それにしてもえーでる?、だったか?

そんな神機で良くパートナーを進化させられたモンだ」

「・・・・・・・・・それは一体どういう意味、でしょうか?」

「ヒンっ?!」

「ふぁ、ファルコモン!、落ち着くヨン!」

「本来、神機一つにつき必要な虹色の鉱石は一つ

だというに、きみ達はソレを分割

しかも、機能停止していたモンを使っている

私からすれば有り得ないとしか言いようがな

い」

「王達のソウルとキラめきが優れていることの証左に他ありませんな」

「そう思いたければ思ってれば良い

最も、自分にとって都合の良いことばっか考えてたら酷い目に合うのはきみだけじゃ済まないが・・・」

「ホッホウ、言ってくれる」

「鷹、そこヒョイっヒョ」

「・・・・・・・・・御無礼」

「「ヒヨーーーンっっ」」

 

口の端をわざとらしく吊り上げ、やたらと嘴を差し込むファルコモンをヒョコモンが呆れ顔で諌めれば、ワームモンとファンビーモンが揃って安堵の息をつく。

 

「(あんなファルコモン始めて見た

よっぽど腹に据えかねてるんだね

なのに、何であなたは黙ってるの?)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「状況についてはオーヨヨ

ん!、ん"ん"!、おおよそ把握出来た

情報提供感謝デ、するぞ舞台少女達」

「あの、アルフォースブイドラモンは

ウィザーモンをどうするつもりなんですか?」

「・・・・・・・・・正直一発ブン殴りたい所デ、だ

しかし、『前』の時ならまだしも今のあいつにソレをすればタダの弱いモンイジメにしかならない」

「それじゃあ!」

「少なくとも、きみ達が心配するようなことをするつもりはない」

「「ふうっ」」

「ふーん、デジタルワールドの秩序を司る聖騎士ってそんな甘い対応で良いんだー、へぇー?

どおりで『黒の逢魔』があれだけ好き勝手出来る思ったよ」

「おおおしししょーしゃまーーーっ!?」

「反論の余地は無いな

最も、私は、このアルフォースブイドラモンは

秩序なんてモンはどうでもいいんだが」

「は?」

『え?』

 

 

 

「青い空の下で見たいモンがある

 

俺が騎士なんてやってる理由はそれだけだ」

 

 

 

『!』

「長居したな、そろそろオオトマさせてもらム

・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「?」

「た、珠緒先輩に何か!?」

「あ、い、いや、タダその、そう!!

 

 

 

そいつの匂いが気になっただけだ!!」

 

 

 

『            』

 

 

 

「それだけ!!、何でもない!!、アラバダ!!」

 

 

 

等と、とんでもない問題発言を残すと

アルフォースブイドラモンは一迅の風と化し

目にも止まらぬ速さで『エメラルドの宮』を出ていく。

 

「ぷ!!あはははははははははははは!!!

も、もうダメッ、くるしぃ・・・ぷふふふぅ!」

「わ、わたしってそんなににおう??」

「いいいえええー!!今日もそれはそれはとても素敵な香りがしますーー!!!」

「ファルコモン!?、その砂糖で何する気だヨン!?」

「塩の代わりに撒こうと思いまして」

「ならないヨン!、虫がわくだけだヨン!」

「そーでっしゅーっ!!」

「もうわいてっヒョ」

「お、おねえちゃー~ん・・・ぼくほんとにすいかたべてもいいのー~・・・?」

「大丈夫!、大丈夫だから!、ね?」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

「文!、栞ちゃん!、静羽ちゃんも!

無理に収めようとしなくていいから!

世の中なるようにしかならない時ってあるから!」

 

 

 

「なるようにしかならない、か」

「晶」

 

 

 

風が止んだ途端、嵐のように巻き起こる喧騒を尻目に緊迫した空気で語り合うのは

 

白金の君と蒼玉の君

 

王と宰相

 

雪代晶と鳳ミチル。

 

 

 

「もしかして、さ

アルフォースブイドラモンに出番を横取りされたこと『しょうがない』とか思ってる?」

「・・・・・・・・・思ってない」

「ふーーん?、そ、ならいいけど

でもさ、よく考えてみて

 

 

 

私達が立つべき舞台って

           この世界だっけ?」

           ‎

 

 

「ッ」

「『先輩』が正気に戻った今

これ以上シークフェルトの人間がゲームに巻き込まれることないと思う

ならさ、もう私達に出来ることって無いんじゃない?」

「まだ、奴が、迷宮の主が残っている」

「それこそ専門家に任せれば良いだけじゃん

素人が下手に手を出したって状況を悪化させるだけなのは『先輩』の件でよくわかったし」

「・・・・・・・・・ミチル」

「失敗したんだよ、私は

自分で自分が許せなくなるぐらいに」

「だが、それでも

まだ幕は降りていない

まだ、私達の舞台は終わっていない・・・!」

「そう思ってるんならさ

もっとシャンとしてよ、フラウ・プラティーン

でないと、あなたのパートナーの空回りがいつまでも止まらないよ?」

 

 

 

 

 

ファッサァ! ファッサァ! ファッサァ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのようだな」

 

虫2体に群がられたまま砂糖を撒きだす地上派猛禽類の姿に端正な顔立ちが非常に珍しい形になったのは、余談である・・・。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

「はっ!、はっ・・・はぁ・・・はあ・・・・・・

ダメ、ここにも居ない・・・・・・・・・」

 

一方、その頃ウィザーモン捜索組はというと

思いついた場所へ片っ端から足を運んだが

全てが空振りに終わっていた。

 

「後、残ってるのはッ」

「ま、まさか『迷宮』に行くの!?

それはいくらなんでも無茶過ぎだって!!」

「ララフィン先輩の言う通りよ

大体、あんたどうしてそこまでウィザーモンのこと」

「・・・・・・・・・助けて欲しいって顔してた」

「「え?」」

「あの時、ウィザーモン

ううん、もしかしたら、出会った時からずっと

ウィザーモンは私達に助けて欲しかった

自分にとっての救世主が、欲しかったんだ!

なのに、私達は、なれなかった・・・!」

「それは、しょうがないよッ

だって、救世主は

HEROは!、助けを求められないとステージに上がれない!

だから!、ウィザーモン自身が『助けて』って言ってくれないと!」

 

 

 

〔『ソレ』ガ難シイモンダッテ居ルンダ〕

 

 

 

「「「え?」」」

〔『ソレ』ヲ言ッタ時

モシ、『ソレ』ヲ踏ミジラレタラ

モウ、駄目ダカラ

ソウナルノガ怖クテ、口ニ出セ無イモンモ居ルンダ〕

「へへっ♪、懐かしい話してくれるじゃねーか相棒」

「ああ!、兄貴とバリスタモンのビギンズか!」

『ビギンズ!、ビギンズ!』

「びぎんず」

「シャウトモンと」「バリスタモンの」

 

 

 

はじまり」」〔フンガ・・・〕

 

 

 

黄金の少女の足がようやっと止まったのを切っ掛けに、カブトムシロボは独特の電子音声で語り始める。

 

 

 

〔レイド帝国ガ倒サレル前マデ

 

俺ガ居タサーバーハモウ朽チ果テテタ

 

土モ 木モ 水モ 空モ 俺自身モ

 

ソノセイカ、俺ハ今ノ『俺』・・・バリスタモンニナル前ノメモリーガ殆ド無イ〕

 

「で、でも、ヒーロー・・・救世主がレイド帝国をやっつけて

デジタルワールドもデジモンもみんな助かったって」

 

〔・・・・・・・・・ボディハ直ッタ

 

デモ心ハ、アノサーバーニ置キ忘レタラシイ

 

新シクナッタデジタルワールドデ

 

体ダケガ動イテル内ニ

 

パーツガドンドン外レテイッテ

 

気ガ付イタラ、マタ、動ケナクナッテタ

 

ソシタラ〕

 

「兄貴が偶々そこを通りかかったんだゼ!」

「里ん中で発声練習してたらジジモンやリリモンにどやされるからよー

仕方ねぇから里の外でやるかぁーって思ってたら、岩の隙間でデッケェー体を縮めてるモンが居てさぁー

あん時はほんっとにビックリしたぜ!」

 

〔・・・・・・・・・シャウトモンハ

 

何度モ俺ニ会イニ来テクレタ

 

雨ノ日モ 風ガ強い日ノモ 雷ガ鳴ッテル日モ

 

デモ、俺ハ、ソンナシャウトモンガ

 

怖カッタ〕

 

「こわい?」「どうして?」

 

〔ワカラナカッタカラ

 

何デ、俺ニ

 

話シカケタリ、歌ッタリ、踊ッタリスルノカ

 

ダカラ、俺ハズット黙ッテタ

 

 

 

本当ハ誰カニ助ケテ欲シカッタノニ!

モウ、独リハ!、嫌ダッタノニ・・・ッ"〕

 

 

 

「「「!」」」

 

語り部の双眸たる黄色いライトが不規則に点滅し、曇っていく様はまるで目には見えない涙を流しているようで少女達は息を飲んだ。

 

 

 

〔俺ノ音ハ、声ハ、技ダカラ

 

壊ス事シカ出来無イカラ

 

ソレヲ知ッタラシャウトモンモ、キット〕

 

「つまりよぉー、俺とお前が組めばサイッコーにビッグなサウンドが出るってことじゃねぇーか!」

「「「!?」」」

「って、俺は言ってやったのよ

どうだアルル、イカしてんだろ?」

「・・・・・・・・・うんっ

うん!!、すっっっごくイカしてる!!」

 

〔ソレカラ、シャウトモンハ前ヨリモ俺ノ所ニ来テクレテ、里ノデジモン達ニ頼ンデ機械ノ部品ヲ集メテクレテ

 

ボロボロデ自分ノ事モワカラナクナッテタ俺ヲ

 

『バリスタモン』ニ生マレ変ワラセテクレタ〕

 

「そして、その一部始終を見ていた俺達は!☆

兄貴の漢気に惚れこんだってワケサ!☆」

『Yeeeeeah!!!』

「そう、だったんだ

バリスタモンにとっての救世主は、ヒーローは

デジタルワールドを救った人間じゃなくって」

「シャウトモンだったんだね」

「は?、お前ら何言ってんだ?」

「「へ?」」

「俺は救世主でもヒーローでもねぇー!!

 

 

 

全てのデジモンのキングに成るモンだ!!」

 

「そうだよ!、2人共!

そこは間違えちゃダメだよ!」

 

 

 

「「えーーー・・・・・・・・・」」

〔マァ、ソウイウ事、ダ〕

 

何ともしまらない〆方で昔語を締め括るバリスタモンでしたとさ、めでたしめで

 

 

 

「いやいや~

 

なぁんにもめでたくありゃしません

 

これじゃあ『はしたなし』もいいとこだ」

 

「「「「「『!?』」」」」」

 

 

 

!?。

 

 

 

「え?、『はしたない』のは

挨拶もなしに話に割り込むお前の方だって?

これは失礼~、ではここで名乗りを

 

 

ひとつ 人には秘めたる想いも

 

 

ふたつ 舞台が結わえてくれた

 

 

みっつ 未来の戯曲のために

 

 

魅せます古典の心意気・・・凛明館女学校演劇同好会」

 

 

「ゆ、ゆっこ!?」

「ゆゆ子ちゃん!!」

「田中さん・・・?」

「はい~、田中ゆゆ子でございます~

はてさて、皆々様

 

 

 

この話

綺麗にオチをつけたいとは思いませんか?」

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

 

『秘密基地』

 

 

恵比寿つかさとスパロウモンが出会ったこの場所は太いパイプやらコンテナやらが多く

 

 

 

「(もうおわりだなにもかも)」

 

 

 

自称・魔法使いのぺてん師が身を隠すのにはうってつけだった。

 

「(最速が来た舞台少女達に知られたもう無理だ手が出せない何も出来ない結局私はあの頃と何も変われなかった!!!)」

 

 

 

世界の終末を前に抗えるモンなんて

 

 

実際問題ほんの一握りでしかなく大抵は

 

 

逃げて   隠れて   見ないフリをして

 

 

その時が来ることに内心怯えているだけ。

 

 

 

この飛竜の聖騎士の転生体もまた

いや、レイド帝国の恐ろしさを

『前』の記憶をハッキリ認知していたが故に

ありふれたデジモン達よりもその感情はひとしおで・・・。

 

「(だから世界樹から託された石を壊した

 

だから救世主達が神界に来た時傍観した

 

だから今の私は不義理ばかりを重ねている)

 

・・・・・・・・・ーーー、ッ"ーーーーーーく!!!」

 

物影に隠れながらウィザーモンは涙を溢す。

 

「クカカカァ!」

 

その姿をコンテナ上から見下ろす白く細長い獣の口元は喜悦に歪

 

「見つけましたよクダモーーーン!!!!!」

「ガガァッ?!」

「!?」

 

・・・・・・・・・んでたら、パートナーのリュウ・メイファンがどこからともなく騒々登場。

 

「め、めいふぁん??」

「な!?、ウィザーモン!!

クダモン!!、あなたが見つけてくれたんですね!?、流石です!!」

「ー!"ー!"ー!"ー!"ー!"ー!"」

 

熱い包容を受けたクダモンは掴み取りにされた鰻のように激しくのったくっているのだが、当の彼女はまるで気にしない。

 

「・・・・・・・・・」

「おっと、そうは問屋が卸しません」

「ゆ!、ユコぉお!?」

「ここで会ったが運の尽きって奴ですかね

まぁ、諦めて神妙に縛について下さいな」

「あ、ああ、それは、もうするしかないがッ

 

 

 

何故君は自分の首筋に刃を当てているんだ!?」

 

 

 

「何処ぞの誰かさんを黙らせるにはコレが一番手っ取り早いんで」

〔「カナァー・・・・・・・・・」〕

 

どさくさ紛れに逃げ出そうとするウィザーモンだったが、いつの間にやら背後を取っていたゆゆ子によりあえなく御用となった。

 

「ウィザーモン」

「あ、アルル、シャウトモン達も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「いや、あなたまで黙っていたらこの噺は終わりませんってば」

「はなし、といっても私に何を話せと?」

「とりあえずよぉー

お前が聖騎士サマってのは本当なのか?」

「・・・・・・・・・その転生体というだけ、さ

記憶こそ継承したが権現や精神性は一切引き継げなかったんだ、私は

だから、あの時、友が、ロードナイトモンが

かつての私達の共有サーバー、『エメラルドの宮』を訪れた時!、私は!、わたしはッ

 

 

 

なにも!!!   できなかったんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

回想劇

 

 

元・電脳世界最高セキュリティ

現・自宅警備員のスタァテイングポイント

 

 

 

 

かの大異変より10年近くの時が流れても

飛竜の聖騎士デュナスモンの転生体であるウィザーモンは『エメラルドの宮』から出られなかった

 

 

 

「(まいったなー

 

また時間ばかりが過ぎて行く)」

 

 

 

もとい、出たくなかった。

 

 

 

「だが、それも仕方ないだろう?

 

安全圏でヌクヌクしていた私が

 

今更どの面下げて他のデジモン

 

特にあんな目にあった最速に何を言えば?

 

わからない?、そうだろう?、ええ?」

 

 

 

責めるモンなど何処にも居ないのに

 

言い訳ばかりを並べ立てながら農作業に勤しみ

 

味を感じられないのに食事を摂って

 

眠れもしないのに寝台に就く。

 

こんな生活を繰り返していたウィザーモンの前に現れたのが・・・

 

 

 

「やっと、やっと会えたな、友よ」

 

 

 

王騎の聖騎士ロードナイトモンだった。

 

 

 

「ロードナイト?、もん??」

 

 

 

だが、その姿は

デュナスモンだった時の記憶からは程遠くてウィザーモンは思わず口ごもる。

しかし、どれだけ心が疑おうとこの『エメラルドの宮』に容易く入れるのは聖騎士だけだし

何より、かつての己より継承した感覚がここに居るのは【ロードナイトモン】だと告げている。

 

「(まさか全身がレイドプログラムに犯されているのか!?だが何故!?救世主達のお陰でレイド帝国の支配者は最早存在しない筈だろう!?

 

なのにどうして!!?

 

私の友が!!

 

誰よりも美しいロードナイトモンが!!)」

 

「友よ、かつての契りを今こそ果たそう

 

我わ、わ私と共に」

 

「ちぎり?

 

!、まさか!!

 

人間界に攻め入るつもりなのか!!?」

 

「そう、大義は此方にあるのだから」

 

「!!」

 

 

 

かつての友がかつての自分が放った言葉を告げながら、今の自分に手らしきモノを伸ばす

 

 

 

その時、ウィザーモンは

 

 

 

「ま、まぁ!、アレだ!

積もる話は家の中でしよう!、そうしよう!」

 

 

 

あまりにも辛い現実から目を反らした。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「君が居ない間にこのサーバーに色々と手を加えてしまって、ね!

ホラ!、コレなんてどうだい!?、缶コーヒーの苗!

ブラック無糖や加糖クリーム入り何でもござれ、さ!

きっと君も気にいると思」

 

 

 

「君の答えはソレなのか?」

 

 

 

「ぁ」

 

「君でも私の想いはわかってはくれないのか

 

残念だ   我が友、デュナスモン」

 

「ま!、待て!、待ってくれ!!

 

ロードナイトモーーーンッッッ!!!」

 

「人間界に逢魔がくる

 

私我わ々『黒の逢魔』が連れてくる

 

ニンゲンにキラめきなどなく

 

く!

 

 

 

ククククククくくくッ!!醜くく!醜くく!ハハはははッ醜いいいい!!!ニんゲンハミにクいと証明する為に!!!」

 

 

 

「!

 

 

 

ーーー、ッ"ーーーーーーく・・・・・・・・・!!」

 

 

 

だが、いくら目を反らしても

 

 

現実は何も変わらない、変えられない。

 

 

ソレがわかったからこそ

 

 

運命の相手に与えられたからこそ

 

 

魔法使いを名乗るデジモンは・・・

 

 

 

 

 

 

「『エメラルドの宮』ごと飛び立つに至り

その結果、余計な混乱を貴君らにもたらしただけに終わったというワケ、さ

盗み見してた時は最速や隠士のやり方を好き放題言ってた癖に、いざ自分が同じ立場に成ったら、このザマだッ」

「同じ?、アルフォースブイドラモンとウィザーモンがか?」

「・・・・・・・・・ああ

だけど、あいつら救世主は、アルファモンは

ロードナイトモンと同じようになっていた

 

 

 

かつての友を斬り捨てて世界を救った」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・すてた?」

 

 

 

「メイファンだって言っていただろう?

本当に友を想うのならば止めるべきだったと

なのに私は出来なかった、なにもできなかったんだ!!

あの日誤った方向に進む友から目を反らして

何事も無かったようにするしか出来なかった!!

今の生を受けてから、ずっと、そうなんだッ

わたしというモンは!!」

「・・・・・・・・・」

 

語っている内に膝から崩れ落ちたウィザーモンに最早拘束はいらない。

故にゆゆ子は手を離す

 

だって

 

「(その段階で『黒の逢魔』のことを聖騎士とやらに通報なりなんなりしてくれさえすれば私達はあんな目に合わなかったのに・・・)」

 

支えてあげる所以など無いのだから。

 

「うーーーーーーん」

「どうしたのメイファン?」

「いえ、ウィザーモンが何をしたいのかがよくわからないんです

だって、ロードナイトモンの暴挙を止めたくてこの世界まで来たというのに

何故私達にそう言わなかったのでしょう?」

「~!"!ー~!"!ー~!"!ー!~"!ー~~!"!ー!"!」

「それ以前に自分の実力が足りないとわかっているのならばデジタルワールドに居る時にアルフォースブイドラモ

?、クダモン?」

「フゥウウウウウウーーーッッッ!!!」

「へ、HEYメイファン!?」

『噛まれてる!?、噛まれてる!?』

「はい!!、いつもの甘噛みですね!!

こそばゆいです!!」

「フゥグガガガガガガガガガア"!!!」

〔・・・・・・・・・怖クテ言エナカッタンダナ?〕

「ッ」

〔ソシテ

ドウシタライイノカワカラナッタンダナ?

 

 

 

友達ヲドウヤッタラ助ケラレルノカガ〕

 

「ーーー、ッ"ーーーーーーぅく・・・・・・・・・!!」

 

 

 

情けない姿を晒す自称・魔法使いに電子音声が優しく寄り添うと、クマが酷い目元を大量の涙が流れていく。

 

〔アルフォースブイドラモン達・・・

救世主達ニロードナイトモンノ事ヲ伝エレバ

ロードナイトモンガ消サレテシマウ

ソウ考エタラ、怖クテ

デモ、ドウシタライイノカモワカラナクテ・・・

誰ヲ信ジレバイイノカモワカラナクテ・・・

ズット、苦シカッタ

ズット、独リデ頑張ッテタンダナ、ウィザーモンハ〕

 

 

 

「独りじゃねぇえええーーーーーー!!!」

 

 

 

「ッ!?」『!?』〔フンガァ♪〕

 

 

 

その涙を吹き飛ばすのは、熱いシャウト。

 

 

 

「何をしたらいいのかわからない?

 

誰を信じればいいのかわからない?

 

 

 

わかった! それならまずは俺を信じろ!

 

 

 

お前には俺が居る このデジモンキングがな

 

 

だから!、ウィザーモン!」

 

 

 

「ッ?」

 

 

 

「腹から声出せ!!! 諦めんな!!!」

 

 

 

「ーーー、ーーーーーーぅ・・・うう・・・・・・」

 

 

 

攻撃性の高い煽りと共にスタンドマイクを突きつけられた口は開け閉めを繰り返すばかり・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(な、長い!、間が長すぎます!

早く、早く次の台詞を)

え?」

〔「あ、ユユ!、やっと離してくれた!」〕

 

赤き仔竜の言葉には根拠もなければ責任もないし自称・魔法使いの願いに至っては『黒の逢魔』の被害者達からすれば知ったこっちゃない。

だというのに、この場の誰もが固唾を飲んで2体のやり取りに見とれている。

 

「う、ううぅ、ぁぁっあぁ・・・・・・・・・!」

 

【観客達】の集う視線に気づかぬまま主演の片割れは喉元にまで到達している【台詞】に抗っていた。

 

「(い、言いたい!頼りたい!任せたい!

でもそれでも言えない!いえるワケがない!

だって!そんな今更!そんなことをするのは

 

 

 

あまりにも不義理じゃないか!!)」

 

 

 

【台詞】の対戦相手は

 

礼儀

 

   忠義 信義

 

          武士道 そして、騎士道。

          ‎

 

 

デュナスモンであった時の想いを阻むのは他ならぬデュナスモンとしての性質

今のウィザーモンはデュナスモンではないのに・・・

 

 

 

「ロードナイトモンを助ける」

 

 

 

だから彼女が【台詞】を奪う。

 

 

 

「ア、ルル?」

「絶対に助けるよ、例えアルフォースブイドラモンや救世主が相手でも」

「ちょ、ちょっとあんた何言」

 

 

 

「だから、捨てたりなんてしないで」

 

 

 

「ッッ!!」

『ーーーーーーッ!?』

 

 

 

幼馴染みの暴挙を止めようとした手と口が

 

ミエナイナニカによって拘束されると

 

他の【観客達】もまた静観を強いられる。

 

 

 

「何も出来なかったなんて言わないでよ

 

ウィザーモンはロードナイトモンを

 

自分達の家に招き入れようとした

 

 

 

『おかえり』をしてくれたじゃない!!!」

 

 

 

「だ、だが、それは!!」

 

「ソレがどれだけロードナイトモンにとって

 

救いになったのか

 

ウィザーモンはわかってるの!!?」

 

「ぇ」

 

「どんな姿になっても、どんなことを言っても

 

ウィザーモンはロードナイトモンを

 

 

 

捨てなかった

 

 

 

世界を救ったっていうデジモンより

ずっと、すごいよ」

 

「!、・・・ッ・・・・・・」

 

 

 

自分を肯定してくれる舞台少女を前に自称・魔法使いが視線を泳がせていると

 

 

 

「おーっとぉー!」「あぷ!?!」『!?』

 

 

 

勢い良く突き出されたマクフィルド社製のマイクがパートナーの顔面にクリーンヒット!。

 

「お前さぁー、何シケた面してんだよ?」

「ひゃ!?ひゃひふふぉふぉん??」

「おー!、ちったぁ良い顔になったな!」

「えう"う"ううううーーーーーー!!!」

「シャウトモン!、メリ込んでる!

あるるの顔にマイクメリ込んでるから!」

「さーて、ウィザーモン

ギャップはまだ必要か?」

「・・・・・・・・・ぎゃっぷとやらは知らないが

貴君が何を言いたいのかは凡そ見当がつく」

「ぷはっ!?」

 

不敵な笑みを向けられたウィザーモンはとんがり帽子を脱ぎ捨てるとマイクの先端を糸で縫い合わせたような口に寄せて

 

 

 

「かつての私、飛竜の聖騎士デュナスモンの友

 

王騎の聖騎士ロードナイトモンを

 

どうか『黒の逢魔』から助け出して欲しい」 

 

 

 

漸く、ホンネを吐き出した。

 

「おお!、任せときな!

聖騎士を助けて、ライバルの白金の君にも勝ったってなりゃーデジモンキングになった時ハクがつくってモンよ!」

「んなぁ!!?、ちょっと待って下さいシャウトモン!!

何故晶さんに勝った前提で話をしているんですか!!?

それに!!、前にも言った通り!!

晶さんをライバルと呼ぶのならば!!

まずはこのリュウ・メイファンが御相手しましょう!!!」

「はいはい、メイファンさん

噺の腰を折るのはヤボってモンですよ」

「むぅっ」

「・・・・・・・・・」

「(ん?、あれ?

クダモンってあんな神妙な顔出来たんで)

 

 

 

ッッ!!??」

 

 

 

「ゆっこ?」

「どうしたんだーい?」

『ホワッツ?、ホワッツ?』

「あ、アルフォースブイドラモン・・・!!」

『『!!?』』

「グガッ!?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

一段落が着いた直後

突然、顔面蒼白となったゆゆ子が指差す先

輝きの無い空に浮かんでいたのは最速の聖騎士。

 

「まいったなー

まるで気配を感じなかったが、一体いつから聞いていた?」

「問屋が卸さない、から、だ」

「殆ど最初じゃないか

どうやって私の感知から外れて

ああ、そうか

感知されるより早く離れるのを繰り返せば良いだけか」

「そうだ」

「グガガガァッ」

「それで、何故今になって堂々と姿を見せる気になった?」

「飛竜の転生体の真意を確かめたかった」

「成る程

で?、今の私は貴君の御眼鏡に適ったのか?」

「ああ」

「じゃ!、じゃあ!

ロードナイトモンのことは!?」

「きみ達に任せる」

『『!』』

「よ、よかったぁーー!!

よかったね!、ウィザーモン!」

「あ、ああ!、ありがとうアルル」

「なんだよー!、意外と話がわかる奴じゃねぇーか!」

「・・・・・・・・・」

「え?」

〔フガ?〕

 

ウィザーモンやあるるの問いに端的に応えるアルフォースブイドラモンがどんな顔をしているのか地上の者達にはわからない。

 

 

 

ただ独り

 

 

 

「(どうして?

あんなに大きな体で凄く強いのに

今のアルフォースブイドラモン

 

 

 

なんか、ちっちゃい子供が泣いてるみたい・・・・・・・・・)」

 

 

 

空の名を持つ舞台少女を除いて。

 

 

 

 

 







OUT of the BLUE second chapter



舞台少女とそのパートナー達と別れた翌日、『エメラルドの宮』にて聖騎士と元・聖騎士による会合が行われこととなった。

「貴君ならばもう気づいているだろうが
私はアルル達に『光』のエレメントによる認識阻害を施している」
「・・・・・・・・・」
「ゲキフェス、だったか?
まさか、あそこまで関わりが深いとは思わなかったよ」
「・・・・・・・・・何故、そんなことを?」
「怖かったんだ、私は
かつて舞台を盗み見した挙げ句
今度は人間界に危機をもたらしたのだから、さ」
「それでもきみは『みんな』を護ってた」
「無許可で住処に細工を施したり四六時中監視をすることのどこが護るに価する?
私が彼女達にやったことはストーカーと何ら変わらない・・・・・・・・・まいったなー!、自分で言ってて鳥肌が立ったよ!」
「デュナスモン」
「今はウィザーモンだ
しかも、魔法使いにすらなれないぺてん師、さ
だが、そんな私の想いをくんでくれようとしたモンが居てくれた
その義に応える為にこれから『黒の逢魔』のことを貴君らのパ」



「きみは凄いよ」

「・・・・・・・・・最速?」



すると、突然



「ブイもあいつもパートナーに出会うまで

ずっと、ずっと、俯いてた

でも、きみは違った、ひとりで立ち上がった

凄いよ、ほんとに

あの子の言う通りデス」

「あ、アルフォースブイドラモン?」

「ああ、そうだな、そうだよ、俺は捨てたよ

あんな必死に俺にすがろうとしたマグを

俺は仕方無かったなんて言うつもりは無いよ

何度謝ったって許されるとは思ってないよ

謝ることすら許されないってわかってるよ



でも、アルファモンは、ドルモンは、ちがう



下界のゴミ捨て場で生きてる間

育ての親や兄弟達の信頼に応えられなくて

かつての友に救われたことを悔やんで

それでも辛い現実に抗う力が無くて



ずっと、ずっと、ずっとずっとくるしんでた



ブイよりもずっとデス」


 
「え」



「だから、これから、ブイは、俺は



私は王騎以外の『黒の逢魔』を全て消しさる」



「な」



最速の聖騎士アルフォースブイドラモンは



「何の為にこのアルフォースブイドラモンが

独りで此処まで辿り着けたのかがやっとわかった



電脳世界の抑止力が介入する間を与えずに

最速でこの舞台に幕を降ろす



全てはきみとあの子のおはなしを」



「ま、待て!!」



「綺麗なままで終わらせる為に」



何もかも置き去りにして駆け抜ける



まるで、あの日の過ちを再演するかのように


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