少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - 作:リカル
☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間
「ここは、あなたの神殿?」
「でも、何だか雰囲気変わってない?」
「え?、そうなの?」
「ウィザーモンが見せてくれた記録とそんなに変わった所は無いけど・・・」
「新しくなったデジタルワールドに合わせ
随時アップデートを行っている
外観こそかつて貴様らを招き入れた時と殆ど差異は無いが、性能は段違いデシテ
そう、今ならば・・・どこぞの山姥なんぞに好き放題はさせん!!!」
「「「「(未だに根に持ってる!?)」」」」
「神殿の説明とかいいから
ウチにだけでも『どっち』か教えるジャン」
「逸るなアホめ
あれだけの深手を負わせたのだ『黒の逢魔』の幹部共もそう易々とは回復しないだろう
その間に舞台少女とパートナーデジモンのレベルアップを図り、かつての救世以上の爆発的化学反応を起こす為にも「バッカスモンだったら殴るからな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツカサ、そしてスパロウモンよ
これから貴様らは鍛治神ウルカヌスモンの神域に行って貰うのデシテ」
「おう!、あいつならいっか!」
「・・・・・・・・・Nounours」
「鍛治神って、確か」
「デジタルワールドが滅びそうだったのに何もしなかったデジモンだ!」
「まさか今でも?」
「引きこもったまま、デシテ
それどころか、偶に出てきたかと思えば希少な素材を無理矢理奪おうとする始末でな」
「アケビ号ん時もしつこかったよなー」
「なので、貴様らは奴を懐柔し
神としての責任を果たさせろ
それがワタクシからの試練デシテ」
「かみ、さまを懐、柔・・・
(わたしに、できるの?
天堂さんや神楽さんみたいなことが
ッ、ううん!!、弱気になっちゃダメよ!!
ララフィンだって言ってたじゃない!!
後輩にばっかり頑張らせるなんて、『先輩』として恥ずかしいって!!
でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」
「おねえちゃん?、ツカサおねえ~ーちゃ~ーん!!」
「わっ!!?、な、なに??」
「そんな怠けモンなんて僕がバッキュ~ーン☆ってやっちゃうよ!
だから、おねえちゃんは自分の舞台をやって!」
「・・・・・・・・・ありがとう、スパロウモン
(私の舞台、私の、舞台
ワタシノブタイ、って )」
「?、???、??????」
「マルスモンどうかしましたか?」
「いや、あの銃見てたらなーんか引っかかって」
「説明は以上!!、デシテ!!」
「「へ?
うわああああああ~ー~ー~ー!!??」」
「つかさ!?」
「恵比寿さん!?
ディアナモンッ、あなた先程から些か乱」
「ワタクシのパートナー面をしたければ契約してからにしろ、ニンゲン」
「!、・・・・・・・・・そう、します」
「(真矢)」
☆神域『鍛治神のアトリエ』
「「ぁああああああ~ー~ー~ー・・・・・・・・・!!!
あ"!?」っぶな!」
ディアナモンの強制転移により雑に放り出されたつかさとスパロウモンの眼下に広がっていたのは・・・
剣 槍 刀 鎌 弓 銃 矢 槌 盾 鎧 杖 ダガー 爪 手甲 フレイル 鎖 鉄球
モーニングスター ヌンチャク チャクラム
その他用途不明な武器の数々が抜き身のままに陳列、或いは虚空から伸びる透明度の高い糸に吊り下げられているという異様な光景。
「もしかして、コレ全部」
「ウルカヌスモンが造ったモンなのかな?」
危うく串刺しになる所をスパロウモンに救われたつかさは黄色い背中へと乗り移り
このプライバシーエリアを改めて見渡す。
カァ・・・・・・・・・ン カーーーンッ
「!?、スパロウモン!」「任せて!」
すると、どこからか固いモノ同士がぶつかる音が聞こえてきて
見映えやらカテゴライズやら何やらを度外視したディスプレイの隙間から一筋の煙が立ち上るのが見えた。
カン!カン!カン!カン!カーーーン!!
「ーーーーーー!!、ーーーーーー!!」
ソレを頼りにふたりが向かった先にあったのは
火が入れられた大きな炉らしき建造物と
その前に座り込み、8本の腕を黙々と動かし
各々の手が握った道具を淀みなく扱いながら
腹部のバーナーから火炎を放射している
赤い体色をした5~6m級の人型デジモン。
「アレが、ウルカヌスモン」
「どうするの?」
「とにかく、まずは話をしないと・・・
あの!、すみません!、お邪魔します!」
「邪魔すんだったら帰れっちゅーの!!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「ど、どどどうしよ~ーおねえちゃ~ーん!!」
「だだだいじょうぶ!!、大!丈!夫!
ちゃんと、そう!、ちゃーんと説明すればきっとわかって貰える筈!!」
にべもなく拒絶され、正直心にきたつかさだったが自分以上に狼狽えているパートナーのお陰でちょっとだけ冷静さを取り戻す。
「お忙しい所、大変申し訳ありません
私達、ディアナモンから」
「ディアナモン?」
「は、い"っ?!」
しかし、ウルカヌスモンの態度は彼女の想定を遥かに越えていた。
「おねえちゃん!!?
この!!、いきなり何するんだよ!!?」
「ナニ、って
それはこっちの台詞だっちゅーの
よくも俺の前であの自称神の名前を出せたな」
突然投げつけられた真っ赤に熱された鉄の塊をダストデビルで受け止めれば、足元でスパロウモンが二丁レーザー銃を構える。
「んだぁーーーーーーーー!!!
あんのザコ兎ッ、何度俺のアトリエに穴明けりゃ気が済むんだっちゅーーーーーーーーの!!」
「ざ、ザコってなんだよ!?
ディアナモンはデジタルワールドを救ったじゃないか!!、なんにもしなかったお前と違って!!」
「あ"?、ん?」
「スパロウモン!!」
更には、火に油を注ぐような台詞まで向けるので保護者としては気が気でない。
しかし、当のウルカヌスモンにとって・・・
「お、おま!、その銃!、どこで手に入れたっちゅーの!?」
「え?、コレ?
渡りの途中で群れとはぐれた時に、雨風を凌いでたデッカイ建物で見つけたんだけど」
「あなたそんなことがあったの!?」
「うん!!、そこからあの輝きの無い世界に迷い込んでおねえちゃんやみんな、と・・・・・・・・・」
「ッ、ごめんね」
「う、ううん!、僕だいじょうぶだよ!」
「へへーーーーーーーーー?
そーーーーかそーーーーか
ふーーーーーーーーん
つまり俺の作品を盗んだのはお前か」
「「!?」」
「《ピンポイントウエポンワークス》」
「「ーーーーーー!!」」
最も琴線に触れたのは
銃を向けることでも
正論をぶつけられることでも、ない。
「そーそー、一応聴いといてやる
あいつ、俺に何させようとしてた?」
「か、かみとしての、せきにんをはた、してほしい、って・・・・・・・・・」
「神として、か
だったら、カミサマらしく
俺のモン勝手に使って良い気になってる奴に
天罰下すしかないっちゅーの」
今世における最高傑作に触れたことだ。
☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間
「あーーーーーー!!!!!!
思い出したあーーーーーー!!!!!!
アレ!!、ウルカヌスモンが造った奴!!」
「Il est tard!!!」
「・・・・・・・・・詳細を、説明して貰っても?」
「スパロウモンが持っていた銃の名はサナオリア
あのタコが先代のウルカヌスモンを越えるべく
七大魔王ベルゼブモンに献上されたとされる二丁のショットガン、ベレンヘーナのデータを元に造りあげたのだが
レイド帝国による侵略の際に紛失したらしい」
「ソレがどういう因果かつかさの・・・
舞台少女のパートナーデジモンの手に渡ったってたってこと?」
「ソーデシテー」
「あーあ、ウチ知んねーぞ
あいつ、ただでさえ頭に血がのぼりやすいのに」
〔「「わああああああああ!!??!」」〕
〔「逃がしゃしねえちゅー!、のぉ!」〕
「自分のモン勝手に触られんのが一番嫌いなんだよなー
それで神々とかの上位種以外は大体消されてるし」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「フッ、どうした?
ふたり揃ってらしくもないしおらしい顔をしおって」
「今の私達はタダの観客」
「この先、画面の向こうで何があろうと
見ることしか出来ません」
〔「ぃゃぁぁあああああーーー!!」〕
〔「まずは一匹」〕
〔「おねえちゃん!!おねぇちゃん!!」〕
「・・・・・・・・・アレでもかよ?」
「「ッ」」
「そっか、ならウチはもうなんも言わねー」
月光神が虚空に浮かべるモニターを前に
唇を強く噛み締めるパートナーと彼女の好敵手。
そんなふたりの様子を闘争神は腕組みしながら静観
〔「え?、おま、お前!、まさか!
ほ、ほんもののニンゲンッッッ!!??」〕
「って!、今気づいたのかよぉ!!?」
・・・・・・・・・訂正、静かには出来そうにない。
☆神域『鍛治神のアトリエ』
「マジ!?」
「きゃ!?」
「え!、マジか!」
「やっ」
「マジだ!!、マジモンのニンゲンだ!!」
「ぁぁ・・・!」
上も下も所狭しと武具が並んだ空間をパートナーの飛行能力を頼りに逃げ回っていたのだが・・・
各々の腕から一斉に投擲された8本もの鎖文銅に絡め取られ、つかさの体はウルカヌスモンの懐まで引き寄せられてしまった。
「や、やめろお!!、嫌がってるだろ!!
早くおねえちゃんを離、ぐえ!?」
「スパロウモン!!!」
囚われの身となった彼女を救うべく
《ウィングエッジ》で突っ込んだスパロウモンだったのだが、無造作に投げつけられた鎖文銅により呆気なく墜落。
「はー?、なーんでやっと手に入った
【レア素材】
を手離さなきゃいけないっちゅーの?」
「そ、ざい???」
8本の腕に全身くまなくまさぐられている最中に聞こえてきた不穏な単語
コレを耳にした途端、つかさの脳内に不吉なイメージが沸き上がり、ただでさえ鳥肌が立っていた皮膚が更に粟立つ。
「んあー、安心しろって
俺のアトリエなら【加工】で消えることはない
その皮も 骨も 目も 歯も 毛も
ナカミも
ひとつたりとも無駄にはしないっちゅーの」
「?!"、ッ"、!"!」
頭部全体を覆うヘルメット越しに【素材】を目利きする職人の眼差し。
その熱視線に晒された少女の生存本能は全力で警鐘を鳴らし、4本の腕に拘束された四肢が滅多矢鱈に暴れ出した。
「皮の強度は柔いし、取れる量も少ない
出来るだけ傷つけないように解体を・・・
って!、コラ!、今更足掻くなっちゅーの!
んあー、アレどこやったっけか?」
「ー~ー~ー~ー~ー~ー!!!!
(ダメ!!全然ビクともしない!!このままじゃほんとにわたし)」
「や、やめろ!!やめてよ!!
返す!!銃なら返すよ!!だからおねえち」
「なんで俺がお前の言うこと聞かなきゃいけないんだっちゅーの」
「え」
「ってか、返す、返さないって何様だよ
ニンゲンが一緒だろうが何だろうが下等種族は所詮下等種族
神に供物を捧げる以外に存在意義なんざありえ無い」
「ぁ・・・・・・・・・」
「んあー、まあ、ニンゲンをくれたんだ
特別に許してやるし、そのサナオリアはくれてやる
だから俺の邪魔すんな
さもないと、お前からバラすぞ?」
「ーーーーーーッ」
ウルカヌスモンはつかさの抵抗もスパロウモンの懇願もものともせず、己の工房内を残る4本腕で物色中。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
緩慢に、だが、着実に迫る■を前に
恵比寿つかさは走馬灯を見
〔「つかさ先輩!!」〕「!!」
「お♪、あった♪、あった♪
でも規格が合わねえな、ちょいとイジるか」
「い、や」
「んあー?」
「やだ、やだやだ・・・!
たすけて
スパロウモン
スパロウモオオオンッッッ!!!助けてええええええ!!!いやああああああああああああ!!!」
「!!」
「だーかーらー!
泣こうが喚こうが無駄だっちゅーの!!」
突然、火がついたように泣き出し、みっともなく成長期のデジモンなんぞに命乞いをするニンゲンに鍛治神は呆れながら作業を続けている。
「・・・・・・・・・」
一方、助けを求められたパートナーデジモンは
考えていた。
考えて 考えて 考えて 考えて ただ考える
その間に
ウルカヌスモンの作業が終わっても尚・・・。
「いよっし!、流石俺!、サイズばっちし!」
「いやあああ!!うぐ?!、ぅぅ・・・うぁ・・・・・・・・・」
「カルポスヒューレ産の麻酔だ
息止めても無駄だっちゅーの」
内部で乾燥植物が焚かれた鉄製マスクを無理矢理口元に取り付けられた直後
抵抗の為の動きが徐々に弱まっていき
今の今まで握っていた二対の斧ダストデビルが力なく落ちて「《ランダム
レエエエザアアアああああああ!!!!》」
その刀身目掛けて放たれたのは二条の光線。
「ん"!?あ!!」
「・・・・・・・・・信じてたッ」
「ー~ー~ー~!!、信じて、くれたッ」
スパロウモンの狙いは寸分違わず
恵比寿つかさのキラめきに直撃
渾身の《ランダムレーザー》は
金色がかかったオレンジのプリズムとなり
生産者の全身に突き刺さった!!。
☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間
「ふふっ、どうやらあのカミサマは知らなかったようですね」
「舞台の上で流す涙は時には武器になるってことを」
ウルカヌスモンの拘束から解放されたつかさをスパロウモンが音速で掻っ攫う姿が見つめる真矢とクロディーヌの顔に浮かぶのは
さも当然と言わんばかりの不遜な笑み。
「やたらと迫真の狸寝入り
ソウルとキラめきを用いた健常な状態のデータの再構築、再生産
舞台少女の武器にデジモンの力を付与
そして、極めつけがパートナーが命を懸けたアドリブに合わせてのエチュード
ククク!、どれもこれも見覚えのあるモンばかり・・・!」
ふたりの隣で月光神も鍛治神のマヌケ面が見られてご満悦の様子である。
「ウィザーモンから転写された『情報』
ソレを己の『知識』として昇華させたか
やはり、どこぞの借りモンの力での盗み見だけで知った気になっている逆怨み骸骨一行なんぞとはモノが違うのデシテ!」
「当然ジャン」
「「Exactement」」
「でもさ、ウルカヌスモンがウチらと情報共有してたら先にスパロウモンが消されてたと思うぞ」
「それすらもツカサの想定内、デシテ
舞台少女と関わりの無い神々とそうでないモンがどれだけ険悪かは想像に難くないからな」
〔「!? ! !!?? !?!」〕
〔「はぁ!、はぁ!、はあ・・・!」〕
「さて、本番はここからデシテ
今の攻撃も実質的なダメージには至っていない」
「それにアレ結構消耗激しいかんなー
クロ公だって始めてウチ進化させた時とかぶっ倒れてたし」
「倒れてない」
「・・・・・・・・・ああ、そうですね
『倒れて』はいませんでしたね、『倒れて』は」
「何で2回言うのよ!?、天堂真矢!!」
〔「おねえちゃん、まだやれるよね?」〕
〔「勿ッ、論ッ
美空だって、あんなにキラめいてみせたのに
あの子に、『先輩』って呼ばれてる私が!
ここで止まる訳にはいかない!
だから!」〕〔「うん!、やろう!
一緒に!!、舞台を!!」」〕
「お!!、キタキタキターーー!!、進」
〔「ちょおお、待てっちゅーのぉ!!!」〕
〔「「うあああ~ー!!?」」〕
「あー!?、今初進化する所だったジャン!!
良い所で邪魔すんなよなーー!!」
「「「・・・・・・・・・」」」
闘争神の癇癪に概ね同意な2人と1体は固唾を飲んでモニターを見つめた。
〔「俺が造ったサナオリアにあんな機能は無い!!!、なのに今のは何だ!?、どうやってやった!?、その斧か!、斧だよな!?、見せろよ!、ってか寄越せよソレぇ!!!」〕
〔「な~ーんでおねえちゃんがお前の言うこと聞かなきゃいけないの~ー?」〕
〔「あ"!?」〕
〔「ダメよ、スパロウモン」〕
〔「でも!」〕
〔「見たいなら、欲しいなら、最高のモノをあげましょう
だって、ウルカヌスモンだってCASTの一員なんだから!、ね?」〕
〔「!、うん!!」〕
「それがあなたの答え
この電脳世界で造る舞台ですか
恵比寿つかさ」
「なら、見せてみなさいよ
あんた達が至ったキラめきを・・・!」
〔「ゴチャゴチャゴチャゴチャとうるせぇっちゅーの!!《ボンバーアート!!!》」〕
すると、画面全体が一瞬にして炎に満たされ
ふたりの姿が見えなくなる。
「!、ディアナモン上ジャン!」
「わかっている!!、デシテ!!」
〔「舞台はどうやって造るのか」〕
〔「んあ?!」〕
即座にアトリエ上空へと場面展開させれば
そこに映っていたのは目映いスポットライト。
〔「アルファ、ブラボー、チャーリーから
学んでいっくよ~ー~ー!!」〕
〔「あの輝きッ、クロンデジゾイドか!」〕
黄色い機械翼風の外装に金色がかったオレンジのラインが加わった恵比寿つかさの新たなクロスローダーから照射される光に照らされて
難易度の高い曲芸飛行を披露するのは・・・。
〔「スパロウモン進化!!
ラプタースパロウモン!!」〕
全身がクロンデジゾイドの装甲となり
欠点であった打たれ弱さが解消され
飛行能力に磨きかかったスパロウモンの進化系
〔「翼、はためかせて・・・!!
すすめ!! フロンティア!!」」〕
成熟期サイボーグ鳥デジモン
ラプタースパロウモンだ。
☆神域『鍛治神のアトリエ』
「【ロード】も何も無しに進化、した・・・?
コレがニンゲンの性能・・・?」
「いいえ、私だけの力じゃない」
「ッ、だー!かー!らー!
ゴチャゴチャゴチャゴチャするなっちゅーの!!」
「ゴチャゴチャゴチャゴチャなのはお前だ!!
鍛治神ウルカヌスモン!!」
「あ"!?、んあ?!」
新しくなった自分の性能を見せつけるようにパートナーを乗せたまま高速で飛翔
上も下も所狭しと並べられた武具の数々を物ともせず、ウルカヌスモンの周囲に残像を産みながら飛び回る。
「ひとりぼっちで!、こもりっきりで!
自分が、楽しむことだけ考えて・・・!!
だからココはこんなにゴチャゴチャゴチャゴチャなんじゃないの!?」
「こ、こんのぉ!、ちょこまかちょこまかブンブンブンブン!、鬱陶しいっちゅーの!《ピンポイントウェポンワークス!》
からの《アプロプリエートワークス!》」
「は、ハエ叩きぃー!?」
「僕ハエじゃないやい!!」
「叩き潰せば同じだっちゅーの!!
安心しな!、ニンゲンは避けてやるから!
な!な!な!な!な!な!な!な!」
「「!、ー~ー~ー~ー~ー~ー!!!」」
すると、鍛治神はこの状況に合わせた最適な武器・・・巨大なハエ叩きを8つ製造。
全ての腕に装備しまるで暴風雨のように操るのでラプタースパロウモンは急速旋回による撤退を余儀無くされた。
「離れたって無駄だっちゅーの!!!」
「!!、!!」
「くうう~ー~ー~ー!!」
すると、ウルカヌスモンはハエ叩きを捨て
アトリエにある武器を空飛ぶふたりに向けて次々と投げつける。
しかも、タダの投擲ではない。
8本の腕を有効活用し
4本が投げている間に、2本が次弾を装填
残りで武具をかき集めるという三段撃ち方式だ。
これにより、つかさとラプタースパロウモンを襲う刀剣類の弾幕は一切途切れることがなく
進化し大幅に向上した飛行能力を持ってしても尚
二対の斧で防いでも尚
クロンデジゾイドのボディを幾度となく掠めていく。
「下ばっか見てていいのかー?」
「「!!??」」
その時、頭部全体を覆うヘルメットの中で
鍛治神の表情が喜悦に歪んだかと思うと・・・
ふたりの遥か上に飾られていた無数の武具が落下。
「あのね、ツカサおねえちゃん
さっきの台詞、演技だってわかってたけど
僕、嬉しかったんだよ」
「え」
「えへへっ!、みんなと『オナジ』ように僕を見てくれるのはそれはそれで嬉しいんだけど・・・
やっぱり僕はみんなと『チガウ』から」
「スパロウ、モン」
固いモノ同士が激しくぶつかり合う騒音が迫る中で
ラプタースパロウモンの機首が上がる
「だから、頼ってくれて」
上がる
「信じてくれて、嬉しかったんだ」
上がる
「ーーーーーー・・・・・・・・・」
最早、この機体の空中姿勢は垂直に近い。
だというのに、乗り手たる舞台少女は不動。
その足はクロンデジゾイドのボディから決して離れることはなく
重力を無視して堂々と張られた胸の上では二対の斧が交差していた。
「これで仕上げ!!、だっちゅーのぉ!!」
己が造り出した鉄の雨により【レア素材】が逃げ場を失ったと確信したウルカヌスモンは即席で精製した対クロンデジゾイド用の刀剣やハンマー、ペンチ
更には、捕獲用の麻酔銃を装備
頭上の獲物を目指し一気に跳び上がる。
「この舞台を仕上げるのは!!」
「私達!!《クラッシュチャージ!!」」
「んあ・・・!?」
そのタイミングでパートナーを乗せたイエローウィングは急上昇。
大量に降り注ぐ武具の中へと自ら飛び込み
「「SPECIALマニューバ!!」」
進化により磨きがかかった得意の曲芸飛行による航跡を
武器とダストデビルとクロンデジゾイドの衝突の度に飛び散る火花を
金色がかったオレンジをした0と1の粒子へとRE LIVEさせながら更に速度を上げれば・・・
「「T U M B L E W E E D ! !》」」
「ー~ー~ー~ー~ー~ー!?!!」
恵比寿つかさのキラめきとソウルに触れた凶器は全て彼女の舞台に巻き込まれ、球のような形状で取り込まれるのであった。
「「とお!!んでぇ!!けえええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーー!!!!」」
「ッ、舐めんな!っちゅーのおおおお!!!
《ボ!ン!バ!ァ!ンアァアッ!!トオオオオオオオオーーーーーー!!!!》」
舞台少女とパートナーが描く軌道に乗って急接近するソレを鍛治神が最大火力で迎え撃てば、『作品』の大半が一瞬で熔解していく。
「とっ!!!たあ!!!」
「!"!」
間髪入れずに真っ赤なベールへと突き出した伸縮自在のペンチは正確に黄色い翼を捉え
粉砕。
「ぐ!!ラップル!!!》」
「うあああああああああ!!!」
「ーーーーーー!!」
激痛を振り切ってラプタースパロウモンが放つのは《ラプターグラップル》、本来鷲掴みにした敵を高所から叩きつける必殺技だ。
コレに文字通り背中を押されたつかさは
ムソーナイトモンを貫通した美空以上の勢いで
ウルカヌスモンの懐に飛び込む。
「腕が、足りなかったな・・・!」
だが、色々あって腐っていたとはいえやはり神。
パートナーの力を借り、渾身の力とキラめきとソウルを込めた二対の斧は・・・
その身と引き換えに対クロンデジゾイド用の刀剣とハンマー5本を砕くには至ったが、肝心のウルカヌスモンにまでは届かない。
空中で無防備になった【レア素材】には麻酔銃の銃口が
すっかり勝った気になった生産者には
「・・・・・・・・・、!!」「BANG」
サナオリアの銃口が向けられた。
「ツカサおねえぢ!あ"ゃん!?」
「・・・・・・・・・、!」
自分を掴んでいたペンチが緩むや否やラプタースパロウモン・・・否、スパロウモンは即座につかさを掻っ拐おうとしたのが
やはり片翼が折れていては上手くいかない。
空中でパートナー同士が激突してしまい、もつれ合った状態で墜落してしまう。
「いたたたぁ~ー、ご、ごめんっ」
「う、ううん・・・お陰で助かったわ・・・」
「?、あ!!、ウルカヌスモン!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「動、かない?、倒せたのかな?」
「倒しちゃダメよ・・・」
一方のウルカヌスモンも受け身一つ取らないで地上に落下。
腹部のバーナーから二条の細長い煙を上げながら仰向けに倒れている
「!!!!!!!!」「「!!??」」
と、思いきや急に弾かれたように飛び起き
つかさとスパロウモンの方に近づいてきた。
「う!?、ううううーーー!!!」
「(不味いッ)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「え・・・?」」
ウルカヌスモンは警戒するつかさとスパロウモンを素通りし、あの大きな炉らしき建物へ。
カン!カン!カン!カン!カーーーン!!
「ーーーーーー!!、ーーーーーー!!」
アレだけの騒動があったにも関わらず未だ燃え続けていた火の前に座り込み、一心不乱に8つの腕を振り回す。
「違う、ちがう!、こうじゃない!
こうじゃない!、っちゅーのぉおおお!!!
なんでだよ!?、なんで!、頭には浮かんでんのに!、どうして造れないッ!?」
「・・・・・・・・・何、を?」
「あ"?」
「おねえちゃん?」
「あなたは、何を造りたいの・・・?」
「
ベレンヘーナを越えるモン、だっちゅーの」
「べれんへーな?
なんか、このサナオリアに名前が似てる」
「名前だけじゃねえよ
サナオリアはベレンヘーナのデータを元に造った
だけど、まるで届かねえ!
先代のウルカヌスモンが造ったモンには!」
「先、代・・・?」
「俺ら十二の神々はデジタルワールド全体のアップデートに合わせて代替わりしてたんだよ、記憶や能力を引き継いでな
だけど!、・・・・・・・・・なのに、俺はッ
先代が七大魔王に献上したっていう一品を造れねぇし!、それより上のモンも造れねぇ!
同じウルカヌスモンなのにおかしいんだっちゅーの!!!」
「ちがう・・・」
「何が!!?」
「その、先代のウルカヌスモンと・・・
今、私の目の前に居るウルカヌスモンは・・・
あなたは、違うデジモン・・・」
「そうだよ!
それにさ、その先代ってデジモンが居た時と今のデジタルワールドは全然違うじゃないか!」
「・・・・・・・・・言いたいんだよ?、お前らは」
「ひとりでゴチャゴチャゴチャゴチャしてても造りたいモンが造れないなら
他のモンと一緒に造ればいいんじゃない?
例えば!、デジモンキングとか!」
「でじもん、きんぐぅう~~~???」
「そう、ね・・・あの子なら・・・きっ・・・ぉ・・・・・・・・・」
「あ、あれ?、おねえちゃん?
おねえちゃん!?、どうしたの!!?、ねえ!!」
赤い背中に語りかけていたつかさの声が徐々に弱々しくなっている
ソレに気づいたスパロウモンが耳元でいくら騒いでも返答は無い。
聞こえてくるのは、異常に深い寝息だけだ。
「(んだよ、お前も当たってたのか)」
鍛治神が振り返れば、成長期デジモンに強く揺さぶられても固く目を閉じたままなニンゲンの防具・・・
舞台少女のレヴュー衣装に小さな穴を発見。
「おい、お前、スパロウモン・・・だったな?」
「!、な、何ッ?」
「そのデジモンキングって奴は何モンだっちゅーの?」
「・・・・・・・・・
レイド帝国、その支配者の生まれ変わり」
「!!!」
「僕が進化出来たのも
おねえちゃんと契約してパートナーになれたのも
元をたとればそのデジモン・・・シャウトモンの力だ」
「とんだ嘘八百並べたモンだな」
「嘘なんかじゃない!!!」
「んあー、もうこの際ウソとかホントとかどうでもいい
俺にとっての全ては
俺が造りたいモンを造れるかどうかってこと
それだけだっちゅーの」
「!!」
☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間
ブツ・・・ン・・・・・・・・・・・・・・・!
「グギャア!!?」
「ッ、映像が!」
「途切れた!?」
ウルカヌスモンが意識を失っているつかさと片翼が折れたままなスパロウモンに近づいた
その瞬間、アトリエの様子を映していたモニターに黒い影が疾り、映像が不自然に途切れる。
「ディアナモン、もういいよな?」
「くっ!、致し方無い、デシテ・・・!」
「なーにが致し方無いだっちゅーの」
「「「「!!」」」」
「ったく、勝手に穴開けた挙げ句
盗み見とか相変わらずやることセコいな」
「た、ただいま~ー・・・」
マルスモンが突入を決断した直後、2人と2体の前にゲートが出現。
中から現れたのは勿論、今の今まで彼女達が観劇していた舞台の主演達だ。
「つかさ!!」
「恵比寿さん!!」
「よせ貴様ら!!、迂闊に近づくな!!
奴にとってのニンゲンがどういう存在かさっき観たばかりだろう!?」
「だ、大丈夫だよディアナモン!
ウルカヌスモン、わかってくれたから!
これからは、デジタルワールドの為になるモンを造ってくれるって!」
「ソーユーコトだっちゅーの」
「そっか!、なら!」
「ん?、んあ!?」
「うわわわぁ~ー!!?」
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パァンッ!
「よっし!、データ連動完了!」
「ーーーーーーーー!!!!!!!!、お!、まえさぁ!!、俺の時だけ何で無駄に殴るんだっちゅーのぉ!!?」
「腕いっぱいあるから!!」
「こんのアホッ
・・・・・・・・・でも、お陰で知りたい情報は手に入った
知りたくもないモンも混ざってたけどな!!
んだぁーーーーーーーー!!!、よりにもよってあの色ボケ達の二の舞かよぉ!?
はっずーー!!、壺があったら入りてぇーー!!」
「そんな気にすんなって!!」
「するっちゅーの!!」
「と、というか・・・
僕とツカサおねえちゃん降ろしてからやってよ~ー・・・!
3回ぐらいかすったよぉ~ー・・・!
こ、こわかったよぉ~~ーー・・・!」
「そんな気にすんなって!!」
「するに決まってるでしょ!!」
「ディアナモン、今のウルカヌスモンの動きは見ましたね?」
「・・・・・・・・・ああ」
4本の腕だけで闘争神の八連撃を防いだ鍛治神の姿を目の当たりにし、月光神は深く頷く。
「とりあえず今の所は信じてやらんこともない
精々今までサボっていた分を働いて返して貰うぞ」
「はー?、なーんで俺がお前の言うこと聞かなきゃいけないんだっちゅーの」
「 」
しかし、想定外の台詞を耳にした途端
その首がグリンッと不気味に傾斜。
「勘違いしてるみたいだから教えてやる
俺は俺の造ったサナオリアでキラめきって奴を見せたツカサとスパロウモンのことは認めてやった
んで!、その力の大元なデジモンキングとツルめばベレンヘーナを越えるモンを造れるかもしれねーから試練に乗ってやっただけだっちゅーの
俺は俺の造りたいモンを造る
ソレをデジタルワールドの役に立てられっかどーかはそいつ次第ってこった
だから、お前の指図を受ける謂れはねーよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふ フフフ!
ふ・ざ・け・るなぁーーーーーー!!!」
「うわあああ~~~ーーー!!!
だからぼくたちおろしてからにしてよぉ~~~ーーー!!!!」
ウルカヌスモンの煽りにディアナモンはヒステリックな叫びを上げながらクレセントハーケンを
「いい加減に」「しなさい」
振り回そうとした次の瞬間
この輝きを奪われた電脳世界の中で無理矢理存在感を放った
白いキラめきとソウルが/橙のキラめきとソウルが
レイピア/ロングソードに変化
天堂真矢/西條クロディーヌはソレを握ると
胸の内より沸き上がる欲求のまま駆け抜け
「・・・・・・・・・!?」「なんでウチまで!?」
神々の手首に備わる出演権を自力でもぎ取り
その証を舞台上で示さんとばかりに
刀身が消えかけていた刃を再生産させ
レヴュー衣装と赤い上掛けを翻すのであった。
「決まってるじゃない、ノリよ」
「そっか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、ちくしょーー!!
やられたああああああーーーーーー!!!」
「ふふっ♪、油断したわね!、Nounours」
成長期へと退化し心底悔しがる小熊・ベアモンをクロディーヌは見下ろし、勝ち誇る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ああっ、やはり良いですねぇー
あなたのこの耳の手触りは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ルナモン?
『耳はやめるのデシテーーー!』はどうしました?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「???」
一方、真矢の方はというと好き放題撫でくり回しているウサギ・ルナモンが妙に大人しいので困惑気味。
「だって、ずっと怖がってたことになったんだから、限界が来ても仕方ないジャン」
「「「怖がってた?」」」
「何をだっちゅーの?」
「テンドーとの契約」
「・・・・・・・・・だから妙に私から距離を」
「でも、どうして」
「クロ公、お前さ
誰かに盗られてたテンドー取り戻したろ?」
「!!?」
「なんであんたがソレを知ってんのよ!?」
「盗られてる間
こいつの中からテンドーが消えてたから」
「「!!!」」
「き、きえるって、なに・・・?、なんなの・・・?」
「い、意味わかんねー・・・!」
「ウチもわかんねー!」
「まさか【削劇】!?」
「アレの影響がルナモンにまで起きていたの?」
「アレが何なのかはウチわかんねーけど
自分の中からパートナーだった舞台少女が消えるのってスパロウモンも嫌だろ?」
「イヤに決まってるだろッッ!!!」
「な?
で、テンドーと契約したらまたそうなるんじゃないかって『黒の逢魔』に人間界が狙われてるって言われた時からずっとずーっと怖がってたジャン」
「それならそうと早く言って下さい」
「んあー、そのウサギのビビりとプライドの高さは俺が叩いても曲がらない筋金入りだから無理無理」
「だったらあんたが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでもないわ」
「?」
「ウハハハッ!、さっすがパートナー様!
このアホの取り扱いをよーく御存知で!
さーて、今の内にっと!」
「へ?、うわあ~ー!?なげるなあー~!」
「・・・ぅっぅ・・・・・・・・・」
「兎が巣穴に隠してる
レアアイテム発掘しちまおう、そうしよう」
ガン!ガン!ガン!ガン!ガァーーーン!!
「ほーらみっけー♪♪」
「おおーー!!、床の下からケレスモンの薬がいっぱいジャン!!」
「相変わらずケチ臭ぇんだっちゅーの
どうせ他にもしこたま溜め込んでるんだろうから
この際ぜーんぶブン盗って・・・・・・・・・じゃなくて
セカイノタメニユーコーカツヨーシテヤロウゼー」
「わかったー!!」
ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッ☆カンカーーーン☆☆☆
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「い、いいのかな??」
「いいんじゃない?
どうせつかさも起こさないといけないんだし」
「そう思って今の内にいくつか回収しておきました
スパロウモンもその傷を治して下さい
この舞台の幕はまだ上がっているのですから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何はともあれ、さておいて
神の試練、これにて終了
次回、伝説の試練に 続く!