少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - 作:リカル
何の背景もない
フレームが剥き出しの電脳空間。
「アッハッハァ☆☆☆
いやぁ☆ここに来るのも☆ひっさしぶり☆だぁねぇん☆」
この静まりかえった空間では調子外れな笑い声がやけに大きく聞こえた。
「まひる、双葉、ここって・・・」
「うん」
「あたし達が
デジタルワールドで最後のレヴューをした所」
「レイド帝国の終わりと
シャウトモンの兄貴の始まりのステージ」
『・・・・・・・・・』
真っ暗なディスプレイ、その残骸が所狭しと並んでいる
かつて9人と9体が救世を成し遂げたこの場所が
エンシェントガルルモンとエンシェントグレイモンが野々宮ララフィンとスターモンズに与えた試練の間。
「はは!、は、ははっ
そんじゃま☆ララフィンチャン・・・うーん☆
オジサンもララチャンって呼んでいい?」
「え?、いいけど」
「んじゃ☆ララチャンwithスターモンズへの試練を発表したいと思いまーーす☆☆☆」
「という訳で!!!
フタバ!!!、受け取ってくれ!!!」
「ヘイ!、パス☆」
「うひゃあ!?」「うお!!」
アォォォオオオオオオーーーン!!!!!!
ギャオオオオオオオオオオオン!!!!!!
「『ほわっつ!?』」
「その衣装は!!、二段変身形態!!?」
突然、各々の神機を投げ渡されたかと思うと
咆哮と共に2人の頭上にあの幕が降りてきて
聖翔音楽学園の制服からレヴュー衣装へと変化
更に、まひるのモノには獣の始祖の
双葉のモノには竜の始祖の意匠が加わる。
「ルールは普段のレヴュー通り」
「ただし、時間切れには注意してくれ」
「ふたりの変身が解けるまでに上掛けを落とせ、ってコト?」
「「その通り」」
そう宣言するのは仔人狼と子供の亜人。
殆ど無傷の神機にパートナーから授かったキラめきとソウルを全て彼女達に返還し、再契約した結果だ。
「だったら、早く始めるよ」
「『Let's go!!』」
「!?、ララちゃんすごいキラめき・・・!」
「だろうな、なんてった野々宮は
救世主・・・ヒーロー役を演じることにかけちゃ
舞台少女の中でトップクラスだ」
星軍団を伴い、大胆に構えるララフィンに
相対するまひると双葉は
開いた口元から鋭利な牙を覗かせ
スカートから伸びる尻尾をピンッ!と立てると
「やぁあああーーー!!」「でぇりゃあ!!」
緑光と化して/紫炎の翼を広げ 急接近。
「そこぉ!!」
「ッ、引っ、かけた!?」
「伊達に師匠やってなかった!!!」
「『《ウィッシュアポンアスター!!!》』」
「ひゃあ・・・!」
光速で迫るメイス・Love Judgementに大槌・ワンミリオンスの先端が掠った瞬間、スターモンズがシスターの願いを叶えるべく片側に勢い良く集結
彼女の打撃力を強化させ、正面から襲いかかってきた『狼』を弾き返してみせる。
「はぁぁあ!!」「『Yeeeeeah!!』」
「う、そだろ?!お!?おお!おおお!!」
すると、すかさずララフィン=大ジャンプ。
その軽やかな跳躍に合わせ、星形の足場が『竜』の周囲を絶え間無く飛び交うことでファイアウォールの性質を持つDeterminaterを思うようには振らせない。
「くっ・・・・・・・・・!?
(舞台少女とパートナーデジモンの連携って
こんなに厄介だったのか!?)」
「双葉ちゃん!!
(ちゃんと動けてないッ
もしかしてブランク?
ううん、前にこの衣装を着たのはたった2回
ブランク以前の問題だよ!
これじゃ、ララちゃんの試練っていうより)
!!!」」
「ふたりとも、やっと気づいたの?
この試練が一体誰の為のモノなのか」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
地上から舞台を眺めるストラビモンとフレイモン
2体の視線が、ハートが向いているのは
露崎まひると石動双葉
この事実に野々宮ララフィンは最初から
否、試練が始まる前から気づいていた。
「それでも構わない」
「「!!」」
「この試練が、舞台が
あなた達の為に造られたモノだとしても関係ない
その前提を覆せなきゃ
『黒の逢魔』は倒せないッッッ!!!」
「「ーーーーーーッ"ッッ"!!!」」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
翼無き身で空を舞う『竜』の頭上を取り
星の力を得て振り下ろされた大槌で
『狼』の方へと殴り飛ばす。
「あいつらの描いた脚本で!!!
救世主は、舞台少女は!、やられ役!!!」
「『《メテオスコーーール!!!》』」
縺れ合いながら地面を転がるふたり目掛け
ピンクに金のラメが入ったキラめきとソウルをすることで大量放出
パートナー達と共に急速落下。
「もうその流れは止められない・・・ッ
だから!!!変える!!!変えてやる!!!
あの子達み」「ごめんねララちゃん」「!!?」
「ありがとな野々宮
お陰でやっとわかったよ
この舞台でのあたしの」「私の「役が」」
隕石が如きワンミリオンスの打撃を
双葉とまひるは止めてみせた
素手で。
最も、その手はヒトのモノではなかったのだが。
「異形化ッ、しかも片手だけ・・・!?」
「ウィザーモンから『台本』を渡されただけじゃ
あたしもまひるも上手く落としこめてなかったんだ」
「だけど、ララちゃんのこの舞台に懸ける想いが
キラめきが!!」
「シスター!!」
『バック!!、バック!!』
「くぅ!!」
「教えてくれたんだよ!!、野々宮ァ!!」
「『火』がついたな、相棒」
「『光』ってるね、マヒル」
スターモンズに強い力で引っ張られ、ララフィンの小柄な体躯が一気にふたりから離される
「ダメだ!!みんな!!離れて!!早く!!」
「『!!』」
が、デジタルウェイブとの一体化による光速の前ではこの行動は無意味でしかなく
即座に距離を詰められた。
「(大丈夫、さっきと同じ!
光になる寸前の目の動きと呼吸を読んで
まひるの動きの癖を合わせればッ)
当たる!!!
え」
「がるるるるるるるるるぅううう!!!」
ララフィンの中で造り上げた自信を確信へと変換させて振るった大槌
その柄の部分に食い込んだのはまひるが演じる獣の牙。
「がるぅ!!!、るるるるるぅ!!!」
「ぅぁ!!?、あああ"あああ!!」
狩猟本能剥き出しで口に咥えられたワンミリオンスごと振り回され、地面へと叩きつけられる。
「~ッ!~~!!~!~~~!!、!!!」
寸前、得物を手離し
キラめく連続バク転で勢いを殺しつつ後退
軽やかな着地と共に万の名を冠する大槌を再生産
「すぅうううっ ぎゃおおおおおおう!!」
「!?、ドラゴン、ブレス・・・・・・・・・!!」
するとすかさず火竜を演じる双葉の口から放たれた炎の吐息が真上から迫ってきた。
「スターモンズ集合!!!」「『Yeeeeeah!』」
「ララフィン=スタァインパクトォ!!!」
「「ッッ!!?」」
ソレに飲まれるか否かのタイミングを見切り
片側に集った星軍団と共に足元に広がるディスプレイの残骸へと
ピンクのラメ入り粒子を纏ったダイナミックな打撃を御見舞いすれば
『柱』となって勢い良くセリ上がり
ララフィンの体はさながら、ヒーローショーにおけるヒーロー役のようにポップアップ
炎の海を乗り越えるのと同時に
光速の追撃をも振り切って魅せる。
「《バーニング」「《ツヴァイ」
「『!!、シスタァアアアアアア!!!』」
このキラめきが双葉とまひるの心に『火/光』を灯した。
「サラマンダー!!!》」
「ハンダー!!》」
「!"!・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・」
躱した筈の炎は火炎竜となって背後から襲いかかり、パートナーと共に造り上げた『柱』はメイスから伸びる緑光の斬撃により根元から切断。
「あっ あ (ダメだ) 」
小さな体が空中に投げ出され
重力に従い落ちていく最中
彼女の脳裏を過るのは
このふたりには勝てない/このふたりには負けても良い
という、舞台少女にあるまじき弱音
と
この物語におけるフロンティアの仲間達の今までの活躍だ。
「(ジャングルモジャの時、あるるはシャウトモン達を呼び込んでくれた
ラヴォガリータモンの時、静羽はドルルモンと契約して逆転の糸口を掴んでくれた
ボルトモンの時、つかさとスパロウモンが居てくれたから5体合体のX5になれた
美空は
美空はあんなになってまでキラめいた!!!
なのに、わたしだけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まだ なにも できてない
くやしい!!! くやしい!、よぉ・・・!
わたしが一番ヒーローになりたいのにッ)」
「「ーーーーーー」」
幼さの目立つ顔立ちの上を止めどなく流れる涙
ソレを感じ取りながら『狼』と『竜』は各々得物を構えると、上掛けを留める星のボタンに狙いを定めて飛ぶ。
「落ち込んでるシスターもかっこ良いZE」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「「え?」」
その時だった。
「もふもふナノ~☆」
『ほんとナノ~☆』
『耳!、耳!、フッサフサー!』
「えええ!?、うひゃあああーーー!!!」『シッポでブランコ~☆』
『コッチはすべりだ~い☆』
「ふあ!!、ひゃ、ひやめほぉ~・・・!!
ち、ちからがぬけ、って!、まひる!、避」
「ふたばちゃっ?!」
ゴッ☆☆ チーーーン☆!☆!☆!
「「ああああぁぁ~~~・・・・・・・・・!!?」」
「!、流れが」「変わった!?」
ヘッドの統制を欠いたピックモンズとチビックモンズが好き放題やり出したのは。
「す、スターモン???」
「そんなに驚いた顔をしてどうしたんだーい?
仮面のヒーローの後は戦隊ヒーロー☆!
ソレがSUPER HERO TIME☆!
そう教えてくてたのはシスターだZE☆!」
「え、あ、うん、そう、だね?」
肝心のスターモンもララフィンの肩の上で何やら意味不明なことを宣っている。
「人間界には色んなヒーローが居るよな!
科学に魔法に未来に宇宙に大昔!
乗り物に動物に恐竜に天使や悪魔!
愉快なモンからトレンディなモンまで!
それから
どんなに傷ついたって
ヒーローを求めて頑張ってる
カワイくてイカしたガールズヒーロー☆!」
「!!」
「さあ☆!、そんなヒーローにみんなからのREQUESTダ☆!」
「シスターかおこわいノ~」
「でもその顔もカッコいいノ~」
「COOL☆!」「COOL☆!」
「だけどもっと違うシスターを見せてくれYO☆!」
「笑ってる顔もだーいすきだゼー!」
『ナノ~☆!』
『Show me☆! Show me☆!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
不時着したまひると双葉に未だまとわりつきながらピックモンズもチビックモンズも好き勝手言ってる
まるで テレビの前の子供達みたいに。
「ねぇ、みんな
女の子のスカートはね
そんな風に引っ張ったらダメ、だよ?」
「その翼、炎だから触ると火傷じゃ済まねぇぞ・・・!」
『!!、Nooo"oooo~~~ッ!!?』
すると、流石に我慢の限界を迎えたのか
『光』の重圧と『炎』の熱波が放たれ
小さな星軍団が軽々と吹き飛ばされる。
「ララちゃんは、ッッ!!?」
「まひる・・・?、どうし !!」
その直後、ピコピコ動く狼耳の導きに従い
視線を向けた先に居たのは・・・
「・・・!"・・・ーーー・・・・・・・・・!!・・・ッー」
「HEY!、シスター!
スーパーヒーロー着地、バッチリ決まってるZE☆!」
ブリキのように固まったいった身体に
みんなのハートをいっぱいに詰めて
細かなヒビが入ったディスプレイの残骸の上
両足と片手による独特な着地ポーズを取り
残る手で星柄が流れるようにピンクのラメ入り塗装が加わった新たなクロスローダーを構える
舞台少女・野々宮ララフィン。
「あの子のキラめき、だけじゃない・・・!!
デジタルワールドが、この舞台が求めて
あの子『達』に力を貸してるッ」
「つまりは『アレ』ってことだな!!」
「うん!!」
この先の展開を予想してまひると双葉が牙を剥いて笑っていると
「小さな声にしゃにむに応え!!」
「みんなで立とうZE!
ON THE STAGE!☆!『Yeeeeeah!☆!』」
バラバラに動いていたピックモンズとチビックモンズがスターモンズの元に再集結
「吼えろ!!!「『ROAR!!!』」」
「轟け!!!「『BOOM!!!』」」
だけには終われない。
「わたしが・・・・・・・・・
私、が!
私がぁッッッ!!!ヒーローッッッ!!!
大!☆! 合!☆! 体!☆!」」』
「「!?」」
新たなクロスローダーが放つスポットライトが煌々と照らすのはレヴューの相手
「『スターモンズ ジョグレス進化☆!』」
「シューティング、スターモン☆!」
その光の線の上を炎の星となって翔ぶのは
多くのピックモンズがスターモンの周りに集い
想いをひとつにしてシスターを前面に押し出している
巨大隕石のような姿の超メジャー型デジモンだ。
「夢と希望で・・・!!」「『ススメ
フ
ロ
ン
ティ!アァアアアアアア☆!☆!!!☆!!!』」」
「「ーーーーーーッ!!」」
《アストロボンバー》を背負い突っ込んでくるワンミリオンスをLove JudgementもDeterminaterも真正面から受け止める。
「あう!、うぅう!?(重い!、けど!)
がるるるるるるううううううう!!!」
「ぎゃおおおおおおおおおおおお!!!
(それでも!、勝つのは!)」
あたしだぁ!!!/わたしだよ!!!」」
「ウアァアアアアアアアアア!!!」
この舞台の中心を照らすスポットライトの上
各々のソウルとキラめきを纏いながら
全力でぶつかり合う舞台少女達。
「『《ダイナマイトソウルッッッ!!!》』」
すると、パートナーの小さな背中を支えているシューティングスターモンズの必殺技が
「がんばれ!☆がんばれ!☆シスター!☆」
「まけるなまけるなフタバ!☆!」
「GO!☆GO!☆Let's go!☆Let's goマヒル☆!」
「すごいぞ☆すごいぞ☆ストラビモン☆」
「熱いZE!熱いZE!フレーイモン!!」
『ファイトファイトお☆!れ☆!た☆!ち☆!Yeeeeeah☆☆☆!!!』
「「「「!!!」」」」
全方位無差別応援が炸裂した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えへへ♪」
「ふふっ!」
「へへへ!」
「「アッハッハァ☆」」
コレにはメインキャストもオーディエンスも思わず笑みをもらす。
「「「「「「『
いっ!!!
けえええーーーーーー!!!』」」」」」」
舞台が 客席が キラめきが
光が 炎が 星々が ソウルが
全ての『熱』が一体感に包まれながら
弾け
この舞台の幕が下ろされるのであった。
「ララ、フィン・・・、ララフィン!」
「?、ぁ、るる?、それにつかさ、も?」
「おはよう
・・・・・・・・・と、言っても
私も起きたのがついさっきなんだけどね」
始祖の試練を終えたララフィンが目を醒ますと
目の前にあったのは仲間達の安堵の眼差し。
「ッ、そうだ!、試練は!?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「ぁ」
その視線が無言で外され
「「シスター!、コレもらったノ~!」」
「
え
ええええええーーーーーー!!!???」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・た、先では
星のボタンをふたつ担いだチビックモンズが嬉しそうにピョンピョン跳ね回っていた。
「おー、野々宮も起きたか」
「よかったぁ」
「双葉!、まひる!、あ、アレって!!」
「うん、私達の上掛けのボタン」
「はぁーーーーーー・・・・・・・・・
まさか、退化すんのと一緒に
あのチビ達が飛び込んでくるとは思わなかったなー」
「「金メダルナノ~~~☆!」」
「ふふふっ、大切にしてね」
「・・・・・・・・・そう、なんだ、そっかぁー」
「わっ!?、と!」
「ララフィン!?」
通常のモノに戻り、再生産も済ませたレヴュー衣装を纏った双葉とまひるからの説明を聞いた途端、再び虚脱感に襲われたのかララフィンは一番近くに居たあるるに体を預けてしまう。
「野々宮さんの試練はあの衣装を纏った露崎さんと石動さんとのレヴューでしたか」
「そだよ、マヤチャン」
「つかさに負けず劣らず贅沢なこと」
「正直凄く羨ましい、けど
私達はソレ以上の舞台を造ってみせるわ
ね?、ドルモン」
「うん」
「ウチも!!」
「ああ!!、これからはオレ達だって!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ね、ねえスパロウモン
私が眠ってる間にルナモンに何があったの?」
「あ、はは、はははっ」
「兎のことなんざ一々気にしなくたっていいっちゅーの
それより、例のデジモンキングって奴の方を気にかけてやった方がいいんじゃないか?」
「あっ」
「・・・・・・・・・」
多くの舞台少女やデジモン達が集うこの場所には、寄り添う合うふたりのパートナーも勿論居た。
「やっぱり、なーんも思い出せねぇや」
「兄貴」
「んな顔すんなって
此処に来てちゃんとわかったんだからよ
俺の故郷はやっぱり微笑みの里だってことがな!」
「・・・・・・・・・Allright」
「んじゃ!、そろそろシズハとドルルモン
キュートモン達の所へ戻ろうぜ!」
「うん!、静羽ちゃん達の試練もきっと終わってるだろうし!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「んあー、ソレはどうだろうなー」
『?』
「?、???、??????」
「ベアモンどうかしましたか?」
「いや、なーんか大事なこと忘れてるような気がして・・・、うーーーーーーん???」
☆デジタルワールド・ダークナイトモンの館
跡地
「グウーーー」「ふーんだ!」
そこでは、百獣番長が明らかに無理のある体勢で眠りこけており
このデジモンのすぐ傍では制服姿の少女がほっぺたをプックリ膨らませ、ご立腹の様子。
「なーな」
「・・・・・・・・・みんなだけズルいッ」
「ご、ごめんね、ばななちゃん」
「まー、あいつの性格的に仕方ねぇって」
「むううう!」
「ほら、そろそろその顔やめなさい」
「折角の美人が台無しですよ」
「や」
「し、静羽?、コレって」
「ララフィン、みんな、ごめんなさい
私達の試練まだ始まってすらいないの・・・」
「ええええええ~ー~ー!!?
お姉ちゃんなんてあとちょっとでバラバラだったのにぃ~ー~ー!!?」
「ば、バラバラ?!
ツカサ!!、怪我はないっキュ!?」
「私もみんなも回復してるから大丈夫」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ワタクシの貯蓄を無断で使い放題してなッ」
「『そ、ソーリー』」
「それより!、バンチョーレオモン!
どうして試練をしてくれないの!!?」
「グウーーー」
「この期に及んで寝たフリしてんじゃ!
ねぇえええええーーーーーー!!!
《ロックダマシィイイイーーー!!!》」
「ば?!、やめろ!!」
「別に止めなくていいよ、うん」
あるるの訴えに一切聞く耳を持たないバンチョーレオモンの頭頂部目掛け、燃える拳骨が繰り出される。
ゴ・・・!
グキッ!!
「あ"!いててでででてててぇええ"え"ええ"えーーー"ーーーー!!!??!!」
「「「「「シャウトモン!!?」」」」」
「『兄貴ーーー!!?』」
「グウーーー」
「《ヨクナオール!》」
「てててぇ・・・、せ、センキュッ
くっそぉー!、目線一つくれねぇとはよぉー!」
「うん!?、そっち!?」
「本当に舞台少女に負けず劣らずの舞台バカ、ね」
・・・・・・・・・しかし、結果は御覧の通り。
「ウハハハッ!、お前からの情報通りだ!
百獣番長の奴すっかり丸くなってやがんなー!、闘争よー!」
「うーーーーーーん???
・・・・・・・・・あ!、ごめんなウルカヌスモン!
今ウチ違うこと考えてた!」
「いや、俺の方こそ悪い
お前に話振る方が間違ってた」
「Exactement」
「あ、あの?、ウルカヌスモン、さん?
バンチョーレオモンが丸くなったというのはどういう意味でしょうか?」
「確かに今丸くはなってるけど・・・」
「そうだなシスター!、マンマルだ!」
『Ball!、Ball!』
「そっちじゃねーっちゅーの!
お前らは知らねえだろうがバンチョーってデジモン共はどいつもこいつも自分勝手でよー
他のモンことなんざこれっぽっちも考えない連中なのさ」
『ハイ・・・・・・・・・???』
「つまり、あんな風に殴られっぱなしとかありえなかったんだよ」
「む、無視した!?」
「スパロウモン、シッ!」
「う、うん・・・ウルカヌスモンの言う通り
生まれ変わって、ナナと契約して
『前』と今のバンチョーレオモンは大分違う
だけど」
「それでも☆ボウヤはオジサン達の中じゃ☆
イッチバーン☆ムッツカシー仔なんだよね☆
アッハッハァ☆」
「そうだな!!、光の!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「コホンッ、一番かどうかはさておき
あの通り、大場さんのパートナーは彼女の言葉すらも容易には聞いてくれません」
「だからこそ、あんたが自分の力で言うことを聞かせる他無いのよ
フロンティア芸術学校・舞台表現コース総代
胡蝶静羽」
「私、が」
「グウーーー」
『『・・・・・・・・・』』
「ッ」
「(シズハ)」
「キューーー・・・」
紆余曲折を経て、自分に多くの視線が集まるのを肌で感じ取った静羽は今まで開いていた手を固く握るとパートナーと並んで難敵の前に立つ。
「ふぅーっ」
すると、停滞していた物語を動かすべく【裏方】によるテコ入れが行われた。
「ブハッ!?、な、なんだぁー?」
「どうしたのシャウトモン?」
『ホワッツ?、ホワッツ?
ホワッツ!!?』「こ、こいつは!!?」
「スターモンズまでなに!?」
「その『紙』がどうかしたの?」
「あれ?、おねえちゃんコレ」
柔らかな弧を宙に何度でも描きながら
シャウトモンの顔面に張り付いたのは・・・
「ここに描かれてるのってシャウトモン達、だよね?」
「「「!」」」
スパロウモンを除いたフロンティアのパートナーデジモン達の似顔絵が載った捜索願。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あ
あああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!
思い出したああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
『『!!?』』
「ケッ、遅ぇんだよアホがァ」
「なら自分から言えば良かったんじゃない?」
「うるせぇなァ、何も知らねえクセに余計な手出ししやがって」
「知らなくってもわかっちゃいました♪
だって、私は、あなたのパートナーだから」
「・・・・・・・・・相変わらず
テメェほんとにめんどくせぇなァー」
この一枚の紙を目にした途端、ベアモンがにわかに騒がしくなる。
「ドルルモンッ、お前!!!、おまえ!!!」
「な・・・!?」
「ちょ!、ちょちょちょお!
闘争!、お前急にどうしたっちゅーの!?」
「離せ!!!、はなせよ!!!
あいつは、あいつは!!!」
「レイド帝国四天王、麗将ロゼモン
その直属部隊の隊長を務めてたデジモンだァ」
「は、?」「あ・・・」
『え』
「確か通り名は、死神の風だったかァー?」
その理由を仁王立ちしたバンチョーレオモンが告げれば
「ドルルモン、が
レイド帝国の、デジモン・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
だから、『あの場所』がわかった、キュ?」
「ュー、ト、もッ、ーーーーーー!!」
ドルルモンは
『ドルルモン!?』
「・・・・・・・・・っぱり、こう、なった!」
逃げた。
仲間達も パートナーも
キュートモンのことも置いて。
「静羽ちゃん!!!、追って!!!」
「え」
「え、じゃ!、ねぇええーーー!!!
早く行けよ!!」
「ッ、わか」
「《フラッシュ!、バンチョーパンチ!!》」
「ぁぁあ!!?」
「「静羽!!」」
遠ざかるドリルの尾を慌てて追おうとする静羽を襲ったのは、極限まで研ぎ澄ました気合を輝く拳に乗せて放った衝撃波。
「な、なにするんだよぉー!!?」
「ナニってのはこっちの台詞だァ
あんなモン追いかけてナニになる?」
「あ、あんなモンだってぇえーー!?」
『ドルルモンは俺達の大切な仲間!!』
「仲間ァ?
シャウトモンの事情知った上で
テメェが何やったか黙ってたモンがかァ?」
「「「「「『!!』」」」」」
「《スグナオール!!》」
「ぅっ、きゅう、とも」
「シズハ
シズハは知ってた、キュ?」
「!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、ごめ」
「謝らなくていい」
「ッ!?」
「黙ってたことを謝らなくてもいいから
ドルルモンをお願いっキュ」
「で、でも!!、わたしよりあなた」
「今のドルルモンに必要なのは僕じゃない」
「な」
「・・・・・・・・・ねぇ、シズハ
君はこの舞台で
君がクリアしたいって願ったステージで
君とドルルモンが契約して
一体何がしたいっキュ?」
「!!」
「きっと、その答えが
今のドルルモンには必要っキュ」
「きゅうと、も・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゴチャゴチャゴタク」
「「!」」
少なくは無い手傷をキュートモンに癒され
激励されていた彼女に百獣番長が隻眼を向ける。
「並べんなァ!!」
「《ソウル!!!クラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」
「ガ!ハァ!?」
「ゼェ・・・!、ゼェ・・・!、ゴホ!!」
再び《フラッシュバンチョーパンチ》が放たれる寸前、熱いシャウトが両者の間に割り込んだ。
「・・・・・・・・・なんだ
ちゃんと試練する気あったんだな、あいつ」
「そのようだな!!、相棒!!」
「ほんっとに丸くなっ
んだぁーーーーーー!!!、そろそろ暴れんのやめろっちゅーーーのぉ!!!」
「はーーー!!!なーーー!!!せーーー!!!
あいつは!!バッチャンの残したモンは!!
全部ウチの獲物ジャーーーン!!!なのに横取りすんなコラァーーー!!!」
「忘れてたあんたの『負け』よ
いい加減諦めなさい」
「うぐぐぅ!!?、うううううう!!」
「ん、んあー・・・さっすがパートナー様
こいつが一番堪えることを何の躊躇いもなく言いやがるとは」
「ちなみにルナモン、あなたは知っていましたか?」
「いいや、しかしそこで磔のまま泣きべそかいてるアホではあるまいに
この状況で一々指摘する必要もないだろう?」
「うん、そうだね」
「だからこそ、今じゃないと・・・
『黒の逢魔』から言われる前じゃないといけなかったんだとオレは思うよ」
「前にあなた達の来歴を私達に教えた時みたいに?」
「ショユコト☆」
「で、でも大丈夫かな・・・?
ララちゃん達怪我は治ってるけど」
「大丈夫」
「!、ばなな、ちゃん」
「心配しないで
あの子はちゃんとわかってるから」
この光景を聖翔の舞台少女達は遠巻きに観劇。
叶美空のキラめきと生命の光によって
指し示された進化へと至るべく
フロンティアの面々に与えられた
騎士 神 始祖 の試練
その中でも最も険しい番長の試練は・・・
「くそ!!
くっそおおおおおおおおお!!!!!!」
未だ、幕すら開かれていない。