少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE -   作:リカル

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禁手 強制暗黒進化+X七

 

 

 

 

 

「「「いいいやあああーーーーーーーーー!!!!!!」」」

 

『〇◆ーー△〇◆△△~◎△~◎』

 

 

 

 

 

 

崩壊した世界、瓦礫の山々の隙間から溢れるのは丸みをおびた緑の体に大きな目のような模様が特徴のモンスター達に追われている

うら若き乙女3人の悲鳴だ。

 

「ひっ?!、あ・・・」

「「あ!!」」

 

アルゴモン幼年期Ⅰ・Ⅱの群れから必死に逃げる最中、1人の足がもつれ転んでしまう。

 

『〇◆△△~◎・・・』

「あ!、ふあっ、あ」

 

『少女』が地べたを這いつくばりながら振り替えれば・・・モンスター達がもう目の前まで迫っていた。

まさに絶体絶命、危機的状況

 

 

 

何故自分がこんな目に合わないといけない?

 

『彼女』の中で湧き上がるのは

 

絶望、恐怖、怒り つまりは

 

 

 

「kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」

『◆!ー?△』

 

 

 

暗黒のソウル。

 

 

 

「いよっし!、よっしゃ!、きたぁああ!」

「私達もいくよ!」

 

『少女』・・・凛明館演劇同好会の『先輩』が

この想い全てをデスメタルとして吐き出し

壊れかけのダークネスローダーにぶつければ

衝撃波となってアルゴモン達を吹き飛ばす。

すると、残る2人・・・フロンティアとシークフェルトの3年生達もまた暗黒のソウルを解放

斧型ベース&ギターを具現化させながら過剰にボルトが打ち込まれたドラムセットの両隣を陣取った。

 

 

 

「くびも無いのにGun首そろえて!!!

 

Gunつけんなよ!!!ほじ苦っゾ"!!!」

 

『○!◎!?●・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!』

 

 

 

ギターやベースのメロディに合わせ、激しくヘッドバンキングしながらダミ声で歌い

ドラムスティックで【歌詞の通り】にしていけばアレだけ群がっていたモンスター達が次々と消滅。

 

「げほぉ!!うぇっ!!、も、む、り"ぃ"」

「大丈夫、十分よ」

「あんがとあんがと!、サンクス♪」

 

アルゴモン幼年期Ⅰ・Ⅱの群れを蹴散らした直後、凛明館の3年生が激しく咳き込みながら崩れ落ちる。

 

「(チッ、やっぱりパワーが落ちてる

『前』のままならあんな幼年期ごときに手こずらなかったのに・・・!)」

 

その丸まった背中をフロンティアの3年生と一緒に優しくさすりながら、シークフェルトの3年生が危機感を募らせていると

 

「ねえ」

「え?、なになに?」

「ぉぅぇぁぉ?」

「まだ演奏出来る?」

「わ、わたしはへーき、だけど」

「・・・!、・・・!、!」

「だよね

じゃあ、【アレ】どうしよ?」

 

 

 

『ブルートナックル』「ボルトライン」

 

『インプリズメント』

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよ??」」

 

今度は成長期を数十体引き連れた成熟期が登場。

 

「《棒陣破ぁー!》」

「《ツバメ二枚返しッ》」

「《クリムゾンスラッシュー!》」

「・・・・・・・・・」

「その調子ですよ!!、レッパモン!!」

「・・・・・・・・・!」

「リューくんとエーちゃんもグッドグッド♪」

『『「■▽ッッ!!?」』』

「「「あ」」」

 

しかし、この団体は突如飛び込み参上した

舞台少女とそのパートナーデジモン達によって一掃された。

 

「な、た達・・・」

「!、『先輩』!?」

「どうして貴女達が無事なんですか!!?」

「この舞台を造った立役者への恩赦って所か、ヨン?」

「「「・・・・・・・・・」」」

「何にせよ、無事で良かった」

「うんうん♪」

「!、神楽ひかりッ、愛城華恋ッ」

「「え?」」

「?、嫉妬ー?」

「フィルモン、御主その姿でも感情は感じとれるので御座るか?」

「ちょっぴりだけどねー」

「・・・・・・・・・別に嫉妬なんてしてない

あ、『あの2人』にギターを

手取り足取り教わって?

 

 

 

挙げ句に一緒の舞台で共演したとかぁ!?

 

もうぜんっぜん!、これっ!、ぽっちも!

 

うらやましくなんてないんだからぁ!!!」

 

 

 

「ぬ、ぬぅん?

『あの2人』というのが誰なのかは皆目検討がつかんのだが・・・

それを嫉妬と呼ぶのではないか?」

「リュー、ワザワザ本当のこと言わなくていいから」

「まさか『先輩』!!?

あなたはソレが理由であんな悪事に手を染めたと!!?」

「え、いや、違うけど」

「わ、わわたしたち・・・

ここ、高校卒業前に

思い出作りがしたかっただけ、だから・・・」

「は?」

「!」

「おもいでつくり、って・・・

(これなら、まだ

メイファンが言った理由の方がよっぽどマシじゃないッ)」

 

この崩壊した世界で探していた生存者の正体が切り捨てられた末端とはいえ、元凶の一派。

更には、彼女達が『黒の逢魔』に荷担することになった動機があんまりにもあんまりなので

やちよはもう皮肉を返す余裕すらない。

 

「ヒョへな所で嘴突っついてる場合ヒョ?

ヒョッヒョッと連れてけ」

「連れてく必要あるヨン?」

『え』

「ヘー」

「んな?!、ワスプモン!!

御主は何を言っているので御座るか!!?」

「だってこいつら曲がりなりにも『黒の逢魔』だったんだヨン?

そんな連中を不用意に拠点へ連れていったりして

はじまりの街の長老として救世主一行に潜り込んでいた麗将みたいなことをされたらどうするつもりだヨン?」

「「!!」」

「そ、それは・・・ッ」

「フーン」

「こいつら自身に自覚が無かったとしてもだ

『黒の逢魔』から何かしらの処置を施されている可能性もある、ヨン」

「い、言わんとすることはわかりますが・・・

ですが!!、やはり!!、私は!!

『先輩』達をこんな危険な場所に放っておくことは間違っていると思います!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁーーー

メイファンさんがそこまで言うなら

でも、ボクチャンからは距離を取って欲しい良いんだヨーン」

「あ、うん、うんうん」

「そそその方が、こここっちも・・・」

「たすかる、っていうか」

「アマアマだなー」

「フィルモン??」

「なんでもないよー、ヒー」

 

ワスプモンの身勝手により乱れた足並みが

ぎこちなくだが再び揃う最中で、フィルモンが針のように目を細めながら見つめる先

黄色と黒の警告色の上に立つ少女の表情は、まさに・・・

 

 

 

「《ゾーンデリーター》」『ッッ!!?』

 

 

 

その時、何の前触れも無く空間が抉り取られ

 

多くの瓦礫が一瞬にして消失。

 

 

 

「なんで?、どうして?」

 

 

 

「!、ヴァアアアーーー!!」

「あれは!!」

「『闇』の器ッ」

「フレイモンやストラビモンと同じで・・・

ブイモンを、あんな目にあわせた!!」

 

咄嗟に自分達を掴み、飛び退いてくれたパートナーのお陰で危機を脱するや否や

ふたりでひとつの運命が各々のキラめきを構えた。

 

「け、たのに!

なんで?、ツワーモンもデッドリーアックスモンも、オレに、あんな・・・・・・・・・」

「ッ、相変わらず

あたし達のことは眼中に無いってこと!?」

「鶴!!」

「早まっちゃダメだヨン!!」

 

《ゾーンデリーター》の痕跡から吹き出す大量の黒い霧の中から飛来した巨鳥・・・闇の器の獣形態が

ここには居ない誰かへの疑問が垂れ流す。

 

「でも、ソレもしょうがないんだ

だって、オレは許されない罪を犯したんだから

でも、だったらなんでオレは許されているんだ・・・?

オレはオレなのに

なんでオレだけが許されない?

そんなのおかしいだろ?

だったら、オレが正さないと

もうオレが過ちを繰り返さない為に」

『!!?』

「「「うわああああああ!!!???ゾンビだああああああ!!!」」」

 

すると、牙が生え揃った嘴の隙間から

真っ黒い腐肉が溢れて次々と滴り落ち

その雫ひとつひとつがヒトガタのナニカと化して少女達を取り囲んだ。

 

「スカルナイトモンが動けない分

オレが新世界を造る、オレがみんなを救う

そうすればきっとみんなオレを」

「それは!!、ノンノン!!、だよ!!」

「そんなものは救いなんかじゃない!!」

「カー、ヒー

あいつには何を言っても入らない」

「「え?」」

「だって、あいつの中身

自分じゃない誰かのドロドログチャグチャでいっぱいだから」

「!、それって!!」

「あ、あのときのおぬしとおなじ??」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「エー、ちゃ」

「奴の詳細については後程聞く、ヨン

だから今はこの状況を打開することに集中しろ

相手は、あの最速の聖騎士さえも」

 

 

 

「それが!!!

 

一体!!!

 

どうしたというのです!!!!!!」

 

 

 

「グガ!!?」

「メイファン先輩ッ!!?」

「待って!!」

「待ちません!!!」

「ちょ・・・!」

 

『闇』の包囲網に勇み足で飛び込むのは

シークフェルトのエーデルが1人

紅玉の君、リュウ・メイファン。

 

 

 

「確かに!!!、アルフォースブイドラモンのキラめきは素晴らしかった!!!」

 

 

 

彼女は蛇矛・ルビーンヘッレバルデを構え直すと声を張り上げ突撃

 

 

 

「ですが!!!だからといって!!!」

 

自分へと殺到する腐肉人形達を

 

「私の、私とクダモンのキラめきが!!!」

 

横からの一閃で凪ぎ払い、胴から真っ二つにしながら

 

「劣っているなどと決めつけないで下さい!!!」

 

「!!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・めい、ふぁ

 

ーーーーーーッ、く!」

 

 

 

更に前へ。

 

 

 

「るぅううう!!! 裂空斬!!!》」

 

「!?、あいつまた!!!」

 

「メイファン!!!」

 

 

 

無茶で無謀な前進をする無防備な背中に

鎌鼬の必殺技が迫ると、蜂型サイボーグと真珠の君がソレを阻止すべく銃身を向ける

 

 

 

「面白いなーー」

 

一方、針鼠は細く笑う

 

だって

 

 

 

「!!、レッパモン!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「あ

 

 

 

ありがとうございます!!!!!

 

 

 

あなたが私の背中を護ってくれるなら!!!

 

私は!!!、思う存分前に進めます!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「さあ!!!、行きますよ!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・痴れモンめがァッ」 

 

 

 

1人と1体の感情があまりにもおかしいから。

 

「「え?、あ、あれ??」」

「鶴、蜂、敵はアッチっヒョ」

「「う、うん・・・」

 

ブライモンの指摘にやちよとワスプモンは釈然としないモノを覚えるのであった・・・。

 

「シークフェルトを穢す迷宮の主!!!

今日こそ討ち取ってみせましょう!!!」

「ぬぬぬぅ!、何と熱く気高き闘志!

拙者も負けてはおれん!

華恋!!、ヒシャリュウモンで行くぞ!!」

「わかったよ!!」

「私達も!!」「ヴァーー!!」

 

メイファンとレッパモンの活躍に触発された

華恋とひかりの手首に収まるヒビ割れた神機からソウルが迸る。

 

「ッ、来たか!」

 

その瞬間、闇の器は地上の舞台少女とパートナーデジモンに視線を

 

 

 

向けない。

 

 

 

「ど、どどこ見て あ」

 

舞台から少し離れた瓦礫から凛明館の3年生は身を乗り出し、巨鳥が警戒する相手を見た。

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

「凛明館演劇同好、会?」

 

「お姉ちゃん!!   おねえ、ちゃん?」

 

「今のオレは前とは違う!!

 

『黒の逢魔』のみんなが頑張ったお陰で

 

更なる力を得られた、この力でみんなを救う

 

それがオレの贖罪だ

 

お前らのような面白半分で首を突っ込む

 

猿モドキなんぞとは覚悟が違うんだよ!!」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

「たまおちゃん??」

 

「なんで、ござるか?、なに、この、コレ」

 

「ヒー、あの子達」

 

「・・・・・・・・・ーーーッ、しんじ、たくない!

 

だけど!!!」

 

「なんですか一体!!?

 

文さん達に何があったんですか!!?」

 

「鶴ッ」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

満を持して登場した5人の舞台少女。

 

 

 

「闇に埋もれろ!!!《ゾーンデリーター!!!》」

 

『!!!』「フミ逃げ

 

 

 

て? え え?』なん だと?」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

空間ごと彼女達を消し去る筈の闇が呆気なく吸い込まれていく・・・

 

本体が漆黒で

 

装飾が深紫と深紅の懐中時計に。

 

 

 

「「「「「莉翫%縺髢区シの譎」」」」」

 

 

 

直後、不気味に吊り上がった唇が理解不能な言語を口吟むと

 

文字盤を囲う7本の剣が装飾からホンモノにカワリ

 

持ち主の周りを浮遊してクルクル・・・

 

クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルと

 

愉快なダンスをしながら

           貫いた

まるで蝶の標本にピンを刺すみたいに。

 

 

 

「自爆? いや 違うッ コレは!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

刃が埋もれた柔肌から血が・・・

 

ソレと同じイロの 暗黒のソウル が噴出。

 

【膜】となって少女の肢体を飲み込み急速に

 

 

ナカミ を造り変えていく。

 

 

 

「さ、させるモンかあああああああああ!!!」

 

 

 

巨鳥が吼える

 

爪と牙を剥き 急降下しながら しかし

 

 

 

「《繧√kダ縺繝ー》」「《繝輔Ο繝シ繧コ繝ウ繧ッ繝ュ繝シ》」「《繧√▲縺ー繧ケ繝代う繝ゥ繝ォ》」「《繝。繧ャ繝医Φ縺ッ縺セー縺上iッ繧キ繝・》」

 

 

 

闇の器の攻撃が到達するよりも

 

少女達の再生産が終わる方が早かった。

 

 

 

「ぐ!! うわ?! が!! なん、のおっ」

 

 

 

熱光線 氷の爪 回転突撃 鉄球。

 

【膜】を突き破って襲いかかる攻撃の数々がモロに直撃

すると、闇の器はこの世界に満ちる瘴気を吸収し即座に傷を

 

 

 

 

 

カチッ カチッ   カチッカチッカチッカチッ!カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!

 

 

 

 

 

治せない。

 

 

 

「そんな!?なんで!?奪われる!!?

 

猿モドキごときヒィイ?!!」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

 

何億もの人々が垂れ流す暗黒のソウル

 

かつて世界樹にサーバーごと切り捨てられたデジモン達の呪詛と怨嗟

 

デジタルワールドの最高位セキュリティすらも存在が危ぶまれる致死性を含んだ筈のソレらは今の凛明館演劇同好会にとっては

 

 

 

衣装や武器はおろか【データ】そのものが魔物と化している存在にとっては

 

 

 

「鬆ゅ″縺セす」   餌だ。

 

 

 

黒い髪だったナニカをくねらせながら

全身が赤黒いモノに覆われた盾のカイブツが

闇の器の背に立っている。

 

4【体】がデタラメに放った技に紛れることで巨鳥の背後を易々取ったのだ。

 

 

 

『〔〔ジャアアアア〕〕アアアアアア〔〔!?!〕〕』「オロチ!!?バカ!!やめ!!やめろやめろおおおおおおお!!!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

ソコに鉤爪を突き立ててやればまるで障子紙を引き裂くように簡単に引き裂けた

 

中に潜んでいた四つ首の大蛇を引き摺り出せた

 

 

 

あのアルフォースブイドラモンが/ハヤギカオルコのパートナーを倒した強敵がこんなにも・・・

 

 

 

『〔〔シャ!!〕〕アア!!〔〔ア"!!〕〕』「痛い!!!いたいいたいやめていたいぃ!!!」

 

 

 

         か弱い。

 

 

 

『あ・・・ぁ・・・・・・・・・』

 

地上の少女とデジモン達が呆然と見上げる中

 

「やだぁ!!もおいやだああああ!!」

 

残るカイブツ達が巨鳥と大蛇に群がり

 

「たすけて熱いさむいぃ!たすけてよおおお!!」燃やして凍らせて

 

「だれか!!なんでぇ?!!だれも?!」砕いて斬って

 

「まて!まって!!そっちのばしちゃ

 

おああ"!!あ"あ"あとれたああああああ!!!!」一方的に弄ぶ。

 

その度に腐肉が飛び散っては即座に掻き消え

 

悲痛な声と非難の声が上がった。

 

 

 

「マズイッ」

「どれ、が・・・?」

「あの子達、攻撃しながらアイツの中の

ドロドログチャグチャを心と体に取り込んでる

あの時のエーと一緒

放っておいたらほんとにもどれなくなる」

「!!!」

「ハニー待って!!おねがいだから!!!いまかんがえてるからまって!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だ」

 

暗黒進化経験者の指摘に今まで棒立ちしていた彼女が動き出す。

 

「いやだよ

 

やだ

ぜったいやだそんなの

       ゆるさない

みとめない

             お姉ちゃんが

 

 

 

わたしのおねえちゃんじゃなくなるなんて」

 

 

 

「ぐ?!、ぅ、ああああああ!?!」

「蜂ィ!!」

「「栞!!」」

「ちょぉちょぉちょっとお!!?」

「んなななんであのこMO"ooo"oO!!?」

「夢大路、栞・・・!!」

 

襟袖に備わる神機・イミテーションを

翳った翡翠・・・暗黒のソウルで軋ませながら。

 

「堪えろワスプモン!!

今御主まで暗黒進化したらッ」

「かっ!てる"・・・!!」

 

夢大路栞の負の感情が急激な勢いで流れ込み黄色と黒の隙間から噴出。

ワスプモンの正気が大きく削られていく。

 

 

 

 

 

カチカチカチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

「「え?」あ、れ・・・・・・・・・?」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

「ひっ や ァ アアッ〕〕』

 

 

 

しかし、ソレも長くは続かない。

 

だって、今、この舞台を支配しているのは

 

暗黒を糧とするバケモノ達なのだから。

 

 

 

「え、ちゃ」

「栞!!?、どうしたんですか!!?」

「気絶、してる?

それに衣装まで消えて?」

「奪われた、ヨン・・・」

 

崩れ落ちるパートナーを先輩2人が介抱しているのを尻目にファンビーモンがうわ言のように呟く。

 

「暗黒のソウルを介して

生命エネルギーの殆どがフミ達に・・・

いや、違う

あの子達の中に居るナニかに奪われたんだ

ーーーーーーッ、だれだよ?

 

 

 

誰なんだよ!!? お前らは!!?

 

返せよ!!!返せぇええええええ!!!

 

 

 

       かえして、よ・・・ぉ・・・・・・」

 

 

 

愛する存在を通して感じ取った底無しの脅威に

心をへし折られた蜜蜂が天を仰いで

声の限りに叫んでも奇跡は起きない。

 

 

 

「《ア

 

メ ミッ

 

トォオオオオオオオオオオオオーーーーーー!!!!!!》」

 

 

 

「「「「「!」」」」」『〔〔「ァ」〕〕』

 

 

 

「お待たせしました、カレンさん」

「え!?、あ!」

「あなた、もしかして!」

 

だって、舞台が、世界が

味方するのはいつだって

己が命を賭して生き様を魅せる者だけなのだから。

 

「「ファングモン!?」」

「ファグー!、って、ことは」

 

 

 

「「勿論俺達も居ますよ!!

 

 

 

《フルメタルブレイズ!!》」「《グレイスクロスフリーザー!!》」

『〔〔「ーー~~ーー!~?!!」〕〕』

 

デジ文字の魔方陣より召喚された地獄の魔獣に食いつかれていた巨鳥と大蛇の残骸にミサイルの嵐が追い討ちをかけ、遥か彼方までブッ飛ばす。

 

「ブラック、メタルガルルモン?

ズィードガルルモン??

それに、ダークエリアの監視員のアヌビモン?

なんで?、舞台少女のパートナーじゃない

あいつらが究極体に・・・?」

「グゥ、ガァ」

 

 

 

「「「「「繧ヲ繝ゥやま縺励>ーッ」」」」」

 

 

 

『ッッ!!?』

「・・・・・・・・・マタドゥルモンの予想通り、か」

「覚悟はしてたけど、やっぱこえーよなメタル」

「そうだな、ズィード」

 

すると、狂気の矛先が

『黒の逢魔』から『明けの遠吠え』に変わった。

 

「や、やめてよ珠緒ちゃん!!!

この子達は私達の味方!、知ってるでしょ!?」

「カレンさん、後の説明はアケビ号にて兄弟からきいて下さい

ワイズモン、頼む」

「《エターナル・ニルヴァーナ》」

『!

「縺・・・励♀、り」

 

華恋の必死な叫びにリーダーは細面を強張らせ

サブリーダーへと指示を下せば

突如飛来した時空石がこの場に居た舞台少女とパートナーデジモン+部外者を一瞬で封印。

 

「リーダー、メタル、ズィード」

「「「なんだよ?」」」

「難しい提案だと承知の上で言っておく

 

 

 

頼むから生き延びてくれよ・・・!!!」

 

 

 

「善処はするさ

何せ自分、まだナナさんのバナナマフィンを食べてないからな」

「「リーダー、リーダー

ソレって死亡フラグじゃね?」」

「なーにそんなモンひとつやふたつ増えた所で誤差の範囲って、奴だ

だって相手がアレだぞ?」

 

 

 

 

 

「「「「「繧ッイッ繧ッ繧ッイッ

繧ッイッ繧ッー!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

「「ワーー、オニスモンヨリデッカーイ」」

 

「ーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!

 

アレ、が?

 

嫉妬の魔王リヴァイアモンの必殺技

 

デジタルワールドすらも呑み込むという

 

 

 

巨大なる顎《ロストルム》の再現ッ」

 

 

 

残る2組・・・雪代晶とファルコモン

鳳ミチルとワームモンを封印した

もう一つの《エターナル・ニルヴァーナ》を回収した後、ワイズモンは本を介した転移でアケビ号へと帰還した

 

 

 

根元的な悪と空元気で相対する兄弟達を残して。

 

 

 

「さぁ、やるぞ兄弟達!!!」

 

「ああ!!、やってやるさリーダー!!」

 

「前の時はやりたくても出来なかったこと!!」

 

 

 

「「「かませ犬をまっとうする!!!」」」

 

 

 

 

 

 

アォォォオオオン!!!

 

 

 

 

 

 

細身で犬科の頭部持つ神人が双子の機械狼と遠吠えによる決意のハーモニーを奏でながら

世界を食らう大顎へと挑む

 

 

 

キラめきを見失った少女達を

 

       次のステージに進める為に。

 

 

 




[newpage]





断章 『無罪ホウメン』






『明けの遠吠え』の活躍により
バケモノ達から引き離された『黒の逢魔』。



「はぁ!はぁ!は・・・ぁ!

たすかっ!たぁ!!

         たすかった?」



舞台から遠く離れた舞台裏ですらないその場所で
ダメージにより獣型の維持が出来ず人型となった闇の器がある事実に気づいた。

「え?あれ?おかしいな?
だってオレはみんなを救う為に戦っ
なのになんで?なんで今オレ・・・
ッ、も、もどらなきゃ!
あんな奴等放っておいたらみんなが危ない!!
そうだろう!?、オロチ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・オロチ?」

だからこそ動こうとするのだが傍らの蛇の形をしたデジタル生命体は微動だにしない。

「なにやってるんだ?
お前までそんなことじゃダメだろ?
オレ達は自分がやったことを償わなきゃいけないん「だったら君がその子の分まで頑張ってみたらどうかな?



ん?、どうしたんだい?」「へ?、え、ぁ」



イキり立っていた闇の器の目の前に

白と黒の三対六枚の翼を持つ美丈夫が

何の前触れもなく出現。



「ボーっしてちゃダメだろ?

ほらほら!、剣を構えて!

彼女達にあの力を与えている悪を倒すんだ!

かつての自分が犯した罪を償う為に!



『黒の逢魔』を救う為に!!」
「・・・ぃ・・・・・・・・・・・・・・・や、だぁ」

ソレが放つ激励に人型の『闇』が金の髪を振り回しながら何度も何度も首を振る
まるで幼い子供のように。

「何を言っているんだ!
そんなワガママ許されるワケないだろ!?」
「ひぃぃっ・・・!!」
「敵の方が強いからといって決意を曲げてしまうのか!?
君にとっての贖罪とはその程度のモノだったのか!?」
「めん、なさい・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「謝って済む問題じゃない!!!」
「ぁ!?、ぁ!、ああ・・・・・・・・・!」

真正面から怒鳴りつけられ
挙げ句、あのバケモノ達以上のプレッシャーを浴びせられた闇の器は
全身の目から涙を流してへたり込んでしまう。



「えっと、ごめん、言い過ぎた」



すると、美丈夫が急に優しくなった。



「え?え」
「やりたくないことはやらなくても良いんだよ
無理なモノは無理だって諦めたって良いんだ
他の誰かが許さなくても僕が君を許すよ」
「あ・・・・・・・・・」



そのまま、抱き寄せられ、頭を撫でられる。



「だから、もう



画面の上からしか知らない有象無象の為に



頑張らなくても良いんだよ」「!!?」



「本当は、どうでもいいんだろ?」「ちが」

「本当は、誰でも良かったんだろ?

それなら、本当は君のことなんてどうでもいい

『黒の逢魔』に代わって僕が君を許してあげる」「なせ」「だからもう
世界から不必要だと断じられた連中の



逆怨みなんか全部投げ出していいんだ」「はなあせええええええええ!!!!!!」



顔の間近で甘く囁かれたのは
今の自分をカタチ造る存在理由を壊す言葉。
だからこそ、もうコレ以上聞きたくなかった



なのに






パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・






「良く出来ました、誉めてあげるよ」



言う通りにしてしまった

負の感情を全て吐き出してしまった

呪詛も怨嗟も何もかも奪われてしまった。



「そろそろ出てきたらどうだい?
それとも、この僕のエスコートが必要なのかな?」
〔「!!、ーーーーーーッ」

美丈夫が物言わぬ人形と化した闇の器を興味が失せた玩具のように無造作に放り捨て
あらぬ方向へと問いかければ自称・魔法使いは即座に穏行を解除。
七大魔王の前でみっともなく震えながらも姿を現す。

「まさかとは思うけど
そんな玩具達程度しか騙せない隠蔽なんかで気づかれないと本気で思っていたのかい?」
「って、ない
だから、疑問に、おもっていた・・・!」
「君の疑問はそれだけじゃないんだろ?
遠慮なく言ってご覧、答えてあげるから」
「で



なんで今更動くんだ!!?」「・・・・・・・・・」



「人間界を滅ぼしたいのなら!!!

『黒の逢魔』を打ちのめしたいのなら!!!

自分達でやれば良いだろ!!?

なのにどうして!!?なんであの子達を巻き込」「その方が面白いモノが観れるからさ」

「!!!」

「あの物語を舞台裏まで盗み見ていた君は薄々気づいているんだろ?
ロゼモンとそのパートナーが僕ら七大魔王とどんな契約を交わしたのか」



〔「ダカラカ」〕「!!?」〔「ダカラ



トーチャンノカーチャンハ
アアスルシカナカッタノカ」〕「そうだよ



吸血公グランドラクモン



おっと!、今は『明けの遠吠え』のマタドゥルモンだったね
ごめんごめん!、うっかりしていたよ」

ウィザーモンが決死の覚悟でかつての己すら歯牙にかけない存在と対峙していると・・・
魔王の視線を遮るように不気味な牙が出現。

「ああ、そういえば
香子の件は助かったよ
ちゃんと受け取って貰えるか心配でさ」
〔「モウジューブンアソンダロ
トットト席ニモドレ、オトナシク観劇シテロ」〕
「それもそうだね、
あれ?、わぁ!、ふたりとも見て!



ゼロアームズ・オロチが空っぽになった器を食べてるよ!

脱皮した後の自分の皮を食べる爬虫類みたいでかわいいね!」



「!!?!」
〔「ヤメトケ
イマノオマエジャ、イッショニクワレルダケダ」〕
「し、しかし!!」
〔「舞台少女サンタチニマカセテオケ
カナラズノリコエラレルトシンジロ」〕
「うーーん、それは難しいんじゃない?



自分のことすら信じられないのに他者を信じられる訳がない



でも、それは当たり前のことなんだ
そんな想いで過ごしている存在はデジモンにも人間にも多い

だから君は悪くない」

「・・・・・・・・・ッ」

〔「ルーチェモン!!!」〕



しかし、この傲慢には関係無い。

薄板を乗り越えるような気安さでウィザーモンに寄り添うと



「だって君はもうデュナスモンじゃないんだ

舞台少女のパートナーでも無いのに

聖騎士が背負っていたモノを背負う必要なんて無い

違うかい?、ウィザーモン」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「チッ」〕



天使のような微笑みであらゆる罪を赦し



「それで無理をした結果がコレだ

もう誰も君に期待なんてしやしない」

「・・・・・・・・・」

「だから、もう



そんな重荷は全て捨ててしまおう」



悪魔のような提案を持ち掛けるのであった。



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