少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - 作:リカル
☆獄中の章
〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕
「ッ」
忌むべき存在【パートナーデジモン】の咆哮が脳内を通して体外へと発散される度、下半分からでもわかる程
顔をしかめながら音無いちえは飛んでいた。
〔「ヴォッ!、餌ぁ!」〕
「!」
すると、彼女と一体化していたラヴォガリータモンの嗅覚がレヴューの相手を捕捉。
蛍火のように揺らめく髪を振り回しながら視線を移せば、廃墟と化した建物の中にあの金髪が僅かに見える。
「!!!」
するといちえは魔神機を通じて溶岩の如く沸き上がる飢餓感と破壊衝動のまま直進。
全身から発する高熱で障害物を溶解させながら標的の元へ。
「・・・・・・・・・?」
〔「ヴォ?」〕
そんな彼女を廃墟内・・・かつて高級ブティックだったであろう一室で待ち受けていたのは
柄に金髪のカツラを乗せた
ザフィーアベシュトラフング。
「今」「でっしゅー!!!」
ご丁寧に《ネバネバネット》で特徴的なはねっ毛まで再現した囮に見事引っ掛かったいちえの頭上
天井に張り付いていた本物のミチルが指示を飛ばせばワームモンは口から伸びる粘糸を即座に切断
支えを失った小柄な体躯が重力に従い始めるのと同時に、黒いブーツに包まれた両足が足場を鋭く蹴りあげる。
「ー!!」
〔「《メル、ダイナー!!》」〕
「ヒンーーーっ!?」
一直線に急降下してくる『餌』を丸呑みにするかのように扇子から放たれたレーザー状の熱線が迫る中、腕にしがみつている芋虫の情けない悲鳴を耳にしながら
蒼玉の君は床に突き立てられた大剣を
0と1の粒子に変換 己が手の中で再生産
「はぁ!!」
〔「ヴォ?!」〕
「ッ」
鳳ミチルの体重にザフィーアベシュトラフングの重量が加わることで落下速度がグンと上がり
目算が狂った《メルダイナー》が天井を穿つ
ソレと同時に
蒼玉の輝きが大半を占めながらも
銀を引き立てる0と1の粒子を纏った剣先が
音無いちえの胸元に揺れる懐中時計を抉り取る
〔「ヴォオオオォ・・・!!」〕
「!?、しくじった!!
いちえちゃんごめん!!」
「ヒン?」
「縺。が、うよ・・・
い縺セの、あたしがタイミング間違、て・・・」
「ヒンっ!?」
筈、だった。
「ど、どういうことでっしゅーーっ!!?」
「どうって、見ての通りだよ
弟子は気づいなかったの?」
「き、気づく・・・??」
「いちえちゃん、聖翔やフロンティアとの共演で魔神機の方は乗り越えられたんだよ
だけど、一心同体になってるラヴォガリータモンの方は制御出来てないみたい」
〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕
ピンクを基調にした和風の衣装、その上に重なる溶岩竜の甲冑から起爆性のある粉塵が撒き散らされ自分諸共爆発さえしなければ。
「縺斐aん・・・
ごめんね、ミチルちゃ・・・
ほんとは、あたしが・・・
なんとか、しなくちゃいけないのに・・・
でも、だけど、どうしても止められんないッ
なんでこんな奴があたしのパートナーなんだ
って え?
う!!
あ・・・あ繧・・・・・・・・・・・・・・・
繧ヲ繝ッ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああーーーーーーー!!??!」
いちえが傷ついた体を震わせながら再生を始めたかと思った次の瞬間、彼女の体の至る所より憤怒の炎《インフェルノフレイム》が噴出。
〔「そうだいちえ!!
お前のその怒りは正しい怒りだ!!」〕
「!、誰?!」
〔「あぁ、どうかお気になさらずにぃー」〕
〔「それは無理じゃな~い?」〕
「も、もしかしゅてぇーっ」
「あなた達が、七大魔王・・・?」
〔「正解だよ
シークフェルトのエーデル
フラウ・ザフィーヤ、鳳ミチル」〕
「いちえちゃんに何をしたの?」
〔「心外だな」〕
〔「同感だ!!、ベルベブモン!!
俺は頑張る玩具・・・もとい、舞台少女に贈り物をしただけのこと
ファンとして推しを応援するのはごく当たり前なことだろう?」〕
〔「だね!、そんなワケで僕の《パーガトリアルフレイム》もあげちゃおっと♪」〕
〔「それではぁ、私からは《パンデモニウムロスト》をひとつ」〕
〔「へい《カオスフレア》、お待ち」〕
〔「ええ~・・・
コレ俺もやんなきゃダメ~・・・?」〕
「あ"あ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああ
繧ッッッッ!!!!!!」
〔「ヴォオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!!!!」〕
「「!!」」
タダでさえ埒外の熱量を持つ地獄の業火に
【傲慢】と【強欲】更には【暴食】の炎までもが加わった結果、ソレの熱波が表面を撫でただけで廃墟が蒸発していく。
「ぐ!」
「ヒンっ!」
「あ?繧「繧「あ!あああ・・・・・・・・・!!!」
〔「餌ぁ!餌ぁ!く!わせろぉお!!!」〕
間一髪、溶解する建物からの脱出に成功し
荒廃した大地の上を転がるように着地したミチルと彼女の腕にしがみつくワームモンの頭上ではいちえが頭を抱えながら溶岩の翼を激しく不規則に動かし
ラヴォガリータモンはやはり餓えに餓えていた
が、この場における一番の問題は・・・。
〔「「「「
もぉ~~えろよもえろぉ~~よ~♪♪♪♪
ほのおよぉも~え~ろぉ~~~♪♪♪♪
ひぃ~~のこをまきあぁ~~げぇ~♪♪♪
天までもを焦がすが良い!!!!」」」」〕
〔「うわぁ!?、急にキャラ変すんな!」〕
〔「あなたもよ」〕
やはりこいつら
七大魔王の介入により顕現した黒い球体。
「ア"っつゥ?!
あつあつ!あつーい!でっしゅーっ!!」
「(まるで太陽の黒点・・・!)」
「う、繧「、あああぁあああ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いちえちゃん
ソレ、もうちょっとだけ抑えてくれる?」
「!
蟆代@、すこし、だけな繝ゥ
だから、逃げ「大丈夫」繧ィ?」
「ミチルには取って置きの切り札があるから」
「ほ、ほんとでっしゅーっ!?、
だ、だったらはやく
あ、あれ?、あっれれぇーっ??
な、なんでボキを指差して・・・」
「頑張れ弟子♪
ミチルはあなたのことを信じてるよ♪」
「「えーーー!!?」」
〔「ヴォオオオーーーーーー!!!」〕
「は!!、しまったぁ!!
こんのぉ馬鹿坊!、勝手に暴れんなぁ!!」
ソレがビリビリと地上を炙る中で蒼玉の君は
勝負に出た。
「むむむむムリムリムリ!!!
無理にきまってるでっしゅーーーっ!!!」
「ふーん、そうなんだ、へぇー
じゃ、あなたの目的も果たせないね」
「もく、てき??」
「ミチルを利用して力をつけるって目的」
「へ!!?、何ソレ!!?
っと!、そう何度も上手くいくと思うなぁ!
このこのこのこのこのこのこのぉ!!!」
〔「ヴォ・・・ン!」〕
「え、えーっと、あ、あのーっ
イッタイゼンタイナンノコトデショウカ?」
「わぁーー!!、図星だぁーー!!
わかりやす!!、ある意味素直!!」
「いちえちゃん、集中」
「そ、それはわかってるん、だけど・・・!
ワームモンがミチルちゃんを利用って」
「だって、弟子入りって結局
師匠を踏み台にして
自分が上にのし上がるってことじゃない?」
「!!!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね」
〔「ヴォ!?」〕
「だから、あんなに嫌がってたのに
ミチルのパートナーを続けることにしたんでしょ?」
「エ、ア、ソノ、アノーっ」
「ああ、最初からわかってたから
今更誤魔化さなくても大丈夫
というか、全然誤魔化しきれてないし」
「ヒン?!」
「わかった上でお互い様だって思ってた
だけどソレじゃ
この物語を『黒の逢魔』からは奪えない」
「「!!」」
〔「ヴォ・・・ッ・・・・・・オ!」〕
鳳ミチルが言葉を、台詞を読む度に
いちえの胸の内より何らかの力が溢れて
荒ぶるラヴォガリータモンを強引に鎮静。
一方のワームモンは
「この舞台が舞台少女を
人間を貶す為に造られたモノなら
その上に居る限りあいつらの脚本を越えられない
だからこそ『鳳ミチル』は生まれ変わる
あなたに 任せる」「ぁ・・・・・・・・・」
「例え、踊らされていただけだとしても
(例え、選択が過ちだったとしても・・・)
私はずっとこの舞台で全力だった
あなたはソレを一番近くで見ていた
だから 今 ここで その結果を出してよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ボキが逃げたらどうする、でっしゅーっ?」
「うーん、そうなったらー
ミチルがその程度の舞台少女で
そんな私を見初めたあなたの目が狂ってた
って、ことになるね♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ッけんな」
自尊心をこれでもかと傷つけられた。
ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!
「「(入った・・・!!)」」
〔「ヴォッ!?」〕
直後、ロード・デヴァイサーより宝石を研磨するような甲高い音声が流れ出し
画面からはスクリーンが照射。
震えながら俯くワームモンの姿を覆い隠すと
サファイアが収められた王冠が刻印された銀幕の下、芋虫のシルエットが人型へと変わり・・・
「キ エ エ エ エ エ エ ッ!!!」
「スティングモン・・・じゃ、ない!」
「ジュエルビーモン、完全体だよ
(マタドゥルモンから聞いた通り
古代種って本当はプライドが高い
例え、どんな『役』を演じていたとしても)」
奇声と共に鳳ミチルの弟子が新たな姿を顕にした。
「ねぇ、いちえちゃん」
「へ?」
「ミチル、想うんだ
舞台少女とパートナーの関係に決まった形は無い、って」
「!、・・・・・・・・・」
「ラヴォガリータモンのやったことを許さなくたっていい、怒ったままでもいい
だけど、舞台少女なら
ステージの上に立ってるのなら
ソレをあなたのキラめきにして欲しい
あなたの舞台をちゃんと見せて欲しい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
赤い眼をギラつかせながら前傾姿勢を取る玉虫色の甲虫戦士に己がキラめきの化身・ザフィーアベシュトラフングを授けながら彼女はレヴューの相手に語りかける
「私は私のカタチをお披露目したよ?
だから今度は」
「あたしの番、だね!!」
〔「ヴオオオ!!」〕
「ふふっ♪」
まつりあげる
ソレこそが画面の向こう側から好き勝手されるばかりだったシークフェルトの宰相が出した答え。
「たぁ
まやああああああああああーーーーーー!!!」
〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕
〔「んぬぁ!?」〕
ミチルの狙い通りにいちえは吹っ切れたのか
今の今まで抑えていたモノを思いっきり解放。
【憤怒】をベースに【傲慢】、【強欲】、【暴食】が加えられた極炎の暗黒球体を
遥か上空へ打ち上げた!?。
ヒュルルルルルル・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・
〔「《ランプランツス》」〕
ド オ オ オ オ ン!!!!!
「きゃあああ~~~!!??」
〔「「「「か~~~ぎや~~~」」」」〕
〔「結局あなたも参加してるじゃない」〕
真っ黒な玉は輝きの無い空をバックに破裂。
一際目立つ火球を中心【センター】に
大小様々な百近くの鬼火がバラバラに
だが、一定の法則の元に広がっていく様は
まさに打ち上げ花火か、或いはとあるアイドルグループの・・・。
〔「自分らしさなんぞを貫く為だけに
勝てる勝負を自ら捨てる、だと?
なんと愚かな!!! 実に腹立たしい!!!
が それもまた舞台!!!」〕
「キエエエエエエッ!!!」
「ー~ー~ー~!、こんできたぁ!?
(さっきの奴よりかはマシだけど
コレ1個1個魔王パワーなのに!?)」
「ェエ"エ"エ"エ"ィアアアアアアーーーーーー!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
技を放った反動により空中でグルグルしているいちえ目掛け、右手に槍を左手に剣を携えたジュエルビーモンが奇声を発しながら突撃。
彼女の周囲を舞う百火繚乱が目には入らないのか愚直に飛び込んでくる。
「まさかとは思うけどさ
飛んで火に入る夏の虫で終わらないよね?」
「ア"・・・・・・・・・!」
「おわっちゃったぁーーー!!?」
〔「「「「「ぶっふぅーー!!」」」」」〕
魔王の力が宿る火の玉が一つ
玉虫色の甲殻へとぶつかれば瞬く間に炎上
全身へと燃え広がった
「エ"ィアアアアアアァア!!!」
「!?」
なのに
何故かジュエルビーモンに変化は無い。
相変わらずの奇声を発しながら飛んでいた。
「(んなこと許せるモンか・・・!)」
虚空を揺らめく無数の鬼火
「(ぜってぇ証明してやんよ)」
この熱と己が輝きを掛け合わせ造り上げた陽炎
「ボキがおししょーしゃまに弟子入りしたのは」
「!?、ミチルちゃんの剣が・・・!」
「ふふっ♪
(どんな使い方をするのかと思ったら
まさか武器じゃなく燃料として使うなんて)
舞台はいつだって何が起こるかわからない
教えたことちゃんと覚えてたんだね 弟子」
「ボキが選んだボキの生き方は」
ソレにキラめきを宿らせれば
舞台上で実体のある幻影となり、盾となり
魔王の火球を紙一重で躱すに至る。
「まちがいなんかじゃないぃーーーっ!!!
でっ!!!しゅーーーーーーっ!!!」
「だったら!、あたしももう遠慮しない!
真っ向勝負!!」
パ ァ ア ン ! !
「《スパイクバスター》キエエエィッ!!」
「よこせ馬鹿坊!!《メルダイナー!!》」
〔「ヴォオオオオオオン!!〕」
遂にいちえの真ん前にまで到達したジュエルビーモンが右手の槍を光速で振るい、衝撃波を放てば
今まで開かれていた扇子が勢い良く閉じられ
レーザー状の熱線を模した突きが繰り出された。
ジ!! ュゥッ!!!!
両者の技がぶつかり合った結果
玉虫色の甲虫戦士の手から武器が失われ
舞台少女の懐からは懐中時計が滑り落ちる。
「ーーーーーー!!」
「ヒ、ン・・・っ」
直後、いちえの衣装からラヴォガリータモンの意匠が喪失。
自由落下が始まる中で彼女は見た。
己の魔神機が蒼玉のキラめきを含んだ糸に絡め取られているのを。
「《シルクスレッド》
先端が尖った針のように硬質な糸
さっきの《スパイクバスター》は熱を取り除く為の布石?」
ミチルが『制服』の襟首に備わるロード・デヴァイサーの画面をなぞればパートナーのデータが脳内に送り込まれる。
「それにしたって
残ったソウル全部使っちゃうなんて・・・・・・・・・勝ったけど、負け、かな?
コレは」
「ヒンーーーっ!!?
ボキおっこちてるでっしゅーーーっ!!」
「あたしも~~~~~~!!」
「あははは♪
は?」
音無いちえの衣装からデジモンの意匠/鳳ミチルのレヴュー衣装
が消えたことでレヴューの幕が降りた舞台上に降り注ぐのは
粉塵〔「《ワイルドブラスト!!!》」〕
「ヒ?」「ば
ばああああああかああああああ!!!」
ヂュッ ドオオオォーーーーーーン!!!
〔「「「「「
爆発オチなんてサイテー!!!」」」」」〕
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
コレにて獄中の章 改め 哭虫の章、終了。