少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - 作:リカル
☆抑制の章
舞台の各所でエーデルと演劇同好会が激闘を繰り広げる中、リュウ・メイファンと田中ゆゆ子の間にだけは静寂が広がっていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・ハ・・・ぁ・・・」
この場にある音は時折漏れる微かな吐息と
頬を伝う汗が荒廃した大地へと落ちた時のみ。
「(いやはや、本当に参りましたね~
こちらはもう、兜の下が汗だくだというのに
あちらは剣先すらも揺れていないとは)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それすらも、ゆゆ子のモノだけだ。
メイファンの方は呼吸も表情も一切乱れていない上に汗ひとつかいておらず
堂に入った構えで蛇矛・ルビーンヘッレバルデを掲げたまま微動だにしていない。
「(完全に当てが外れてしまいました
コレが幼少の砌より舞台に立っていたヒトと
そうでないモンの差・・・
よもや、こんな時にまで思い知らされるなん
て!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「(ほ、ほんの少し複腕を降ろしただけ!
なのに!! 危ういと思わされたッ!?)」
思案に暮れるあまり生まれた隙は僅か。
その瞬間を狙い済ましたかのように紅玉の君から放たれるプレッシャーが膨れ上がり、完全体と一体化している己が身を飲み込み
気圧した。
「(く!、最早根比べでは敗けを認める他ありませんか・・・!
とはいえ、このまま開き直ってデジモン頼りのゴリ押しをするのはあまりにも無様)」
〔「ユユ!、ユユ!
グラウンドラモンに頼ってくれるの!?
だったらもう抑えるのやめて欲しいカナ!
コレじゃユユの敵を消せないから!」〕
「・・・・・・・・・ーーー!!」
ただでさえ動揺していたゆゆ子の脳内に『不愉快な雑音』が混じれば、兜の影に隠れた唇が真一文字に強く結ばれる。
「クカカ・・・」
「(え?)」
その時だ
「クカ♪
クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカァ~♪♪♪」
彼女の右隣からもっと耳障りな哄笑が聞こえてきたのは。
「(
なんで今まで思いつかなかったんでしょう
この舞台、パートナーとなるデジモンが居なければ舞台少女は無力
ならば)《メガト「《疾風天翔剣》」
ぁ? 」
脳裏に浮かんだ『脚本』を実行すべく体を捻った途端
懐に衝撃が走り、植え付けられた破壊衝動が霧散。
ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!
「!? !! !?! !!!」
一拍遅れで宝石を研磨するような甲高い音が舞台上に鳴り響き、銀幕の残滓と白い羽が舞う。
「(コレは、クダモンの完全体?
いつ?、さっき?、いくらなんでも早すぎるッ
まるであのアルフォースブイドラモンの・・・
!、いけない!!)」
「グガガガ!」
冷えた頭を少し下げれば、魔神機の文字盤に中国神話に現れる伝説上の聖獣に似た姿をしたデジモンの角が刺さっているのが見える
・・・が、ゆゆ子がもっと危惧しているのは
「やはり、あなたは最高ですクダモン
いえ!!!!! チィリンモン!!!!!」
「(来る!!)」
この大山鳴動。
極限にまで抑えていたモノが解き放たれ
まるで火山が噴火したかのような勢いで深紅と銀のキラめきとソウルを熱く迸らせながら
ルビーンヘッレバルデを構えたリュウ・メイファンが突っ込んできた。
「離「《改心の波動》」ッ!?」
「やあああああああああああああ!!!!!」
「ぁ・・・・・・・・・」
独特の曲線を描く刃が到達するより先に
ゆゆ子はチィリンモンを引き離そうとしたが
聖なる翼から放たれる破邪のオーラにより
今の彼女の力の源・・・魔王の呪縛が弱まる。
つまりは
「ユユに何をするのカナ?」「「!?」」
魔神機に封じられていた凶暴な地竜・グラウンドラモンへの枷が失われたということ。
「まに」
「《ギガクラック》」
「あええええええええええ!!!!!!」
輝きの無い空に浮かんでいた緑色の巨体が
紅玉の君とそのパートナーデジモンごと荒れ果てた大地へと落下すれば
抑制改め翼聖の章は真っ二つに裂け
続行不能となるのであった。