少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE -   作:リカル

32 / 32
☆輝きの無い世界・大穴の縁南部








ふぁ   さ



ー~ー~ー~ー~ー~ッ



メイファン!!!、さ!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



よかっ、た      いき、してる」



底が見えぬ程に深い亀裂の内壁に
苦無を突き立てて這い上がらんとするのは
凛明館演劇同好会部員・田中ゆゆ子。
彼女の背中にはリュウ・メイファンが
頭の上にはクダモンが
意識が無いのかグッタリとした状態で収まっていた。

「はぁっ、はぁっ、まさに間一」





ギチッ ギ ギ ギ ギギィー・・・・・・・・・! 





「つう!?!」

真っ黒になった細い指先が崖の縁にまで到達すれば、土で汚れた小豆色の和風衣装の上で
不気味な悲鳴が上がり、火花が踊る。
発生源は・・・



もう一本の凛明亭遊眠に貫かれた魔神機。



グラウンドラモンの《ギガクラック》が完全に決まる寸前、ゆゆ子が自刃したのだ。
でなければ、メイファン達のダメージはこんなモノでは済んでいない。

しかし





ギギギギギギギギギィイイイイイイ!!!




「!?、か・・・!、あ!!」



そんな彼女の事情等、七大魔王からの贈り物にとっては知ったことではない

だから、自己修復機能を勝手に発動させ

持ち主から生命エネルギーを奪っていく。



「そ、んな!

(あと少し なのに! 『また』!?)」



縁にかけた指から力が抜けていく最中
ゆゆ子の脳裏を過るのはあの獄炎のレヴュー
己が無力を心の底から嘆いた忌まわしい記憶。

「(結局、私は、あの時となにも



       「ゆっこお!!!」



                るい?」



「の、ぼって!! はやくッ!!」「!!」




この絶望に飛び入りするや否や
塁は崖から身を乗りだして友を掴んだ。
すると、虚脱感に苛まれていたゆゆ子の体に力が戻る。



そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「「はっ! はっ! はっ! はぁ!!」」



無事、メイファン達共々引き上げに成功。
ふたり並んで荒れ果てた大地の上にへたり込むと激しく呼吸を繰り返すのであった。

「あ、ありがとうございま
!!?」
「ゆっこ、私『今度』は間に合った?」
「は、い
だけど、るい、ソレ・・・」
「大丈夫、その内治るから」
「ーーーーーッ
メイファンさんに負けず劣らず
しおりんもキラめいたようですね」
「すごかったのは彼女だけじゃない
ヒョコモンも、それにファンビーモンも・・・」



〔「舞台少女の本気は舞台の上での演技だろ?」〕



「(あんなこと言って、私を褒めてたのに
本当は栞さんのことだけを一途に想ってた)
あの子の方が私よりよっぽど役者だった
舞台少女じゃないのに、デジモンなのに
舞台、してたんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

暫しの時間を経てお互いに息は整った
しかし、心の整理はまだつかないらしい。
塁は盛大に焼け焦げた衣装に手をやりながら俯いており、ゆゆ子は友の痛ましい姿を目の当たりにして何も言えない様子。



「うわあああーーーーーーん!!!

ミ チ ル ちゃああああああああ!!!」

「ヒンーーーっ!!!ヒンーーーっ!!!」




「!?」
「い、いちえさん??」

すると、落ち込んでいたふたりの元に
何とも騒がしい一団が近づいてきて・・・。

「あ、ははっ、ふたりともごめんねー・・・
ミチルいまみみきこえなくて・・・
なにいってるかわかんない・・・」
「「うわあああーーーーーーん!!!」」
「だ!、けど・・・
できればしずかにしてほしい、な・・・?
ろっこつ、いた・・・ぃ・・・・・・・・・」
「「(もっと重傷なヒト居たぁ!?)」」

その正体は和風衣装にしがみつきながら泣き喚き散らすワームモンと
同レベルに声を張り上げ涙を流す音無いちえ。

「ひっぐ!、ぅぅ!
るい"~~!!!、ゆ"っこぉ~~!!!
ミ"チ"ル"ちゃんがああ"あ~~!!!」
「な、なにがあったかはとんと存じませんが・・・!」
「兎に角落ち着いて下さい先輩!!
ワームモンも!!
鳳さん痛がってますから!!」
「「あ"あ"あ"ぁ~~~!!!」」
「         」
「鳳さん?、鳳さん!!?」
「顔色までもが蒼玉になってますよ!!?」

彼女におぶさる鳳ミチルは
普段は一部の隙も無く着こなしている白い制服を乱し、汚し、破いており・・・
裂け目からは0と1の粒子をポタポタと溢している。

「(まるで爆発に巻き込まれたかのよう
・・・・・・・・・いえ、恐らくきっとそうなんでしょう
大方、私同様にレヴューの最後の最後で)
!!」
「ゆっこまでなに!?」
「アイツ!!!、どこへ!!?」
「あなたのパートナーならあそこで凍ってるけど・・・」
「は?、え!?、あ!!」
「本当に気づいてなかったんだ・・・」

喧騒の最中、突如目の色を変えて辺りを見渡すゆゆ子に塁が若干引き気味で指を差せば
そこにはターコイズグリーンの鱗を持つ竜が氷漬けにされていた。

「アイツの足元に落ちているのは文さんの?」
「だと思う」
「・・・・・・・・・ということは」
「うん」
「「・・・・・・・・・」」
「(ゆゆ子ちゃん、塁ちゃん
落ち込んでる所申し訳ないんだけどさ)」
「うわあああ~~~ん!!!」
「おししょーしゃまーーーっ!!!」
「(そろそろ代わってくれないかなー?
あ、まずッ・・・いしき・・・・・・・・・)」





リリリリリリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!





「ぁ」

「「「「ん?」」」」




「お姉ちゃんコレって!」

「・・・・・・・・・」





ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!





「開幕のベルが鳴ってるヨン」

「鶴」

「はぁーっ、拗ねてる暇もありませんねー」





ジリ「あきらさん!!!!!」「「「「うわぁ!?」」」リリリ!!?







Omnibus of the Revue エイコウ

☆輝きの無い世界・大穴中央部

 

 

 

 

 

ジ! ジャリッ

 

ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

「(この音「役作りが甘いな」は!?」

 

 

 

絶え間無く迫る鉤爪がついた魔の手の群れ。

 

ソレに向けてランスを振るう度

 

腐食していた穂先とぶつかり

 

 

 

「こんなモノか?

 

貴様が演じる七大魔王の遣いとやらは」

 

 

 

【色欲】に犯された上部が削ぎ落とされ

 

より鋭利、より目映い

 

王者のキラめきへと再生産された。

 

 

 

「其方の底は知れた

 

ならば、これより先は」「王の舞台となります

 

 

 

御無礼」「!!?」

 

 

 

直後、舞台が暗転

一寸先も見えぬ程に濃い闇夜が両者を包む。

 

「聖翔やフロンティアの攻撃を防いでいたのはその『囲い』か?、貴様らしい能力だな」

「くっ!」

 

その中で光を放っているのは

尊大な立ち振舞いで相手を見定める白金の君と

肩と腕に装着された盾より発生される電気のバリア。

突如発生した闇夜により、見えない壁のカラクリを暴かれた珠緒は薄ぼんやりとした電光に照らされた口元を固く結び

 

「よもや、こんな方法で此方の種を割るとはッ

 

 

 

ですが、闇はマモノのナワバリですよ?」

 

消灯。

 

 

 

己をすっぽり覆っていたバリアを喪失させると

闇夜に紛れ、音も無く晶の元へと忍び寄る。

 

 

 

「その通りですね、珠緒様」

 

「!、!?、!! (動けない!!?)」

 

しかし

 

「ですが

 

この場のマモノは貴女だけではありません」

 

 

 

鉤爪を突き出す寸前、盾越しに両肩を鷲掴みにされてしまった。

 

「まさか、貴方は・・・!」

「嗚呼、それからひとつ付け加えさせて下さい

闇は潜むだけでなく」

 

最も、相手は鷲ではなくて八咫烏・・・ファルコモンの完全体・ヤタガラモン

その漆黒の翼から発する黒い光《羽黒》にてこの一帯を闇夜に変えた張本鳥。

 

「光を

 

 

 

王の威光を引き立てる!!!」「!"!?」

 

 

 

動きを封じられた珠緒の眼前で

苛烈なる白金のキラめきとソウルが放たれる。

 

 

 

「が・・・・・・!!」

 

「はああああああああああああ!!!」

 

 

 

暗闇に慣れた目を容赦無く焼かれ

悶えるマモノの胸元にプラティーンランツェが

 

 

 

「足りない」「!?」「な・・・!」

 

 

 

届かない。

 

珠緒は白金の穂先を超小型バリアで防ぐと

 

兜の頂点に至極色のキラめきとソウルをチャージして・・・

 

 

 

「あの日、あの『迷宮』で、あの絶望で見た

 

 

 

あの輝きはこんなモンじゃなかった!!!」

 

《ライトニングバスター》発射!!!。

 

 

 

「~"ー~ー~ーッ」

 

「ヤタガ「あなたも見たでしょう?」!?」

 

「白金の君、シークフェルト音楽学院生徒会長

 

雪代晶さん」

 

「く!」

 

「お・・・!、王!!、今いきます!!」

 

 

 

「光が強ければ影も濃くなる」

「ゲーテの言葉ね」

「うん」

 

雷光と共にバケモノは闇夜を引き裂き

盾から伸びる鉤爪に少女を捕らえ、輝きの無い空を上がっていく。

 

「ぶ、え!、ぇ・・・・・・・・・」

「炎の!、お前いい加減にしろ!

最速殿はおいもさんじゃないんだから!

低温でじっくり熱入れたってデンプン質は変化しない!!!」

『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』

 

大穴を越えて届けられた悲痛な叫びを耳にし

何が彼女をあそこまで駆り立てているのかを知った聖翔とフロンティアの面々が視線を件のデジモンに集中させるも・・・当の『光』は今それ所じゃない。

 

「なぁ、香子」

「うちには関係無い話どす」

「いや、でも」

「それに」

「それに?」

「あの子があそこまで自分を追い込んではるんは多分ブイはんに助けられただけが理由やないと思うんよ」

「え」

 

 

 

「ここから何が見えますか?

 

 

 

何も見えませんよね?」「ーーーーーー!」

 

 

 

観客達が仰ぎ見る遥か上空にて

 

珠緒は異形の膂力を振るい、晶に頭を垂れさせ

 

どこまでも続く凄惨たる光景を見せつけた。

 

 

 

「もうここには何も無いんですよ

 

フロンティアも聖翔もシークフェルトも

 

 

 

ッ、私達の凛明館も・・・!!、ぜんぶ!!

 

 

 

わたしが   いじなんてはったから」

 

 

 

「珠緒、様?」

 

 

 

ヤタガラモンが今だ痺れが取れない翼をはためかせていると、雨雲ひとつ無い空より温かな雫が落ちてきて・・・。

 

 

 

「きづいてたのに!!

 

アルフォースブイドラモンが花柳さんのパートナーだって!!

 

なのに、なのに私

 

わたしソレをいえなくてッ

 

 

 

だから、だから・・・! こんなことに!!」

 

 

 

「たまおちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

悲劇を嘆く叫びに地上の華恋は目元を潤ませ

 

 

 

         「なるよ」

 

 

 

「ぇ」「あるる、殿?」

 

 

 

 

「(あの時珠緒ちゃんが話していたとしても

 

 

 

あの子「おーっとぉー!」あぷ!?!」

 

 

 

「「ぴ!」」

 

あるるの顔面は陥没!?。

 

「舞台の最中に余所見は禁物だぜ?」

「ぷは!

よ、余所見なんて私してない!」

「いーや!、してた!」

「してないもん!!!」

「しーてーたーーー!!!」

「しーてーなーいーーー!!!」

「「むぅううううーーーーーー!!!」」

「ふ、ふたりともそんな騒いだら周りの迷惑だから・・・!」

〔デモ、ミソラモアルルノ方ヲ〕

「わー!!!、わー!!!」

「あるるちゃん、シャウトモン、美空ちゃん

静かに」

「「「ひっ!?、ひゃい!!」」」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

舞台少女の熱演には距離も鼓膜も関係無い。

故に、制服姿の少女の元にも届く。

同じ痛みを抱え、同じ相手に吐き出した彼女に。

 

「(まるで、あの時の再演)

 

だけど、今は」

 

 

 

「ワ   タ   シ   が   い  

 

 る   ぅ   !   !   !」

 

 

 

『『!?!』』「あははっ♪」

 

突然、ミチルを含めた観客達と

演者との間に割り込んできたのは天涯の翼。

 

「ケキキキキキキィ★、マッカーサー★

『前』のでしゃばりを『今』の自分

舞台少女のパートナーに生かすとは・・・!」

 

オーバーライトを用いて無理矢理王の元へと馳せ参じた臣下の姿に裏方は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「《甕布都神(ミカフツノカミ)!!!》」

〔「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」〕

「シィィィィィイイィィィ!!!」

 

一方、舞台上の主演は究極体からの攻撃すらも耐え切る程に強固な電気のバリアを展開、迫るふたつの鉤爪を防げば

 

 

 

内側で鉤爪の破片が舞う。

 

 

 

「え?」

 

「無駄ではない そして 何も無い筈がない

 

 

 

私が立つ場所が」「王の舞台なのですから

 

 

 

直後、『3』本目の脚がバリアを粉砕。

 

 

 

「待「貴様がこの絶望の底で

 

悲劇のヒロインを演じたいのならば」

 

「どうぞ御自由に」!?」

 

「その間にも、王は上へと往きます

 

ワタシがこの翼で連れて往きます・・・!!」

 

「ふっ!、お前も随分と言う様になったな」

 

「何せ、厄介なモンに観られていますので」

 

 

 

そのままヤタガラモンは自力で拘束を解いた晶を乗せて更に上へと飛んでいく。

未だ衝撃から立ち直れない珠緒を置き去りにして。

 

「ロード・デヴァイサーはアキラサンのモンを中心にネットワークが形成されている、が!

エネルギーの相互関係がエーデルだけじゃなくてパートナーデジモンのモンにまで影響しているとは・・・!

やっぱトーチャンスッゴーい!★!」

〔「え、ワシ、知らんけど」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

名付けてオーバーライトリンク!!★!!

 

 

 

古代種の荒ぶる感情がパートナーの身体能力を格段とパワーアップさせるんだゾ★」

〔「アイツ勝手に名付けてっぞ!?」〕

〔「後で《ウィニングナックル》な」〕

「イヤーン★、ガオチンキッビシー★

さて、貴女はどうで・・・ソーキマシタカー」

 

 

 

「私が演じているのは

 

只の悲劇のヒロインではありません・・・!」

 

「「ほぅ?」」

 

 

 

「あれは!!」

「ヒー?」

「あのバリアの使い方

デッカードラモンの、最期の出番と同じ」

『・・・・・・・・・ッ』

「はっ!、当てつけてくれるわー」

 

直後、広範囲のバリアが1人と1体に並ぶ様に発生。

地上で聖翔の舞台少女と彼女らのパートナーデジモン達が苦渋の表情を浮かべるのを余所に

巴珠緒は進化により失われた筈の優れた俊足を

体で覚えた感覚と飛行能力で再現し、電気の上を駆け上がる

 

 

 

「ならば なんだ? お前の役は!?」

 

上がる

 

「絶望の底から舞い上がり・・・!」

 

上がる

 

「主役をも食う! 悪女!」

 

上がる

 

 

 

上がる!上がる!上がる!上がる!!上がる!!

 

 

 

八咫烏に騎乗せし王の槍と

    己が盾をぶつけ合いながら!!!。

 

 

 

「ホッホウ!、随分と【傲慢】な ッ!?」

 

 

 

「ソレが私の罪」

 

 

 

「お、おい!!

アレ七大魔王最強のルーチェモンの必殺技《グランドクロス》ジャン!!」

「Quoi!?」

「そのような技までも彼女は演じられる、と?」

「うひょひょひょひょお~~~~い♪♪♪」

「よ・ろ・こ・ぶ・なぁあーーーーーー!!!」

 

 

 

その最中、魔神機の文字盤には紋章が浮かび

 

頭上では10個の超熱光球が惑星直列の様に十字を描く。

 

 

 

「ヤタガラモン!!!」

 

「はっ!!」

 

 

 

「《グランドクロス!》」「「《甕布都神(ミカフツノカミ)!!!》」」

 

 

 

「「「真っ向勝負!!?」」」

「へへっ!、さっすがは俺のライバル!」

 

全身から白金の0と1を迸らせた晶とヤタガラモンが、最強魔王の必殺技へ自ら飛び込む様にフロンティアの2年生トリオが絶叫を上げ、シャウトモンはニヤリと笑った

 

 

 

が、しかし

 

 

 

『『え?』』     「「な・・・!」」

 

 

 

その表情は一瞬にしてカワル

 

他の観客達も、演者も、裏方もみんな。

 

何故ならば、巴珠緒の《グランドクロス》が

 

呆気なく消滅してしまったから・・・。

 

「まぼ、ろし? 偽り? いや、違うアレは

 

 

 

【虚飾】!!? まさか、彼女の真の罪は」

 

 

 

〔「彼女だけじゃないよ、舞台少女という存在は誰もがその罪を背負って生きているんだ

 

クスッ!、面白いだろ?」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・自分の技を前座に使われたというのに随分とご機嫌ではないか?」

〔「そっちこそ、口調が前世帰りしてるけどいいの?」〕

「チッ!!」

 

脳内に直接届く軽口をスルーし、マタドゥルモンがディスプレイを隈無くチェックすれば珠緒の衣装にある変化が起きていた。

 

「思わず全力で突っ込んでしまう程に

 

 

 

名演技、だったでしょう? 雪代さん」

 

 

 

兜が消え、露になった顔は勝ち誇っており

たおやかな指先は咲散花の柄にかかっている。

 

「巴!!、貴様ぁー!!!」

「く・・・!」

 

晶の叫び声を耳にしながら、ヤタガラモンは急速旋回。

大分離れてしまった珠緒との距離を再び縮めるべく、大きく翼をはためかせた。

 

 

 

 

 

     バ チ ィ ン ! ! !

 

 

 

 

 

『ぅわあああああああーーーーー!!??』

 

直後、凄まじい稲妻が大気全体へと行き渡り

 

王と臣下の行く手を阻む。

 

「ふーーーん

 

 

 

ひゃかひゃかひゃるひゃひゃいいいいいっ」

 

 

 

「ひゃか!!ひゅひゃっへほお!!!」

「フレイモン!!フレイモン!!?

盾になってくれるのは嬉しいけど!!

おもいデスぅうううううううーーー!!!」

「                」

 

そのエネルギーは地上にまで伝わり

地上の観客達にさえ襲いかかる程に狂暴、凶悪。

 

 

 

「あの構えは、居合い!?」

 

「珠緒も新技出す気なんだ!!」

 

「せんぱぁああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

同好会の面々が固唾を飲んで見守る中で

 

虚空に浮かぶ部長が抜刀の動きに入れば

 

手にしたキラめきにライジルドモンの頭部を模した鍔が追加され

 

高出力の電撃が白鞘の内に集束

 

 

 

「《ライトニングバスター・一閃・・・!》」

 

 

 

稲妻の斬撃が居合いの要領で放たれ

 

電流の網に囚われた八咫烏に直撃

 

 

 

空中で至極色の0と1が爆煙のように広がった。

 

 

 

『『あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』

 

 

 

その中から力なく落ちていくのは

 

小さな鳥型デジモンと黒焦げになったランス

 

 

 

「「「「「まだ

 

 

 

まだよ

 

 

 

まだ晶は終わってないわ!、珠緒ぉ!!!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

だけ。

 

 

 

「ゴホッ!! 御無礼・・・!!」

 

 

 

エーデルが確信していた通り

 

雪代晶は衣装を所々焦げつかせながらも健在。

 

《ライトニングバスター・一閃》が直撃する瞬間

 

臣下を名乗るパートナーデジモンはプラティーンランツェを避雷針にし、それでも逃がしきれない電撃は己が身で受け止め

 

 

 

そして

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「!?」

 

 

 

王を勝利への道まで飛ばしたのだ。

 

 

 

「(雪代さんもまだ武器を出せない・・・?

だけど、あの気迫間違いなく何かがあるッ)」

 

ボロボロな銀のジャケットを翻し、勇壮に宙を舞う白金の君が迫る中で盾のバケモノが取った選択は最大の防御

すなわち、圧倒的な攻撃。

 

「このレヴュー「勝つのは

 

 

 

        私だぁ!!!」」

 

 

 

互いに我欲を剥き出し【傲慢】をぶつけ合えば

 

 

 

両者の間で星々が十字を描き 穿たれる。

 

 

 

「ぇ」

 

 

 

「同じ展開が何度も通じると思うなよ」

 

 

 

珠緒が再現した実体のある《グランドクロス》

 

その支点たる中央の星を射抜いたのは

 

晶が投擲した独鈷杵・・・《甕布都神(ミカフツノカミ)》。

 

臣下が文字通り身を削って残した献身が

 

かの七大魔王の必殺技を発生前に潰し、突き抜け

 

 

 

バケモノが構えた両手の盾をも0と1の状態にまで分解するのであった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッッ!!!」

 

 

 

〔「ちょっと、ルーチェモン」〕

 

〔「ふふふっ!、ごめんね珠緒

 

だって、今の彼女には」〕

 

 

 

驚愕に見開かれた巴珠緒の瞳に映るのは・・・

 

 

 

「(古代種というのは誇り高い種族

 

それでも尚、お前が私を『王』と呼ぶのなら)

 

        わたしを」

 

 

 

〔「この演出こそが相応しい!

 

僕にそう思わせてしまったんだから!」〕

 

 

 

《グランドクロス》の残骸が無数の白い羽と化し

 

 

 

「導け!!! ポジション・ゼロへ!!!」

 

 

 

雪代晶の背に集い、彼女の翼となる光景。

 

 

 

『『銀の、翼・・・・・・・・・?』』

 

「あの輝き

 

古き時代のデジタルワールドを制した聖鳥

 

ヴァロドゥルモンと同じ!?」

 

 

 

ソレは白金のキラめきとソウルを受け

 

銀の輝きを放ちながら王を運ぶ、光の速さで。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

ギィイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

 

 

 

 

 

「う!!」

 

白く染まっていた視界が色を取り戻せば、突き出した独鈷杵は魔神機を粉砕しており

断末魔の叫びが晶の耳をつんざく。

 

「ーーーーーーッ

(呆けている場合か『雪代晶』!?

この程度のことで、このレヴュー

終わらせることなど・・・

『白金の君』としてあってはならない!)」

 

一瞬、大音量の怨嗟に体が固まりかけるも

彼女はすぐさま自分で自分を奮いたたせ

手の中で消滅寸前の独鈷杵を横へと滑らせた。

狙うは肩当ての紐、目指すは完全勝利。

 

 

 

「このまま「繝、だ」は・・・?」

 

 

 

その時だった

 

 

 

「繝、だやだ繝、だやだ繝、だいやだ繝、だ!!!

 

繧ウ繧ウで負けたら繝ッ繧ソ繧キなんの為に

 

みんなを蟾サ縺崎セシ繧薙□の?」

 

 

 

珠緒の全身に赤黒い傷痕が浮かんだのは。

 

 

 

「珠緒ッッ!!?」

 

「アレは壊したのになんでまだ!!?」

 

この光景に姉妹は悲鳴を上げ

 

 

 

「ウィルス種?   魔人、型??」

 

 

 

宰相はロード・デヴァイサーを通じて送られた情報を飲み込めないのか譫言を呟くばかり。

 

「双葉ちゃん!!!」

「ああ!!、巴の奴外しやがった!!」

「外したってなにぃ!!?」

「「ニンゲンとデジモンを隔てる壁」」

「ふえ?」

「ッ、飛竜め!!

アイツは余計なことしかしないのか!?」

 

 

 

〔「ほら、ルーチェモンが贔屓なんてするから

珠緒が人の道を外しちゃったじゃない」〕

〔「いーけまけんなぁ♪、いっけまけんなぁー♪」〕

〔「え~?、コレって僕のせい?

まあ、ここは寛大な心でそういうことにしておいてあげるよ、ゴメンネゴメンネ~!!」〕

〔「ぬふははははははははははははは!!!

い、良い煽りだッ、ムカつく!!!」〕

〔「というか、俺らと契約した時点で

人の道も何もあったもんじゃないだろ?」〕

〔「そだね~~~」〕

 

 

 

「く・・・あぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

 

 

 

観客席が混沌の坩堝にはまっているが、演者も大概な状況だ。

何せ、今の珠緒は

 

 

 

爪が鋭く伸び 開いた口からは牙が見える

 

 

 

が、もう飛べない。

 

 

 

故に、空中で彼女に組伏せられた晶は共に大穴・・・奈落へ。

 

「ッ、珠緒先〔「駄目だよルイ」〕い"?!」

〔「二人も、今は手を出す場面じゃない」〕

「「ぐ!!」」

〔「(フミは、大丈夫そう・・・いや違うな

『頭』を信じているのはあの子だけじゃない

だから、君達も)

ちゃんと観るんだ巴珠緒が雪代晶と演じる

 

 

 

命がけの大舞台を」〕「「「!」」」

 

 

 

思わず飛び入りしそうになった玩具らの足を魔王が地面に縫い付けたのはほんの数秒。

だが、それで十分だ

焦りに曇った眼を舞台に向けさせるには。

 

 

 

 

 

「ああああ繧ヲ繝ッ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああ!!!!!「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

落ちていく

 

互いの衣装に備わる紐を

 

     鋭利な爪/独鈷杵に引っ掻けたまま

 

落ちていく

 

 

 

魔王の玩具/白金の君を最後まで演じる為に。

 

 

 

 

 

 

        ブ チ ッ ! !

 

 

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

鈍い音と共に各々の象徴が天を舞ったのは

 

 

 

完全に同時

 

 

 

コレにて影光の章 改め 栄光の章は終了。

 

 

 

しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あ

 

 

 

アキラァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」

 

 

 

「あの子ッ、ほんま!! もう・・・!!」

 

 

 

『『!!!』』

 

 

 

レヴューが終わると晶も珠緒も限界を迎えたのか気を失ってしまい、ふたつの身体は大穴の中に消えた

 

 

 

次の瞬間『土』が轟音と共に隆起する!?。

 

 

 

『『え』』

「「ウィザー、モン・・・?」」

 

呆然と呟くあるるとシャウトモン並びに観客達の目の前に広がるのは、大穴の内よりクモ巣状に盛り上がる大地。

その一部に引っ掛かっているのは勿論

 

 

 

傷つき 迷い 悩み抜いた挙げ句に

 

ハートとハートでぶつかり合った主演達だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにはぁともあれぇさておいてぇ・・・

 

めでたしめでたし!、ですなぁ!」

 

 

とある高層ビル

 

 

その社長室に投影された舞台で

 

 

爆発する歓声を福耳でとらえながら

 

 

部屋の主たる老人はほくそ笑む

 

 

「めでたし?、何を言っている?

 

あんなモノはタダの空騒ぎだろう?」

 

「だ~よね~・・・ぐぅう~~~・・・・・・・・・」

 

 

フードで顔を隠す大柄な男は正論で煽り

 

コアラは寝言で同意を示す

 

 

「確かに、今回のレヴューがどう転んだって

 

『黒の逢魔』には何の影響も無い

 

だけど、『針』は確かに進んでる、うごいてる

 

イッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッ♪」

 

 

カラフルなワニは推しの泣き顔からしか得られない栄養素をゆっくりじっくり咀嚼している

 

 

「ああ、どいつもこいつも旨そうにこえたな

 

ジュルリ ゴクッ」

 

「ほんと、おいしそう・・・フフフッ!」

 

 

フルフェイスの下ではヨダレが止まらず

 

黒髪の美女は紅潮した頬を両手で押さえている

 

そして、首魁たる美少年は・・・・・・・・・

 

 

 

〔「友よ

 

 

 

デュナスモンよ

 

 

 

奴等を救った意図を今此処で問おう」〕

 

〔「直接この手を下さねば私の気が済まない

 

それだけの話だ、友よ

 

 

 

ロードナイトモンよ」〕

 

 

 

 

「く・・・

 

くっくっくっ!

 

あはっ

 

 

       は!

 

は! は!

 

はははは

はははははははは!!!ははははははははははははははは!

 

 

         ははははははは!!!!」

 

 

天使のような貌を

 

 

       悪魔のように歪めるのであった

 

 

 

 

 




週間更新はこれにて終了
再開は6月頃を予定しています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。