少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - 作:リカル
胡蝶静羽がメフィスモンに拐われていた頃。
『『〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕』』
輝きの無い世界『迷宮』の最奥部の扉
その目の前にあるると美空、ララフィンはエーデル達と並び立っていた。
「ねぇ、みんなは気づいてる?」
「ここに来るまでプレイヤーにしか遭遇してないことですか?」
「『迷宮』のデジモンは幼年期すら姿を見せていません
恐らくは・・・」
「私達を誘っているな」
「望むところです!!!」
「行くよシャウトモン!!」〔「OK!!」
「バリスタモン!!」〔「フンガ!!」
「スターモンズ!!」「『YEEEEEEAAAAAAH!!』」
「「「デジクロス!!!」」」
神機・イミテーションやクロスローダー内でデジモン達の回復が終わるや否、X2が先頭になって扉を破る。
「オレにはオレがわからない」
『!?』
最奥部に佇んでいたのは
幾つもの目玉が浮かぶ漆黒の骸を鎧とし
両手には血のような色をした剣を備える
金の髪をした人型の『闇』。
「何故オレにそんなことが言える?
何故オレの罪から目を逸らす?
何故オレの救いがわからない?」
ソレは踏み込んできた舞台少女にもデジモンにも目もくれず、ヒトリ言を続けていた。
「や、やい!
お前がこの『迷宮』の親玉なのかよ!?」
「そうさ、救いさ
『黒の逢魔』はオレが救わなくちゃいけない
だからこそ、オレが必要なんだ
オレの罪を償う為に」
「さっきから何を言っている!?」
「オレは正常だ、異常なのはオレの方だろ?」
「・・・・・・・・・なんだか取り込み中みたいだけど」
「あれだけのことをしてくれたんですから」
「遠慮無く行かせて貰いますよ!!!」
「ファンビーモン!」
「お前の罪はハニーの大切なモンを害したことだヨン
だから
命で購えッ《ターボスティンガー!!!》」
「・・・・・・・・・」
激情によって舞い降りた銀幕
そこから放たれるのは大口径レーザー砲の連射と目に見えない風の刃
「ヒョオオオオオオゥ!!」
「《スパイキングフィニっしゅーっ!!》」
「《メガダッシュインパクト!!》」
更には
斬撃と刺突、強靭な脚力により体当たりが『闇』へと殺到。
「〔《ホーンブレイカーDX!!!!》〕
からのぉー!、《スターアックス!!!》」
「「「うぁああああああーーー!!!」」」
フロンティアも負けてはいられない。
X2に追随し、舞台少女達が銃火をランスをハンマーを思いっきり叩きつける。
「棒切れ振り回す猿共の何処がいいんだ?」
『ッッッ!!??』
彼女達も、パートナーも、誰もが全力だった。
なのに、『闇』は微動だにしない所か・・・
「?、聞こえなかったのかオレ?
猿だよ、猿
ああ、オレの方は子猿だっけか?
・・・・・・・・・何故怒る?
オレに八つ当たりするのは止めろ、オレ」
眼中にすらない。
「オレにはオレが本当にわからないんだ」
「ヒョオッ?!」
「ぶ、ブライモンさ!、がはぁっ!」
「『黒の逢魔』はオレの罪だ」
「だからお前の罪は、ー"ーー!!」
「グガァアアア!!」
「だからこそ、オレがこの手で償うべきだ」
「「!?!」」
「美空!!、ララフィン!!、んわ!!?」
「アルル!!?」
「新世界を造るべきはオレと『黒の逢魔』だ
オレみたいな猿に飼われたモン達じゃない」
「お前ぇーーー!!
さっきから何言ってんだよぉおーーー!!?
《バディブラスタぁあーー!!》〕』」」
無造作に振るわれる剣や光線により
エーデルのデジモン達が、パートナー達次々と吹き飛ばされていく最中、シャウトモンX2は強引に『闇』へと組み付くと
渾身の必殺技をゼロ距離でブッ放す!!!。
「今オレが何をしてるかって?
特に何もしてないが?」
「!!」
〔シャウトモン!!〕
「しっかりしろ!!、兄貴!!」『兄貴!!』
それでも ヒトリ言は止まらなかった。
「嘘、アレでも通じないの・・・?」
「だったら!!
私達が自分でやるしかありません!!」
「は、はい!」
「待ってメイファン!!、栞も!!」
「ッ」
「晶まで!?
あーーー!!、もう!!
やちよ!、援護お願い!」
「ちょっ!?」
すると、エーデル達はパートナーの進化を解除。
消耗した状態にも関わらず気高きソウルとキラめきを迸らせると、戸惑いながら放たれたボウガンの矢と並走して駆けて行く。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ーーーーーー!!!
何故? どうして? なんで!?」
その時だった
「オレは
オレのことを
わかってくれないんだッッッ!!?」
『闇』が負の感情を吐き出したのは。
「「「「「〔『!
あ"っ
ぁあああァァア!!あーッーアアあ"ぁあーー!!ーー!!!"〕』」」」」」
ソレに飲み込まれた途端
シャウトモンX2+スターアックスも
シークフェルトのエーデル4人も
『データ』が激痛と共に変質。
『テクスチャー』が『迷宮』に溶け始める。
「いい加減にしろ!!、オレ!!
そんなワガママ許されるワケないだろ!?」
「が!!、ぁ"!!、うあぁっ・・・!」
「あ、あきらちゃん!!!
やめてぇーー!!、もうやめてよぉ!!」
『闇』が地団駄を踏んでいる。
足元で這いつくばる晶の悲鳴も、あるるの絶叫も全て無視して。
「かつて、オレによって切り捨てられ!!
レイド帝国の一部とされ!!
それでも尚生き残ってくれた!!
あのレイドプログラムすらも克服し!!
自分達の力にして!!
それこそが『黒の逢魔』!!!
真なる新世界で生きるべきモ
ーーーーーー!!、なんだコレは!!?」
急に、『闇』の足が止まったかと思うと
カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・
「絶えぬ命は常世にあらず」
懐中時計の『針』が進む音と
「終わらぬ芝居も夢幻の如く
儚く燃え逝くさだめであれば、舞台に刻まん
刹那の瞬き」
静かな だが、よく通る声が聞こえてきた。
「お前は、一体何モンだ!!?」
「凛明館演劇同好会、巴珠緒」
「ぐっ!!」
「凛と咲きます、生命果つまで・・・!」
「珠緒ちゃん!!!」
「とも、え・・・?」
新たな舞台少女は口上が終わるのも待たずに間合いを詰め、白鞘から日本刀・咲散花を抜き放つ。
「こ、こいつッ、この力、まさか!!」
「・・・・・・・・・」
「チィイイ!!」
両手の剣で彼女の刃を受ける度に、今まで周囲の状況に目もくれなかった『闇』が焦りを見せた。
カチッカチッカチッ
カチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ
「(取り込まれている!?
オレの呪詛が!?、怨嗟が!?)
オレに触れるなッッッ!!!
《ガイストアーベント!!》」
「《ウォルレーキ》」
「!!?」
一合ごとに
より早く、より鋭く、より強くなっていく
珠緒を振り払うべく漆黒の鎧に浮かぶ目玉より怪光線を発射。
すると、和風のレヴュー衣装に備わる肩当て
ソレが変質した鋼の盾が
《ガイストアーベント》を防ぎ切る。
カチッ! カチッ! カチッ!
カチッ! カチッ! カチッ!
カチッ! カチッ! カチッ!
「あ、れ?、体が・・・?」
「ハニィー!!?、ハニィー!!」
「なん、で??」
「おっししょーっ!、しゃまーっ!」
「チッ」
「!、クダモン!
私を心配してくれたんですか!?
ありがとうございます!!
でも、この通りもう大丈夫です!!、安心して下さい!!」
「グァガァ~ー~ー~ー!!!!!!」
「シャウトモン!、バリスタモン!、スターモンズ!」
「お、おれたち、たす、かったのか?」
〔フン、ガ〕
「ピックモンズッ、みんな無事かーい?」
『Nooooooo・・・・・・・・・』
「心を妬かれて逃げ堕ちし身が
再び登るは滅びの舞台」
「!!」
急展開に呆然とするばかりだったやちよの横をすり抜けていく舞台少女が1人。
「過ぎたあの日に栞を挟み」
「あ・・・」
「新たなこの日を果てなき舞台に」
彼女は栞達の体を蝕んでいた瘴気を懐中時計に取り込みながら悠然と歩き
「凛明館女学校演劇同好会!、夢大路文!
妹達が随分世話になったみたいじゃない!!
《アイススマッシュ!!》」
「同じモンがはぁ!?、ぶ!えたぁ!?」
かと思えば、力強く踏み込んで
氷を纏うソードブレイカー・川蝉にて
連続攻撃を繰り出した。
「ハァッ・・・ハァッ・・・ハッ・・・・・・!
なんなんだ?、何なんだよお前ら!?
ッ!!?
『ソレ』はダメだ!! 獣魂解放!!!」
「「な!?」」
珠緒と文の猛攻に怯んでいた筈の『闇』の体躯が突如弾け、大量の黒い霧が広がっていく。
「《ゾーンデリーターッッッ!!》」
直後、『迷宮』の最奥部が 抉れた。
「逃げられた?」
「みたいね」
冷静に語り合う2人の目と鼻の先に広がるのは
0と1の粒子が飛び交う、何も無い空間。
「珠緒せんぱぁああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
!!!!!!!!!!!!!!!!」
〔「先輩!、本機の限界速度を大幅に突破!
減速!、減速!、メーデー!、メーデー!」〕
「だから独りで突っ走らないでってば・・・」
「あちちちちちち!!」
「あっつ!、あつつ!」「キュウウウ!?」
「音無さん、難しいとは思うんだけど
その炎抑えて貰える?」
「ど、どうしたの静羽・・・?
なんか、目が笑ってないんだけど・・・?」
『闇』の姿が消えるのと入れ替わりに、別行動組が最奥部に登場。
「しず、は?
それに、ドルルモンにキュートモンも!?」
「だいじょぶ、なの?」
「フンッ、それはこっちの台詞だろうが」
「ララフィンもミソラも怪我してるっキュ!
治すっキュ!」
「キュートモン!、晶ちゃんもお願い!」
「・・・・・・・・・その必要は、無いッ」
「王よ、僭越ながら
ワタシ共の中で最も深手を負っているのは貴女様です
ここはどうか、御自愛を!」
「ファルコモンさんの言う通り
痩せ我慢は良くありませんよ、雪代さん」
「巴、珠緒ッ
お前達のその姿はなんだ!?」
「音無さんが出してる炎は間違いなく『アイツ』の!!」
「う、うん、ごめんね栞ちゃん・・・
だけど、コイツを使うしかあたしがこの舞台に立つ方法が無くって、あつ!?」
〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、餌ぁ!!!、餌ぁ!!!」〕
「全然制御出来てないヨン!?
それでハニーの大切なフミに何かあったらどうするつもりだヨン!?」
「は、はにぃ??
ちょっと、ウィザーモン!
シークフェルトやフロンティアのパートナーデジモンについての情報にこんなの入ってなかったんだけど!?」
「い、いやぁー、まいったなぁー
流石にそんな些細なことまで転写する必要は無いと思って、ね!」
『〔『うわ!!?』〕』
ただでさえ、色々と混乱していた場に『光』のエレメントが炸裂
舞台少女やパートナーデジモン達にウィザーモンの持つ情報が流し込まれる。
「~ー~ー~ー~!!
う"う"ーっ、あたまいたーい・・・!」
「でも、これでアルル達にも凛明館の事情はわかったろ?」
「な、なにゆえわたしたちまで~?」
「いたたたぁ!!、あつつつ!!」
「おっと!、すまない!
ついつい、うっかりして、ね!」
〔「先輩!、思考への干渉、改」〕
「うるさい!!、黙れ!!」
「塁ちゃん、あまり粗雑に扱わないの」
「・・・・・・・・・すみません」
「な、なんだか
秋風さんいつもと雰囲気が違いません?」
〔ソウ、ナノカ?〕
「しょうがないわよ
目の前で巴さんに酷いことされたんだし」
「・・・・・・・・・
(本当に、ソレだけが理由かしら?)」
凛明館の5人を見やる静羽の脳裏に
ナニかに取り憑かれたかのような様子で
メフィスモンを襲った時の姿が浮かぶ
「(力の出所がわからない以上
認識阻害は念入りにしなくてはな
『救世主達』に出番を与えない為に、さ)」
一方、とんがり帽子を目深く被り直す自称・魔法使いもまた彼女達を強く警戒するのであった・・・。
その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・
part3
「キャッハッ♪キャッハッ♪」
「こら待て、待てったら
ここは危ないから立ち入り禁止だって何度言ったらわかるんだよ、ううん?」
「イヤだねー!」
辺り一面に広がる花畑で追いかけっこ。
字面だけ見れば何ともロマンチックなのだが
真っ暗な空には無数の亀裂が入っているし
何より、追い掛けているのは
行方不明となった最速の聖騎士を捜索中な抑止の聖騎士・アルファモン
そして、追い掛けられているデジモンは・・・・・・・・・どう言いつくろってもロマンという言葉からかけ離れた容姿をしていた。
「こうなったら、これでもくらうねー!
《ブー!、スト・アターーーック!!》」
「はい、つかまえたー」
「えええーーー!!?、なんでーーー!!?」
「昔、君みたいなモンとは付き合いがあったからね、うん」
『ガス』噴射で逃げようとすれば
黒騎士は『ガス』にも、その容姿にも全く怯まず手掴みでデジモンを確保。
「(懐かしいなー、うん
この系統のデジモンには近づくなって忠告した時
6人共一瞬で顔が真っ青になって
綺麗に首を縦に振ってたっけ・・・・・・・・・)」
「うわー!、はなせー!、はなすねー!」
「ダメだよ」
「そーねー!、ミーはダメモンねー!
だからダメでいいねー!」
「屁理屈言うな」
「その『屁』がなんできかないねー!?」
「・・・・・・・・・慣れだよ
大体、なんで君ひとりでこんな所に居るんだよ?」
「そ、それはー
い、いいたくないねー!、とくにユーみたいなカッコイイデジモンには!」
「うん、そうか
なら、強制連行するしかないね、うんうん」
「ダーーメーーねーー!!」
【独特の形状】をした小柄なデジモン・・・ダメモンは短い手足をジタバタさせていると
「う、ん?」
不意に拘束が弱まった。
「(な、なんだコレはッ?)」
「ど、どうしたねー!?、アルファモン!」
「君は、平気?」
「??」
「・・・・・・・・・平気なら、良かった
さぁ、急いでここから離れるんだ」
「で、でもー、アルファモンは?」
花畑の真ん中で片膝をつくアルファモン。
その手からやっと逃れられたというのにダメモンは何故か逃げようとしない。
「ボクの心配はいらないよ、うん」
「た、たってもへーきねー!?」
「平気、だよ」
「そーかー
残念ねー」「ッッ!!"??」
理由は至極単純
抑止の聖騎士を討ち取る。
それこそが、ダメモンの・・・・・・・・・否
「デジ忍法、武人変化ツワーモン
相も変わらず見た目や気配だけに囚われるとは
麗将にしてやられたことから何も学習していかなったのか?、本当にユー達はダメダメねー」
「!!、お、まえ!!、何故それを!!?
う、うぁうううん!!」
「体が上手く動かせないだろう?
この花畑の花は全て竜哭の花と交配させ
品種改良させたモンだから、ねー」
「う"ぅ!、んんうっ・・・?!」
「進化の過程で一度でも竜族を介したモンがこの花の花粉を吸えば麻痺状態に陥る
現デジタルワールド最強のユーや
アルフォースを持つ最速の聖騎士すらも、ねー」
「!!」
『黒の逢魔』ツワーモンの目的なのだから。
「獣が混じっていたせいで奴に比べて効果が現れるのに時間がかかったが・・・
まぁ、誤差の範囲内ねー」
「こ、の!《聖剣ッグレイダルファー!》」
「キャッハッ♪、ダメダメ!
そんな鈍い攻撃ミーには当たらないねー!」
「んぅ!?、ぅんんんうううあああ!!!」
苦し紛れに投げつけられた聖剣を首の動きだけで躱し、手にした鎌をより深く
漆黒の鎧の隙間に押し込んでやれば
パキッ ドゴォン!!!
アルファモンは強靭な肉体のみで刃を粉砕。
更には、ツワーモンの顔面を引っ掴んで頭突きすらも決めてみせる。
「ね"!?」
「ハァッ!、ハァッ!《デジタライズ・・・!」
「ま、待て!!、待てったら!!
み、ミーを消せばアルフォースブイドラモンの情報は手に入らない!、それでもいいねー!?」
「うん」
「ウンって!?
そ、それでもユーは聖騎士か!!?」
「まったくだ
流石、ゴミ捨て場育ち
品性の欠片も感じられないね」
「!、新手!?」
「いいや、真打ちさ
私による 私の為の 私の物語の、ね」
魔方陣を展開する抑止の聖騎士の前に
芝居がかった台詞を吐きながら登場したのは
両端に紅い穂が備わる槍を手にした暗黒騎士。
「そして、君はこれからその礎となるんだ
アルファモン 強制デジクロス」
「う!?、んぁああ"あ"あああっ!!!」
そのデジモンが高らかに宣言すれば
先程の攻撃によって埋め込まれていた
ダークネスローダーが起動した。
「ほぅっ?、流石にこの容量では容易くダウンロード出来ないか」
「プレジデント!、ダークナイトモン様!」
「ご苦労だったね、ツワーモン
君のお陰で労せずアルファインフォースが手に入りそうだ」
「ははっ!」
「!!、お、まえ、らぁあ"・・・・・・・・・ッ!」
「クク!、見えたかね?、私達の野望が
だがそれは、私の一部となった証明に他ならない!」
「うううっっ!!!、んぁあああぁ!!!」
抑止の聖騎士・アルファモンの【データ】はボロボロと崩れ、暗黒騎士・ダークナイトモンが掲げるクロスローダーへ少しずつ吸い込まれていく・・・。
「《ピラミッドぉ!パワぁーーー!!!》」
「「ッ!?」」
「ぅ、ん・・・・・・っ・・・」
その時
「しっかり狙えよ、ズィード!」
「わかってるって!、メタル!」
「《ガルルトマホーク!!》」「《フルメタルブレイズ!!》」
双子の機械狼による二重の集中砲火と
「チャツラモン!!」
「《シュヴァボージャナ!!》なんだなー!!」
細身で犬科の頭部持つ神人型が振るう
巨大鎚による衝撃が花畑を一掃!!。
「ユー達はッ」
「良くここがわかったね、『明けの遠吠え』の諸君」
〔「アルフォースブイドラモン
バンチョーレオモン、マルスモン
そして・・・
今、まさに【己】と戦っている始祖様達!
これだけやっておいて次の標的が誰になるか
ワシらが気づかんと思っておったのか?
『黒の逢魔』ァアアアアアアッッ!!!」〕
「!、あいつ自分語りだと口が軽過ぎねー!!」
拡声器を通した大音量の咆哮と共に焼け野原を横切ったのは
ワニの如き大顎を模した船体を持ち
聖なる輝きを放つ光の翼で飛翔する
『明けの遠吠え』の大型飛行艦・アケビ号だ。
〔「トーチャン吠えんの後!
イーニーチャン!、戦うのはいいけど絶対《ピラミッドパワー》解かないで!
キョーダイん中に入ってるモン切除しないと一瞬で全部持ってかれる!!
レオ坊!!、急いで作業室の準備!!」〕
〔「坊言うな!!!
ったく、なんだって俺がこんなゴ?!
いってぇ!?、何すんだよ犬野郎!!?」〕
〔「ゴチャゴチャ言ってる暇あんなら足と手ぇ動かしやがれぇ!!、アホンダラぁ!!」〕
「・・・・・・・・・やれやれ、識ってはいたが
これ程までにかの吸血公が絆されていたとはね」
ソレが四角錐の結界に護られるアルファモンを回収するのをダークナイトモンは悠長に眺めながらワザとらしく肩をすくめる。
「余所見してんじゃねぇ!
なぁ?、メタル!」
「ああ!、ズィードの言う通りだ!」
「お前らの相手はおいら達なんだなー!」
「全員、油断はするなよ
相手はバンチョーレオモン達すらもハメられた卑怯モン共だ」
「キャッハハハッ♪、ひ、卑怯モンって・・・!
ユー達だって『おこぼれ』で究極体や完全体に進化出来たクセに!、自己紹介も大概にするねー!!」
一方のツワーモンが腹を抱えて笑い、指を差しているのは、かつて救世主達と行動を共にした『明けの遠吠え』の精鋭メンバー
ファングモンが進化した究極体・アヌビモン
ガルル&グルルが進化した究極体・ブラックメタルガルルモン&ズィードガルルモン
シーサモンが進化した完全体・チャツラモン。
「ぅ・・・・・・んん!・・・うううっ・・・・・・」
「アルファモン!!、しっかりしろ!!
今更んなワケわかんねぇモンに負けてんじゃねぇぞ!!」
「お、おいジジイッ
コレ本当に外せんのかよ・・・?」
「出来るか出来ないかではないッ
何が何でもやるしか無いんじゃ!!」
一方、アケビ号艦内に存在する作業室では
ツナギ姿の老人狼・・・アケビ号を造る際に鎧を全て素材にしたクーレスガルルモンのワー爺が
ブラックマッハガオガモンと新入りのレオモンらと共にアルファモンのデータを調べていた。
「ふむっ、かの麗将からデータを受け継ぎ
己がスキルへと昇華させたデジモン
今ここで消すのが得策かもしれないね」
「「!!、させるかよ!!
《コキュートスブレス!!》」《ブローバックブレス!!》」
「デジ忍法ッ、う、うわーーー!!!」
「ツワーモン!?」
危険な気配を感知した双子の機械狼が同時にブレス攻撃を仕掛ければ、ツワーモンが自分の身を犠牲にして主を守る。
「な、なんてことをすんだね!?」
「「お前が言うな!!」なんだなー!!」
「ごふ・・・っ・・・・・・」
「「え??」」
動揺するダークナイトモンにアヌビモンはすかさず間合いを詰め、チャツラモンが変化した巨大鎚を脳天に叩き込めば・・・
焦土と化した花畑にデジタマが2つ転がった。
「り、リーダー・・・?、おわったん、だなー?」
「気配は無い、が
マタドゥルモン!、周辺の索敵を頼む!」
〔「わ、わかったッ」〕
「お、俺らも探すぞメタル!」
「わかってるって!、ズィード!」
あまりにも呆気ない終わり方に『明けの遠吠え』は警戒する
だが、それだけでは
「ダークナイトモン「ツワーモン
デジクロス!!」」
まだ足りない まだ届かない。
「「何ィ!?」」
「い、いつのまに!?、なんだなー!?」
〔「こんだけ接近されてんのにセンサーに反応は一切無し!?
まさかあのニンジャ!、さっきのニニーチャン達の技に合わせてチャフばら撒いてやがった!?」〕
懐刀を砲台・強羅打雷銃に変え、砲身を『眼下』のアケビ号へと向けるのは無双の力を得たダークナイトモン・・・ムソーナイトモン。
「デジ忍法ッ、変わり身の術
そして、電波攪乱」
「後、これはおまけだね《魔重力呪縛陣・・・!!》」」
『!!??』
その身から放たれる超重力は周囲一帯に影響を与え、艦内及び地上のデジモン全員の動きを封じた。
「ガあぁあああ"ぁぁあ!!!」
「お!、さぁ!」
「つぶ、される・・・う・・・・・・?!」
〔「中が出ゴフッッ」〕
「痛いねー?、辛いねー?、苦しいねー?
でも、ミー達だってそうだったねー」
「「こんのぉおおおっ!!」」
「だからって!、なんだ、なーー!!」
「何をしても良い理由にはなりはしない!」
「ほうっ?、まだ辛うじて動けるモンが居るようだね
だが、それだけでは」
「「「「!!!」」」」
「ミー達は止められないねー」
亀裂の入った暗雲を背景にムソーナイトモンは強羅打雷銃にエネルギーを収束する。
「あいつアケビ号を盾にしてるぞ!?、メタル!」
「あれじゃ射てねぇよ!、ズィード!」
「長ぁー!!、みんなぁー!!」
「間に合えええええええ!!!」
「「《超力鳴動破!!!!》」」
アヌビモンが絶叫するのと同時に
最大出力での砲撃がアケビ号に直撃。
キラめきを追う為に造られた機械仕掛けの聖なる飛翔体が地上へと墜落する・・・・・・・・・
無傷で。
「「!?」」
「ガフッ!!、ゲホォ!!」
「「リーダー!!」」
「《ピラミッドパワー》でアケビ号全部を護ったんだなー!?」
〔「ハァッ・・・!、ハァッ・・・!、たす、かった、けど・・・!」〕
息も絶え絶えなマタドゥルモンの霞む視界に見える《ピラミッドパワー》は今まさに消えかけていた。
「《魔重力呪縛陣》」
「「「グギャ!?」」」
「ツワーモン」
「ははっ!、デジ忍法・・・隠者復活!!
甦るねー!、エントモン!、レアレアモン!」
「《ブラステッドディザスター》」
「《ディケイズン》」
ムソーナイトモンは他3体を超重力で押し潰すと変わり身に使った2つのデジタマを孵化すら飛び越えて完全体にワープ進化させ、アヌビモンにけしかける。
「ーー?!ーーーー!、ォ"ェッ」
「クク!、よく効くだろう?
何せこの2体は対アルファモン用に私が手ずから毒性強化を施していてね
長く浴びれば究極体といえども削除は免れない」
「早く《ピラミッドパワー》で自分の身を守ることをオススメするねー!」
「こと、わる!!」
「何故かね?」
「じ、ぶん、が一番上だからだ!」
「・・・・・・・・・何の、だね?」
「!、ダークナイトモン様ッ」
「兄弟で!!! 一番、上だからだ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・気にいらないね」
「あーあ」
猛毒に犯されながら吠えるケダモノに
無双の暗黒騎士が懐刀の呆れ声を無視して
強羅打雷銃の砲身を向けた。
「やーっと砲身の強制冷却が終わったのにー
ミーのプレジデントはそういう所がダメダメねー」
「いつも悪いね」
「・・・・・・・・・そんなこと、ほんとはちっとも思ってないクセに」
「「「りぃぃぃだぁぁぁあ!!!!」」」
「(きょーだい)」
「「《超力鳴動破!!!!》」」
ムソーナイトモンが再び放った最大出力の砲撃。
「・・・・・・・・・ごめんな」
ソレは真っ直ぐアヌビモンへと急接近していく
まるで
「《デジタライズ・オブ・・・アローー!!》」
矢を象った流星のように。
! ! ! ! ! !
「う、うそねー!!、こんなのぉ!!」
ツワーモンに不意討ちを食らった際に投擲した
『水色』の聖剣が落ちてくる
《超力鳴動破》を一瞬でかき消しながら
「い"」「ア"」
「追尾式!!?、このエネルギー量で!!?
これがニンゲンの!!、舞台少女の・・・!!」
罪に引かれながら。
! ! ! ! ! !
「だ、ダーーメーーねーー!!」
「躱せないッ」
《デジタライズ・オブ・アロー》がムソーナイトモンを飲み込む
〔「《ゾーンデリーターッッッ!!》」〕
寸前、『闇』がデジタルワールドを抉り取った。
〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・システムはもう正常
なのにあいつらの反応は完全に消えてる
ーーーーーーッ、ちくしょ逃げられた!!!
キョーダイが!、アルファモンが!、あんなになってまでやってくれたってのに!」〕
「あ、アルファモン・・・!、ドルモンや・・・!
お前さんまでババモン様と同じことをッ"」
滅茶苦茶になった作業台の上で老人狼は愛する子供に泣きすがりながら
大きなヒビが入った腕時計型の機械
その修繕に取り掛かる。
「わ!、じー、あい、つら・・・!」
「わかっておる!、わかっておるとも!
『黒の逢魔』がデジタルワールドのどこに逃げ失せようともワシらが必ず見つけ出す!
だから、お前さんはゆっくり休んでるんじゃ!」
「(違う!!、違うよとーちゃん!!
あいつらの本当の目的はここじゃない!!
『黒の逢魔』が狙ってるのは
・・・・・・ュ・・・・・・ぅん・・・ァ!・・・・・・・・・・・・)」
自分の指先から
大切なモノがすり抜けるような感覚と共に
抑止の聖騎士・アルファモンの精神は
決して覚めることの無い悪夢の檻に囚われるのであった・・・。