ツインターボはその日、ナイスネイチャと共に商店街の模型店に来ていた。
商店街のメインストリートから横にそれた所にあり、しかしそのお陰か、そこそこの坪面積と二階建てという個人店としては住居を兼ねているとしても、中々大きな店舗を構えていた。
「レース~レース~、コース~コース~」
そんな模型店に、ターボは上機嫌に入っていく。朝から楽しみで仕方がなかったのだ。
反省会から数日の間、やっぱりミニ四駆はコースで走らせるべきでは? となったので時間が空いた今日訪れたのである。
「元気ねぇターボ。まあ、あんまり騒ぎ過ぎて迷惑かけないようにね」
「わかってるよー」
軽口を交えつつ入店。
ざっくり言うと、一階は販売フロア。所狭しと壁や棚に模型の箱が積まれており、ターボが購入したマグナムセイバーもこの中に埋もれるようにしてあった一品である。
まずは入り口近くのレジに行き、代金を払い上階のコース使用許可を貰う。
それから壁際に設置されてる狭い階段を上ると、作業台として置かれてる長机とその向こうにある大小二つのミニ四駆コースが目に飛び込んできた。
階段を上がる時から気付いていたが、ミニ四駆の走行音が響いていて既に幾人か(子供が多いが大人も数人いた)がコースに自分の愛車を走らせて遊んでいるところだった。
早速走らせようと、ターボもマシンをもってスタート地点に向かおうとするが、
「ターボ、そっちは早くない? こっちの小さいコースの方が良いんじゃない?」
と、ネイチャが後ろから声をかけた。
「えーでもターボ、大きいコースで走らせたい」
走らせたいって言ってもねえ、とネイチャがコース上を走ったり、他の客の手元にあるミニ四駆を見つつぼやいた。
彼らの持つマシンは、明らかに今の自分達からは考えられない程の改造が施されているのが見て取れる。
対してこちらはドノーマルなマグナムセイバーだ。長く複雑で起伏もある大コースで走らせても、コースアウトして吹っ飛ぶか、周回遅れで他のマシンの邪魔になるのが目に見えていた。
ネイチャからそういった正論を聞かされてシュン、と耳と尻尾が垂れ下がってしまうターボ。
ターボ自身、学力自体は褒められたものではないが、物分かりが悪いという訳でもない。
なので分かった、とネイチャに返事をしようとしたところで、
「走っても大丈夫だよ」
と声がかけられた。
「へ?」
振り向くと声の主は、今の今までマシンを走らせていた少年のうちの一人だ。
「僕ら、今からちょっとマシンの調整するからさ。その間ならこっちのコースで好きに走らせていいよ」
「ホントか!?」
少年の言葉に一気に元気になるターボ。
少年達のグループの他にも客はいたが、見渡してみると誰も異論が無いようだった。
「ありがとう!」
ニカッと笑顔でお礼を言い、スタート地点に向かうターボ。
スイッチを入れ、マシンを構えて、
「レディ……ゴー!」
マシンを走らせた。
と思ったら、
「ああああっ!?」
五秒も保たずに吹き飛んで盛大にコースアウトしてしまった。
「ぐぬぬぅ、もう一度!」
と、勇んでみたもののやはり駄目。ネイチャが先ほど言った通り、コーナーを曲がりきれなかったり、起伏のある場所で飛び出したりと、どうしても一周すらできずにコースアウトばかりしてしまう。
「ぬがー! どうして〜〜!」
終いには頭を抱えて叫ぶほど。
「う~ん、やっぱりこうなったか」
「ネイチャ?」
「あーホラホラ、そろそろ向こうに移るよ」
「あ、ネイチャ、押さないでよ~」
そろそろ周りが走りたそうにしていたのを察したネイチャに背中を押され、小コースの方に移動させられるターボであった。
――なお、ターボが無謀な挑戦をしている間、彼女は気付いていなかったが、他の客達がその姿を見て生暖かい目をしつつ、うんうん頷いていたことを記しておく。
ちょっと別作も更新してたので間が開いたので今回はここまで。後編に続く。
エタってるのでよければそこそこ書いてるのがあるんだぜ(吐血)
あと、量産型リコってドラマに出てくる模型店に行きたいです。