ミニ四駆がトレセン学園にやってきた   作:風呂

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や、ちゃうんすよ。こう暑いとやる気なんて絶不調になるやないですか。それにソシャゲやったりプラモ作ったり動画見たり二次創作読んだりしてたら、書いてる時間なんて無いじゃないっすか。勘弁してもろて……。
あ、恐竜の映画も見ました。


ネイチャ、ミニ四駆買うってよ

 初心者コースに移り、暫く。

「う~~ん」

「どうしたの、ターボ?」

 コースを順調に走るマグナムセイバーを見ていたターボが、突然唸りだした。

「ネイチャ……、もっとマグナムを速くしたい」

 その言葉を聞いた瞬間、店内の雰囲気が変わったのをネイチャは知覚した。

 自分達以外の客達が手を止め、マシンを走らせるのを止め、全力でこちらの様子を窺ってるのを感じ取る。

 ……え? なにこれ、なんで皆こっち気にしてんの!?

 例えば、レース中の雰囲気に似ていると言えるだろうか。

 デバフ系のスキルなんて言ってしまえばガンの飛ばし合いの結果なので、相手を意識するという意味では一緒である。

 特にネイチャはそういった戦法を多用するので、相手の視線というものには敏感であった。対して、ターボはといえば大逃げスタイルなので駆け引きには疎く、周りの雰囲気には気づいていないようだが。

 全ての意識がターボの次の発言を待っていた。ターボの発言一つで今後の展開が決まるような、そんな雰囲気が。

 とはいえだからと言ってどうする事も出来なので、ネイチャは若干この空気に気圧されつつも答えた。

「……まあ、私がどうこう言う問題じゃないし、お小遣いの範囲でなら好きにして良いんじゃない?」

 実のところ、ネイチャが今回付き添った理由は暇だったのもあるが、ターボのお目付け役というのが主な理由だったりする。

 お店なんかに行ったらほぼ確実に新しいミニ四駆か、改造パーツを買うだろうというのが目に見えていたからである。

 二人とも、パッとしない成績(ネイチャ談)ではあるが既にデビューも済ませ、そこそこ賞金も稼いでいるのだ。資金力で言えばそんじょそこらの子供(もしくは大人も含め)よりかは、資金力があるのだ。気をつけておかないと買いすぎ、という事態になりかねない。そうならない為の付き添いである。

 そんな訳で二人連れだって一階へ、改造パーツの物色をしようと階段を降りようとすると、

「おねーちゃんたち、ミニ四駆の改造ってしたことないの?」

 話しかけてきたのは先程上級者コースを譲ってくれた少年とは違う、白い帽子を被った少年だ。

「そうだぞ! でもターボのマグナム、もっと速くしてすぐにそっちのコースでもぶっちぎってやるんだ!」

 根拠の無いといえば根拠の無い台詞であるが、どこか期待ないし楽しませてくれそうな自信が感じられる。

 ……いやあ、ターボのこういうところは感心するわ。

 とても自分には真似できないと、心の中で肩をすくめるネイチャである。

「……楽しみにしてるよ。それはそれとして、まだなんにもパーツも工具も持ってないんだね?」

「うん、始めたばっかりだからなーんにも持ってないぞ」

「ふーん、それじゃ、工具は兎も角、いらないパーツあげよっか?」

「ホントか!?」

 なんとなんとな提案である。

 先の意味においても有意義ではあるが、流石に小学生から貰うのは年上として気が引ける。

「本当に良いの? タダでもらうのは悪いよ」

「構わないよ。使わないパーツだし、持っててもしょうがないし」

 成程、不用品処理じゃな? と反射的に思った自分は汚れちゃったなあと、心の中だけでセルフツッコミをしてしまったネイチャのテンションは少し下がった。

「お、そういう事なら俺のもあげようか?」

「あ、僕も僕も」

 と、ネイチャたちの会話を聞いていた他の客達も次々に声を上げた。

「!? ありがとうっ!!」

 ターボが笑顔でそう言うと、声を上げた者たちが全員顔を緩ませた。

 これだから男って奴は……、と反射的に思ったネイチャは(以下略)。

「そういえば、ネイチャさんはミニ四駆はやらないのかい?」

 ふと、我らがトレーナーより年上らしき男性にそんな事を問われた。

「え、いや、私は……」

「そーだよ、お姉ちゃんもやろうよ! そっちのねーちゃんも一人だけで走らせたって楽しくないもんな!」

「おお、そうだなネイチャ! ネイチャも一緒にやろうよ!」

「それは良い。やはりこういうのはお互いに切磋琢磨させてこそだと思うよ」

 なんだか断りにくい雰囲気になってきたぞ、と思うネイチャであったが、結局流されるままにミニ四駆を始める事になってしまった。

 

 

そんなこんなで。

「バンガードソニックプレミアム。『爆走兄弟レッツ&ゴー』に登場する主人公兄弟の兄、星馬烈の二代目ソニック、のシャーシを現代版にしたものだ」

「どうした急に」

「ボディの特徴は取り外し可能なフロントカウルとリアの大型ウィング。シャーシはスーパーⅡシャーシ。現行のシャーシの中では癖のない平均的な性能といった評価」

「そうだな。更に言うとホイールベースが短めだから若干小回りが利くと言ったところかな」

「な、成程ぉ。参考になりますぅ……」

 ……いきなり玄人による解説が始まって引き気味になったけど、これは許されると思うんだよねアタシ。

 流されるままにミニ四駆を買ったら解説されたが、前提となる知識すらない状態では何を言われても理解ができなかったのである。

「ネイチャのマシンのほうが凄いのか!? ずーるーいー!」

「凄くないずるくない」

「実際、マシン形状でそこまで違いはないよ。基本的に好きな見た目で選べば良いよ」

 周りの客達が代わる代わる色々教えてくれる。きっと有り難い話なんだろう。

 ……ただ圧、圧をもう少し抑えてもらってだねぇ。人を自分が浸かってる沼に落としたいのは分かるけど、がっつき過ぎは良くないと思うんですよ。

「おねーちゃん達が困ってるじゃん。なんなら僕が教えようか?」

 と、ここで救いの声が。

「あー、お願いしていい?」

 これ幸いとお願いした。

 名乗りをあげた少年が、集まったジャンクパーツを選別し(周りから揶揄われ)つつ、

「今日一日でセッティングを細かく煮詰めるのは、知識もない状態じゃ流石に無理なので、分かりやすく基本的な改造パーツの交換と追加で単純にマシン性能を底上げしましょう」

 と言って白い帽子の少年を先生にして始まったミニ四駆講座。

 年若くはあるが、どうやらこの中でも説明を任せられるくらいには実力があるようだ。

「まずはミニ四駆の心臓部、モーターとギアを変えます。ぶっちゃけ付属のノーマルモーターなんて、低速コースか特殊なレギュでもない限り使いません」

 言われたように順番にパーツの交換と追加を行っていくと、あれよあれよという間にマシンの見た目が変わってくる。

 基礎的な説明ではあるだろうが、どこそこのパーツを弄る度に何がどう変わったかを教えてくれるので、何故変える必要があるのかというのが良く分かる。

 ネイチャは兎も角、ターボですら飽きずにふんふんと頷きながら手を動かしているので、相当に説明が上手である。

「君、教えるの上手だよね。学校の先生とか、やる気があるならウマ娘のトレーナーとか向いてるんじゃない?」

「いやあ、どうですかね。考えた事もなかったなあ」

「ターボもそう思うぞ!」

「あはは……、ありがとうございます」

 礼儀もちゃんとしてるし、割といけるのでは? と思うネイチャであった。

 




白い帽子の少年のイメージはSFC用ソフト「シャイニングスコーピオン」の主人公。スーパーグレードジャパンカップの覇者やぞ。役不足な訳がなかった。あとニシノフラワーと同年齢を想定。

没シーン

「バンガードソニック。『爆走兄弟レッツ&ゴー』に登場する主人公兄弟の兄、星馬烈の二代目ソニックだ」
「どうした急に」
「コーナリングを重視する烈のソニックセイバーのデータを参考にセイバーの生みの親、土屋博士がVプロジェクトにおいて制作した。漫画・アニメにおいて当時敵対関係であったJのプロトセイバーJBに、火口にマグナムセイバーと共に落とされ焼失したソニックセイバーに代わって烈に譲渡された。しかしソニックセイバーを失ったショックからミニ四駆を止めようとしていた烈に碌な整備もされずにレースに出場。またもプロトセイバーに吹き飛ばされてコースアウトするも、それでも走ろうとするマシンの姿に兄弟の目が覚め、その場で兄弟マシンであるビクトリーマグナムと共に整備され復活。プロトセイバーをはじめ、他のマシンをごぼう抜きにして兄弟でワンツーフィニッシュを飾る。なお、これは漫画版でありアニメ版においては……」
「いやもう誰も聞いてねえよ」

オタク特有の早口&長文発言は控えましょう。
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