それと今回キャラ崩壊が酷いです。気を付けてください。追加でまた年代と史実を無視して一人放り込みます。
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2022/10/24、日間ランキング42位にのりました!めっちゃ嬉しいですありがとうございます!
なんか26位になってんだけど(驚愕)
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MISSION 14 「正月トレーニング」
「明日からチーム合同トレーニングに参加できるけど、どうする?」
トレーナーの口からそのような言葉が飛び出してきたのは年明け早々、1月3日のことだった。曰く、三ヶ日が終わったら休み続きで鈍った体を叩き直すんだとか。
私はクリスマスの日を除いて自主練を欠かさなかったのでそこまで鈍っている気はしないが、チーム練習というものがとても楽しそうなものに感じられたので二つ返事で了承することにした。マルゼンスキーとのトレーニングのように楽しく実のあるものだと良いのだが。
「リットはどうする?」
「ん?アルカンジュが参戦するなら俺も問答無用で追加じゃないのか?」
「まあそうなんだけど、一応希望を聞いておこうかなと思ってね。じゃ、ソルは参加という旨で書類を出しておくよ」
そう言ってまた書類との睨めっこに戻るトレーナー。直前のやりとりを聞いて私は一つの疑問を抱いた。
「トレーナー、いつの間にサテリットと愛称で呼ぶほど仲良くなったのだ?」
口に出してからハッとした。これではまるで自分は愛称で呼んでもらえないから拗ねてるだけの年頃の女の子ではないか。*1案の定、そういう意味に捉えられたようで、トレーナーからは意外だという顔、サテリットからは“お前マジか”という顔をされてしまった。
「いや、違うぞ。断じて嫉妬とかそういう物ではなく、サテリットが愛称で呼ばれているなら私も呼ばれて然るべきだなという…」
「アルカンジュ…」
やめろトレーナー。そんな慈愛に満ち溢れた表情で私を見るな。
「呼ばれたいならそういえばいいじゃないか。俺はてっきりそのままがいいからそう呼ばせているのかと思っていたが」
「アルカンジュが構わないならそれも良いかもしれないね。どうだい?」
そうだな。チームメンバーの片方が略称でもう片方がフルネームというのも不自然だしな。うむ。
「それならば、私のことはアルと呼んでくれ」
「分かったよ、アル。意外と可愛いところもあるんだな」
「………アル、顔が緩んでるぞ。随分と表情豊かになったもんだ」
トレーナーの
「げ、現状どのくらいのチームが参加しているのだ?」
慌てて話を切り替える。落ち着くんだ私、冷静になれ。空での日々を思い出し……ちょっと待て、今私はミハイ・ア・シラージとしてではなくアルカンジュという存在としてここにいる訳だ。つまりここ最近のこういった感情に流されてもいいのでは…。
「現状参加が確定しているのはリギル、スピカ、カノープス、アクエリアス、キャンサー、それに
リギルはマルゼンスキーのチーム、スピカは…ゴルシとテイオーか。カノープス、アクエリアス、キャンサーは知らんな。それと…サイクロプス。どこかで聞いたことがあるような、ないような…よく思い出せん。よく使われる単語のうちの一つと言われればそれまでだが、この引っ掛かりはそういった類のものではない。そのうち思い出すといいんだが。
「サイクロプス…!?いや、まさか…」
「リット、どうしたんだ?」
「あ…いや、何でもない。ちょっと心当たりがあっただけだ」
ヴィトの反応からして前世関係か。なんだったかな…。当日チームメンバーに会えばわかることか。
ーーー
翌日、合同トレーニングの日となった。ぬくぬくと温まった布団を払って嫌々起き上がる。現在時刻は午前4時半。ふむ、上出来だ。
「スピ―、グガー、ぷしゅるるるるる」
「起きろ。というか起きているだろう」
「バレた?」
バネ仕掛けの人形のようにゴルシが飛び起きる。飛び起きた彼女はジャージ姿であった。もうジャージに着替えているとか、お前はいったい何時に起きたんだ。というか、その格好で寝たふりをしていたというのか…。構って欲しかったのだろう。
予定ではトレーニングは午前5時半から。あと一時間しかない。布団を片付け、顔を洗い、歯を磨き、着替えを終えるともう30分も経っていた。ゴルシはその間、飽きることなく私の一部始終を観察していた。人を観察するのは得意だが、されるのはあまり得意ではない。少しばかりむず痒かった。
「よし、準備はできた」
「おっしゃあ!行くぜェ!」
「少し静かにしろ」
「ウッス」
部屋に鍵をかけ、静かな寮の廊下を小走りで走る。程なくしてトレーニング場所であるグラウンドへと到着した。そこにはもう既にそれなりの数のウマ娘が集合しており、それぞれのトレーナーの場所に集まって何やら話しているようだった。
トレーナーはとても分かりやすい位置にいた。リギルの隣、というか東条トレーナーと話し込んでいる。リットはまだ来ていないようだ。
「トレーナー、おはよう」
「おっ、おはよう。トレーニング開始までまだ少しあるからゆっくりしといてね」
ふむ、ゴルシはスピカの面々のもとへ行ってしまったし、軽く準備運動でもしておこうか。
そう思い皆が集まっている場所からは少し離れたところで体操を始める事十数分、体も温まってきたころに集合の合図がかけられた。
いつの間にか来ていたリットと合流し、東条トレーナーから全体説明を受ける。
曰く、くじ引きでチーム分けをし、その臨時チームでランニング、坂路ダッシュ+そのチームにランダムで配属されたトレーナーオリジナルの訓練をやるというものらしい。つまり今日はいつものチームメンバーではなく、ランダムに選ばれたメンバーとのトレーニングになるらしい。その方が新鮮でいいんだそうだ。新鮮なのは認めるが、ランダムにする必要性が正直私には分からなかった。
ささやかな疑問を抱えたまま、全体での準備運動を終え、さらにほぐれた自分の身体の状態を確認していると、くじ引きの時間となった。さて、誰と組むことになるのだろうか。できるなら知っている奴がいいのだが。
ーーー
「チーム「カノープス」から来たツインターボだ!ターボって呼んでね!」
なんだこの騒がしいちっこいのは…。他メンバーは驚いているというより子を見守る親の顔をしている。どうやらそこそこ有名らしいな。このちっこいのは。
「それじゃあ私達も自己紹介するとしよう。チーム「ソル」から来た、アルカンジュだ。アルと呼んでくれて構わない」
ツインターボの勢いに気圧されていた他メンバーも私に続いて自己紹介を始める。
「チーム所属ではないが、今回の合同トレーニングに参加させてもらったアグネスタキオンだ。よろしく頼むよ」
胡散臭い濁った眼をしている…。危ういな。
「チーム「リギル」から来ましタ!タイキシャトルデース!Nice to meet you!」
マルゼンスキーのチームからか。言葉遣いからしてオーシア…じゃない、えぇと、アメリカ?だったかな。そこの出身だろう。
「チーム「スピカ」から来た、ウオッカだ!よろしくな!」
ゴルシのチームからはボーイッシュな元気な子。どうやら後輩のようだ。
「…タキオンさんと同じく、チーム所属ではありませんが今回参加させてもらいました、マンハッタンカフェと申します。よろしくお願いします」
コイツは危険だ。本能がそう告げている。時折虚空を見つめているが…貴様には何が見えている?
「チーム「サイクロプス」より参戦した、ヒシスピードだ。よろしく頼む」
色黒な肌に黒の短髪という黒が目立つウマ娘だ。私よりも背が高い。
総勢七名、臨時チームが結成された。ヒシスピードがじっと私を見つめてくることと、マンハッタンカフェが私とヒシスピードを交互に見ていること以外は何の不思議もない、いたって普通のチームだ。
トレーナーにはチーム「スピカ」の沖野トレーナー。ちょっと軽そうな見た目だが腕は信頼できるのだとか。
『トレーニング開始!』
東条トレーナーの合図とともに全チームが外周へと向かっていく。もちろん私たちも例外ではない。
「ターボに続けぇぇぇぇぇぇ!」
「ちょっ、ターボ先輩!飛ばしすぎですって!」
「はっはっはっ、相変わらずだねぇ彼女は」
「タキオンさん、その試験管をしまってください。…飲みませんよ」
「Oh!皆さん元気デスネ!」
「「……」」*2
ちょっと元気すぎやしないだろうか。このチーム。
外周を走り始めてからしばらく経ち、他メンバーとちょっと距離が開いてきた頃、無言で隣を走るヒシスピードがふと声をかけてきた。
「なぁ、前世って信じてるか?」
「…唐突だな。私は信じている」
前を向いたまま答える。私自身が前世を抱えているから否定することはないだろう。
「そうか…。ではこの名前を聞いたことはあるか?」
同じく前を向いたままヒシスピードはそう言った。この言い方からして…やはり前世で何か関係があったか?覚悟はしておこう。
「ミスターX」
「!?」
思わず転びそうになる。慌てて姿勢を立て直してヒシスピードの方を見ると、やはりという顔をしていた。誰だ?前世の誰だというのだ?
「ファーバンティでの上空で俺を墜としたのを忘れたとは言わせないぞ、ミスターX。俺はオーシア軍第122戦術戦闘飛行隊サイクロプス小隊長のワイズマン。あの戦いで囮となり、そのまま撃墜された者だ」
「……謝らんぞ」
「別に謝罪を求めているわけではない。この世界で過ごしたことによって復讐心も薄れてしまったしな。レースで負かそうにも俺はもう最初の3年間…トゥインクルシリーズを走り終わってしまっている。同じレースでは走れないんだ」
悔しそうにヒシスピード…もといワイズマンは言う。良かった、ここで出会ったが百年目と言わんばかりに襲い掛かられたら注目の的だっただろうからな。それに1年ちょっとの私と3年以上の彼では恐らく彼の方が強い。あえなくやられていただろう。良識がある者でよかった。
そして今の話で分かったことが一つ。私がファーバンティ上空で彼を墜としてからそこまで月日が経っていないうちに私はこちらに来た。だが彼はもうこの世界で3年も過ごしているという。つまりいつ死んだかは関係なく、死んだらこの世界にランダムで放り込まれるという事なのだろう。
ふと気になった。彼はどのような3年間を過ごし、今どういう立場で生きているのだろうか。そして、どのようにして私をミスターXと断定するに至ったか。
他メンバーは少し先に行っているため、聞かれることはないだろう。
「トゥインクルシリーズではどんな生活をしていた?そして今はどのような立場にいるんだ?…後なぜ私がミスターXだと分かった?」
「ミスターXに色々と聞かれていると思うとなんだか変な気分だが…。そうだな、現役時代は常にスーパーカーの後塵を拝していたよ。一回も勝てたことがない。まぁ、彼女以外にもたくさんの奴らに負けた。だがとても楽しい3年間だったな。今はトゥインクルシリーズの次、ドリームトロフィーリーグに在籍しているから、一応は現役という事になるな。学年は高等部3年だ。未だにマルゼンスキーに食らいつこうとしているから同期からは呆れられているよ。そしてアンタがミスターXだと分かったのも、マルゼンスキーが原因だ」
彼は一旦黙り、息を整える。話していてペースが落ちたのか、他メンバーは随分と先の方に行ってしまっている。私達には…気付いていないようだ。
「彼女がある日俺に言ったんだ。“可愛い後輩ができた”と。なんでも俺と同じように諦めないでくらいついて来てくれるのがうれしいんだとかでな。興味本位で見に行った瞬間確信したよ。コイツはミスターXだってな。上手く言葉では言えないんだが、戦場で感じた気配と同じだった」
「そんなに分かりやすいだろうか?」
「安心しろ、前世から来たやつ以外はただ気配が怖いウマ娘くらいにしか感じないだろうさ…。あ、それとアンタのチームのもう一人、たぶんあれ2番機の奴だろう?多少違うのも混ざっていたが、気配が似ていた」
そこまで分かるのか。オーシアのエースの名は伊達ではないようだ。
「まぁこの世界で特にいがみ合うつもりはない。お互い仲良くしようじゃないか。まぁ最も、アンタがドリームトロフィーリーグに来たときは全力で相手させてもらうつもりだ。チームサイクロプスは全員前世持ちだ。遠慮なくチームルームに来てくれて構わないぞ」
「そういうのなら、その言葉に甘えるとしよう。こちらのチームはトレーナーはただの一般人だから、そこのところは気を付けてくれ。それでは…」
「だな」
目線を前に戻すと他メンバーが角の向こうに消えようとしていた。気づかれる前に戻らないと面倒なことになりそうだ。ヒシスピードも同じ事を考えていたようで、私たちは同タイミングで加速を始めた。
彼女の方が身長は大きいためストライドが私よりも広い。その広さを十分に生かした大胆なストライド走法で快調に速度を乗せていく。対する私もストライド走法ではあるのだが、彼女が脇で走っているとまるでピッチ走法のようだ。
流石ドリームトロフィーリーグ所属、じわじわと離されていく。それでも彼女の表情から全く本気でないことも分かるあたり、実力は確かなのだろう。これに全戦全勝のマルゼンスキー…。一緒の練習の時は大分手加減してくれていたんだな。
そうこうしているうちに集団に追いつき、無事気付かれることなく戦列復帰を果たしたところで外周が終わった。次は坂路ダッシュか。私の得意分野だ。負けんぞ?ヒシスピード。
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負けた…。完膚なきまでに叩きのめされてしまった…。
「いや…クラシック級に入ったばかりの奴が俺にここまでついてこれることがおかしいんだぞ…?他連中を見ろ、全員バテていやがる。アンタ、こっちの世界でも規格外なんだな」
ヒシスピードは呆れと尊敬の入り混じった眼で私を見ている。坂路の頂上で膝に手をついている私とは対照的に彼女は息一つ切らしていない。規格外はどっちだ…!
「おいそこの二人!ちょっとやりすぎだ!ケガはないか?」
丁度そこに沖野トレーナーが慌ててやってきて私の脚を触り始めた。蹴っていいだろうか?
「…沖野トレーナー…アンタはまた…」
「あっ…いや、つい癖でな?…まぁケガがないようで何よりだ。次からはこんな無茶するんじゃないぞ?」
呆れかえったヒシスピードに対し沖野トレーナーは慌てて弁明する。なるほど、触診か。ならば仕方あるまい。できるなら一言断ってからやってほしかったがな。
正直今回の回数から数回引いたくらいの回数はいつもトレーニングでやっているので何ともないのは当たり前なのだが、黙っておくとしようか。
坂路を下って、下に戻ってくると未だに地面にあおむけに倒れて息を切らしている面々がいた。
「坂路20本とか正気じゃないデース…」
「無理…もう俺死ぬ…」
「その体力が…どこから来ているのか…ぜひとも研究を…ゴホッ」
「…過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですよ。タキオンさん。走りすぎです」
マンハッタンカフェは涼しい顔をして立っていたが、いまだ肩で息をしているところからしてやはりきつかったのだろう。本当にこのヒシスピードはバケモノだ。
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「よぉし次は俺オリジナル…というか理事長に押し付けられたトレーニングだ!準備は良いかぁ!?」
体育館に移動し、全員のスタミナが回復した頃、沖野トレーナーが大声を張り上げた。全員が注目するその先には大型のカプセル型の何かが人数分置かれている。
「ふゥん?沖野トレーナー、VRウマレーターで一体何を?これでできるのは基本的なトレーニングくらいだったと記憶しているのだが」
「今日のは一味違うぞ?なんか理事長が新トレーニングシステムを導入したとかでな、それを使えと宣うから試してもらおうかと思って。楽しいゲーム方式らしいから安心していいぞ」
どうやらVR空間に入るためのカプセルのようだ。改めてこの学園の財力を目の当たりにした。それにしてもゲームか…。
「そのゲームはどんな効果があるのだ?」
「なんでも反射神経と空間認知能力を鍛えるゲームだとか。理事長がやってみたら全くダメだったって聞いたぞ」
ほう、その二つには自信がある。それはヒシスピードも一緒だろうが。戦闘機パイロットの必須能力の二つだからな。
「反射神経はともかく…空間認知能力はレースで抜け出すラインを探すのに必要な技能だ。たとえ逃げ戦法しかやら無い子でもやる価値はある。という訳で諸君、時間になったら知らせるから、存分に楽しんでくれ」
「OK!」
真っ先に飛び込むタイキシャトルに続き、私たちも慣れない動作でカプセルに入る。電源をつけると黒い画面に青白いフォントが浮かび上がる。
ほう、どうやら戦闘モノらしい。年甲斐もなく楽しみになってきたぞ。
一瞬メインメニューのようなものが表示されたが、私が適当に手を置いていた場所が選択ボタンだったようで、何を選択したのか確認する暇もなく画面が暗くなってしまった。
ムービーに入る。ストーリーモードでも選んでしまったのだろうか。映る場所は…東京湾か?地図で見たことある形をしている。だが見慣れない滑走路が見えるな。並行世界の話だろうか?
ーー時は20XX年。予てより緊張関係にあった隣国、ゴドルフィン連邦共和国との間に決定的な軋轢が生じた。関係復旧を試みるもすべての策が裏目に作用し、同年12月8日、ゴドルフィンは当国、エクリプス自由国に宣戦布告した。これからの物語は、その惨劇の中に生きたある部隊の話である。
どうやら並行世界などではない、全く別の世界の話のようだ。ナレーションの背景に戦闘機が映っていたことからしてどうやら戦闘機系のゲームのようだな。楽しみで仕方ない。
視点は最初見えていた滑走路の脇の建物内部に移り、ミーティングルームと思しきその場所には大きな画面があり、その画面に突如として男性が映り、彼は手元の資料を見ながら話し始めた。
『トレセン部隊、出撃命令だ。敵が防空圏を越えて領空内に侵入した。急で悪いが対処に当たってくれ。…そう不満気な顔をするな。物資不足なのはどこも一緒なんだ』
そう告げるとモニターは切れ、画面は真っ暗になる。思ったよりもリアルな出来だな。グラフィックよりも状況がな。
「機体も不足、人材も不足、燃料も不足、いったいどうしろと言うのよ」
視点が自動で横を向き、頬杖をついて恨めしそうに黒くなったモニターを眺めるウマ娘を映し出す。彼女の他にも何人かいるのが確認できた。
「それで?どうするのよ隊長さん。命令が来たからには何かしらはしないと」
どうやら彼女は私に言っているようだ。どうしようか悩んでいると、バチン、という音と共に突如画面が切り替わり、先ほど一瞬だけ映ったメインメニューらしき画面に飛ばされた。何が起きたのかわからず戸惑っていると、聞き覚えのある声が響いてきた。
『おい、ミス…ん゛ん、アル。他全員待っているのに一人だけストーリーモードはおかしいだろう。メインメニューからマルチプレイヤーを選択しろ』
「あぁ、すまない。どうやら手を置いていたところが決定ボタンだったようでな。問答無用でストーリーモードに入ってしまっていたのだよ」
ストーリーの先が気になるのを我慢して、ヒシスピードに促されるまま目の前に浮かぶ半透明のメインメニューとやらを操作してマルチプレイヤーを選択、すると機体選択画面に飛ばされた。使えるのは…F-4Eだけか。使ったことのない機体だが、まあいい。次は特殊兵装…爆弾しかないな。これでいい。そして出撃…っと。
瞬間、オートパイロット状態のF-4Eに搭乗した状態で空に放りだされた。
『ようやく来たな。全員チュートリアルは済ませてある…ちょっと待てアル、チュートリアルやったか?』
「いや、やっていないが」
『あー…まぁいい。何とかなるだろう』
ヒシスピードが呆れたようにそう言った。ふむ…コックピットはかなりリアルに再現されているな。ゲームの仕様上触れない計器類もあるみたいだが、概ね前世の知識で何とかなりそうだ。大丈夫だろう。
『みんな準備は良いか?』
『もっちろん!』
『戦闘機なんて初めてデース!』
『ミッションは敵航空機の撃墜だ。よし、ミッションスタート!』
オートパイロットが解除されて、機体が自由になる。とりあえずオートパイロットと同じ速度を維持しつつ、ヒシスピードの機体のすぐ脇につけた。
「それで、作戦はどうするん…」
『ターボについてこぉぉぉぉぉぉい!!!』
『イエーイ!とっても速いデース!』
ツインターボとタイキシャトルの乗る機体が爆速で私たちを追い越して敵に突っ込んでいった。アグネスタキオンとマンハッタンカフェは私たちの後ろにいる。
『うわぁぁぁぁミサイルだぁぁぁぁあ!』
『被弾しましタ!』
突っ込んでから十秒も経たないうちに響く無線に、ヒシスピードと私のため息が重なった。
『アル、タキオン、カフェ、
『…操縦方法…ですかね』
『敵との戦い方も多少は学んだはずなんだがねぇ…』
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〈目標撃墜確認!〉
コックピット内に響くトレーナーによく似た声の報告を聞いて、次のターゲットに目標を変える。今のところの被弾はなし、僚機の被害は軽微だ。
スコアとしては上から私、ヒシスピード、マンハッタンカフェ、アグネスタキオン、同率最下位が二名。終始追われまくっている彼女らの背後につく敵機を片っ端から墜とした結果、私が一位という訳だ。どうだヒシスピード、悔しかったら追いついてみるんだな。
『スコアが追いつけねぇ!クソ!』
どうやらヒシスピードはちゃんと悔しがってくれているようだ。
『…ヒシスピードさんってこんなキャラでしたっけ…』
『ふぅむ、意外だねぇ』
結局、彼女のスコアが私に追いつくことはなかった。ミッション完遂のアナウンスが流れた後もずっと悔しがっている。
丁度メインメニューに戻ってきた時、ゲーム画面が暗くなって現実世界に引き戻される。どうやら時間が来たようだ。
「おーい、どうだった?身になったk」
「ミサイル怖い…」
「おぉう…どんなゲームだったんだよ…」
カプセルの中でカタカタと震えているツインターボをみて沖野トレーナーは呆れていた。正直ためになったかと言われれば、前世で散々繰り返したことだったのであまり実りはなかったように感じられる。まぁ、久々にこの感覚を味わえたので悪くはなかったが。
今日のトレーニングは以上でお開きとなった。ヒシスピードからは再戦の約束を取り付けられ、次は対戦形式でやりあう運びとなった。彼女も私と勝負できるのがうれしいのか、どこか楽しそうな表情で去っていった。さて、私もチームルームに戻るかね。
ワイズマン参戦!
死なずにミスターXと対戦できることに喜びを隠せないワイズマンが参戦です。キャラ崩壊には目を瞑ってもらえると幸いです。
今回のトレーニングの成果:スピード、スタミナ、パワー微強化、ちょっと薄れてきていたパイロットの勘を取り戻した。
次回でようやく弥生賞かと思われます。
いつかUMACOMBATのストーリーも書きたいですねえ。
アルカンジュの性格がなんだか女性によりかけているの原因はいつか分かります。というか恐らくウマ娘二次創作読み漁っている人ならば大体予想できるとは思いますが。
反対が多かったら原作通りのミハイに戻ると思います。
ちょっと色々あったあとの安定してない精神状態で書いたためもしかしたらおかしいところがあるかもしれません。もし何かありましたら言っていただけると幸いです。