エース娘コンバットダービー   作:Jeep53

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なんと!この度とりか様がミハイおじいちゃんことアルカンジュの支援絵を描いてくださいました!!
感謝…!圧倒的感謝…!にございます。

アルカンジュ↓

【挿絵表示】


早くトレセンに入れなきゃ…(使命感)

これからも頑張ります!

※今回ミハイおじいちゃんのキャラ崩壊が酷いです。


MISSION 3 「転機」

「トレセン学園所属…小林トレーナー…か。それで、何の用だ?」

「君をスカウトしようかと思っt」

「断る」

「即答!?」

 

確かに魅力的な提案ではあるが如何せん金が足りない。その手の学園は金がいくらあっても足りないはずだ。

それに…

 

「今日はもう遅い。もし私を諦められないならまた明日にしてくれないか。それと宿の場所を知っていたら教えてくれ」

「あ、あぁ…。確かにもう遅いもんな。宿なら…ほら、あの建物。あそこで民宿をやっているはずだ。数千円で温泉、夕食、朝食付きだ。明日の朝また来るとするよ」

 

そう言って小林は踵を返して去っていった。宿を教えてくれたことは感謝しておこう。

 

 教えてもらった民宿はエルジアやオーシアでは見ない類の構造をしている。そのことから今更ながら異世界に来たのだなとつくづく思った。

 軽い音を立てて動く引き戸を開け、中に入る。中は明るく、受付と思しき場所には男たちが数人集まって何やら話していた。

 

「すまない、ちょっといいだろうか。今から宿泊することは可能だろうか」

「お?お客さんか…珍し……ってフランカーちゃん?」

 

見ると、番台と書かれた受付に座っていた男は先程の小林と一緒に観客席にいた男だった。

 

「おぉ、これがお前の言ってた下剋上ウマ娘か」

「そうそう。小林のやつが単勝で有り金全部賭けろって言うもんだから面白がってやってみたら見事勝ってくれたんだ。数ヶ月はこの宿に人が来なくても安泰だね」

 

どうやら私でだいぶ儲けたようだ。あの小林というトレーナー、見る目はあるらしい。

 

「それで…宿泊だったか?風呂と夕食朝食、どうする?」

「全て頼む」

「あいよ〜。部屋は1号室だ。風呂はここから右奥に行ったところにある。先に風呂行ってきな。その間に飯作っておくよ」

 

差し出された鍵を受け取り、一旦部屋へと向かう。扉を開けた先に広がっていた部屋は、見慣れないものだった。

 狭めの玄関の先には…カーペットにしては硬い、しかし床にしては柔らかい。*1窓にはすりガラス…ではないな。紙か?おぉ、動く。*2テレビは前世でもよくみたタイプだな。おっといけない。風呂に行かなくては…このお風呂セットとやらを持っていけばいいのだな。

 教えられた道を通り、女湯と書かれた場所に到着する。前世のせいで入るのにかなりの抵抗感があるが、仕方ない。今の私は女なのだ。

入り口にかけられた布*3を手で退けながら、脱衣所に入る。こじんまりとした脱衣所の籠は一つが使用されている。他の人がいるのか。とても入り難いが…行くしかあるまい。

 服を脱いで畳んで籠に入れ、壁に掲示されていた入浴の心得を熟読し、タオルを持って扉を開けた。

途端に白い湯気が私の視界いっぱいに広がる。風呂はシャワーが数機並んでいる場所と、大きめの浴槽があるだけのシンプルな作りだ。

 先程見た入り方に従いまず髪と体を洗うことにした。…したのだが…

 

髪が長くて洗うのがとてつもなく面倒なのである。

 

男だった頃はあんなに洗うのが簡単だったというのに。世間の女性は皆大変な思いをして美しさを保っているのだな。

 そんなことを考えながら適当に洗っていると後ろから声を掛けられた。

 

「そんな風に洗ってたら髪を痛めるわよ?」

 

先に入っていた人から声をかけられる。今は目元まで泡が来ているため姿を確認できないが、喋り方からして悪意はなさそうだ。

 

「…これ以外の洗い方を知らなくてな」

「ふぅん…良ければ洗ってあげましょうか?」

 

ふむ。ここで洗い方を教わっておけば今後苦労することはないだろう。

 

「では、頼めるか」

「がってん承知の助!任せといて!」

 

ーーー

 

「はい、これでオッケーよ」

 

数分かかってようやく洗い終わったようだ。ついでに尻尾もやって……これを毎日やるというのか…気が滅入る。

泡が流れた感覚を感じ、目を開いた。目の前の鏡に映っているのは私と私の髪を洗ってくれた長い茶髪と水色の目が特徴のウマ娘だった。

 

「綺麗な髪なんだから、粗末にしちゃダメよ?」

 

音がしそうなウインクをしてそのウマ娘は風呂に入りに行った。どれ、私も行くとしよう。

 タオルを畳み、頭の上に乗せて肩までしっかりと浸かる。

 

「なぁアンタ。なんでそんなにこっちを見てくるんだ?」

 

じっと見つめてくるウマ娘に対して問う。

 

「あらごめんなさい。気に障ったのなら謝るわ。キレイな顔をしてるなと思ってただけよ」

「…そうか。先程は助かった。私はミ…いや、アルカンジュだ。差し支えなければアンタの名前を教えてほしい」

 

 そう言うと、目の前のウマ娘は少し驚いた顔をした後、微笑んだ。

 

「私はマルゼンスキー。トレセン学園所属ではあるけど、特例で一人暮らしが認められているの。これからよろしくね」

「あぁ、よろしく頼む」

 

なるほど、トレセン学園は寮と一人暮らしがあるのか…

 

「なぁ、質問をしてもいいだろうか」

「OKよ。どんどん質問して頂戴!」

「実はだな…」

 

 私はトレセン学園での生活のこと、寮での暮らしや一人暮らしのこと、締めに今日スカウトを受けたことを話した。

 

「あらすごいじゃない!違法レースに出たことは褒められたことではないけれど、初レースで勝つのはなかなかの事よ。…ん-、そうね。スカウトだと恐らく特待生の扱いになるから学費は全額免除、その代わりレースで勝った場合その賞金から引かれる感じにはなるけれd」

「学費が全額免除とは本当か!」

「え、えぇ。本当よ…なるほどね、お金の問題でスカウトを受けるか否か迷っていたのね」

 

 なるほど、特待生制度なるものが存在するのか…。ならスカウトを受けない手はあるまい。学園に入りさえすれば衣食住が完璧に保障されるのだからな。その上レースに勝ちさえすればこちらに金も入ってくるという。まさに理想郷だな。

 

「ありがとうマルゼンスキー。スカウトを受けてみるとしよう。明日また会うことになっているんだ」

「あら、じゃあ学園で会えることを楽しみにしてるわね。それじゃあ、そろそろ上がりましょうか」

 

どうやら話している間に結構な時間が経ってしまったようだ。指がふやけている。

 風呂を上がって体を拭き、脱衣所に行ってからバスタオルで本格的に拭く。ふっ、入浴の心得を完全暗記した私に死角はないのだ。

 

「ちょっと、そんな荒っぽい拭き方じゃ髪を痛めてしまうわ。ここはもっとこう…」

 

女性というものは…辛いな。

マルゼンスキーに子供のように髪を拭かれながらお風呂セットに入っていた服を取り出す。…なんだこれは。

 

「マルゼンスキー、すまないがこれの着方を教えてくれ。…私の故郷では見たことのない物なんだ」

「あら、アルちゃんは外国出身だったのね…それは浴衣と言ってこの国の伝統的な衣服の一つよ。えっと、まずは下着を着て…そうそう。そしたらこっちにいらっしゃい」

 

マルゼンスキーにグイっと引き寄せられ、あっという間に浴衣を着せられる。なるほど、こう着るものなのか…やたらとスース―するが、仕方あるまい。そしていつの間にかアルちゃんと呼ばれている。私の方が年上…いや、この世界だと違うのか。

 

「恐らくだけど多分髪の乾かし方もアルちゃん適当でしょう?こっちに来なさい、お姉さんが乾かしてあげるわ」

「…恩に着る」

 

 その後も何かとマルゼンスキーに世話を焼かれ、脱衣所を後にした。番台にいた男性には“やっと上がってきた”と言われてしまった。その後店の男性がマルゼンスキーも誘い、何故か一緒に食事をすることとなった。出てきた食事もこの国…日本の伝統料理だったため正直マルゼンスキーがいてくれてとても助かったのはまた別の話だ。

 にぎやかな食事も終わり、マルゼンスキーは自分の家に帰る時間になった。

 

「今日は楽しかったわ!また来るわね!」

「こちらこそだ。色々と助かった」

 

ニコニコと去っていくマルゼンスキーを見送り、自室へともどる。

今日は疲れた。早く寝るとしよう。

 

ーーー

ーー

ーー

ーーー

 

 翌朝、長年の経験によって体内時計に刻まれた時刻に目を覚ました。…はずだったのだが。

 

「もう外が明るい…だと!?」

 

この私が寝過ごしたというのか?長年の経験による体内時計はどこに行ってしまったのか。…いや、昨日は疲れていただけだ、そう思うことにしよう。

 浴衣から着替え、部屋を出る。替えの服は病院から出るときに持っていた手荷物の中に入っていたものを着ている。ジーパンと白シャツというとても着やすいものだ。

 

「おっ、フランカーちゃん起きたか。飯はできてるぜ」

 

番台の男性が明るく声をかけてくる。描写は省くが、朝飯はとても美味しかったと言っておこう。

 

ーーー

 

チェックアウトを済ませ、宿の外に出ると小林が車に乗って待っていた。

 

「やぁ、おはよう。昨日の話の続きはどこでしようか?」

「それなら必要ない。昨日あるウマ娘からいろいろと話を聞いてね。スカウトを受けることにした」

「っし。ありがとう。君程の人材が来てくれればレースは大いに盛り上がるだろう。もちろん特待生待遇だからお金は必要ないよ。さっそく編入手続きのために学園に向かいたいんだが、乗ってくれるか?」

「あぁ」

 

 小林の車に乗り込み、学園へと向かう。どうやらここはトレセン学園の近所に該当する地域のようで、ものの十分ほどで着いてしまった。

 初めてトレセン学園を見た感想としては、圧巻の一言。外からも見える広いグラウンド、何棟も立ち並ぶ学び舎。…特待生でなければ入るのにいくら掛かるのだろうか。想像もしたくない。

 門で来賓と書かれたカードを貰い、首から下げる。そのまま連れられるようにして校舎の中を歩き、理事長室と書かれた場所まで来た。この学園の長がこの奥にいるのだろう。いったいどんな人物…

 

「歓迎ッ!君が小林トレーナーが推薦するウマ娘だな?」

 

なんだこの小さい生き物は…頭に猫も乗っかっている。…これが理事長だと?この学園は大丈夫か?

 

「私は理事長の秋川やよいという者だ!そしてこっちが…」

「理事長補佐の駿川たづなです。よろしくお願いしますね」

 

理事長が扇子で指示した先には緑色の洋服に身を包んだ人がいた。理事長補佐の方がよっぽど理事長のように見えるのは私だけだろうか。

 ふと小林が耳打ちしてきた。

 

「自己紹介を頼む」

「ウマ娘としての名前か?それとも本名か?」

「どちらでも構わない。両方でもいいぞ。それと年齢な」

 

そういえば小林(コイツ)にも本名は言っていなかったな。では改めて。

 

「私はミハイ・ア・シラージ。ウマ娘としての名前をアルカンジュと言う。齢は身分証によれば13…今年で14だ。よろしく頼む」

「驚愕ッ!外国のウマ娘だったのだな!編入試験は小林トレーナーからレースの画像を送ってもらったため筆記のみとなる。このあと筆記試験を行うため、別室に移動してもらおう!」

 

待て。私はこの世界の勉強を知らないぞ。ここで落ちたら…それは困るな。なんとしてでも受かってやる。自信はないが。

 

ーーー

 

「はい、以上で試験は終了です。採点するのでちょっと待っててくださいね」

 

駿川さんが笑顔で解答用紙を回収していく。学問は普通に前世と同じものだった。…歴史を除いて。なんだあれは、本当にわからない。エルジアもオーシアも、ベルカも何もない。日本史、つまりこの国の歴史をやらされたが誰一人、何一つ分かりやしなかった。それ以外の教科の点数で受かることを願おう。

 十数分後、駿川さんが私を呼びに来た。結果が出たそうで、もう一度理事長室に案内される。

入室するとすぐに秋川理事長が満面の笑みでこう言った。

 

「合格ッ!明日からよろしくな!」

 

歴史以外がほぼ満点だったため合格だそうだ。歴史…?知らないな。0単体は初めて見たとだけ言っておこう。

 

「それじゃあ今から寮に案内するよ。制服とかの学園生活で必要なものは全部部屋にあるから」

「そうか。しかし制服のサイズなぞ測っていないが、大丈夫なのか?」

「そこに関して深く考えてはいけない。触れちゃダメだ」

「…そうか」

 

 校舎の中を歩く。今は私服であるためとても目立つ。それ故周りからの視線の量が多い。なんとも居づらいものだ。

 程なくして寮に到着した。なんでもトレーナーが来れるのはここまでで、ここから先は寮長という役割のウマ娘が案内を担当するようだ。

 

「栗東寮にようこそ。私は寮長のフジキセキだ。歓迎するよ、ポニーちゃん」

 

…なんというか、このとてもキザなウマ娘が寮長のようだ。胸に手を当て、もう片方の手を差し出し、歯を見せて笑ってウインク。キザなやつの典型例だ。

 

「…私はアルカンジュだ。これからよろしく頼む」

「アルちゃんだね。それじゃあ部屋に案内するよ」

 

お前も私をアルちゃんと呼ぶのか…

 

ーーー

 

「ここが君の部屋だ。ルームメイトは今授業中だ。君の授業は明日から始まるから、今日はこの部屋でゆっくりと過ごしてくれ。教科書などの生活必需品は夕方頃届くはずだ。それじゃ、私は授業があるから、またねポニーちゃん」

「案内ありがとう。助かった」

 

 部屋の前でフジキセキと別れ、私は中へと入る。部屋は真ん中の通路を中心として左右に分かれており、奥にベッド、手前に勉強机というのが大まかな造りだ。部屋の左側からは生活感が感じられるため私の割り当ては恐らく右だろう。ほんの少しの荷物をベッドに投げ出し、自らの身体も同じく投げ出す。

 ふと窓の外に目をやると、目が合った。

 

…うん?ここは二階だぞ?

 

窓の外の謎の奴はニカッと笑って窓を開けて入ってきた。

 

「よう、ようやく気づいてくれたな!」

「…今は授業中のはずだが」

 

私は起き上がって返事をする。

 

「ルームメイトが来るって聞いて居ても立っても居られなくなっちまってな?こうして飛んできちゃったってワケよ」

 

 なんなのだこいつは。話しぶりからしてこいつが同室か?

 

「私はアルカンジュだ。好きに呼んでもらって構わない。お前の名前は何だ」

「先に名乗られちまったな。私はゴールドシップ!…おっと、ゴルゴル星からの交信の時間だ!じゃあな!」

 

そう言って彼女は開いた窓から飛び出していった。無事かどうか窓際に確かめに行こうかとも思ったが、二階の窓から入ってきた彼女のことだ。心配することはないだろう。

 

「なんだよ~、ちょっとは心配してくれるかと思ったのによぉ~」

「心配する必要がないと判断したまでだ」

 

やはりな。

 

 いきなり背後に現れた彼女に内心驚きつつも平静を装って応対する。急に背後に現れるのだけはやめてほしい。心臓に悪い。

 

「そんじゃ、今度こそまたな~!あ、これアルの荷物な!」

 

入口ギリギリ位の大きさの段ボール箱をひょいっと投げられる。それを両手で受け止め、視線をドアの方に戻すと彼女はもういなくなっていた。

 

「…ふむ、荷解きでもするか」

 

 手持無沙汰になった私は与えられた段ボールの中身を整理することで今日の残りの時間をつぶすことにした。

段ボール箱の中は、教科書類、筆記用具類、携帯端末、PCなど至れり尽くせりだ。絶対後から入れたであろう「楽しいゴルゴル星の散策の仕方」などという本はなかったことにした。

 こうして私の学園初日はかなり異色のルームメイトとの邂逅、渡された荷物の整理で過ぎて行った。

*1

*2
障子

*3
暖簾




 アカン。ゴルシの狂気度が足りない。
そしてなんかダラダラと長くなってしまいました。読みにくかったらすみません。
次回はおじいちゃんのクラスメイトとの顔合わせですかね。(予定)

ちなみに今回出てきたトレーナーが小林なのはエスコンのBGMとか作ってる人の名字が小林だからです。そのほかの意味はありません。

※アルカンジュの年齢を当初の設定と間違えて書いてたためこっそり修正しました。すみません。

それではまた。
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