エース娘コンバットダービー   作:Jeep53

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短いです。それに適当です。


MISSION 34 「アプローチ」

 菊花賞から2日経った。昨日は休養日だったが、全く休めた気がしない。昨日は何をしたんだったか、思い出せやしない。こちらの世界に来てからここまで精神状態が不安定になったことは初めてだ。あぁ、寝不足で頭が痛い。

 現在時刻は午前9時50分。集合時間まではまだ少しあるが、早めにトレーナー室に来てしまった。

 

『明後日、話がある。朝10時、トレーナー室集合だ。明日は休むように』

 

頭の中で繰り返されるのは一昨日のトレーナーの言葉。いったい何を言い渡されるのだろうか。契約解除か、それとも勝てなかったことに対する叱責か。なんにしろあまり良いことではなさそうということは確実だ。トレーナーにしては珍しく声のトーンが下がっていたからな。

 あぁ、トレーナー室の扉をノックするのがこんなに億劫になるとはな…

 

私は意を決してノックをした。

 


 

 おっと、そろそろ10時か。アルが来てもおかしくない時間だな。今日は今後のレースローテーションの確認と、トレーニングの詳細の相談と…そのくらいかな?まぁ彼女のことだ、ケロッとしてるだろう。『次は何だ?』みたいな感じでな。はっはっは。

 

おっ、ノックだ。来たみたいだな。

 

「空いてるよ」

「…失礼する…」

 

……ちょっと待て。

 

 (え?なんでそんな不調そうなの?目にクマできてるし、なんか心なしかふらふらしてるように見えるし、耳めっちゃ垂れてるし、そのめっちゃ怯えたような目は何?え、え、えぇ…?)

 

 アルが扉を閉めたのと同時に聞く。

 

「アル、昨日…寝た?」

「……いや、全く眠れなかった」

 

 (アカン、これ俺対応失敗したわ。アルなら大丈夫だろうとか勝手に思って楽観視してたけどそういえばこの子まだ普通の子供だったわ。妙に大人びてるから大丈夫かと思ってたけどそうだ普通に子供だったじゃないか何やってんだ俺)

 

 未曽有の事態に俺は大混乱していた。気づけよ、と二日前の自分に言いたいが普段の態度からしてこれはちょっとあり得ないことなので仕方ないのではと思ってしまう。

 

(落ち着くんだ俺、対応を間違えるとずっと溝が残る可能性だって考えられる。まず何が原因でこんな不調に陥ったかを考えよう。まず菊花賞での敗北だろう。というかこれしかないな。ヨシ)

 

「一昨日は…惜しかったね。でも大丈夫だ、アルなら次のレースは大丈夫だと思うよ」

「…次?次があるのか?」

 

 よし、今の反応で分かった。こいつ負けたから次がないとか思ってたな?アルにレースの常識がないのは知っていたがここまでとは。OK、だがそうと分かれば対応は簡単だ。

 

「そう、次だ。アルだってまだまだ頑張れるだろう?今日は次のレースとトレーニングの予定について話そうと思ってたんだ」

「なんだ…、そうだったのか」

 

アルの顔に目に見えて生気が戻ってくる。耳もちゃんと正常に戻った。

 

「逆に聞くけど…今日何言われると思っていたの?」

「その…負けたから、もう私はチームから捨てられるものだとばかり…。レースが終わった後のトレーナーの態度もちょっと冷たかったから…」

 

 これは俺が原因で間違いないだろう。担当を楽観視していた俺の責任だ。真に理解できていたならば起こることなどなかった事象だ。つまり、俺が悪い。

 

「それはごめん!別にそんな意図は全くなかったんだ。ちょっと考え事をしていただけで…」

「それならよかった…本当に」

 

 あぁ…笑顔が神々しいな。クマがなかったら絵画レベルじゃないか?これ。

 


 

ーーー

ーー

 

 「…ということはトレーナーはどうやったらもっと私を知れるかを悩んでいたと?」

「まぁ…そうなるね」

 

 なんだ…そういうことだったのか…。無駄に考えて損をしてしまったな。

 

…!そうだ、いいことを思いついたぞ。

 


 

良かった、アルはどうやら調子を取り戻してくれそうだ。

 

「つまり今回の私の不調の原因は私とトレーナーの相互理解の不足によって起こった、そういうことだな?」

 

まぁそうだな。俺の理解不足が原因だもんね。俺は頷いた。

 

「相互理解を深めれば今後こういったことも起こらないという訳だな?」

 

まぁ、確かにな。また俺は頷いた。

 

「10日の予定は?」

「…ないね」

 

予定表を見るが、日曜日である10日は特に何の予定も入っていなかった。

 

「よし、じゃあその日、出掛けようではないか」

「…なんで?」

 

俺の問いに、アルは首をかしげた。

 

「なんでだと?相互理解を深めるためだが…。あぁ、こう言った方がいいかね?」

 

何かを思いついたのか、アルは小悪魔じみた笑みを顔に浮かべた。

 アルは俺の近くに寄り、小声で言った。

 

「デート、だ。女性からの誘いだ。もちろん、付き合ってくれるだろう?」

「…あぁ」

 

俺の心臓は止まりかけた。それは反則だって。




この後行った今後の話し合いは双方とも集中できなかったらしい。


アル「ノリでやった」
トレ「俺にはアルが分からない。この短時間で情緒変わりすぎだろう。これが思春期ってやつか?だが大丈夫だ、担当との距離は弁えている」
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