にげきれドンケツシンボリー   作:三流FLASH職人

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第3話 バックストレッチは戦場だ

 第一障害で後続をさらに突き放した両津(シンボリー)がなおも爆走する。

「よし!このまま逃げ切ってやるぜ、うおおおおおおお!!」

 

 -先頭のドンケツシンボリー、今2コーナーを通過してバックストレッチに差し掛かります-

 

 バックストレッチに向かって開けた両津(シンボリー)の視界に、何故か無数の大型のバスやトラックが

目に映る・・・なんだありゃ?

 

「ここからは、これらの車を引っ張って走ってもらいます。」

 

 ずざざざざざざっ!

 

 思いっきりヘッドスライディングズッコケを披露する両津(シンボリー)

「こら!ダービーだろうが、なんで『ばんえい競馬』みたいにになるんだ!!」

起き上がって猛然と抗議するが、係員は表情を変えずに返す。

「今年から変化を付けるためにこうなりました。」

「・・・お前、1コーナーにもいなかったか?」

顔にシワを浮かび上がらせた怒りの表情で係員を睨む。インテリ然とした立ち姿に黒いスーツ、

執事のような雰囲気でこちらの一喝をスルーするその様に理解する、ああ何を言っても無駄か。

 

「このロープの中から一本選んでください、その先の車両を引っ張って走ってもらいます。」

大量に束ねられたロープを差し出される、その先は居並んだ大型車両に枝分かれして伸びている

なるほど、くじ引きか。

「しょうがない、かせっ!」

 一本のロープをひったくって体に巻き付ける。こういう鉄人レースは初めてじゃあない、

少なくともあんな女どもにはバスやトラックなど引っ張れまい、ならば一気に引き離すチャンス!

 

「ぬぅんっ!!」

 びんっ!とロープが張り詰める。その先にある車両は・・・

 

 -おっとドンケツシンボリーが引いたのは・・・重戦車(M1エイブラムス)です!-

 

「おいこら!誰だ戦車なんか混ぜた奴は!!」

 思わずスピーカーに向かって抗議する両津(シンボリー)。バスやトラックに比べてもこれだけ

重すぎるだろ!しかもタイヤじゃなくて履帯(キャタピラ)だぞ!!

 

 そうこうしている内にも次々と他のウマ娘たちが追い付き、ロープを手にして車両を

引っ張り始める。

「う~ん・・・お、重いっ!」

「動かないよー、むーりー!」

「うらうらうらあぁぁぁぁ・・・ぜーはーぜーはー。」

 

 が、当然の如く各バも悪戦苦闘だ。そりゃそうだ、女の力でバスやトラックを引けるはずが・・・

「げっ!?」

 思わず目を見張る両津(シンボリー)。彼女らの中の何人かは一歩、また一歩と車両を

引きずり始めていたのだ。どんな力だよ・・・ん?引きずっている(・・・・・・・)?ってことは・・・

 そう、全員タイヤが回っていないのだ。ギアがニュートラルになっていないか、あるいは

サイドブレーキが解除されていないのだろう、それで引きずるってどんな力だよ。

 

「先輩、お先に。」

 驚くワシの横を軽快に通り過ぎて行ったのは中川(メグロヒカリ)だ。奴の引くカウンタックは

ガルウイングを開けたままになってる、どうやらギアとサイドを抜いているらしい。

「自業自得だな、先に行くぞ両津(シンボリー)。」

「うわ、先輩クジ運悪かったですねー。」

 日野ルノー800を引いた部長(ハイシチズン)と、何故か白バイを引いた本田(ゴタンダオー)が中川に続く。

というかお前らだけ車が軽すぎだろ。

 

「みんな、中に入ってギアをニュートラルにすれば楽に引っ張れるわよ。」

 げっ!麗子(オーサキヤマテ)の奴いらん事を。案の定ウマ娘とやら達は次々と車両に入ってタイヤを

フリーにし、ロープに戻ると勢いよくバスやトラックを引っ張り始める・・・どんな女達だよ!

 

「おい審判!いいのかよ車の中に入ってイジっても!」

「問題ありません。」

メガネのフチを撫でながらフレームをキラリと光らせてさらっと答える係員、取り付くシマも

ないとはこのことだ。

 

 だが、失言だったな。

 

 勢いよく戦車に駆け上がり、ハッチを開けて中に滑り込む。こちとら何度も自衛隊や

米軍の知り合いに理不尽に訓練させられて戦車の操縦なんぞ承知の上だ。エンジンをかけ、

武器管制のシステムをオンにする。ふふふ、覚悟しやがれ・・・

 

 ド ン ッ !!!!

 

 ド グ ア ァ ァ ァ ァ ッ !!!

 

 エイブラムスの砲塔が火を噴き、先頭の中川のカウンタックを粉砕する。続いて周囲にいた

バスやトラックも次々に砲撃し、片っ端から横倒しに打ち倒す。

「がはははは!戦車を侮ったなお前ら!」

 

 ひとしきり先頭グループの車両を薙ぎ倒してから戦車を降り、ローギアに入れて微速前進する

戦車を引っ張り始める。

 

「あ、あのシンボリー様、いくらなんでもそれは・・・」

係員が大汗を掻きながら抗議するが、残念ながら後の祭りだ。

「シャラップ!言ったよな・・・中に入ってイジってもいいと。」

 ぐぅの音も出ない係員を尻目にずんずん進む。周囲のウマ娘達もドン引きした顔で思わず

進路を空ける。

 

「もう!両ちゃん(シンボリー)たら!また無茶苦茶して!」

「先輩に戦車とか、まさに鬼に金棒でしたね・・・」

 破壊された車にローラージャッキを咬ませながら、いつもの先輩(シンボリー)だと溜め息を吐く

麗子(オーサキヤマテ)中川(メグロヒカリ)

 

 順調にトップに返り咲いた両津(シンボリー)は、そのままバックストレッチを進んでいく。

が、後ろから鬼と化した2バが、猛然と追撃を開始する・・・

 

「やってくれたなぁ(シンボリー)のダンナ!」

両津(シンボリー)いぃぃぃ!!キサマという奴はあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 壊れたバイクのハンドルを握って人格が豹変した本田(ゴタンダオー)と、数々の狼藉に怒りが

限界突破した部長(ハイシチズン)が土煙を上げて、猛然と追い上げる!

 

「げ!部長に本田。くそっ、やばいな!」

 バックストレッチを走り抜け、戦車を係員に預けた両津(シンボリー)が追い迫る2バに戦慄する。

その後ろでも戦車が退場した事で、怒りに燃える無数のウマ娘たちが凄まじい勢いで

壊れた車両を無理矢理引きずってストレートを疾走してくる・・・まずい!

 

 きびすを返して3コーナーに向かう。何ハロン何秒?知るか!そんなレースじゃねぇよ!!

にげきれドンケツシンボリー。

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