東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World.   作:ぽよい

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捨虫:不老長寿になるための魔法。使うことで成長や老化が止まる。歳を取らないと言っても寿命は存在する。寿命を迎えると同時に一気に老化して死に至る。また、致命傷を負えば死ぬこともあり、特に精神攻撃の場合は浅い傷でも致命傷と成り得る。この魔法を使う理由は単純で、永く続く研究を行うために必要な時間を得るためである。多くの魔法使いはその時間で不老不死を目指すのである。


序章
魔理沙とおよそ一千年の記憶


ある星に知的生命体である霊長達が住んでいた。彼ら霊長達が地球と呼ぶ星は、霊長が生活する上で様々な問題を抱えていた。高度に発展した文明が環境に多大な負荷をかけ、取り返しがつかなくなってしまったからだ。そこで彼ら霊長は自らの星での暮らしを見限り、新たなる楽園を求めて研究を進めていた。結界に封印されし“忘れ去られた者”達を除いてだが…

ある時、宇宙から1体の知的生命体が地球に降り立った。その知的生命体は侵略種であり、即座に侵略活動を始めた。しかしそんな残虐な光景を目の当たりにした霊長達は喜んだ。この出来事は地球以外の星にも知的生命体が存在するという証拠となったからだ。つまりは彼ら霊長が快適に暮らせる星が存在する可能性を示していた。元々地球の環境を見限っていた彼らは後の地球のことなど考えずに膨大な資源と生命を投資し、侵略種を捕獲、収容した。侵略種は特殊な空間転移能力を持っていた。研究者は収容した侵略種のその能力に着目し、研究開発を進めた。一度事故を起こしたものの開発は順調に進み、やがて霊長達はその技術を用いて新たなる楽園へと旅立った。いや、彼らは侵略種になったのかもしれない。戦争大好きな霊長が同族を支配していたからな。

もしかしたら君はこの出来事を知っているかもしれない。そう、これは本来地球で起こるべき出来事では無いのだ。だが、あの星は地球とそっくりだ、このようなパラレルワールドが存在していてもいいだろう。

 

 

 

いつも通りの朝、いつも通り博麗神社へと向かう。朝日が登れば霊夢の世話、夜が来れば魔法の研究、それが私の毎日だ。

ちょっと前まで真冬の夜でもクソ暑かったのに、今では私がまだ人間だった頃よりもはっきりとした四季が存在する。因みにどっかの誰かさんはあの猛暑のなか本に熱中して熱中症で死にかけたらしい。あ、そういえばまだ一冊も本返してないな。本来ならとっくに死んでるはずだから返さなきゃなのに… 紫曰く、外の世界の人間が絶滅したことで自然環境が元に戻りつつあるらしい。絶滅した原因は一切わからないが。博麗神社は日に日に寂れていく。当然だ、外の世界から見た博麗神社は賑わっているという噂は本当だったのだから。つまり今となっては収入源は本当の意味で存在しないのだ。幻想郷からの参拝客なんて居ないからな。

霊夢はまだ幼い。歴代の巫女は皆、自分の子が物心が付いたかどうかという時期に逝ってしまっていた。100代目からは数えていないが、ホント、よく博麗の巫女は続いてるよな。私の足元に駆け寄ってきた霊夢の頭を撫で、それから大きなおにぎりと漬物が入った包みを渡した。

 

私は霊夢を霊夢(アイツ)の生まれ変わりだと思っているのかもしれない。霊夢を見ていると、どうしても昔のことを考えてしまう。

 

私が妖怪の魔法使いになったのは偶然である。星に関する魔法を研究している時、偶然妖怪の魔法使いが最終目標としている魔法を発動してしまったのだ。本来であれば、捨食、捨虫と順を辿って妖怪化、完全な魔法使い化した後に永い修行の末に辿り着く不老不死の魔法だ。不老不死に興味がなかったわけではないが、別に魔法使いになろうと思って魔法使いを続けていたわけではない。霊夢(アイツ)は歳を取らない私を羨ましがったが、私は歳を取って死に行く霊夢(アイツ)が羨ましかった。蓬莱人の言っていることがようやく理解できた。それ以来人間に戻るための研究を続けているが、未だにその魔法は完成せず、現在に至るのだ。もっとも、私が今さら人間に戻れたとしても、二度と霊夢(アイツ)と会うことなんてできないだろうが。

そういえばアイツとも結局あれから会えてないな。アイツのことは異変の後処理の副作用的なものでほとんど覚えてない。というかあの件については僅かでも記憶が残っている事自体が奇跡なのだが。永い時間の中で色褪せほつれたボロボロのリボン、飾られた宝石だけがあの時と同じままだ。まぁ流石にアイツらも世代交代してるだろう。

 

そんなことを考えているときだった。突如空のあちこちに星型の渦が現れ、そこから何かが落ちてきたのだ。ちょうど私の目の前に落ちたものは、どこか見覚えがあるような、オレンジ色の球体の人間だった。




本作は前作にあった東方、カービィの豆知識のほかに、環境問題の豆知識も前書きに書くことにしました。
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