東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World.   作:ぽよい

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十六夜咲夜:時や空間を操る能力を持つ外の世界出身の人間。吸血鬼のレミリア・スカーレットを主として絶対的忠誠を抱いているが、持っている道具の大半が対吸血鬼用の殺戮道具。レミリアも彼女には強い信頼を持っており、不老不死の話を持ちかけたときもあったが、咲夜は不老不死を断っている。元々は食い繋ぐためにレミリアの元でメイドをしていたらしいが、それより前の関係性は一切不明で彼女らも詳細を伏せている。阿求曰く、元吸血鬼ハンター説が有力らしい。


便利な引きこもり部屋

紅魔館は荒れていた。フランとカービィが遊んでいるからだ。

 

ちょっと目を離した隙にカービィが地下室にあるフランの部屋へ足を運んでしまった。フランはカービィを玩具だと思って襲い掛かった。いや、フランは襲ってるつもりなんて無いんだろうが、その表現が一番近いと言うか…カービィは攻撃(?)を避け、フランの腹に一発蹴りを入れて怯ませ、その場から逃げ出した。やらなきゃ死ぬのは事実かもしれないが、吸血鬼相手に丸腰で蹴りを入れるというのもなかなかの勇気だ。これがきっかけで二人は敵対しているわけでもないのに本気の遊び(殺し合い)を始めてしまった。だが、能力を持っていないカービィは圧倒的に不利だった。この二人が対等になったら面白そうだと思い、ミニ八卦炉で上昇気流を作ってミニ竜巻を発生させ、カービィに向けて飛ばしてみた。これなら武器屋ワドルディが言っていたトルネイドがコピーできるはずだ。「これを吸い込め!」とカービィに指示を出すと、カービィは竜巻を吸い込み、竜巻そのものと言っても過言ではない帽子を被った。

 

というわけで、現在紅魔館は半壊(地上部分がほぼ全壊で地下部分も多分ボロボロ)、瓦礫の雨が降っている。フランが壊したものがカービィの竜巻に巻き込まれて怪雨がおきているという状態だ。二人は楽しそうな無邪気な笑顔で溢れ、陽気な笑い声が漏れていた。日光に当たっているため、フランの翼は少しずつ燃え、露出している顔や腕は火傷痕が広がっているのだが、当の本人は気にしていないようだ。当然咲夜は絶望している。

 

「どうするんですかこれ!何でカービィさんトルネイドになってるんですか!何でソードとかビームとかそういう平凡なコピー能力じゃないんですか!トルネイドなんて館が半壊して当たり前じゃないですか!ああ、咲夜の拡張空間もダメになってる、あれ私が作った訳じゃないのに…」

 

気が狂ったように叫ぶ咲夜の肩に手を乗せ、慰めの声をかけるワドルディがいた。

 

「マイクじゃないだけマシだよ。」

 

慰めになってねぇー。

 

「先ずはアイツらを止めないと。騒がしくて本の続きが読めないわ。」

 

パチュリーが空から降ってきた。カービィの竜巻に巻き込まれたのだろう。あ!しまった、返す予定の本を持ってくるのを忘れた!

 

「でもアレをどうやって止めればいいのか。風が強くて近づけませんよ。」

 

真剣に考える二人に対し、「カービィさんを止めるのは簡単だよ!」と言うワドルディがいた。そのワドルディはパチュリーのナイトキャップを奪い取り、カービィに投げつけて叫んだ。

 

「カービィさん!これをコピーして!」

 

カービィは竜巻を止め、パチュリーの帽子を吸い込んだ。その途端、紫色のナイトキャップを被って眠ってしまった。このスキを貰ったと言わんばかりにフランが体勢を変えてカービィに突っ込む。

 

「よし、妹様一人だけならなんとか止められる!」

 

と、咲夜はナイフを取り出したが、なんと眠ったままのカービィがフランに向かって走り出し、すれ違い様にナイトキャップで頭をぶん殴ったのだ。いつもと違う帽子姿になったフランもその場で眠ってしまった。瓦礫の雨は止んだ。

 

「とりあえず、焦げる前に日の当たらないところに移動させないとですね。まったく、こんな日光の下で殴り合うから翼がなくなるんですよ。」

 

「これで気にしないってなると、流水もそのうち克服しそうね。行動制限をかけるのが難しくなるわ。」

 

「流水はとっくに克服してますよ、私が来る前から。自分で勝手にシャワー浴びてますし、雨の日でも傘なしで勝手に外出するときもありますし。」

 

「え?マジで?」

 

「マジです。」

 

咲夜はパチュリーと話しながら自分の何倍もの大きさの吸血鬼を雑に引きずって日陰へと持っていった。

 

「さて、みんなでさっさと建て直すよ!」

 

「わにゃー!」

 

ワドルディ達は謎の建築技術でたった数時間で紅魔館を元通りにしてしまった。古びた感じまで完全再現している。本当に器用なヤツらだよな。

そんなこんなで落ち着きを取り戻し、カービィを起こしてバスの準備をした。ワドルディの半分近くは紅魔館で住み込みで働くことになった。別れを告げ、次は人間の里の方角へと走り出した。

 

人間の里の近くでバスを止め、ワドルディ達はそこにバス停を作った。バス停の名前は人間の里。

人間の里に足を踏み入れると、ワドルディ達の姿も見えた。里に馴染んでいるのか、はたまた存在感が薄いだけなのか、特に騒動にはなっている様子はない。人里のワドルディ曰く、謎の渦の下が座敷わらしのいる家だったワドルディだけがカラスに襲われなかったらしい。明らかに人里の人間から見たら問題を起こしそうな現象だが、隠岐奈曰くワドルディが住まわせて貰うお礼として家事手伝いを行っていたことと相まって座敷わらしが若干力を付けただけで済んだらしい。どうも新種の動物というか、未確認生物に近い認識で妖怪とは思われていないようだ。どう見ても見た目だけは妖怪なんだが…未確認生物が外の世界で流行っていたのが幻想郷に来ていたようで、今回はそれに救われた形になっているのだとか。

そういえば急に天狗を見なくなったな、こんな新聞になりそうなネタがゴロゴロ転がっているというのに。

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