東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
アリスの目標の一つは自らの意思で考えて動く、完全自立型人形である。
ノーマルトレジャー 操れ!キミにシンクロするお人形
「ワドル便です。魔理沙さんにお手紙が届いていますよ!」
武器屋に寄ってアイツらの様子を見ようと思っていたのに、ワドルディから手紙が渡されてしまった。どうも配達システムが幻想郷のものと連携して作られたらしい。まったくいつの間に…
手紙の主は、なんだアリスか。というか宛名が私宛じゃなくて霧雨魔法店になっているな。つまり仕事の依頼というわけだ。で、内容が、謎の渦を片付けてほしいと。キッチンに出てしまって食事どころかティータイムもできなくなってしまっているらしい。未だに消えていない謎の渦ってことはトレジャーロードだろうな。トレジャーロードの中では使える能力が限られる。あの時は私の魔砲だけは使えたが…私の勘だが使える能力はトレジャーロード毎に違うだろう。カービィじゃないと対応できない可能性は十分ありえる。お土産にカフェでくるまほおばりまんじゅうのずんだと元気ドリンクを買い、剣を持ったままのカービィを連れてアリスの家へと向かった。なんでアイツの家の掃除を私がやらなきゃいけないんだか…
カービィは森の瘴気も平気なようだ。毒茸やら美味しい茸やらに興味を示している。コイツとは気が合いそうだ。アリスの家に着き、ドアを開けるとワドルディが出迎えてくれた。どうもアリスの家には人形に紛れて一人のワドルディが働いているようだ。しまったな、お土産はワドルディの分しかないじゃないか。
「ほれ、ワドルディ。町のワドルディからお前にプレゼントだ。」
「ありがとうございます!これは…やったあ!久々に形のあるものが食べられる!」
「お前どんな食生活してたんだ…」
「あの渦ができてからずっと、アリスさんの魔力だけ…」
ワドルディはお土産の饅頭を頬張りながら指(?)を指す。その方向には謎の渦で大変なことになっているキッチンがあった。
「あ、そうだった。魔理沙さんですよね?アリスさんを呼ばなきゃ。」
ワドルディはそう言って作業部屋に入ると、アリスが出てきた。
「依頼の内容はわかっていると思うけど、報酬はどうすれば?」
「成功払いだぜ。といっても今回頂くのはレアストーンってやつだ。特別にそれだけで済ませてやる。」
「ええっと?さっぱりなんだけど。」
「あの渦の中には特別な宝石があるんだ。それを貰うだけ、つまり実質タダだぜ。因みに一部の能力しか使えなくなるから、レアストーンを手にすることができるのはその渦に選ばれた者だけだぜ。」
「なるほど、それだけでいいってことはよっぽどの価値なのね。」
「まあな。使い道はかなり限定的だが。それとたまにはワドルディの町に顔を出しな、博麗神社の麓にある。お前のワドルディも連れてな。」
私はカービィを連れて渦へと吸い込まれに行った。中は相変わらず不気味だ。まるで生物の体内にいる細菌のような気分だぜ。今回は、マジで全ての能力が使えなくなってるな。カービィもソードの能力を失っている。眼の前には見覚えのある何かが、上海人形か?カービィがそれを持ち上げると、あのときと同じ、制限時間に迫られている感覚に陥る。どうも今回はコイツを使うらしい。ここから少し離れた位置の足場にスイッチやザコ敵のようなものなどが見える。そして立っているのはゴリアテ人形か?あの人形は人形を持っているカービィの動きと同じ動きをしている。人形から手を離すと向こうの人形は動かなくなる。カービィも仕組みを理解したようで、人形から手を離さずに縦横無尽に駆け回り、向こうの足場の敵を倒し、ギミックを解いていく。ギミックを解くとそれぞれに新たな足場が少し離れた位置に現れた。向こうの足場にだけスイッチがある。カービィのジャンプでは届かない距離のようで、困った様子である。当然そうなると向こうの人形も届かずに落ちてしまう。しかし、カービィとシンクロしているということは、私がカービィを投げれば良いということだ。私がカービィを山なりに投げると、向こうの人形も同じように山なりに飛んだ。人形がスイッチを押すと足場同士を繋ぐ橋が架かり、さらにレアストーンがある足場が新しい足場に隣接するように現れた。制限時間ギリギリだったがレアストーンを手にし、突如現れた出口から渦の外に出た。謎の渦は消え、キッチンは元通りになっていた。これであのワドルディもアリスの手料理が食べられるようになるだろう。
「ところで、なんでワドルディがアリスのところで働いているんだ?」
ふと疑問に思ったので、ただいまの挨拶代わりにアリスに質問する。
「ちょっと前に貴女の家に一人でいたのよ。謎の渦騒動が大きくなったぐらいの時に。それで保護したの。」
「タダで泊めてもらうのも性に合わなくて、それでここで働いているんです。多少の家事をしているだけですけど。」
ええっと、つまり?
「何で私の家に居たのがアリスの家で働いているんだ?」
「あ、しまった。その、ちょっと物を借りようと思って…」
「詳しいことは聞かないでおいてやるよ。私も昔は泥棒みたいなもんだったからな。それに今更盗まれたって、今やっている研究には必要ないものばかりだし。」
「人間の頃より丸くなったわね。」
レアストーンを片手に、カービィと一緒に町へと帰る。私の手にはレアストーンが二つ。今度は何がどう強化・進化するのか、非常に楽しみである。あれ?カービィ、お前剣はトレジャーロードの時に失ったんじゃなかったのか?ますます謎だなトレジャーロードってヤツは。