東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
魔のアクアストリート
それから翌日、次の目的地が見つかった。なんでも水と魂の溜まり場で魔力で溢れているらしい。そんな非科学的な場所が外の世界にあるというのか?あるいは科学的存在を娯楽か何かの目的であえてそのように言っているのだろうか?
スキマに飛び込むと、道路舗装も虚しく、それを突き破って生える雑草で溢れていた。隣にはそれなりに汚い川がバシャバシャと魚の跳ねる音を立てている。蚊は沢山飛んでいるが、トンボは一匹も見当たらない。川を覗くとそこに居る魚は見慣れないものばかりだった。兎に角でかくて数が多い。確かこれはブラックバスだったかな、あれはハクレンか?どちらも本に書かれていた説明では日本にはそもそも存在しない魚だ。所謂外来種ってヤツだ、人間が持ち込んだせいで生態系が狂ってしまっている。トンボを見かけないのも蚊が多いのもコイツらがヤゴを根絶やしにしたからだろう。
「ここの蚊は刺さないんですね。流石に鬱陶しいけど、刺してこないなら何とかなりますね。」
バンダナワドルディは槍の先で器用に草を刈り、できた茂みの穴から顔を出した。カービィはいつの間にかコピー能力を失っていたようで、草が嫌なのかバンダナワドルディの頭の上に避難している。よく見るとカービィの頭にたんこぶが…着地に失敗して打ち所が悪かったのか…取り敢えず話を戻して、バンダナワドルディの勘違いを訂正する。
「何言ってるんだ?コイツらは普通に刺すぞ。お前達宇宙人の血は地球の蚊にとって不味いんじゃないか?」
「そう言う魔理沙さんも刺されていませんよね?」
「私は人間じゃなくなったから刺されないんだ。」
「なんだ、そういうことかあ。」
それで納得するのか。
「それならこれだけ蚊が多いと襲ってくる動物はほとんど居なさそうですね。蚊を餌にするタイプの鳥さえ気を付けていれば大丈夫そう。」
中々鋭いな。確かに操られていても、ある程度欲に従っているのは確かだ。実際に餌を使った罠が効果があったようだしな。動物は蚊に刺されたくないという欲も持っている筈だ、こんな場所にそうそう近づかない。ま、これだけ多くて動物が居なくなっているってなると、近づいたら確実に餌食になるだろうがな。
バンダナワドルディを先頭に、草を刈りながら適当な方角へと進む。正直結界のコアになりそうなものは見当たらないが…ある程度進むと不自然なボロ屋敷があった。線香の香りがし、蚊の死体が大量に落ちている。人が住んでいるのか?鍵は…そもそも壊れているな。誰が居るかわからない。敵か味方か…扉を開けると線香の香りを上書きする程のチョコレートの香りがした。バンダナワドルディは「お邪魔しまーす!」と呑気に挨拶するので気が抜けてしまった。出迎えてくれたのは仮面を付けた球体の人間だった。おそらくカービィ達の仲間だろう。
「迷子のワドルディか?ここらのワドルディは救出したつもりだったんだが…頭のそれはカービィか?助けに来てくれたのか?」
「まー、そんなところだ。」
私のことは眼中に無さそうだが、一応カービィの代わりに説明しておく。
「ああ、うん、取り敢えず落ち着いて話がしたい。どうぞ上がって。冷たいココアを淹れてくる。」
なんでこんなところにココアがあるのか不思議だったが、その質問にバンダナワドルディは「メタナイトは甘いものいっぱい隠し持ってるから。」と答えてくれた。ボロ屋敷に上がると、手作りのちゃぶ台があった。ちゃぶ台を囲む8人のワドルディは冷たいココアを飲んで寛いでいた。その奥のキッチンには修理したと思われる冷蔵庫があり、ソーラーパネルやら魔方陣やら様々な物と繋がれていた。
「で、カービィも此方に来ているとなるとだいぶ戦況が変わるな。私の調べではワドルディ達の多くは火山地帯にある地熱発電所で奴隷にされている。」
メタナイトは手書きの地図を出し、富士山と思われる辺りを指差した。
「そこを叩きに行きたいのだが、少々厄介なことになってしまっていてな。」
「戦闘力を欲しがるってことは門番か?それともバリケードか?」
「両方だ。だが、厄介なのはバリケードよりも門番だな。デデデ大王が操られて門番にされてしまっている。」
バリケードがあるのは予測できていたが、それに加えて強力な門番か。少々厄介だな。最後の戦いは相当な準備が必要かもしれない。
「え?大王さまが!?そんな、早く助けに行かなきゃ!」
「落ち着けバンダナワドルディ。それとこっちが本命なんだが、ここを拠点に活動するのも限界が来ていてな。食料の調達も難しく、私が持っていた非常食で何とか飢えを凌いでいたんだ。さっき出したココアが最後だ。」
最後だって、惜しみもなく出したな。助けがあるのがわかっていてなのだろうけど。
それから、簡単な自己紹介やら、バンダナワドルディとメタナイトは再開で積もる話があったりして盛り上がった。そして、準備のしなおしを兼ねて一旦拠点に帰ることにした。