東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
完成!コロシアム
町へ戻ると、なんと闘技場らしき建物ができていた。アイツらマジでなんてもん作っているんだよ。実況の声は闘技場の外にも漏れている。
「記念すべき第一回ワドルカップの第一試合一戦目!エントリーナンバー1、こいし選手。何でもフラッとこの町に訪れて何となくでエントリーしたそうです。本当に戦えるのか?因みに種族はサトリ、第三の目があり、それによって相手の心の中が意図せずとも見えてしまうという性質を持ちます。その性質を利用し、先読み攻撃やトラウマを突く攻撃を得意とする種族だそうですが、こいし選手は本来開きっぱなしの第三の目が閉じていますね。
対戦相手はエントリーナンバー4、フランドール選手。最強種族吸血鬼にして魔法少女。弱点さえ突かれなければ独擅場間違い無しなのですが、スタジアムは吸血鬼の弱点である日光に照らされています。なんと、日焼け止めを使ってないそうですよ!これは舐めプなのか自分への試練なのか…!
では、改めてルールを説明します。この格闘大会は参加者同士の中からランダムでマッチングし、一対一で戦います。負けたら即退場、最後の一人が優勝の勝ち抜き形式となっています。一般的な決闘で用いられるスペルカードルールとは違い美しさは求められませんし、そもそも弾幕である必要もありません。仲間を呼ぶ、残機や武器などの持ち込み、ドーピングなど何でもありの、正真正銘命懸けの戦いです!各選手にはマキシムトマトと元気ドリンクがそれぞれ3つずつ配られ、休憩時間にそれで回復することができます。降参するか、気絶等で戦闘不能と判断された場合は負けとなります。また、バリアは張ってありますが観客への攻撃は禁止、意図的に観客を狙ったり、バリアを破壊したり、バリアをすり抜けたりする行為は即敗退となります。優勝者には賞金とレアストーンが贈られます。」
なんとも恐ろしいルールだ。レアストーンは魅力だが、私は絶対参加しないぞ。
「ほう、面白そうだ。私も後でエントリーしておこう。カービィも息抜きにエントリーしたらどうだ?」
この仮面バーサーカーかよ。息抜きに命懸けの格闘試合に出るヤツが居るか普通。
「ぽよ!」
「カービィが参加するなら僕も参加しようかな。」
もうヤダコイツら。バーサーカーしかいねえ。お家帰りたい。ん?よく見たらカービィの様子がなんだか変だな、幽霊みたいに透けているし普段よりもぷよんぷよんたゆんたゆんしている。うーん、とりあえず武器屋でカービィの準備を整えるか。メタナイトには紫と情報共有をするように伝えておき、カービィを連れて武器屋へと足を運んだ。
「いらっしゃい。ゼリーですか、初めて見るコピー能力ですね。」
「ええ、様子が変なのはゼリーのせいなのか?」
「そうですね。普通にゼリーを食べるだけではコピーできない能力なんですけど、ゼリーっぽい変なものを何処かで誤って食べてしまったのでしょう。コピー能力ゼリーは物や攻撃をすり抜けるのに特化した能力です。金網とか剣山とか、そういったものをところてんみたいにすり抜けることができます(すり抜けるって言っていいのかなあ)。ゼリー状の体を切り離して甘くて美味しい接着トラップを作ることもできますが、戦闘能力は低いです。一応、その体で敵に密着して窒息させることはできますが。」
意外と恐ろしい能力だな。ま、呼吸する必要がない相手には無意味だし、本当にそれしかできないのなら武器屋ワドルディの言うとおり戦闘能力は皆無だが。というか初めて見る能力なのになんでそんなに詳しいんだ?ワドルディの情報力は謎が多いな。
「とりあえず、なにか別の能力に切り替えたほうがいいですね。それとコロシアムが最近できたので、参加するならハンマーみたいな高火力のコピー能力を見つけておくと便利ですよ。」
カービィはトルネイドを選んだ。武器屋を後にすると、闘技場からの実況の声は止まっていない。星熊勇儀の名と霧雨の剣という単語が聞こえるので、こいしとフランの戦いは終わっているようだ。地味に結果が気になるが…いやまて、霧雨の剣ってなんだよ、絶対霖之助じゃないか!なんて武器を持って参加しているんだアイツは!騒がしいのは嫌いだったのじゃないのか?気になったので闘技場の受付に走った。
「今からでも観戦できるか?」
「できますよー。大会も後半に差し掛かっているのでチケット代安くしておきますね。」
受付のワドルディにお金を渡し、闘技場の観客席へと向かった。ちょうど決着がついたようで、ボロボロの霖之助が勇儀の上に立っている。その手には霧雨の剣が握られていた。
「決まったー!霖之助選手、決勝戦進出決定!しかし霖之助選手、これまでの戦いで既にトマトもドリンクも使い果たしています。対して次の対戦相手であるフランドール選手はまだ一つも回復アイテムを使用していません。厳しい戦いになりそうです!」
それから5分の休憩後、次の試合が始まった。
「いよいよ決勝戦。レアストーンがなんとしても欲しいと参加した霖之助選手はボロボロです。しかし、今大会唯一のスペルカードルール未経験の彼は巧みに剣と道具を使いこなし、数々の経験者を倒して勝ち進んできた実力のある男です!可能性は限りなく低いですが、優勝するかもしれません!
対するフランドール選手は先程マキシムトマトを使用したようで…何故か全身大火傷したままです!どうも試合にトマトを持ち込むようです。しかし、あれだけ残ってて試合にトマトを持ち込むのであれば普通は2つ以上消費しますが…
それでは、両選手定位置について。」
銅鑼の音とともに戦いが始まったが、その瞬間、フランは驚きの行動に出た。
「フランドール選手、これはどういうことだー!?トマトを霖之助選手の口にねじ込んだ!敵にトマトを贈るとは当にこのこと、万全の相手と戦いたいということなのかー?」
フラン、かなり手加減しているな。スペルカードルールが適応されないし(そもそも適応されていたら霖之助は単独で参加できないが…)、賞金目当てなら能力を使って破壊すればいいだけだ、日焼け対策も回復も必要ないのはわかる。しかし、今回アイツは霖之助の体力を回復させた。つまりフランは単純に戦うことを楽しんでいるだけだ。まー、たしかにそういう性格だもんな。じゃなかったらカービィはとっくに死んでいるし。しかし、よく考えたら二人とも引き篭もりだよな、何処から闘技場の情報を…?あ、アイツら町のワドルディと知り合いか。
「万全になった霖之助選手、霧雨の剣を振るう!フランドール選手、斬撃を右腕で受け止めるが…耐えきれず腕が飛んだー!吹っ飛んだ腕は日光に焼かれて燃え尽きてしまい、もう使い物になりません!しかしフランドール選手、こんな状況でも余裕の笑みを浮かべております!」
吸血鬼であれば腕や首が吹っ飛ぶぐらい大した事はないのだが、日光の下であれば話は別だ。ふっ飛んだ部分が直ぐに灰になり操ることができず、さらに常に焼かれているせいで再生もできない。しかし、フランならあの程度の攻撃など避けれるだろうに、わざわざ受け止めるなんて。
「フランドール選手、相手の頭を左手で鷲掴みだー!そのままボールを蹴るようにふっとばしたー!これは強烈だー!
おっと、フランドール選手が怯んでいます…胸に剣が刺さっています!霖之助選手、飛ばされる直前に霧雨の剣で突いたようです!
しかし霖之助選手、このダメージは流石に耐えきれ…立っています!霖之助選手、無傷です!その手に持っているのはライフアップの入っていた箱だー!これは霖之助選手にも優勝の可能性が高まってきました!
霖之助選手、空箱を捨てて突っ込みます!刺さった剣を掴んで横に引いてます!引ききって、斬り裂いて、さらに反対方向に剣を振ります!フランドール選手、追撃を避けきれず上と下で切り分けられてしまいました!ここでフランドール選手、白旗を上げました。優勝は霖之助選手!
霧雨の剣をまだ使い熟せていないとしながらもレアストーンが欲しいという一心で、見事な剣術と道具の適切な使用で勝利を収めました!」
流石無縁塚に遊びに行ってるだけはあるが、それでも霖之助が優勝してしまうとは驚きだ。霖之助は表彰台でレアストーンを受け取ると内心大はしゃぎのポーカーフェイスで闘技場を後にした。