東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
アツアツの聖地へ
仮住まいの家に戻るとバンダナワドルディは既に新しい槍を手にしていた。カービィはまだお昼寝中だが、変わった食べ物を貰ったという話をバンダナワドルディにするとカービィはとんでもない勢いで飛び起き、瞳を輝かせた。全くコイツは、本当に…あの大爆発を起こした人と同一人物なのか疑いたくなるな。まあ、とりあえずこのレーションをカービィに食べさせてみることにする。缶を開けると中身は真っ白な牛脂の塊だった。妙な違和感を感じ、缶を見直すと食べ方らしきものが書かれていた。缶の文字はロシア語で読めないが、火の絵が付いてるな。これ加熱しろってことか。もしかして不味いのって加熱せずに食べたからじゃ…
ミニ八卦炉の上に缶を置き、加熱してみる。牛脂が融け、暖かい湯気が出てきたら食べ頃だろう。
十分に加熱し牛脂が融けたものは、穀物や野菜、お肉が見える。ロシア風のお粥と言ったところだろうか、見た目は缶詰めにしては彩りがあり、美味しそうだ。試しに一口…
「不味過ぎるっ!!多少腐ってても私は化け物茸のほうがマシだぜ。」
「見た目は美味しそうですけど…」
バンダナワドルディはそう言いながら私のスプーンを取り上げた。
「不味過ぎるっ!!多少腐っててもボクはブリッパーのほうがいいなぁ。」
二人して渋い顔になっているのをカービィが首(?)を傾げて見ている。それからバンダナワドルディがカービィにスプーンを渡すとカービィはそれを一口…
「ぐえー」
「カービィが珍しく不味いって言ってますよ、こりゃ相当だ!あはははは!」
バンダナワドルディは腹を抱えて笑いだした。
しかし栄養面と保存性がどれだけ良くても、こんな不味けりゃなあ…戦意喪失するだろうなあ…
口直しに冷たいコーラを三人で乾杯した。
「魔理沙ー!次の目的地に送る準備できたわよー!」
紫がスキマで家に入ってきた。
「あら、お食事中だったのね、中途半端な時間だけど。」
「紫、お前も食うか?」
食べかけの缶詰とスプーンを紫に渡すと、紫はキョトンと首をかしげた。それから、変な顔はしつつも何の躊躇もなくレーションを口に運び…ぶっ倒れてスキマに沈んでしまった。
(不味すぎる、ちゃんと食べ物の味がするのに、栄養バランスも凄く良いのに、兎に角不味すぎる。よくマンガとかであるようなメシマズ属性の可愛い彼女が作る毒料理とは別ベクトルで、兎に角不味い。吐きそう。)
誰かの思考が頭に流れてきた気がすると思ったら、足元にスキマが開き、次の目的地へと落とされてしまった。
たまたま落ちた場所の近くには富士山の見えるキャンプ場を宣伝する看板がある。看板に描かれている女の子はどことなくカービィに似ている気がするな…これが本当の看板娘か。食費…じゃなくて広告費が高く付きそうだぜ。にしてもここは異様に暑い。不自然に気温が高いのだ。そう思って前を見ると、その光景に唖然とした。私達が落ちた場所は未だ辛うじて草が生えているものの、目の前に広がる景色は溶岩と炎で汚く荒れていた。そんな危険な場所なのにも関わらず道路やビル、住宅の跡地と思われる不燃物は多数残っている。禁足地と化したそこには人が住んでいた跡があるのだ。そして最奥にある荒々しい火山。噴火してるじゃねーか。一体これはどういうことだ?あれが富士山だというのか?富士山って噴火するのか?あ、いやそれは噴火するわ妹紅が言ってた。だが、ここまでの規模だとは思わなかった。富士山は美しい山だと聞いていたのだが…実際富士山の絵はどれも美しく描かれているしな。こんなに変わり果ててしまったのか…
「うひゃー、熱そうですね。メタナイトの話だとあの山の近くの発電所にワドルディが捕らわれているそうですが、こりゃ早く助けないと。」
私は既に汗でびしょ濡れだが、バンダナワドルディは涼しそうな顔をしている。この暑さ、というより熱さにも既に順応しているな。前々から思ってはいたが、ワドルディの適応力高過ぎだろ。逆にカービィは既にバテている。色々な意味で心配になってきた。が、進むしかない。灼熱の地へと足を踏み入れた。
禁足地へと入ってすぐ、野蛮で原始的な作りとはいえ最近できたと思われるやぐらがある。そしてその上にいるのは何故か日本狼。おかしいだろ、こんな場所に動物が居てたまるか。だが、黒幕も近い位置だから更なる特別な強化を受けている可能性は高いな。やぐらの狼が遠吠えをすると何処からともなく多数の狼が現れる。畜生、前より数が多い。過去にたった3匹の狼に負けかけてしまっている以上、今の装備では勝ち目が全く無い。クラッシュは二度とゴメンだ。どうすればいいって言うんだ!そんな時、小さな火山弾がカービィに向かって飛んできた。一か八かだ。頼む、ここを打開できるコピー能力になってくれ!クラッシュはやめてくれ!祈りながらカービィに指示を出す。