東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
「やはりお見通しか…まあ、全盛期の力を取り戻させてやったんだ。感謝して欲しいね。」
ナニ言ッテンダ、コノママ元の時代に戻ったら、果実のカケラとのパラドックスでメンドウなコトになる、分かっててのオセッカイダロ?
「そこまで見抜いていたか…これは感謝どころか恨まれそうだな。ははは。」
…っタク、そこまでしてボクにキョーセーロードーさせるナンテ、よっぽどのコトなんダナ…セッカク帰り道モ見ツケタって言うのニ…
「そうだな、ちゃんと働いたら元の状態に戻すことは約束してやろう。」
ソレぐらいアタリマエダロ…モット見返りが欲しいネマッタク。マァ、でも、コノママ騙されたフリしておいてヤルヨ。オマエニ逆らってモ勝てる気がしないしナ。ソレに…イヤ、ナンでもナイヤ。
「ちょっと!何勝手にいつものコーナー潰してサイドストーリー入れてるのよ!」
「何訳分からない事言ってるんだ紫は…」
ナニ訳解らないコト言ってるんダヨこのスキマババァは…
(初対面のババァドモナンかに、カービィに大きなカリ作っちゃってるナンて言えないよナァ…)
「マホロア、誰と何を喋ってるの?」
「ア、イヤ…ベツにナンでもナイヨォ、タダのヒトリゴトダヨォ。ソレより、次のエリアが見えて来たヨォ。キッタネェ川にデッカイさかなーがイッパイいて楽しそうダネ!」
「そんなイヤそうな顔して…色々突っ込みどころ多いんだけど…でも確かに見えてきたね川が。あの場所は昔から汚かったんだ…」
次のエリアは蚊の飛び交う音と汚い川で暴れる魚の音が混ざり、なんとも近寄りがたい雰囲気になっている。現実と同じならボク達の血は吸われないはずなんだけど、それでもなんかイヤだなあ…
「昔からってドウイウコトナンダ?」
「この夢は過去の地球の記憶から生まれたモノなんだ。ボク達は今の地球の姿を見てきたから…」
メタナイトと合流したエリアのことは良く覚えている。すごく印象に残っているんだ、悪い意味でね。
「ナルホドネェ…ならそのチキューって星は早くに滅ぶ運命ダロウネ…」
マホロアはハルカンドラに長く居たらしい。ハルカンドラは既に(文明的な意味で)滅んだ星の一つだ。色んな星を旅したマホロアにとってはどういった星がどういう運命を辿るのかを予想するのは簡単なんだろうね。
「とっくに文明は滅んでるよ。幻想郷に住む人以外はもう別の星に引っ越しちゃったんだってさ。」
「フーン、じゃあアイツらはそのゲンソーキョーって場所に取り残されたんダ。」
ん?マホロアって幻想郷の人と会ったことあったっけなあ…うーん、ま、そんなこと今はどうでもいいか。
エリアにぐっと近付き、着陸体勢に入った時、蒸し暑い熱波に襲われた。なんなんだこれは…河川敷には草原が広がってて、そんな暑そうには見えなかったのに!昔はそんなに暑かったのか?現実世界ではあの火山地帯以外で暑い思いをしたことなんて無かったのに…暑さに悶えつつも何とか着地する。
「あっつい…」
エフィリンが苦しそうな声を出す。
「アツくてヒカラビソウ…」
ちょ、マホロアさん!?
「ぽよいよポヨポヨぽよいよ~」
カービィまでそこ合わせなくて良いから!
「オマエら…」
思わず呆れた声を出してしまった。このセリフが記録されてたら色んなところにケンカ売りそうだなあ。ちょっと怖くなって例の本を開いて最新のページを見てみると、運の良いことにカービィの言葉は正しく記録されていなかった。ちょっとだけ安心した…というかこれ、記録の書き換えってできるのかなあ…記録されちゃ不味いことまで記録に残ったらって考えると少し怖いなこの本…というかこれボクが持ってて良いものなのかなあ…魔理沙のプライバシーをボクが握ってることになっちゃうもんなあ…
「ねぇ、なんか焦げ臭くない?」
「確かに、言われてみれば…」
暑さに気を取られていて、エフィリンが言うまで異臭に気が付かなかった。何かが燃えているのかなあ…?
「ナンとなく、ヤバい気配を感じる気がするヨォ…」
携帯通信機から紫達の声が聞こえてきた。
「実はね、貴方達以外にも何人かそっちの世界の探索に行ってるのよ。魔理沙が行方不明になったって言ったら色んな人が血眼になって探してくれてね(アレでも意外とモテるのよね…)。気配からしてその辺りにフランちゃんが居るんじゃないかしら?」
「あー、成る程。フランが焦げる臭いって訳ね。」
「フランが焦げるニオイってドウイウ意味ダヨ!」
珍しくマホロアがツッコミ入れているが、見ればわかるとだけ言って説明は放棄した。だって説明のしようが無いもん。フランのことあんま知らないし。フランのことで知ってることはカービィと喧嘩してたときも、コロシアムに参加してたときも、身体のあちこちが焦げてて焦げ臭かったことだけだからね。
破壊音と人の悲鳴が聞こえてきた、近い位置だ!
「はあ…もうちょっと楽しめるかと思ってたけど、雑魚ばかりでつまんないわ!」
暑さでバテてるカービィを背負って、草を掻き分けながら音の方に行くと、退屈そうな表情をしたフランがいた。羽は燃え尽きており、皮膚もあちこちが焦げて煙が出ている。マホロアは見れば分かるの意味を納得したのか悩みが解決したようなスッキリした表情になった。
新しいオモチャは無いかと周りを見渡すフランの眼は狂気そのもの…正直怖い…
「あの、ゆかりさん、かくにんしたいことがあるんですけど。」
「声が震えてるわよ、どうしたの?」
「ほんとうにちまなこになってさがしてくれているんですか?」
「あー、言い忘れてたけど…フランちゃんには良い遊び場が有るって嘘ついて放り込んだから…」
「ゴメン、ツッコミが追い付かない…」
フランがこちらに気が付いた。しかしその目からは狂気は消え、ただただ残念そうな表情だった。
「あー!お前はあの時、眠ったフリして私の頭を殴って気絶させためっちゃ面白いピンクボール!確か魔理沙にキュービィって呼ばれてたっけ?」
それはカービィの後輩の名前だよ。ボクは合ったこと無いけど、カービィ曰く面白い人らしい。なんでもコピー能力のコスプレが全然似合ってないのだとか。
「咲夜のそっくりさんにおんぶされてるとか、今度は本当に倒れてるのか?お前がこの程度の雑魚に負けるとは思えないんだけど…」
「その、カービィは雑魚にやられたんじゃなくてこの蒸し暑さにやられたんです。」
「そういうところは弱いのね…期待外れだわ。私だって日光を克服したって言うのに、この程度でバテるならすぐに壊れちゃうわ。新しい玩具の候補だったのに…」
いやそんな丸焦げで日光克服したつもりなの!?というか日光で焦げるタイプの人なのかー、なるほどです…じゃなくてさらっとカービィをオモチャにしようとしないでよ…多分咲夜が食費で泣くから。しかし、夢の世界の日光は現実と違って薄暗い紫の光なんだけどそれでも焦げちゃうのか…
「夢の世界の日光は現実と違って暖かくないのに焦げちゃうんですね…」
「え…?あ、そっか、確かにそうだね!」
フランの焦げた皮膚は元通りになり、羽も再生し…ってどういうことだよ!熱いアイロンだって嘘ついて氷当てたら火傷するアレかよ!というかやっぱ日光克服できてないよねその反応は!
「ああ、油売ってる場合じゃなかった。ボク達、魔理沙の魂の欠片を探してるんです。何か見つけたりしてません?」
「ん?あー、多分これの事ね。何となく集めてたから結構な数持ってるよ。それより、ようやく面白そうなものが出てきたじゃん。荒らさないと出てきてくれないなら先にそう言ってくれれば良いのに、アイツ等勿体ぶりやがって。」
そう言うフランの視線の先には成長した霊夢といつもと服装が違う魔理沙が居た。恐らく紫が送り込んだ増援の記憶から生まれた幻影だろう。でも魔理沙は兎も角、何で霊夢が…いや、考えていても仕方がないか。暑さでバテてるカービィを早く復帰させなければ。この蒸し暑い中、更に湿度が上がった気がした。