東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
エビフライナイトが消滅した。しかし私はそこから出ていく白い影をハッキリと見た。
「ふう、魔法のキノコがあって助かったわ。アリスもほら、食べたら?」
カービィの腹の中からパチュリーの声が聞こえてきた。どうも目を覚ましたらしい。どうやらキノコで魔力を回復させたようだが…そういやカービィは前に魔法の森に入った時キノコ喰ってたな生のままで…生のままで…ヤバくね?パチュリー、ちゃんと加熱したか?というか見た目がそっくりな毒キノコも多分食べてると思うんだが…ポイズンコピーしてたしな。
「キノコ嫌いなのはまあ…だからって拒絶しすぎじゃない?流石に回復しなきゃ…しかしここは一体何処なのかしら…」
「カービィの腹の中だぜ。そこなら魔力切れでも死ぬことはないはずだ。カービィが食べた毒キノコに手をつけなければな。」
「あー、成る程、そういうことね。というか毒キノコも平気で食べてるのねあのピンクボール…で、その声は魔理沙よね、無事なの?」
「いや、まだ肉体は乗っ取られたまま、魂も完全には取り返せてない。なんなら異変もさっきより悪化したぜ。」
「アレ?バルフレイナイトは倒したはず…悪化したってどういうこと?」
バンダナワドルディが話に突っ込んできた。どうもエビフライナイトの本当の名前はバルフレイナイトらしい。エビフライと似ても似つかない名前な気がするんだが…
このタイミングで紫が例の渦を開けた。そこから配達員のワドルディが来て、荷物の入った箱を置いていったため、説明のタイミングを逃した。
「ワドル便です。お待たせしました、紫さんご注文の道具セットです。またのご利用お待ちしてます。」
「道具セット?何が入ってるんだ?」
「ドーピング薬よ、魔理沙も使ったことあるでしょ?」
「ドーピング…?ああ、アレの事か。」
紫はさっきの渦を閉じて別の渦を開き、カービィの体内からパチュリーとアリスを引っ張りだした。アリスはぐったりして立てそうもない様子だったがパチュリーはキノコのおかげか元気そうである。紫はそれから宅配の箱を開け、この場の全員にライフアップ、アタックアタック、スピードアップを服用させた。
突如場所が変わった。場所が変わったというより空間の性質が変わったと言った方が正しいかもしれないが、この瓦礫の山はカービィが壊したラボにそっくりだった。あの戦いの記憶が反映されたのだろうか?そこに現れたのはあのラスボスを白銀に塗ったような見た目の何かだった。私の身体を依代にしているが、見た目に私の要素は一切ない。そしてただならぬ何もかもが、出鱈目に入り雑じった力を感じる。今のアイツは見た目は神々しいが混沌その物だ。戦闘力の無いエフィリンは取り込まれるのを恐れたのか、遠くの物陰に隠れてガタガタと震えはじめた。
…という割には現実世界のあの時と同じように、というか数の暴力であっさりとダウンさせることができた。ダウンした黒幕の背中から何かが出かかっている。カービィはそれを頬張って引き剥がそうとした。よくみるとそれはカプセルのようなもので中身はなにも入ってない。カービィが力を込めて引き剥がそうと引っ張ったとき、強い魔力がそこから漏れた。その魔力が危険なものであることがビンビンに伝わってくる。しかし、「これは罠だ!」と叫ぼうとした時には遅かった。カプセルのようなものが引き剥がれるとそれは中を漂い、
それでは ご覧ください!
それではご覧ください!
それではご覧ください!
と、あの時と同じ雑音と声を響かせながら、全てを取り込もうと全方位を吸い込みはじめた。例えるならブラックホールだ。
「くっ…すごい吸引力だ…」
妖夢やバンダナワドルディは手持ちの武器を地面に突き刺して何とか凌いでいる。マホロアと紫はアリスとパチュリーを連れて異空間に避難した。ブラックホールに一番近い位置にいたカービィはスレスレの場所で反対側に一生懸命走っている。フランは圧倒的なスピードで効果範囲から脱出したが、何かに気がついたようで何故か危険なブラックホールにレーヴァテインを構えて突っ込んだ。なんとその攻撃は吸収されなかった。どうもあれはただ捕まえて攻撃しようとしていただけのようで、ブラックホールとは程遠い性質の攻撃、つまりこちらの攻撃が吸収されることはない。しかしまだ相手は吸い込むのをやめない。フランの一撃でこの性質に気が付いた妖夢は白楼剣を抜いて投げた。
白楼剣は吸い寄せられてそのまま相手に突き刺さった。カービィがとうとう吸い込まれそうになったが、寸前で吸い込みが終わった。白楼剣が効いたのか、単純に疲れたのかは不明だが…そういやアイツ、今は霊的な存在だよな。相手のリアクションがほとんど無いので実際利いてるのか、ダメージになっているのかも分からないが、あの剣はかなり有効かもしれない。吸い込みを止めた今がチャンスだと皆一斉に飛びかかる。ところが相手は剣が刺さったままなのにも関わらず、全方位にレーザーをぶっ放つという出鱈目な攻撃をし、全員をぶっ飛ばした。いや、マホロアだけ何処かにワープして避けたな。相手を良く見るとユニットのようなものが出ており、そこからレーザーが出ている。カービィがぶっ飛ばされる直前に放った斬撃弾が残っており、それにカスったユニットは砕けて消滅、レーザーに大きな隙間ができていた。その隙間にマホロアが突如現れて極太のレーザーで反撃し、ユニットを全て壊した。レーザーが止むといち早くカービィは体勢を建て直し、相手に近づく。相手も新たなユニットを出そうとしたがパチュリーとアリスが飛び道具でユニットを破壊し、カービィを援護する。カービィが十分に近づくと、妖夢の刀とほぼ同じ見た目の、カービィ10人分の長さのソードで、相手に刺さったままの剣をぶっ叩いて押し込んだ。日本刀って洋刀とか両刃剣と違ってそういうハンマーみたいな使い方普通はしないんだが…
相手は自棄になったのか真っ赤になって巨大化し、ものすごい速度で体当たりしてきた。流石にこのままでは避けきれるものでもなく、アリスが人形を盾代わりに押さえ込み、僅ではあるか逃げる時間を稼いだ。人形は相手の熱で燃え、爆発してしまった。妖夢はその僅かな時間で相手の攻撃が当たらないギリギリの位置へ移動したあと、刀を野球バットみたいに構え、タイミング良く振るった。相手はついに真っ二つに割れ、小さな光になった。そこから魂の欠片が分離した。私の残り一割はあの状態であったが、利用されるのを必死に抵抗していたのだ。取り込まれてからの記憶が一気に流れてきたため一瞬気絶しそうになったが、漸く完全復活である。
小さな光はエフィリンの元へと還っていった。黒幕の悪しき心は完全に消滅したのだろう。この空間が崩れはじめたが、紫がスキマを開き、マホロア以外は町へと帰った。マホロアは何故か自分の背中に話しかけた後に、何処か別の異空間へと向かっていった。崩れ行く世界へと繋がるスキマが閉じられ、異変の終わりが始まった。