東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
「あら?カービィ?」
カービィは神社に着いてからずっと霊夢と追いかけっこをしている。「きゃっきゃうふふ」と、二人とも楽しそうな様子ではあるが、ずっと同じ場所をグルグルと回っているだけで、どっちが鬼役なのかわからない…そんなカービィを紫が不思議そうに見つめている。それから暫くして、なにか納得した様子だった。勝手に人の思考とか記憶とかに入るのは良くないぞ。
「カービィ、ここは貴方にとっては未来の世界、あの頃とだいぶ勝手が違うわ。」
カービィは紫の言葉を理解したのかしてないのか、走ったまま元気よく「ぽよ!」と返事をした。話の内容からして、カービィは私が人間だったころに幻想郷に来ているということだろうか?私が人間だった頃に会っているのか?もしかしてあの記憶の人物ってコイツか?過去から来ているのであれば矛盾はないよな。あの謎の渦は過去と繋いでいたってことで説明が付く。わざわざ過去と繋ぐってことは今は寂れてしまっているのだろうか、それともその過去の世代のほうが発展していたのだろうか?はたまた偶然か?
「もう一度さっきの場所に送るわ。さっきとは反対の方角を目指して、まだワドルディが残っているし、おそらくそっちに物理結界のコア的なものがあるわ。そこに簡易スキマを開けてほしいの。」
「で、ワドルディをけしかけると。」
「そゆことよー、行ってらっしゃーい。」
私がスキマに飛び込むと、カービィも遊ぶのを中断して私の後ろについてきた。
再び広い道路に出ると、先ほどとは逆方向へと進む。いくら進んでも同じ景色ばかり続くのだが、時折カービィが寄り道してすぐ私の後ろに戻ってきている。いつの間にかワドルディが集まっていた。
しばらく進むと、ひときわ目立つ置物が見えた。像ではあるが、素材は石でも金属でもなさそうだ。置物のすぐそばには他よりも高い建物の入り口があった。カービィは入り口を見てすぐに中に入っていった。耳を澄ますと複数のワドルディの声と、猛獣の雄叫びが中から聞こえる。割れたガラス扉を潜り奥へ進むと、逃げ惑うワドルディを追いかける犬を追いかけるカービィがいた。カービィは何度も吸い込みを試みるが、追い付いても吸い込みの体勢に入るまでに離れられてしまっている。
「なあ、あれってどうすれば良いんだ?カービィが扱える武器とかないか?」
カービィのことはワドルディの方が詳しい筈だ。カービィが武器でも使えれば良いのだが。まあ、私が魔法でぶっ飛ばしても良いのだが、あの三人の距離的に真ん中だけを器用に撃ち抜くのは正直難しい。
「カービィさんならどんな武器でも扱えるけど…」
私のそばに居るワドルディ達が辺りを見渡す。
「あれなら丁度良いんじゃない?」
そう言ってワドルディ全員がガラスの向こうに飾られている等身大人形を指差した。なんなら逃げ惑ってるワドルディまで同じ場所を指差している。いや、アレは腕差しという表現の方が正しいか。オレンジ色の烏賊の切身のような独特な髪を持ち、トンチンカンな服装をした等身大人形の手には銃のような形のカラフルな武器が持たされていた。どう考えても玩具の銃で殺傷能力はないというか、多分当たっても痛くないような物にしか見えない。あと絶対弾は入っていない。
「アレを取ってカービィさんにコピーさせれば、きっと強力なコピー能力が得られるよ!」
「銃をコピーするのは何気に初めてだよね?どうなるかなあ?」
「カッコいいに決まってるよ!」
ワドルディ達が口々に言うので、信用するしかないだろう。私はガラスをぶち破って等身大人形から銃を無理矢理取り外し、カービィに向かって投げた。
「カービィ!受け取れ!」
カービィはその銃を吸い込み、そのまま飲み込んでしまった。するとカービィはどういうわけかライト付きのヘルメットを被り、どうやって掛けてるか分からないが背中に拳銃を掛けていた。カービィサイズだと拳銃は掛けるものなんだな。カービィは一旦犬から距離を置き、一発銃を撃った。弾は何故か分かりやすいまでの星形で美しく輝いていた。弾は犬の頭にヒットし、犬は一撃で倒れた。
更に上へ、奥へ向かうと、猛獣の雄叫びはどんどん大きくなる。ところが、ある程度進んだところでいかにも下等生物が作るような、骨や木材、粗大ゴミでできたバリケードに阻まれてしまった。どういうわけか私の魔法が一切効かない。紫の言っていた結界とやらはこれで間違いないだろう。