東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World.   作:ぽよい

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十六夜咲夜(ワドルディ):元々はデデデ大王に仕えていたワドルディ。いつも通り雑務をこなすが、謎の渦によって幻想郷に流され、そのままレミリアに拾われた。その時に貰った名がかつて紅魔館のメイド長だった人間と同じ十六夜咲夜である。左利きだが、ヤリを他のワドルディと同じように構えるために訓練したため、武器は右で持つことが多い。そのためか、投げナイフは両手で扱うことができる。


橙球密室

とりあえず落下途中で時を止められた本を取る。まるでこれは…ナゾの渦の中のような違和感…そうか、空間を歪ませて時間の速さを変えているのか。となると、この館の間取りがおかしいのもこの能力の応用って訳か。何らかの方法で生前の咲夜さんが作った空間を保持している感じなのかな。

時間の流れが元に戻った。なんとなくコツは掴んだ気がする。でもどうしてこんな能力を?ワドルディと言えばスカなのに…まあいいか、深く考えても仕方がない。赤髪の人にその本を渡した。

 

図書室を出て自室に入る。自室にはいつの間にか自分のサイズに合わせられたメイド服とこの館の日課が書かれた紙が置かれていた。ボクこういう女装はじめて…じゃなくて…

メイド服と言う割にはクールな仕上がりだった。他のメイドが来ているメイド服とはデザインが違う。高身長のカッコいい女の子がこういうメイド服来たらモテモテなんだろうなあ。あ、この星の基準だと高身長って150cmは余裕で超えるか…200cmとか?カービィさん10人分?

そういえばこの部屋、かつては初代咲夜さんが使っていた部屋ってことだよね。彼女を知る何かが残されているかも。

ある棚を開けてみると鍵の掛けられた本があった。鍵付きの本ってことは日記だろうか?鍵は掛けられたまま錆びて壊れている。脆くなっているので私の力なら簡単に開けられそう。そうして開いた1ページ目にはお嬢様の写真が貼られていた。それを見てその本をそっと閉じ、テキトーな紐を見繕って厳重に縛り上げ、元あった棚のより奥に置いた。ボクに咲夜さんの代わりは勤まらないと確信した。あんなこと…ボクには無理です!

他の棚には釣具やらテントやら、アウトドアを楽しんでいたと思われる道具が多い。どれもかなり古く、修理や補強がされた跡が残っている。釣り竿に付けられている釣り糸は割と最近交換された様であり、おそらくは私の一つ前の咲夜が釣りをしていたのだろう。魚拓とか残ってたりするかな?流石に無いか…

日課表を見てみると、昼型の人間のそれと概ね同じだ。夜にも活動するようだが、食事やおやつの時間は日中に決められている。そろそろ朝ご飯の時間だ、渡しの初仕事ってことになるかしら。

 

厨房に入り、朝食プレートを作る。身長的に普通にこのキッチンを使えないので取っ捕まえた妖精メイドの頭に乗せてもらっている。どうも吸血鬼用の食事には謎の粉を一定量以上混ぜる必要があるらしい、おそらくこの星の人間の血から作られたものだ。パン類や缶詰などの加工食品の一部は吸血鬼用だけ別で袋詰され、粉換算の量も示されている。他にもレシピはかなり細かく指定されている。恐らくは生前の咲夜の味を再現するためなのだろう。ついでなので自分用の朝食プレートも作り、プリンなんかのお菓子の仕込みもしておく。自分用のプレートはプププランドのカフェなんかで提供されるものを再現したものだ。この星の食材の味なんか知らないけど、見た目はどれもプププランドのものとそっくりだし、まあ似たようなものだろう。

食事をテーブルに運び、お嬢様を呼ぶ。妹様の部屋には先程のメイドを向かわせた。

料理というものは全く同じレシピであっても作る人によって微妙に味が変わる。やはり咲夜の味が恋しいのだろう。小雨が降り始め、それはお嬢様の心境を表しているようだった。どの程度味に差があるのかは分からないが、お嬢様の食は細かった。吸血鬼用の料理を自分が食べるわけにもいかないので、お嬢様が残した分は妹様に食べてもらうことにした。妹様の部屋にそれを持っていくと、妹様は私が故郷の料理を作って食べたことにどういう訳か気が付いたようで次からそれを出すようにとおっしゃった。それからおかわりを食べ終えた妹様は傘も持たずに雨の中外に飛び出し、何処かへ遊びに行ってしまった。あれ?吸血鬼って雨とかダメじゃなかったっけ?

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