東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
御札を使ってスキマを開ける。スキマの向こうから紫とワドルディの声が聞こえる。
「拐われた仲間を助けたいかー?」
「わにゃー!」
「カービィの役に立ちたいかー?」
「わにゃー!」
「主人公より人気者になりたいかー?」
「わにゃー!」
「ムキムキのモテモテになりたいかー?」
「わにゃー!」
「ならば!かかれー!!!」
「わにゃー!!!」
アイツらノリノリだな。一体何をやっているのか。とはいえ、スキマからけしかけられたワドルディ達は、今回助け出したワドルディと一緒に物理結界を見る見るうちに破壊していった。結界を破壊し終えたワドルディ達は、スキマの向こう側へと走っていった。
結界の向こう側が露わになるとそこには一人のワドルディがいた。そのワドルディはバンダナを被り、槍片手に犬と戦っていた。こちらに気が付くと振り返りながら最後の一匹にトドメを刺した。見事な槍捌きだ、只者じゃないなアイツは。
「この先の広い場所に犬や烏だけじゃなく、巨大なゴリラも…この世界の住民は大きいんですね、あのゴリラ、この世界の基準だとそんな大きくないのかも…とにかく、既に何人ものワドルディがあのゴリラに連れ去られ、僕一人になって…でも、カービィが来たならきっと大丈夫ですよね!」
バンダナを着けたワドルディの顔には悔しさが滲み出ていた。カービィはいつも通り元気よく返事をし、すぐに奥へと走っていった。日本にゴリラが居る理由がよくわからないか、動物園に居たものが野生化したとかか?動物園なんて噂でしか聞いたことがないからなあ。ゴリラも生で見るのは何気に初めてなので少し楽しみではある。
「ボク、いつかカービィを超えることが夢なんです。結局今回も負けて、カービィに頼ることしかできなくて。あ、ボクはバンダナワドルディっていいます。」
名前そのまんまだな。
「私は霧雨魔理沙だ。で、なんだ、その、言い難いんだが…お前が目標にしているアイツはゴリラに捕まっているが…」
「あの人、ああいうところは抜けてるからなあ。それでも勝っちゃうのが凄いところなんだけど。ほら、もう自力で逃げ出してますよ!」
ゴリラは巨大というほどではないが、なかなかに大きかった。黒い毛に覆われているが、何故か背中の毛だけが白かった。そして首にはワドルディが入った檻が掛けられている。おそらく回収待ちだろう。持ってかれる前に倒せるといいが…
ゴリラは物凄い力でカービィに殴りかかるがカービィは的確に攻撃をかわしつつ、銃を撃ち込んでいく。ゴリラが殴った場所にはヒビが入っている、喰らえば一溜まりもないだろうな。しかし、ゴリラは怯む様子がない。カービィの銃撃があまり効いてないようだ。私はゴリラの背中に向ってマスタースパークを撃った。かなりの威力を出したはずだが、ゴリラの毛が微妙にチリチリになった程度でほとんど効果はなかった。多分カービィの銃撃よりダメージになってない。と、ここでポケットの中が…
「それならとっくに知ってるぜ。さっき試した。」
「外の世界では魔法の威力は落ちるわよって言いたかったのに…でも貴女みたいな脳筋なら雑魚は簡単に蹴散らせるでしょうね。因みにゴリラに限った話じゃないけどああいう動物はかなり寒さに弱いみたいよ。」
紫と話している間にバンダナワドルディは姿を消していた。
ああいう動物ってのがどこまでの範囲を示すのか知らないが…。しかし、冷却魔法なんて涼める程度のものしか覚えてな…いや、昔試したことがあるな。熱を作ろうとするとどうしても冷気もどこかで発生する。冷気が別のエネルギーに置き換われば話は別だがな。もし氷を武器として扱えるならば…近くに水道があったはずだ、試してみる価値はあるな。結界があった方へ逆戻りし、厠のような部屋へと入る。外の世界では厠をトイレと言うらしいが。高い建物に水を送るには一旦上に水を溜め込む必要があるから、貯水タンクに水が溜まっていれば蛇口は使えるはずだ。私が配管工を何年やってると思っているんだ?それぐらいのことなど知っている。まあ、上に溜め込むための技術は違うだろうがな。
蛇口をひねると出は悪いが濁った水が出てきた。雨のような匂いがする。おそらくこの建物の貯水タンクがボロボロになり、そこから雨水が入り込んでいたのだろう。強力な熱を発生させ、副産物の冷気を水に当ててみる。何とかシャーベット状には凍ったが、これで行けるだろうか?これを持ってゴリラのところへ戻り、カービィに向って投げつけた。
「カービィ!これを吸い込め!」
あの玩具も本物に変えたぐらいだ、こんな氷でも本物の冷気に変えてくれるだろう。
カービィはあれを吸い込むと、氷の冠を被った姿に変わった。カービィの吐息はかなり冷たいらしく、ゴリラはかなり嫌がっている。ゴリラの足元は凍り、動きも鈍くなって震えている。
「今だ!喰らえ!」
高いところからバンダナワドルディの声が聞こえる。どうやら隠れてチャンスを窺っていたようだ。ゴリラもバンダナワドルディに気が付いたが、寒さのあまりに動けず、避けるどころか防御すら取れていない。バンダナワドルディの渾身の一撃はゴリラの急所を貫いた。
ゴリラから檻を回収し、破壊した。中のワドルディは特に怪我をした様子も寒がる様子もなかった。そういうところは強いんだな、少し安心したぜ。
「早く温かいシチューが食べたいなあ。」
いや、寒がっていたわ…