東方新天地 〜 Forgotten Memories in the New World. 作:ぽよい
音の聞こえる方向へいくと、巨大な冷蔵庫…ではなくそのとなりの部屋についた。扉にはなにか書かれているようだ。部屋の名前だろうが判別できないほど劣化している。扉にはワドルディが出入りできる程度の穴が開けられている。恐らく扉としての機能が失くなってしまっているのだろう。扉を抉じ開けてやろうと思ったその時、中から大きな声が聞こえた。
「やった!ついに完成だ!」
本当になに作っているんだ?取り敢えず扉を抉じ開けて中に入った。
…言っとくけど私は他の魔法使いと違って運動もしてるからな?
中にいたワドルディの手には緑髪の少年(?)のフィギュアが握られていた。作業台にされていたと思われる段ボール付近には失敗作と思われる似たような形の着色されていないフィギュアが散乱していた。フィギュアを持ったワドルディが自慢気に語りだす。
「このフィギュアね、このずんだ餅のパッケージに描かれている一枚絵から立体化したものでね…(省略)」
果たしてどれだけ時間が経ったのだろうか。というかなんでこのワドルディはずんだ餅を知っているんだ?純粋に気になったので聞いてみることに。
「何でずんだ餅を知っているんだ?」
「何でって、このパッケージにもろ“えだまめだもんのずんだ餅”って書いてあるじゃないですか。」
本当だ。つまりずんだ餅を知らなかったワドルディ達がマヌケだったのか。
フィギュアは一度型ができてしまえば量産が可能らしく、助けに来てくれたお礼としてこのフィギュアと紙を受け取った。因みに星5、最高レアリティらしい。紙にはこう書かれていた。
「
えだまめだもん
この世界でずんだ餅を流行らせたバーチャルなストリーマーで自称枝豆の妖精さん。東北出身。初期は全く有名じゃなかったが、きりたんぽ鍋に無言でひたすらにずんだ餅を入れるという謎動画が爆発的に拡散され有名になった。そして彼がプロデュースした美味しい枝豆のずんだ餅が冷凍で、全国で手軽に食べられるようになった。多分男の子。
」
いや何でこんな詳しいんだよ!こんなに詳しいのに何で性別だけ曖昧なんだよ!
「あれ?カービィさんそれって、もしかしてSOS届いてたんですか?」
フィギュアをくれたワドルディがカービィの持っているカプセルを見ている。
「ぽよよ。」
カービィは首を横に振っている。
「なんだ、意味なかったのか。あ、因みにそのカプセルの中身はずんだ餅のフィギュアですよ。星2。」
ずんだ餅は星2なのか。と、あんまり油を売るのはよくないな。御札を使ってスキマを開け、ワドルディ達を誘導した。ワドルディ達は気に入ったのか冷凍ずんだ餅を持ってスキマへ入っていった。
「さてと、次へと進むぞ。この辺は似たような工場の島が沢山あるみたいだし、運良くここにたどり着いたワドルディ達を回収すればこちらとしてはかなり有利だ。」
上陸したときとは反対側へと出る。かなり離れているが工場の島がいくつか見える。
「これ、どうやって渡る?さっきの船をこっち側に持ってくる?」
「いやー、あん時は忘れてたが、私なら余裕で二人を運んで飛べるぜ。」
「なんだ、それなら楽チンですね。」
カービィは人の話を聞かずに海の上を凍らせて先に行ってしまった。私はバンダナワドルディを頭に乗せて飛び、カービィの後を追った。カービィが通った跡には、稀に大きな生き物の形をした氷が浮かんでいた。
次の島がある程度近付くと、釣りをしているワドルディが見えた。ワドルディは大物の魚を釣り上げると、火を炊いて調理し始めた。
「あ、カービィさんも食べます?あまり美味しくないですけど、この島には食べるものがないので。因みに食べ残しでトラップも設置しているので気をつけてくださいね。たまに海鳥が襲ってくるので。あと、泳いで陸地に向おうなんて考えないほうがいいですよ。この前不味い飯に嫌気が差したワドルディが海に飛び込んだらイルカっぽい生き物に襲われて檻に閉じ込められ、どこかに運ばれて行きましたからね。」
ヤケに冷静だな。というかカービィが入ってきたのに最初からそこに居たような反応とは。
「ん?カービィさん?
ん?え?ん?
みんなー!助けが来たぞー!」
どうも前の島との差は美味しい食べ物があるかどうかで、状況はほとんど同じだった。
それから他の島も見て回ったが、やはり似たような状況だった。美味しい食べ物がある工場ではカービィが当たり前のようにトラップに引っかかっていたが。ワドルディを助け終わった後もあちこちを探索したか物理結界を見つけられず、日が暮れてしまったので私達もスキマで戻ることにした。