ドイツ南東部のキームゼー湖。それはバイエルン州に存在する湖であり、周辺にはヘレンキームゼー城があり観光客も訪れるような場所である。
そこでは現在、爆音が響き渡っている。周辺の町は大混乱に陥っており、逃げようとする民衆と現場に向かおうとする警察が現場に向かえず機能不全になってしまっている。
そしてキームゼー湖上空には一機のISがいた。それは一樹の不知火である。今は研究所に展開しているSAMと対空砲陣地を吹き飛ばしているのだ。
「敵、対空砲陣地沈黙!コレより内部へ突入する。」
『おっけ〜、また前みたいなこともあり得るから注意して進んでね。』
「了解。注意して進む。」
キームゼー研究所は医療技術の表では研究所として通っているが、裏ではデザインベイビーやクローンを生み出し、数えられることのない命を使って様々な研究を行っているそうだ。
内部に侵入し警戒して進むが、地上構造物は病院や薬を作るための設備が多く見られるだけで非人道的な研究所には見えなかった。
やはり前と同じで地下が本体なのだろう。
不知火のハイパーセンサーを使って建物をスキャンして束に解析してもらい、地下への入り口を見つけた。
かなり巧妙に隠されていたらしく事前の調査ではわからなかったのだ。
「これから地下へ侵入する。ルートをナビしてくれ」
『オッケー、それじゃまずは......』
束の指示に従い地下へ侵入した。
侵入するとそこには大量の重機関銃があり弾幕を張り、近づけまいとしてきた。
対処するために通常は機動戦をメインとする不知火に装備されることのない追加装甲を装備した。
追加装甲を構え、そのまま真っ直ぐ突撃シールドチャージを行いそのまま機関銃陣地を粉砕した。
追加装甲を使う機会などなかった身としてはこんなにも使えるものだったのか感心しつつ、そのまま前進した。
似たような陣地や多数のドローンやパワードスーツを装備した機械化歩兵を蹴散らしながら進み続けた。
やがて広い空間へ辿り着いた。
最初は前のアレと同じかと訝しみながら侵入すると、そこに並んでいたのはシリンダーに入った多種多様な人間と脳であった。
「なっ.....!?これは、なんだ⁉︎」
気分の悪くなる光景だった。
不意に記憶によぎったのは横浜ハイブで発見された人間の脳。シリンダーに入れられ生きたままに脳だけの存在になってしまったものたち。
嫌なものを思い出してしまい、吐きはしなかったが気持ち悪くてしょうがない。
『オェええ!』
「束!無理するな!少し休んでろ!」
オレはそういうと吐いてる声なんて聞かれたくもないだろうし通信を切った。
束にこれはあまりにもキツイだろう。
彼女は天才であってもオレのように地獄を見てきたわけじゃない。
こんなものをまじまじと見る機会なんて無かっただろう。
これは人のやることじゃない。非人道的とかそんなものでは済まない。
「クソが....なんのためにこんなことを。」
吐き捨てながら取り敢えず先へ進む。
こんな事をしでかした連中をどうしてやろうかと考えながら。
そのころドイツ国防軍は大混乱の中にあった。
例の研究所には政府からの命令で特殊部隊やSAMを配置していたのだがそれは壊滅した。
しかも現地の情報によれば襲撃者はISを使っているとのことで、もはや打てる手はIS部隊の投入しかなかった。
しかし、国防軍としては例の研究所に大切なISという機動戦力を使いたくはなかった。
あの研究が公表される事態になればそれを知った上で見て見ぬふりを通して、部隊を配置していた軍にも責任が追及されることになるからだ。
だが政府から出動が要請され、民主主義の軍隊として政府に逆らえない軍は航空機動作戦師団所属のシュバルツェ・ハーゼに出動命令を出す他なかった。
そしてファイツヘーヒハイムから黒兎が飛び立っていった。
先へと進んだ。
そこでは少女の死体を乱雑に捨ててある廃棄場や、苦しみ抜いて死んだであろう少女がベッドに縛り付けられたまま放置してある様を見た。
むろん視界の同期を切っており束は見ていない。
「クソっ....見つけ出して必ず裁きを受けさせてやる!」
腑が煮えくりかえる感覚を覚えながら前へと進む。
ここまでくると敵も現れなくなった。
そしてついに管制室にたどり着いた。
普通に開いており中に入る。
そこにはニヤニヤしながら数人の研究者が立っていた。
「キサマらがここの研究員だな。」
そう痩せっぽちのメガネをかけた男に問う。
「いかにも我々がここで研究をおこなっている。人類の発展と新たなモノを生み出すためにね。」
「人類の発展?少女を痛め付けることがか?」
ふざけた事を抜かす相手にイライラしながらさらに問う。
「ああ、そうだとも。人類はインターネット社会に進出し膨大な情報を手に入れるようになった。だが、その膨大な情報を処理するコンピュータは発展途上だ。」
男は語る真面目に。だがその瞳には狂気が見え隠れしていた。
「そして政府の依頼にあった高性能なコンピュータを搭載しISに対抗できる低コストの兵器。今の技術では不可能だと考えた。」
堂々と政府が絡んでる事を話した。コイツにとって雇い主などどうでもいいのだろう。
「だが!神は私を見捨てなかった!私に天啓を授けてくれたのだ‼︎」
その目と笑みはまさしく狂信者であり狂っていた。
そしてオレを見つめ奴は問いかけてきた。
「ところで君はこの地球に存在する情報処理装置で最もコンパクトで最も性能の良いものを知っているかね?」
なんとなく予想はついたが、言いたくはなかった。それを言ってはいけないような気がしたのだ。
黙っているとわからないと判断したのだろう。口を笑みで歪ませると大きな声で言った。
「それはね、人間の脳さ‼︎」
やはりか....。
「灯台下暗しとはこの事なのだろうね。私はこの考えに至った時まさしく天啓だと思えたのだ!そこからはクローンを生み出し生きたまま脳を取り出す研究を続けた!」
「そして完成したのさ!ついに!」
完成?まさか...!?
「さぁ!実験の時間だ!存分に戦って我々にデータをもたらしてくれたまえ!」
そうして上から降りてきたのは全身に装甲が施されたパワードスーツが三機。
全体的に丸みを帯びたボディ。そして腕にチェーンガンを、肩部にレールガンを取り付けた機体がニ機とブレードを装備した機体が一機。
すでにチェーンガンはこちらを照準していた。
「クソがっ!」
慌てて追加装甲を前面に出し後退する。
それに対して2機はチェーンガンをぶっ放してくる。
そしてその間を縫って切り掛かってくる。
狭い空間という状況が回避を妨げ自由な戦闘ができない上、広範囲を制圧できるミサイルポッドの使用を妨げられ対多数戦闘がかなりキツイ。
今までの連戦で消耗していた追加装甲を放棄し、切り掛かってきた機体を盾にしつつ鍔迫り合いをする。が、
「ぐうッ!無人機とはいえ味方ごと撃つのかよッ....!?」
鍔迫り合いしてる敵機ごと貫徹力の高いレールガンを撃ってきた。
腹部に被弾しシールドエネルギーを大きく削られる。
オレは鍔迫り合いをしていた敵機を蹴り飛ばしサブアームを使い74mmキャニスター弾を叩き込んだ。
穴だらけになった機体は頭部から何か液体を垂らしながら沈黙した。
「くっ⁉︎」
安心したのも束の間、射撃型からの弾幕射撃が再開され横道に退避する。
(追加装甲はもうないから射撃戦も不利、接近しようにも弾幕を避けきれない...)
状況は最悪だった。一機やったとはいえ直撃弾を受け大ダメージを負ってしまった上、打つ手なし。
「いや待て。不利がなんだ。いつものことだろ。中々平和だったせいで鈍ったか?」
弱気になった自分のことを笑う。
数的不利?
いつものことだろ。
最悪な状況?
いつものことじゃねーか。
死にそう?
いつものことだろ。
死地に飛び込んでこそのオレ達だろ。無茶してナンボだろ。
あの大隊長。あのクソッタレの死神殿ならそう言うだろうなどと考え思わず笑いが出てしまう。
「一丁ぶちかましてやりますかね」
ターゲットは横穴に逃げた。致命弾になりかねない一撃を当てた。
このまま追い込み確実に敵を破壊する。
....私は何をしているのだろう。
私?私とはなんだ?
理解不能。
今のはエラーと思われる。
自己診断プログラム 作動。
..........エラーは発見できず。
....いたいよ。くるしいよ。
いたい?痛みとはなんだ。
...わたしを、ころして。わたしをかいほうして
....だれもころしたくない。わたしたちをたすけて
!敵機出現。正面より急速接近中。
高機動戦闘に移行。
二番機は弾幕射撃を続行せよ。
本機は跳び上がり後退し距離をとりつつレールガンを発射。
...やめて。もうやめて。
理解不能。
二番機の動きに異常あり、射撃プログラムのエラーと思われる。
二番機が破壊された。
敵はすでに四発レールガンに被弾しているのにも関わらず未だ進んでくる。
ダメージを考慮せずに突き進んでくる。
理解不能。
チェーンガンによる弾幕射撃を再開。
同時にレールガンによる射撃も続行。
.....やめて!
......?
姿勢制御プログラムに異常発生。
回避不能。
「もう眠っちまえ」
機体中央部に被弾。
続いて腕部損傷。
頭部に被弾。
メインシステム異常発生。
行動不n......
「はぁ....はぁ....」
シールドエネルギーによる防御は衝撃までは殺せない。そんな状態で貫徹力と威力の高いレールガンを六発も受け左腕は折れ、装甲もあちらこちらにヒビが入った。シールドエネルギーの状況とかを考慮すると雑魚ドローン相手には十分だが、コイツらとの再戦は無理だな。
「どんなもんだ!ゴリ押しってのは!逆に単純すぎて対応できなかったか⁉︎」
そう言いつつも、破壊直前の射撃型二機は何か動きがおかしかった。
よくわからんと考えつつも脳を利用されていた彼女達に対し手を合わせ冥福を祈る。
「すまん。オレにはこうしてやることしかできん。せめて、奴らには相応の報いを受けさせる。」
.....ありがとう。お兄さん
?
なんか聞こえたような?
まぁいい、取り敢えずあの陰気なクソッタレ殴りにいかねばと、管制室へと向かう。
「見事だ!実に見事だ!なにやらエラーが発生したようだが実戦データが取得できた。あの方に送らねば。」
研究者は嬉しそうにデータをどこかに送信していた。
そこへ一樹が戻ってきた。
「ん?ああ、君か。ご協力感謝するよ!貴重なデータを得ることができた。私は満足だよ!」
「そうかい。」
ダンッ!
「えっ?」
感謝の言葉を一樹に捲し立てると、短い返事と共に20mm弾が飛んできた。
研究者は足を吹き飛ばされ、なんとも気の抜けた声を上げそのまま転んだ。
「ガァァァァァアアアア!」
そうして転がっている研究者の横を通り、一樹は研究内容に関してデータを吸い上げた。
「ふふっ...これが足を失う痛みか...。新たな発見だよ。すでに私の役目は終わった。好きにするといいさ。次は腕か?それとも胴体か?それとも殺すのかい?」
無視しデータを取り続け、他の研究者の周りに20mm撃ち込む。
「ひぃいいいい」
情けない悲鳴をあげうずくまっている彼らに問いかける。
「これ以外に研究データはあるか?あるなら案内しろ。嘘をつけばそこで転がったる奴みたいになるぞ。」
そう言い転がってる奴に20mmをもう一発叩き込み左腕を吹き飛ばす。
「ぎゃああああああああああ」
悲鳴を上げてのたうち回る様をみて従順になるのであった。
情報の回収が終わった一樹は研究者たちを連れ管制室に戻った。
「あの、我々はこれからどうなるんですか?」
1人そんなことを聞いてくる男がいた。
すると一樹は一つ確約した。
「安心しな。オレに殺す気はねえよ。」
それを聞きあからさまにホッとしていた。
が、一樹はドアから一歩下がり発砲した。
「ひぃっ、何を?殺さないんじゃ⁉︎」
「ああ、"オレは"殺さなねえよ。せいぜい助けてもらえることを神様に祈っとくんだな。ま、命を弄んだ連中を救ってくれる神様がいればの話だけどな。、」
一樹が破壊したのは管制室の通信機器などのコンソールである。
そして扉を閉じ、開閉用のコンソールを破壊し開けられないようにした。
扉を叩く音が響き渡るが彼はそれを無視し資料の中にあった唯一の生存者を探しに行く。
研究所を探しようやく見つけた。
ベッドと机、トイレ、シャワールームがある部屋で横たわっている銀髪の少女。
計画通りに生まれることができなかった出来損ないではあるが利用価値を見いだされ生かされていた。
彼女はこちらに気付き体を起こし目線を向けてきた。
「あなたは誰ですか?研究所の人には見えませんが。」
「オレは今はハウンドドッグと名乗っている。詳しいことは後で説明するが君をここから連れ出すために来た。」
そういうと閉じていた目を開きこちらを不思議そうに見つめた。
「...私を連れ出してなんの得が?」
「得なんてないさ。強いて言うならオレたちの自己満足さ。詳しいことは後だと言ったろ。まずはここを出てからだ。」
そう言い、彼女を右腕で抱えた。
「さぁ、しっかり掴まって。」
彼女は首にしっかりと抱きついた。
「こちらハウンドドッグ。聞こえるか。」
束に連絡を入れ回収の用意をしてもらう。
さっきのダメージから立ち直ってるといいが。
『聞こえてるよ。...ごめん心配かけたね。』
「気にすんなよ。あんなもん見たら誰だって気分悪くなるさ。それよりも回収の用意を頼む。」
しょうがない。あんなの訓練された兵士でも吐いちまうような光景だった。それぐらいひどい光景だった。
ちなみに彼女たちはこのままでも死んでいる状態と変わらなかった為にやむなく殺した。
介錯したとも取れるだろうけど、命を奪ったことに変わりはない。
この事は束に言うつもりはない。彼女にこれ以上新たな苦しみを与えたくはない。
そしてオレは少女を抱え地上を目指して歩みだした。
せめてこの子には世界を見せて幸せを見つけてもらわねばと、覚悟を決めながら。
ほんっとに戦闘描写が難しいです!
今後の最大の課題は戦闘描写になりそうです。
それと他のss読んでて「あれ?うちのssひょっとして行間詰めすぎ?」ってなったので行間空けてみました。
どうでしょうか?なんか違和感を感じたりするなら指摘してもらえると助かります。
あとヒロインをどうするか、今のところアメリカ繋がりでナターシャさんはどうかとのご意見をいただきました。他にもこの人はどう?とかこの人がいい!などご意見がありましたら、活動記録のヒロインアンケートコメント欄か感想欄にてお願いします。