隙間時間バンザイ。
それでは十四話どーぞ!
IS学園1年1組。
そこには注目の的になってる男がいた。
織斑一夏。
彼は初代ブリュンヒルデである織斑千冬の実の弟であり世界初の男性IS操縦者。
有名人の弟で世界初のためメディア露出もかなり多く有名人であった。
背中から彼に突き刺さる視線はまさしく針の筵であった。
(き、きっついな.......)
男という助けを求めチラッと後ろを振り向くと何故か一番後ろに座っている他の2人が見える。
しかもなぜかポーカーをやっている。
彼らも自分よりマシとはいえ同じ視線を味わっているはずなのに。
(どんな胆力してんだよ.....)
あ、日本人の方がガッツポーズした。
いや、そんなことはどうでもいい。
(はぁ...オレやっていけるのかな?)
♢
うん。見渡す限り女しかいない。
こんなとこに高一の男子1人ぶち込むって、拷問かなんかだろ。
「スターク、一発目でロイヤルストレートフラッシュなんてイカサマしたでしょ⁉︎」
小声でさっき見事な負けを決めたシャムロックが小声で抗議してくる。
シャムロックには登校して会ったときに敬語を使ってきたので「ここは学校だしオレたちは同級生だから敬語はいらない」というとあっさりとタメ口で話すようになった。
「へっ、裏打ちされたオレの運だよ。イカサマだっていうならイカサマの証拠を出さなきゃな。」
イカサマはもちろんしてるが舐めないでほしい。今までこの方法で稼いできたんだ、そんな簡単にバレてたまるか。
そんな事やってると、緑の髪のスゴい胸部装甲した人が入ってきた。
「皆さん、おはようございます!」
.............
「....あれ、皆さーん!おはようございます!」
....................
あっ、涙目になった。
「うう、はじめまして。1年1組の副担任の山田麻耶と言います。よろしくお願いします」
なんだあの先生かわいいな。
イジり甲斐のありそうな人だな。
「よろしくお願いします。」
うおっ、いい子ちゃん代表みたいなシャムロックが行った。
「はい!ウォーカーくんよろしくお願いします!それでは出席を取るので名前を呼ばれたら返事をして自己紹介をお願いします。....相川清香さん。」
「はい、相川清香です。趣味は....」
しばらく後だろうし顔と名前は警護するときのために事前に把握してある。
自分の番もしばらく後だし聞いてる風を装って他の連中について思い起こす。
そういえば、ゴスペルの奴は元気にやってるようで「シルバリア・ゴスペル最高かよ!」(意訳)っていう感じのEメールが届いていたな。
ホーキンス提督も子供が一気に3人もできてしまったと困りげに話してはいたがすっかり子煩悩のようで副官や参謀から「子供自慢が長い」と何故かコッチに苦情がきたりした。
ビーストは....知らん。ま、酒飲んで男と寝て楽しく気ままに生きてるだろ。
そんな風に3人ほど思い出したところでなんか山田先生が困ってる様子が見えた。
意識を戻すとそこには
パァァアン!
「いっ──!?」
「貴様はまともに自己紹介もできんのか?」
「げえっ!関羽‼︎」
「私は中華に名を刻んだ覚えはない‼︎」
スッパァァアン‼︎
「ガガァーリン⁉︎」
なんか織斑一夏が後頭部にツッコミとともに凄まじい一撃が叩き込まれていた。
しかも二発。
一撃なのに二発って矛盾してね?
そんなことより出席簿ってあんな音出るもんだっけ?
「諸君、私が織斑千冬だ。君達のようなヒヨコを一年で操縦者に育てる。私を含めた教員の言うことをしっかり聞き、理解しろ。理解できねば理解できないままにせず必ず質問しろ。いいな。」
うーん。アンタも自己紹介について学んだ方がいいのでは?
教員じゃなくて教官だよアンタ。
心の中でツッコんでいると、首の辺りがチリチリしだした。
嫌な予感?
だが一体何に──?
「「「「「「きゃああああああああああ!!」」」」」」
「「「ぎゃああああああああ⁉︎⁉︎⁉︎」」」
音響爆弾かよ⁉︎
鼓膜死ぬわ⁉︎
「本物の千冬様よ⁉︎」
「私は千冬様に会いたくて北九州から来たんです!」
「千冬さんが担任なんて⁉︎」
ああ、千冬は良くも悪くもアイドルみたいなもんなんだな。
そりゃあの時大慌てで引っ叩いてでも黙らせるわな。
なんて1人で勝手に納得してると千冬は大きくため息を吐きこめかみを押さえる。
「どうしてうちのクラスにはいつもバカどもが多いんだ...」
苦労してんな千冬。
ギロっ
なんでコッチをそんな恨めしげな目で見てくんの?
「ふぅ。おい仙洞。自己紹介しろ。」
「えっ?こういうのって順番通りやるもんじゃないんすか?」
「注目の的のお前らをさっさとやった方が楽だろ。」
「そりゃごもっとも」
コッチを指してきた千冬に反論してやったが普通に真っ当な理由だったから納得して学生の方を向く。
「え〜。日系アメリカ人のカズキ・センドウ、仙洞一樹の方がわかりやすいか。アメリカ空軍に所属してましたがどっかの誰かさんのお陰でIS学園に来ました。歳上ですがなんの気兼ねなく話しかけてきてください。」
そういいシャムロックに目配せする。
すると察してくれたらしく立ち上がり自己紹介をする。
「オランダから来ましたヤン・ウォーカーです。元はオランダ空軍でパイロットをやっていました。仙洞さんと同じように歳上ですが気にせずに話しかけてきてください。皆さんどうぞよろしく。」
シャムロックも席に着いたので千冬の方を見て、早く済ませてやったんだからさっさと進めろとアイコンタクトを取る。
チッ
えっ?アイツ舌打ちしやがったよ。
「ふん。それでは山田先生続きを。」
「あ、はい。」
そうして自己紹介は続き、なんとか最後まで終わらせることができた。
♢
休み時間になると、織斑一夏がこちらに来た。
「えっと、ウォーカーさんと仙洞さんでしたっけ。」
「おう。それと呼びづらいだろうし呼び捨てでいいよ。あと敬語も要らん。」
「僕も敬語とかはいらないよ。クラスメイトだしね。」
そういうと嬉しそうに顔を明るくした。
「じゃあヤンと一樹でいいか?」
「それでいいよ。でもやっぱり本名だと呼ばれなれないね。」
「なんでだ?」
シャムロックの言葉に疑問符を浮かべる一夏。
まぁ、一般人がTACネームなんて普通は知らんよな。
「ああ、僕みたいな空軍パイロットはTACネームっていうコードネームみたいなものを持ってるんだ。僕だとシャムロック。」
「オレは元々はレーダー士官だったからISに乗ることになってから決めたが、スタークって名乗ってる。」
「すっげえ!カッコいいなそれ!」
「そうだろう」
少年のように目を輝かせる一夏に少し照れるシャムロック。こういう時はオレみたいにドヤ顔して胸張っとけばいいんだよ。
「すまないが、少しいいだろうか?」
「ん?」
横から入ってきたのはいかにも日本人という感じのポニーテールの美人。
コイツは....
「箒!」
そうだ束の妹の篠ノ乃箒だ!
一夏に名を呼ばれると少し赤くなっていた。
ほほう...。確か情報では幼馴染だったよな。
「すまないが一夏を借りてもいいだろうか。」
「構わんさ。昔馴染みなら折角の再会だ存分に話してくるといい。"2人"でな。」
「っ⁉︎」
「あっ、おい箒?すまんけどちょっと行ってくる!」
2人の部分を強調すると顔を真っ赤にして一夏の腕を掴み教室を出ていった。
「いやぁ、若いっていいね!」
「まだ21でしょ。」
「シャムロックも20を越えればわかるよ」
「一つしか変わらないのに大人ぶるなよ。」
あれ?そうだっけ?
童顔だから20未満かと思ってた。
年齢に関しては正直どうでもいいから大まかな名前と顔と所属、軍歴ぐらいしか確認してなかった。
オレはおむもろに体をまさぐりだす。
「何やってんの?」
「タバコを吸ってたもんだから口が寂しくてな...あった」
よく業務中にタバコを吸っていた身としてはタバコが吸えない環境はどうしようもなく辛い。
その為、禁煙と気を紛らわせる目的で最近はひたすら飴を舐めているのだ。
飴を取り出し包み紙を取り舐め出す。
無論少しでもタバコ感を出す為に棒付きの飴だ。
そうして飴を舐めていると声をかけられた。
「かずっち〜、いいもの持ってますね〜」
「かずっちってオレのことか?」
「そうだよー、そっちはやっくんだよ〜。」
「やっくん....」
なんだか不思議な少女だ。
ダボダボの袖の余った制服に身を包み、狐の髪留めで髪を止めている。
コイツも束と同じで変なあだ名つけるタイプか。
たしか、布仏本音だったな。
「んで、いいものってのはコレのことか?」
懐から飴を取り出して布仏に見せつけると嬉しそうに両手を上げる。
「おお!是非とも分けていただけないかな〜?」
「いいぞ、ほれ」
そういい1本適当にわたす。
「やったー!ありがと〜かずっち!」
「ん〜」と嬉しそうな声を上げ顔を綻ばせる。何だか癒されるな。
「そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったね。布仏本音だよ〜。お姉ちゃんがいるから本音でいいよ〜。」
「よろしくな、本音」
「よろしく、本音さん」
「うん、よろしく!」
自己紹介してないことに気付き改めて自己紹介してくれた。
確かに家族構成のとこに姉っていたが同じ学校なのか。
軍人としての癖でふいに腕時計を見るとそろそろ休憩時間が終わりそうだったことに気付き、本音に席に戻るよう促す。
「本音さんやそろそろ席に戻りな。時間が迫ってきてるぞ。」
「あいあいさー。」
返事をして席に戻る本音を見送る。
「なんか不思議な感じだけどいい子だったな。」
「そうだな。やっくん?」
「からかうなよ」
本音につけてもらったあだ名で呼んでやるが少し嫌そうな顔をした。
文句を言うシャムロックを少し笑ってやって前を向く。
あっ、ギリギリ間に合わなかった一夏がまた殴られた。
♢
初日から普通に授業があるようで早速始まった。
内容は例の参考書の内容の復習のようなもので、山田先生の教え方も上手くてちょっと引っかかっていたようなところも理解できた。
ノートが上手い感じに纏まっていく。
ふと周りを見てみるとシャムロックも何とか着いてこれてるようで、さすが同業と思い感心したが、問題は一夏だった。
頭から湯気がでてるような幻覚が見えるぐらいには追いつけていないようで頭を抱えている。ここからでは見えないが顔色はきっと真っ青だろう。
すると山田先生は事前にISについて専門教育を何も受けてないであろう男連中を心配してか声をかけてきた。
「仙洞くん、ウォーカーくんわからないとこはありますか?」
「いえ、問題ないです。」
「左に同じく」
シャムロックが先に答えたためそれに便乗して返事をする。
シャムロックから少し睨まれたが素知らぬ顔を決め込む。
「よかったです。織斑くんはどうですか?」
「ほとんどわかりません...」
「え?」
織斑の言葉に唖然とする山田先生。
ああ、かわいそうに...。
見かねた千冬が一夏に尋ねる。
「...織斑、入学前の参考書は読んだか?」
「え?参考書?」
「必読と表紙に書いてある分厚い本だ。」
「.....?」
本当に一夏には参考書の覚えがないらしく首を傾げていた。
普通に認識してなかったとかそういうパターンか?
借りるぞと、オレの参考書を持っていき織斑に見せる。
「あっ...」
「何か覚えがあるのか?」
「あの....電話帳と間違えて捨てたかも...。」
ゴスっ!
あの参考書でいった⁉︎
殺す気かっ!?
「馬鹿者がっ!」
えっぐ、千冬えっぐ。
見ろよシャムロックなんてビックリしすぎて口開けたまま唖然としてるぞ。
頭を押さえ悶絶している一夏に追撃が入る。
「後で再発行してやるから一週間以内に覚えてこい。いいな。」
「その厚さのものを一週間では流石に...」
「やれ。」
「...はい。」
何とか助かろうとする一夏を睨み付けた。
一夏は弟として恐ろしさをよくわかっているのだろう。すぐに了解した。
「いいか。ISは兵器としての運用をある程度制限されてるとはいえ使い方を誤れば容易く人を殺せるものだ。正しい使い方をするには正しい知識が必要だ。それを肝に銘じてしっかり励むように。いいな。」
生徒からの返事が響く。
正しいな。ISは今や事実上の戦術兵器と化してるからな。
核ほどではないが戦車保有量のような抑止力にいくらかなっているのは間違いない。
ここ、IS学園はあくまでスポーツとしてのIS操縦者や技術者を育てる学校ではあるがこういう教育は大事なものだ。
♢
授業が終わり真っ白に燃え尽きてる一夏の元に向かう。
無論、オモチャにする為だ。
「うーっす、馬鹿代表!」
「うぐっ」
「シャムロックさんや見てくださいよ。この本。必読って書いてる参考書!そしてコチラが電話帳。二つを並べて見てみましょう!厚さしか同じ所がありませんよ〜!」
「ぐはっ!」
わざわざ授業終わりにダッシュで取りに行った電話帳と参考書を取り出しおちょくる。
キモチィ!
「まぁ失敗は誰にだってあるものだし...僕でよければ手伝うさ。」
「えっ⁉︎ ヤン手伝ってくれるのか⁉︎」
「流石にあの量を1人ではね...」
シャムロックが一夏のフォローに入りその希望に縋り付く一夏。
「甘やかしすぎじゃない?」
「君はイジメすぎだ。」
シャムロックに大きくため息を吐かれる。
そんなことはないだろ。
イジメすぎってのは負けたやつを散々に煽り倒した挙句、その事を周りに言いふらし負けを知った奴らにも煽られた最終的にそれを肴に目の前で乾杯キメられる事だろ。
あれ、目から汗が....
そんなアホみたいなことを思い出して心の中で涙していると声がかけられた。
「少しよろしくて?」
「んぁ?」
「うん?」
速やかにアホな記憶を振り解き声の方を見ると、そこには金髪碧眼の縦ロールの少女が立っていた。
オレたちの反応がさぞご不満なのか、かなり不機嫌そうに。
「まあ! なんですの、その返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言う物があるんではないかしら?」
すっげえ不遜な女だな。
思いっきり嫌そうな顔をしてしまう。
「悪いな。俺、キミが誰なのかわからないし。」
「一夏は日本人だし興味ないと知らないよね。彼女はイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんさ。」
代表候補生は読んで字の如くであるが、あくまでも代表の候補生なので国内での知名度があっても国外ではほとんど知られていないというかケースの方が多い。
だから日本人の一夏が知らないのは当然だろう。
隣国のオランダの人間であるシャムロックは知っていたようだが。
ともかくシャムロックが知ってたことに満足したのか満足げな表情を浮かべるオルコット。
しかしここで一夏が突如として爆弾を落とす。
「なぁ、質問いいか?」
「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」
「代表候補生って何?」
ガタタタッ
新喜劇よろしく周囲で聴き耳を立てていた学生たちがずっこける。
そしてオレとシャムロックは「コイツまじか?」という視線を送る。
そしてオルコットは、
「あ、あ、あ.....」
「あ?」
「あなた本気で言ってらっしゃいますの⁉︎」
思わずかなりの大声でツッコミを入れていた。
「おう。知らん。」
オルコットはもはや怒りを通り越して呆れ返りこめかみのあたりを押さえていた。
「信じられませんわ。極東の島国にはテレビすら置いてないのかしら...」
「いや、そんなことはないだろ」
とんでもない発言に思わずツッコむ。
すると後ろではシャムロックが一夏に代表候補生について説明していた。
「いいかい一夏。代表候補生というのはね、国の代表の操縦者である国家代表の候補の人のことを言うんだ。」
「へぇー、凄いんだな。」
そんな会話を聞いて気を取り戻したオルコットは姿勢を正して高らかに言う。
「そう!候補生たるエリートなのです!」
「とは言っても国外で代表候補生まで把握してるのはその道のオタクだったり、ライバルについて調べてる別の国の代表候補生がメインなんだけどね。」
「余計なこと言わないでくださいましっ!」
しかしながらシャムロックの茶々により台無しであった。
軽く咳払いをして続ける。
「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運ですのよ。」
「へぇー、そりゃラッキーだな。」
「グフっ!」
素で出たのであろう煽ってるようにしか聞こえない言葉に思わず吹き出す。
コイツはすげぇな。
「馬鹿にしてますの?」
「えっ⁉︎アンタが幸運だって言ったんだろ!」
「もう無理!あはははははははははっ」
素でやってる漫才にしか見えず我慢できずに腹を抱えて笑い出してしまった。
「なんなんですのアナタ⁉︎そこのアナタも笑わないでくださいまし!」
プリプリ怒っいるオルコットに半笑いまで落としふいに目に入った時計を指差す。
「そろそろ時間だが戻んなくていいのか?」
「.......また後で来ますわ」
そう言うと席に戻って行った。
「なんだったんだろう?」
「気にすんなよ。オレらも戻るぞシャムロック。」
呆然と見送っていたシャムロックに声をかけ持ってきた参考書と電話帳を持って席に戻った。
次はクラスの代表決めらしいが、客寄せパンダのオレたちにあのプライドの高いオルコットか....。
なんか碌でもない波乱がありそうだな。
いかがだったでしょうか。
やっとまともに一夏を出せたよ...
ここまで長かった
次も出来るだけ早く出せるように頑張りますが忙しくなってくるのでかなり不安定な投稿ペースになると思います。
加えて船に乗ってるのでどこかのタイミングで電波が通じなくなったりしてかなり遅れることがあると思いますがその点はご了承ください。
それと多数の感想をいただきありがとうございます。
とても励みになります。最近では投稿してからUAと感想が来てるかちまちまと確認するようになってしまいました。(笑)
引き続き執筆頑張っていくので感想をいただけると嬉しい限りです。