前話で虚さんを「きょ」の変換から出してるがために「今日さん」という全くの別人を生み出すヤバい誤字をしてしまいました。
誤字を見つけたら「ああ、コイツ懲りずにまたやってるよ」なんて思いながらで結構ですので誤字報告をしてくれるとありがたいです。
なんとか弁明を聞き入れてくれてれたシャムロックとソファでくつろいでいると、ようやく楯無と虚さんが戻ってきた。
楯無はげっそりとしていたがソファに座り虚さんが紅茶を淹れてくれた。
「!うまい。紅茶の良し悪しはそこまでわからんがそれでも美味しいと思える。」
「でしょ!虚ちゃんの淹れる紅茶は世界一よ!」
「ありがとうございます。」
少し照れくさそうな虚さんははにかんだ。
紅茶で一息いれ、先程聞けなかった内容を尋ねる。
「で、オレは何をすればいいんすか?」
「ああ、一樹くんには副会長をやってもらおうと思ってね。」
「は?」
何気なく副会長という役職に就くように言われ素っ頓狂な声をあげてしまう。
「私は来年3年生だし同学年を誘うと後継が育たないのよ。だから1年生から引っ張ってくる訳。それで書類作業もできてそういう役目にピッタリそうなのが士官として働いてきた一樹くんってわけよ。」
「いや、理屈はわかるが...」
「私の言うこと聞けこることなら聞くんじゃなかったの?」
「うぐっ.....わかった、わかりましたよ。」
痛いところを突かれたオレは早々に降参する。
すると隣のシャムロックが楯無に声をかける。
「僕も暇ですし出来ることがあるなら手伝いますよ。」
「あら、助かるわ。そうね...それなら会計補佐にでもなってもらおうかしら。虚ちゃんが人手が足りないってため息ついてたし。」
「お嬢様...⁉︎ 」
「わかりました。よろしくお願いします虚さん。」
善意で手伝うと言った人間を手伝わせるどころか生徒会に入れさせようとする楯無に虚は諫言を言おうとするも、言う前にシャムロックが了承してしまう。
一つため息をついて差し出されたシャムロックの手を取る。
「はあ...ヤンさんにご迷惑をお掛けして申し訳ないですがよろしくお願いします。」
これで取り敢えずは生徒会に関する話は終わりかな。
ん?そういえば。
「なぁ、楯無センパイ。」
「何かしら?」
「生徒会って俺たち抜いて二人だけなのか?」
「流石にそんなわけないじゃない。あと書記として本音ちゃんがいるわよ。」
またお前か本音.......
どこにでもいるんじゃないか?アイツ。
♢
生徒会での顔合わせ(一名欠員)を済ませ取り敢えず解散となった。
正式に生徒会に加わることが決まっただけでも十分満足らしい。
そして寮へ帰ろうとしているとグリーヴァス中佐から基地への速やかな出頭を命じられた。
『わかっているのか⁉︎ それは国連の金で運用、整備されているもので貴様らのオモチャではない!それをイギリスの代表候補生との決闘に使用する?ふざけるなッ‼︎』
出頭したオレ達は国連軍アジア・太平洋方面軍司令ゲラハルト・リュッケ大将からの叱責を受けた。
理由は上記の通り例の決闘騒ぎの情報が上へ流れたようだ。
「お言葉ですが司令官閣下。これは私に与えられた任務を果たす為でもあります。」
『何だと...?』
言い返すオレにふざけたことを抜かしたら殺すと言わんばかりに画面越しに睨みつけてくる。
「今回の一件は護衛対象のいるクラスの戦力評価を行うのにちょうどよかったのであります。閣下とてご存じでしょう。先日テロリストどもによってイギリスからサイレントゼフィルスが強奪されたことを。アレとの開発コンセプトが同じ機体の情報収集もできますし一石二鳥なのです。」
『ふんっ...そんなもの貴様らの言い訳に過ぎんのだろう』
ちっ、このジジイめんどくせえ。
利益を提示してやってんだよ。
ここは引いてその情報を戦略情報局にでも送ればいいだろ。
しょうがないから本音も少し混ぜるか。
「はい。いいえ、確かに私の戦友を侮辱したことに対する怒りがあったことは認めますが考えなしにことを起こしたわけではありません。実際、最初のとき我々は参加しない意思を見せていました。」
『その侮辱に対して貴様がことを起こしたのだろうが!言い訳をするな!』
話通じねえ...。
もうダメだろ。明確なメリットも提示してコチラの本音も少し漏らしてやったのに譲歩すらしないし、司令官としてダメだろ。
兵がついて来んぞ。
戦友に対する侮辱に憤るのは当然だろう。オレたちは機械ではなく人間なんだから。
「お言葉を返すようですが、共に戦場を駆けずり回り生きて帰った戦友を侮辱されて怒りもしないのであれば小官はその者の人間性を疑います。」
その返しに奴は顔を真っ赤にしてプルプルと震え出した。
『貴様は私を侮辱するのかねッ!』
「いいえ、そんなつもりなど毛頭ございません。が、人間性云々のところが引っかかるのであればご自分を見返してみてはいかがですかな。閣下。」
『貴様ァ.....! 』
憤る司令官をさらに煽る。
「気に入らないのであれば逮捕なさればよろしい。小官は不良軍人でして、アメリカ軍時代にはしょっちゅう独房にぶち込まれたものですし、ご自由にどうぞ。」
肩をすくめて言ってやる。
『ならばお望み通り...! 』
憤った勢いそのままに命じようとするが、それを遮る。
「ただし!小官が独房に放り込まれることになった理由を学園側に説明ができるのであればですがね。」
『くっ....。』
さすがにデメリットの大きさに気付いたようだ。
ホントに誰だよこんな奴を要職に据えた奴は。
するとジジイはしばらく黙り込み息を吐き最終決定を下した。
『............わかった。今回の一件は不問とする。だが、今後このようなことは慎むように。いいな。』
「はっ。しかしどこのどなたかは存じ上げませんが学生として振る舞えとのことですので大人しくしておくのは無理です。その辺はご理解ください。」
ふんと、奴が鼻を鳴らしそれが通信の最後となった。
通信が終わるとグリーヴァス中佐が近づいてきた。
「全く貴様は恐れ知らずか。」
「それが私の長所であります。中佐。」
「はぁ...」
呆れたように言ってくる中佐に胸を張って言ってやると大きくため息を吐かれる。
「まぁいい。私にも責任の一端があるからな。本来なら私のところで止めて注意程度で終わる問題だったんだが、どうしてかリュッケ司令のところまで情報が行ってしまっていていた。」
「つまり、リュッケ司令の手の者がどこかに紛れ込んでいると?」
「恐らくは。あの人はコネであの地位まで上り詰めた人物なものだから、人脈なんてほとんどないであろう貴官がトントン拍子で階級を上げているのが気に入らないから弱みを探しているのだろう。」
「なるほど。」
「それにアジア太平洋方面軍は規模も小さいし、担当地域は領土問題はあれど安定しているから無能を据えても問題ないって判断されたんだろう。」
中佐の推測を聞きある程度納得する。
残念ながらオレもコネでここまで上がってきたようなものだからなんとも言えんが、多少調べてもらっておこうかな。
「それはそれとして大尉は煽りすぎだな。もう少し下手に出て誤魔化すということを覚えた方がいいかもな。」
「すみませんが性分なもので治せるようなものではありませんのでね。」
「はぁ....。ウォーカー中尉、すまんがキミは大尉のブレーキとして今後も役目を果たしてくれ。」
「はい、中佐。」
グリーヴァス中佐からの注意を受け流し他のことを考えてると不意に思い出した。
「あっ、そういえば中佐。一つ質問があるのですが。」
「何かね?」
「私がここに着任してすぐに学園の寮に入りましたがシャムロックは入学時に入りました。この差は何だったのでしょうか。」
そう、昨日カチコミをかけようかホントに悩んだこれ。
これで「小官からして貴官は好ましくないからだ。」とか言われたら殴っていいかな。
「.........こちらのミスだ。」
「え?」
「こちらの事務員が報告を怠ってそのままだったせいで部屋を確保できなかったのだ。ウォーカー中尉に関する書類を確認したところ入学まで官舎で預かるようになっていた。ただそれに気付いた時には手遅れだった。すまない。」
「そういう事情があったなら仕方ありません。一応ですが私への嫌がらせではないのですね。」
「そんなくだらないことに労力を割くなら他にやる仕事があるのでな。」
そうか。
それなら仕方ないか。
まぁ、取り敢えず寮の一件に関して納得できたし、リュッケ司令のネズミに関しての話をして隠語として丸いネズミとして連絡を取り合うことなど対策を話し合い退出した。
ちなみにこの間、一夏はひたすら剣道でボコボコにされていたらしい。
何やってんだアイツら?
♢
寮に戻りメシを食べシャワーを浴びて久しぶりに何もせずに寛いでいた。
具体的には屋上に椅子を持って行って夜風に当たっていた。
するとシャムロックが屋上にグラスとウイスキーを持って上がってきた。
「スターク。一杯どうだ?」
「ありがたく貰うよ。」
持ってきたグラスに氷を放り込みウイスキーを注ぐ。
もう一つあった椅子を取り出しシャムロックを座らせる。
「「乾杯」」
そこからはお互いの身の上話や軍での話になった。
少しばかり酔いが回ってきた頃、シャムロックがとある話をしだした。
「僕にはとある秘密があるんだ。」
「ほぉ。相棒としては是非とも聴きたいな。」
オレは身を乗り出してシャムロックに話を促す。
「君ならそう言うと思ったよ。引かないで欲しいんだけど僕には別の人生を生きた記憶があるんだ。」
「別の人生の記憶?前世ってやつか?」
不思議な奴だな。
そんなもん持ってるだなんて。
「ああ、僕はそう信じてる。それもボンヤリととかじゃなく、はっきりとした記憶があるんだ。そこの僕はロボットに乗って化け物と戦っていたんだ。残酷な世界で人類は敗北寸前。ユーラシアを失陥した欧州各国はブリテン島へと逃れる。」
どこかで聞いた話だ。
その歴史はまさしく"あの"世界のもの。
「そして僕はオランダ亡命政府軍に所属する衛士、パイロットだったんだ。」
「‼︎」
オレの驚いた顔に別の意味を見出したシャムロックはハハッと笑い。
「こんな話驚くよね。それでも"その僕"が感じた屈辱も絶望も怒りも憎しみも、確かに覚えてるし僕の中にあるんだ。」
と言うが、オレの驚きはそこじゃない。
「衛士」、「ロボット」、「化け物」。
「なあシャムロック。戦術機とBETAって単語はその記憶の中にあるか?」
「えっ⁉︎ 何で知ってるんだい⁉︎」
驚きに染まるシャムロックの表情。
産まれ直しているとはいえコイツは同郷の奴。
オレにはそれがとてつもなく嬉しかった。
そしてオレは自分の本当の経歴についてシャムロックに教える。
「オレはな、本当はアメリカ人なんかじゃない。オレの生まれ故郷は日本帝国の帝都、京都だ。」
「なっ⁉︎」
「そして帝国陸軍の衛士として戦い、最後に所属してた隊の隊長にスカウトされえ国連軍に移った。そしてカシュガルで死んだはずなんだ。」
オレの言葉に違和感があったのだろうシャムロックの顔が怪訝な表情に変わる。
「はずってどう言う事だい?」
「オレは桜花作戦、オリジナルハイブ攻略作戦に際して先鋒としてカシュガルに降りたんだ。そして戦い抜いて最後は自爆した。空を飛んで死んでやろうと思ったが跳躍機構を戦車級にやられてな...。そのままさ。」
「でもそれなら普通に死んでるんじゃ?」
「そうなんだ。だけどオレはその時の肉体のままこの世界に流れ着いたんだ。お前を転生者と呼ぶなら、オレはさしずめ漂流者だろうよ。」
そう、あの時間違いなく死んだはず。
それならこの世界に来るにはシャムロックのように転生のはずなんだ。
なのにオレは死んだはずの肉体でここに来た。
「そう言えば、お前の最後はどうだったんだ?」
「君と似たようなものさ。桜花作戦の時にリヨンハイブで死んだ。普通に要塞級にやられたよ。」
どうやらシャムロックも桜花作戦で死んだようだ。
「僕は直接見れてないがA-04を見たのかい?」
興奮気味にシャムロックは尋ねてきた。
当然だろう。
あの作戦の要であり作戦の目的であるオリジナルハイブ、その奥に存在すると言われる「あ号標的」を撃破するために送り込まれたのがA-04なのだ。
「ああ見たとも。それにパイロットの声も聞いたよ。若い奴だったみたいだが「後は任せろ」って大見栄を張って征きやがったよ。あれなら大丈夫だろう。」
「そうか。」
「これでアッチは少なくともすぐに人類が滅ぶって事は回避できただろうよ。」
「そうだな。」
あの若い衛士は生きて帰れたのだろうか?
ああいう気概を持った奴がこれからの人類を背負っていくのだと考えると安心できた。
「でも嬉しいよ。あの世界を共有できる人と会えるだなんて。」
「オレもさ。まさかこんな出会いがあるだなんてな。」
二人で顔を見合わせ笑う。
そしてグラスを掲げる。
「死んでいった戦友に!」
「僕たちの故郷に!」
「「我らの英雄、A-04に!」」
そんな声とともにグラスのぶつかる音が夜の屋上に響き渡った。
こうしてオレたちは同じ秘密を共有する友になり、相棒として互いを信用できるようになった。
この日以降、プライベートでは互いをTACネームではなく名前で呼び合うようになった。
"この"世界の友ではなく"あの"世界の友として。
♢
完全に余談ではあるが結局この後話し込み呑みすぎた二人は見事に二日酔いとなり千冬からはこっぴどく叱られ、頭痛に苦しみながら一日を過ごす事となる。
この時、自分の父親の世話などから二日酔いだと理解した相川と谷本の二人のクラスメイトに助けられ、新たな貸しを作ってしまうのであった。
いいかがだったでしょうか。
今回はシャムロックさん、いえヤンさんの秘密について出してみました。
彼は前の世界において衛士として戦いフランスのリヨンハイブにて戦死したということになっています。
互いに秘密を話したことで彼らの仲は深まり相棒として信用するようになりました。
呼び方に関しては戦闘中や軍での仕事ではTACネームを使いますが、プライベートでは普通に名前を呼ぶようになります。
TACネームは"あっち"では使われてないからです。
ちなみに次話はオルコット戦の予定です。
それと前から言ってますが次話の投稿は期間が大分あきます。
来月の10日辺りには復活すると思いますがそれまでの間、航海に出ており音信不通となります。
電波が届くようになれば活動報告にて知らせますのでしばらくお待ちください。
プロローグから数話の辺りを手直しした方が良いですかね?
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いくらか手直ししなよ
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そんなことより続きを書け!
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並行して頑張れや‼︎