ソラを駆ける衛士   作:タリズマン

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すんません。
相変わらず遅いです。遅い割に話は進んでないです。



第二十三話

ゴールデンウィークに入る前に一夏が一つ相談をしてきた。

話を聞くと話す間も無く別れた友人に会いたいと言うこと家にある荷物を取りに行きたいそうだ。

確かに荷物も着替えと充電器しかないし、試験会場でISを動かしてからはずっと軟禁状態であったし流石に同情したカズキは上へとその情報を上げ護衛をつけた上でどうかと確認をとった。

すると未だに準備不足ではあるが随行員を付ければと渋々許可がおりた。

 

なぜ渋々なのかと言うと未だに一夏の立ち位置は不安定であり、宙ぶらりんの状態で千冬が後ろ盾であること以外は何も決まっていないのだ。

そんな不安定な状態で外に出したくはないのだ。

しかしながらあまりにも不憫である為なんとか話を通したのだ。

日本国政府の許可のもと随行員は拳銃での武装を許可されているが発砲は最小限にとどめろとの命令のため実質発砲許可はおりていないようなものであった。

 

 

最初はカズキとヤンの二人でついて行くつもりだったのだがヤンはやる事があると言っており、結局カズキが一人で護衛を務めることとなった。

 

「なんか悪いな。せっかくの休日なのに。」

 

「いいさ。どうせ休みって言ってもやる事はないし暇してたからな。それにいくら何でも不憫だからな。」

 

申し訳なそうにしている一夏を乗せ車で織斑家まで向かう。

車は国連側が手配してくれておりそれをカズキが運転している。

最悪を想定して防弾仕様となっている特製の車だ。

紛れ込みやすいということで、プリウスの改造車である。

 

「そういえば会いに行く友達ってどんな奴だ?」

 

「うーん。赤髪のロングヘアでバンドマンみたいな見た目してるけどいい奴だよ。家は定食屋で絶品なんだぜ!」

 

「そいつはいい。昼飯はそこで決定だな。」

 

そんなこんなで駄弁っていると県内ということもあったが、あっという間に到着した。

一夏にお茶を出してもらい荷物をまとめるのをくつろぎながらゆっくり待った。

 

「お待たせ!荷造り終わったし行こうぜ!」

 

「おっし!」

 

荷物をプリウス(偽)に荷物を積み込むと一夏の友達の家である五反田食堂へと向かった。

 

 

「久しぶりだな一夏!」

 

「おう!久しぶり!」

 

久々に友達と会った一夏は拳をぶつけ合って再会を喜んでいる。

赤髪のそいつはこちらを見て挨拶をしてくる。

 

「はじめまして、一夏の友人の五反田弾です。一夏が世話になってます。」

 

「こちらこそはじめまして。"2人目"って言った方がわかりやすいかなカズキ・センドウだ。好きに呼んでくれ。」

 

挨拶をしてがっしりと握手をする。

思ったより丁寧な挨拶をしてくる奴だなと感心していると、

 

「それじゃ5月とはいえ暑いですし中へ。」

 

と招き入れられたので中に入り弾の部屋へと向かう。

弾の部屋はシンプルにベッドと本棚にゲーム機が接続された小さめのテレビという男子高校生らしい部屋だ。

 

「狭いっすけど好きにくつろいでください。」

 

しかしながら丁寧すぎてちょっと慣れんな。

 

「あー、弾。そんな丁寧に喋んなくていいぞ。一夏なんて呼び捨てのタメ口だしな。」

 

「それでいいって言ったのはカズキだろ。オレが悪いみたいな言い方するなよな。人聞き悪い。」

 

一夏を引き合いに出して軽口を叩く。

少しは肩の力を抜いてくれるといいんだが。

 

「流石に呼び捨てにする勇気は無いんでカズキさんって呼ばせてもらいます。一夏がおかしいだけなんで。」

 

そりゃそうか。

一夏の適応が早過ぎただけでこれが普通の反応か。

 

「オーケー。ま、それでいいさ。....そうだ。オレはタバコでも吸って来るわ。何処で吸えばいい?」

 

「あ、それなら店の正面に吸い殻入れあるんでそこで吸ってください。」

 

「あいよ。」

 

二人で積もる話もあるだろうし、歳上は外で暇を潰しますかね。

 

階段を降りると下には赤い髪を壮年の男性が新聞を読んでいた。

 

「あ、どうも。お邪魔してます。」

 

「おう。ゆっくりしていきな。」

 

取り敢えず軽く挨拶してタバコを取り出して外に向かおうとすると

 

「お前さんタバコを吸うのかい?」

 

「ええ。21ですし軍隊生活が長いとねついつい吸っちまうんですよ。それに久々に会った若い二人には積もる話もあるでしょうしね。」

 

「そうかい。」

 

読んでいた新聞を畳み膝を叩き立ち上がると彼もタバコを取り出す。

 

「オレも付き合うよ。」

 

 

外のベンチに座りタバコに火をつける。

肺に入ってくる煙が心地いい。

 

「そういや軍隊生活が長いって言ってたが、軍人なのかい?」

 

紫煙を吐き出して一息つけると話しかけられた。

 

「ええ、アメリカ軍に入ってました。今はISなんざ動かしちまったせいで国連軍に移ってますがね。」

 

「大変だな。」

 

「どっかの女タラシが動かしやがったせいですがね。」

 

軽く笑いながら一夏に対する毒を吐いてやる。

親父さんは豪快な笑い声を上げる。

 

「タラシって言うとあの坊主また増やしたのか?」

 

「ええ。またって事はやっぱり中学の時も女子に囲まれてたんですか?」

 

「詳しくは知らんが弾の話を聞く限りはそうだな。」

 

その言葉におもわずため息をこぼし弾に同情する。

 

「弾も苦労してたのか...。」

 

「その苦労をお前さんが代わりに背負うことになりそうだがな。」

 

「ごめん被りてぇ...」

 

全くもって嫌な未来想像図だったためリセットするべく一吸いする。

思考がクリアになると同時にふと思った。

 

「そういえば名前聞いてなかったっすね。」

 

「ん?ああ、そういや自己紹介してなかったな。オレは五反田厳。弾はオレの孫だ。」

 

「じゃあ厳爺っすかね。」

 

「まだジジイじゃねえよ...。」

 

オレの決めたあだ名に眉毛をひくつかせながら反論してくる。

 

「いやいや、5、60にもなれば立派なジジイですよ。若いのから見れば30とか40がおっさんですからね。下手すりゃ20代後半でもおっさんですぜ。」

 

「ぬぐっ...」

 

しかしながらオレの返しに言葉を詰まらせる厳爺。

高校生になる孫がいてジジイじゃないは無理があるだろ。

 

「そう言うテメェの名前はなんだよ?」

 

「そういえばオレも自己紹介してなかったっすね。カズキ・センドウ、日系アメリカ人です。」

 

「じゃあオメェはカズ坊だな。」

 

オレの名前を聞くと仕返しだろうが、坊とオレのことを呼んできた。

それに対しオレはフッと軽く笑う。

 

「そりゃ爺さんから見れば俺なんてペーペーの坊主でしょうや。」

 

「生意気なクソガキめ...」

 

「これでも生意気こいて懲罰房に叩き込まれた経験もある不良軍人でしてね。」

 

顔を顰めてクソガキとまで言われたのでおどけて言い返してやる。

ここでタバコを吸いきったため二人して吸い殻を捨てる。

店に戻ろうとすると呼び止められる。

 

「おいカズ坊。」

 

「なんすか?」

 

「料理はできるか?」

 

「多少は。」

 

すると厳爺はニヤリと笑う。

 

「おっし。昼飯作るから手伝え。」

 

 

「なぁ、一夏」

 

「うん?」

 

「カズキさん戻ってくんの遅くね?」

 

 

我が愛しの愛娘クロエ、我が友束。

そちらはいかがでしょうか。

お元気ですか?

私ですか?私は今....

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!」

 

クソジジイにはめられて護衛任務に来たはずの定食屋で鍋を振るっています。

 

「しっかり振らねぇか!」

 

クソジジイの叱責を耳にしながら鍋を振るい炒め物を作っています。

曰くこれが出来ればクソうめえチャーハンが作れるそうな。

別にチャーハン作りたいなんて言った覚えはないんだが。

 

腕をパンパンにしながら鍋を振るっていると、食堂の入口の戸が開いた。

そこからは弾やジジイと同じような赤い髪をした少女がラフな格好で買い物袋を片手に入ってきた。

 

「ただいま〜。」

 

「おう、おかえり。」

 

扉を閉めコチラに目をやると、俺が目に入ったようで怪訝な目になる。

 

「お爺ちゃん、いつの間にお弟子さんなんて取ったの?」

 

その言葉にオレの肩を叩きながら大きな笑い声を上げるジジイ。

 

「お弟子さんだとよ!軍人なんざやめてこの店継ぐか?」

 

「ウルセェ!ジジイ!肩叩くなっ!」

 

腕をパンパンにしながら鍋を振るっているため色々キツイのだ。

肩を不用意に叩かないでほしい。

そんな様子を見た彼女は疑問符を浮かべながらも買い物袋をカウンターに置き、テキトーな席に座るとテレビを見始めた。

そんな彼女を見たジジイは火を消し鍋を置くように言うとコソコソと話しかけてくる。

 

「アレはうちの孫娘でな。どうだ、美人だろ。」

 

「美人...かはわからんが少なくともレベルは高いっすね。」

 

余計なことを言うと面倒臭そうだからテキトーに答える。

いわゆる爺バカなのか知らんがだいぶ甘やかしていそうだ。

弾には当たり強そうなのに...。

そんなことを思っていると「そんで一つ相談が...」なんて切り出してきた。

 

「知らねえうちにIS学園に行くだなんて言い出しちまってな。」

 

「IS学園に...?」

 

「ああ。あの坊主がIS学園に行っちまったせいなんだろうがな。全寮制だしちょいと心配でな。」

 

なるほど。

確かに可愛がっていた子がいきなり全寮制の学校に行くって言うと少し不安にはなるよな。

というか理由がな...。

 

「少しばかり面倒くさいっすね。個人的にはそんな理由で行く場所ではないし少し考え直した方がいいと思いますよ。」

 

「だよな...。」

 

「ああ。全寮制って心配に関しては可愛い子には旅をさせろって言うでしょ。手元から離れていくのを見守ることも大事っすよ。」

 

ふむ、と考え込み始めるのを見て昼飯を作っている途中のためオレは声をかける。

 

「そんで?オレはこの後何を作ればいいんで?」

 

「あ、すまんな。取り敢えずこの辺の話は後で蘭に聞いてみるとするさ。次は...」

 

 

メシもあらかた作り終えて時間もいい感じになってきた。

 

「蘭!弾を呼んできてくれ!」

 

「わかった〜。...お兄ぃ!ご飯!」

 

大声を出して呼ぶも降りてくる気配はなく、「もー」と不満げに口を尖らせながら弾の部屋に向かう。

 

「水でもついどくか...」

 

「お、気が効くじゃねえか。」

 

上からは蘭ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。

あ、一夏が来てること誰も話してなくね?

顔を真っ赤にしながら駆け降りて

 

「お爺ちゃん!一夏さんが来てることなんで教えてくれなかったの!」

 

そう一言文句を言うとまた上へと戻っていった。

少し落ち込み気味の厳爺の肩をニヤつきながら叩き慰める。

 

「下手な同情してんじゃねーよ!」

 

凄い形相で怒られた。

八つ当たりすんなよ。

ただ笑っただけだろ....。

 

 

しばらくすると一夏と弾の二人が降りてきた。

なんだか凄い呆れた表情で弾が一夏を見ていた。

一体何があったんだろう...。

 

「これってカズキが作ったのか⁉︎」

 

料理を見て驚きの声を上げる一夏に対し、後ろに立っているジジイを指差す。

 

「ああ。このジジイにはめられてな。」

 

「はめちゃいねぇよ。手伝うことを決めたのはテメェだろうがカズ坊。」

 

ジジイに背中を叩かれるオレを見て驚きの顔で固まる弾と一夏。

 

「どうした?」

 

「いや...厳さんをジジイなんて呼ぶ人は初めて見たからさ...。」

 

「あー....。」

 

「というか仲良くなんの早すぎない?」

 

確かに名前の通りに厳ついこの爺さんは怖いだろうな。

特に小さい頃から顔を合わせているなら尚更だろう。

まぁ、オレはこの手の爺さんの相手は良くしてたし慣れている。

 

「んなこたぁいいんだよ。ほらさっさと座んな。」

 

そんなことを話していると厳爺から座るように急かされたため取り敢えず席に着く。

それと同時に何やらおめかしした蘭が降りてきた。

 

「ほら、蘭も座りな。」

 

椅子を引いて蘭に座るように促し席につかせる。

それを見ると「冷めねえうちにさっさと食っちまいな。」というと定位置らしいカウンターへと戻っていった。

席に着いた四人で手を合わせて食べ始める。

 

「そういえば蘭。」

 

「ど、どうしました一夏さん。」

 

箸を一旦止めマジマジと蘭を見る一夏。

それを見て流石に気付いたかと思いつつ耳を傾ける。

 

「いや、着替えたんだなって。どこか出かける予定でもあるのか?」

 

「あっ、これは...ですね...。」

 

言い吃る蘭。

ま、素直に一夏さんに見てもらいたくてなんて言えないよな。

飯食うためだけに白いワンピースに着替えておめかししてきたなんてな。

 

「あっ!デートにでも行くのか?」

 

「違いますっ!」

 

思わず箸を落としそうになった。

まぁ、一夏からすれば友達の妹でしかなくてそもそも恋愛対象じゃないのかもな。

異性として見てなけりゃなんで小綺麗にしてくるのか分かるわけないか...。

 

兎にも角にも大声で否定をして軽い騒ぎになりそうになるも厳爺がチラッと視線をコチラにやることで弾が慌てて場を収め事なきを得た。

 

「そういえばよ、一夏。」

 

「ん?」

 

「例の幼馴染の....あー、誰だっけ?」

 

「箒のことか?」

 

「そうそう。長らく会えてなかった幼馴染だろ。」

 

一夏と弾は上で学園の話をしていたらしく箒の話をしだした。

それに蘭は怪訝そうな顔をする。

 

「箒.....? 学園の人ですか?」

 

「ああ。俺のファースト幼馴染。」

 

「ちなみにセカンドは鈴だそうだ。」

 

「鈴?」

 

今度はオレの知らん名前が出てきてつい聞いてしまう。

 

「あ、カズキさんは知るわけないか。俺と一夏の同級生だった女子です。凰鈴音って言う中国人なんすけどね。」

 

「それで鈴か。」

 

「そうです。ただ中二の時に色々あって中国に帰っちまったんすけどね。」

 

「ちなみにその鈴もアレか?」

 

鈴という女子について話を聞いてチラリと一夏に視線をやりながら弾に確認を取る。

するとコクッと頷かれ思わず「なんだよアレって?」などと抜かしている一夏にジト目を送る。

コイツいつか刺されるんじゃないか?

 

「で、結局その箒って人がどうかしたんですか?」

 

オレと弾の話が終わったタイミングで蘭が話を聞いてくる。

 

「ああ、それでその箒と同室でさ。困ったもんー」

 

「同じ部屋っ⁉︎」

 

だろ、と続けようとするも蘭が驚きの余り立ち上がり声を上げたため遮られた。

 

「お、おい落ち着けよ、蘭。」

 

「落ち着いてられるわけないでしょ!」

 

弾が落ち着かせようとするも効果はない。

ま、そりゃそうだろ。

思い人が知らない女と同じ部屋で暮らしていると聞けば気が気でないだろう。

 

「ってことは一ヶ月以上も同じ部屋で寝食を共にしてたってことですか⁉︎」

 

「ん。そうだな。」

 

「なっ⁉︎ 」

 

もぐもぐしながら呑気そうに一夏が答える。

ふむ、一夏の前情報通りこの秘伝のタレ美味いな。

オレももう軽く諦め聞き流しながらメシを食うことにした。

ここは一夏に関する先輩である弾に丸投げ、もとい一任することにしよう。

 

「...........うん。やっぱり決めた。」

 

蘭が一夏を見据え何かを決意したように呟いた。

 

「私、来年IS学園を受験します!」

 

「お、お前、何言ってんだよ⁉︎ 」

 

「お兄は黙ってて!」

 

急な宣言に思わず驚愕の声を上げる弾。

厳爺はコチラを心配そうにチラチラ見ている。

 

「お前は中高一貫の私立にいるんだからそのままエスカレーター式で上がれるだろ!」

 

「それでもIS学園に行きたいの!私の成績なら問題ないしっ!」

 

蘭と弾の兄妹間の言い争いは続く。

爺さんに相談に乗るって言った手前動くべきか少し悩む。

あくまでもコレは家庭の問題だし軽くどうこうってもんじゃない。

そんなこんな考えを巡らせていると蘭は弾との話を切り上げ一夏を見る。

 

「それで、ですね。い、一夏さんには是非ともご指導して欲しいのですけど...」

 

「ああ、いいぜ。受かったらな。」

 

何の気なしに答える一夏。

コイツ的にはただ妹分が自分の意思でIS学園に来ようとしてるようにしか見えてないんだろうな...。

一夏の言葉に無邪気に喜んでいる蘭を見て一つため息をこぼし箸を置く。

仕方ない、一肌脱ぎますかね

 

「えっと、蘭ちゃんだっけ。」

 

「なんです?というか聞きそびれたんですけど誰ですか?」

 

蘭に声をかけるもそもそも自己紹介してないため誰かわかっていないらしい。

確かに鍋振ってたから自己紹介忘れてたな。

 

「オレはこのバカと同じIS学園に行ってる人間でね。国連軍の軍人でもあるカズキ・センドウだ。」

 

そう自己紹介すると怪訝そうにコチラを見てくる。

 

「それで、そのセンドウさんが私になんですか?」

 

「いや、年上としてアドバイスをと思ってな。」

 

「...なんです?」

 

「そんな軽い気持ちでIS学園には来ない方がいい。」

 

「なっ!」

 

軽い気持ちと言ったのが気に障ったのだろう。

蘭はコチラを睨み付けてくる。

 

「言い方が悪かったな。IS学園はそんな理由で来る場所じゃない。」

 

「そんな理由って蘭は理由なんて話して「お前は黙ってろ!」むぐっ!」

 

横から余計なことを言いかけた一夏の口を大慌てで弾が抑える。

ナイス!

 

「そんな理由って...。」

 

「ようは一時の感情で考えちゃダメってことさ。後から死ぬほど後悔するぞ。」

 

「そんなこと!」

 

「やってみなくちゃわからない...と?」

 

「じゃあ!あなたは実際にそんな目にでもあったんですか⁉︎」

 

「あるさ。」

 

自分でも思ったより低い声が出て驚いた。

が、周りの方が驚いている。

特に同じテーブルにいる3人は息を呑んでいる。

 

「何度も後悔したよ。あそこで自分の感情を押し殺せていれば...アイツらは死なずに済んだんじゃないかってね。」

 

「それにだ。言ったろ軍人だってよ。おれが遭わずともそんな目に会った奴らなんざ多く見てきた。ISによって巻き起こる惨劇だってその辺にいくらでも転がってる。ISのせいで人生が狂っちまった奴、狂気の海に飛び込んでしまった哀れな奴、生を弄ばれる羽目になった奴、色々いる。下手すりゃそいつらの憎しみや狂気に晒されることになる。それでも飛び込んでくるか?」

 

研究所で見た研究者どもや被験体として弄ばれて生涯を終えたものいろんなものを思い浮かべる。

思わず唾を飲み込んでいるのが見えた。

脅しすぎたかな。

 

「ま、コレは負の面だ。何にでも負の面はある。だからその上でコッチに来るなら盛大に歓迎するさ。」

 

「え?」

 

出来るだけ明るく言ってやると蘭は不思議そうな顔をしている。

 

「ISは篠ノ乃束が作り上げた宇宙を目指すためのパワードスーツだ。本来は遠い世界に行くための翼なのさ。お前が本質を見てIS学園に来るなら喜んで歓迎するぞ。オレは一時の感情で判断するなって言っただけさ。」

 

そう。

あくまでも悩んだ上で来いと言ってるだけだ。

その上で来るなら何も気にすることはない。

どうせ何選んだって大なり小なり後悔はあるもんだしな。

 

「何のために国連軍がいると思ってんだよ。そういうことから学生を守るのはオレたち軍人の仕事だからな。」

 

未だにポカンとしている蘭に笑いそうになる。

何なら笑いながら言ってやろう。

 

「大いに悩むといいさ。若人なんだからな。」

 

 

メシを食べ終わり食器を持っていくと厳爺から小さく感謝の言葉をかけられた。

その後は部屋に戻り大いにゲームを楽しんだ。

思ったより楽しくて今度テキトーなの選んで孤児院に送ろうかと悩み、弾に相談に乗ってもらうことになり中々に親交を深めることができたと思う。

一夏にとっても良いリフレッシュになっただろう。

帰り際には弾に礼を言われ、一夏と弾が話してる間に蘭にも礼を言われた。

しっかり家族と相談してみるとも言われたため、オレのアドレスを渡し相談には乗ってやると言っておいた。

焚き付けた責任は取らないとな。

 

楽しく新たな関係も作ることができ良い休日を過ごせたとほくほく気分で学園へと車を走らせた。




今回は日常回で見たら分かる通り話が進んでおりません!
まぁ、次回から新章へと突入する予定です。
同時進行で簪さんとヤンの話も進めていくつもりですのでよろしくお願いします!

それと軽い近況報告
ようやく船から降りて家へ帰れます。
いやっほう‼︎
Wi-Fi環境へと帰れるぜい!
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