それはそうと今話でやっと鈴が登場です!
第二十四話
ゴールデンウィークも終わり再び学校が始まる。
今日は一夏やヤンとは別行動を取っており早めに学校に向かう。
ヤンは楯無の妹に届ける軽食を作ってからいくそうでオレとは別行動だ。
一夏に関してもどうせ箒とセシリアに挟まれての登校になるだろうから一緒には行かない。
早起きは三文の徳とも言うし早めに行ってみるのも一興かと思い早めに学校に向かっているのである。
鼻歌を歌いながら学校に向かっていると、何やらキョロキョロして唸っているツインテールの少女がいた。
「何やってんだ?まぁいいか。」
スルーしてさっさと行こうとするも、後ろから声が聞こえた。
「あ!そこのアンタ!ちょっと無視してんじゃないわよ!ちょっと!」
聞こえない聞こえない。
優雅にのんびり登校しているというのに仕事を増やしたくないしなんだか面倒臭そうだ。
チラッと目線を後ろにやる。
「待ちなさいよぉ!」
ダッ
なんかこっちにダッシュで向かってきている。
何でこっち来るんだよ!
まだ朝早いから学生が来てないからですよね。
知っとるわボケェ!
♢
「はぁ....はぁ.....」
ちょくちょく撒くも何度も発見され最終的には余りのしつこさにコチラが諦めた。
先に息を整えてツインテールの女が落ち着くのを待つ。
「はぁ...なんで...そんな...平気そうなの...よ...? 」
「そりゃ軍人だからな。お前とは鍛え方がちがうんだよ。」
息も絶え絶えに聞いてくるので軽く返事してやる。
「というか....なんで逃げんのよ...。」
「オレは優雅にのんびりと登校してたのに追いかけてくるからだろ。すごい剣幕だったし...。」
すごい剣幕の知らん女に追いかけられたら本能的に逃げるだろ。
そう言ってやると納得はしていないような表情でこちらを見てくる。
ひとまず落ち着いたらしいのでオレを追いかけるに至った目的を尋ねる。
「それで?」
「何がよ?」
「何がじゃねぇよ!なんでオレを追いかけてきたかを聞いてんだよ。」
その言葉に女は小さく「あっ...」なんて零す。
コイツ...オレを追いかけるのに意識持ってかれて目的忘れてたな...。
オレのジト目を誤魔化すためか一つ大袈裟に咳払いをすると説明しだした。
「アタシ、今日から転入することになるんだけど書類に漏れがあって、それの提出と確認のために職員室に行きたいの。」
「それで迷ったって事か?」
「そう言う事。それで道案内を頼もうと思ったけど逃げられたから追いかけたのよ。」
そんな事かよ...。
完全に逃げ損じゃん。
早とちりして逃げたオレが悪いし素直に案内するか。
「オーケー、ツインテール。そんじゃ案内してやるから行くぞ。」
「ツインテールって....。アタシは凰鈴音よ。」
現在地を確認するためにあたりを見渡しつつ声をかけると呆れたような目を向けられ自己紹介をされる。
ツインテール呼びが不満だったらしい。
「そうかい。凰、オレはカズキ・センドウ。歳上だが好きに呼んでくれ。」
「それならカズキって呼ばせてもらうわ。アンタも凰じゃなくて鈴でいいわよ。」
「じゃ、今度こそ向かうから着いてきな。」
そう言い今度こそ歩き出す。
鈴はオレの隣を歩く。
鈴って最近どっかで聞いたような...。
「カズキって何組なの?」
「オレは一組だ。他の男もみんな一組だぞ。」
「それなら一夏も?」
「ん?一夏?どうしてすぐに一夏の名前が出てくんだ?」
急に一夏の名前が鈴の口から出てきて少し困惑する。
そこで思い出した。
この前、弾に教えてもらった中学の同級生だ。
顔を赤くして「それは...その...」と言い淀んでいる鈴に聞く。
「ひょっとして中学の時一夏と同級で惚れてるっていう鈴か?」
「ちょっ!なんで知ってんのよっ⁉︎ 」
顔を真っ赤にして大声を出す。
思わず耳がキーンっとなるが気にせずに教えてやる。
「ちょっと前に五反田弾ってやつに一夏と一緒にあってな。話の中に鈴っていう知らん名前が出てきたから聞いたんだよ。」
「なっ....!? 弾のヤツ.....今度会ったらシメてやる....! 」
哀れ弾。
せめて祈りでも捧げてやろう。
そんなことを考えていると相変わらず顔を真っ赤にしたままの鈴がこちらに掴みかかってきた。
「絶対に一夏には言わないでよっ!」
「言うわけないだろ。オレは馬に蹴られたくはないんでね。」
念を押すように言われたのでおどけたように返してやる。
顔を赤くしながらジト目をしながらそれなら良いと手を離してもらう。
「それで?馴れ初めを教えろよ。」
「言うわけないでしょ!」
♢
あの後も職員室に着くまで一夏関係の話で弄り続けた。
無論、睨まれ続けることになったが。
兎にも角にも鈴を無事に職員室へ送り終えたオレは教室へとたどり着く。
「おっはよ〜!」
「おはよう、センドウくん。」
「おはよう。相変わらず谷本はうるさいな。」
教室に入ると相川と谷本が話しており真っ先に気付いた二人に挨拶をされる。
谷本に軽く毒を吐く。
「うるさいとは失礼な!」
「まぁまぁ、癒子。」
オレの吐いた毒に怒ってくる谷本。
そしてそれを宥める相川。
オレと相川と谷本の3人で話すときは大体この流れがお約束になっている。
いつも通りの流れにフッと軽く笑いがこぼれる。
しかし煽られたと勘違いした谷本はヒートアップする。
「このっ!」
谷本から肩に何発か軽いパンチを喰らう。
もちろんただのじゃれ合いだ。
じゃれ合いつつ周りを見ると来るまでに時間がかかったため一夏が先に着いていたらしくセシリアたちと話している。
しかし谷本たちとの絡みで気がついたようでこちらに寄ってくる。
「おはよう、カズキ。遅かったな。」
「おう、一夏。あー...ちょいとばかし野暮用があってな。」
オレの言葉に一夏は疑問符を浮かべる。
「野暮用って何があったんだよ?」
「2組に転入生が来るって話は知ってるか?」
件の野暮用に関して聞かれるため転入生が来ることを知ってるか確かめる。
その問いには一夏の後ろからやって来たセシリアが答える。
「ちょうどその話をしていたところですわ。それがどうかしましたの?」
「その転入生と会ってな、道案内をしてたのさ。」
「なるほど、それで遅れたわけだな。それでその転入生ってどんなヤツなんだ?」
オレの説明で納得したようだが、転入生に興味が湧いたらしく一夏は話を掘り下げようとする。
全部話してしまうのは鈴が可哀想だし情報は小出しにしとこう。
「中国の代表候補生らしくてな。気の良いヤツだったぞ。」
「へ〜。」
気の抜けた返事をする一夏に対して、代表候補生というワードに敏感に反応したのは同じく代表候補生のセシリアだ。
「私に対抗して送り込まれたのでしょうか?」
髪をかき上げた上で口元に手を当て笑い声を上げる。
お前じゃなくて一夏目当てだろ....。
まぁ、ある意味対抗して送り込まれてんのか...?
そしてセシリアと同じく反応しているものがいた。
「....一夏は、その転入生が気になるのか?」
箒である。
相変わらず仏頂面ではあるが恋する乙女としては気になるのだろう。
「そりゃ気にはなるだろ。箒は気にならないのか?」
「いや、気になりはするが...。そうではなくてだな....。」
言い淀む箒を一夏が不思議そうに眺めている。
すると、後ろからヤンと本音が教室に入ってきた。
「おっはよ〜!」
ヤンは相変わらず簪のところへ通っているようだ。
最近は本音に整備室まで案内してもらっているが、本音は簪と会わないようにしながら登校時に合流してるらしい。
さっさと話し合えばいいのに、なんて思っちまうが色々とあるのだろう。
「みんな集まってなんの話をしてるんだい?」
「ああ。代表候補生でもある2組の転校生の話さ。」
「ふーん。」
クラスメイトが集まっている様子を見て疑問に思ったらしく理由を聞いてくるので説明してやるもそっけない返事だ。
「なんだよ。興味ないのか?」
「あんまり興味ないかな。今はクラス代表戦の優勝景品のスイーツのフリーパスの方が興味あるかな。」
そういえばクラス代表戦もだいぶ近くなって来た。
確か1年のクラス代表はウチの一夏だけが専用気持ちで優勝の可能性はかなり高いと言える。
にしてもスイーツのフリーパスか...。
「え?ヤンくんって甘党なの?」
ショートカットで2つのヘアピンが特徴の女子、鷹月がスイーツのフリーパスの方が興味あるという言葉に疑問を持ったらしい。
「僕は甘党ってほどではないけど甘いものは好きかな。」
「へー!そーなんだ!」
「まぁ、僕が興味あるというよりかは本音がね....。」
そういうとポッキーをポリポリと食べて顔を綻ばせている本音の方をチラリと見る。
本音は不思議そうに首を傾げているが鷹月を含めた周りの女子は「あー...」と納得した様子で苦笑いしていた。
「ま、まぁ、織斑くんが唯一専用機を持っている一年のクラス代表だし!」
「そうそう!これはスイーツパスは貰ったようなものだね!」
「織斑くんが頼りだよ!頑張ってね!」
「スイーツのためにもっ!」
クラスの女子は口々に勝ったようなものだと言い、織斑にエールを送っている。
かなり私欲が混じっているが...。
「その情報、古いわよっ!」
そんな様子に呆れていると1組の前の扉から聞き覚えの声が聞こえた。
声の方へ目を向けるとなんだか格好つけた感じで立っている鈴がいた。
織斑も鈴の方へ目を向けると誰なのか気付いたらしく嬉しそうな声で話しかけた。
「鈴!」
「久しぶりね、一夏。」
凄い親しげな様子にクラスメイトは奇異の目を向ける。
特に目を見開き驚いているのは箒とセシリアの2人だ。
「なんだよ。そんな格好つけて、似合ってないぞ。」
「んなっ.....。アンタねぇ、なんてこと言うのよっ!」
一夏のあんまりな言葉に言葉を詰まらせつつも怒ったように言い返す。
恐らくは昔からこんな感じなのだろう。
「2組の転校生って鈴のことだったのか...。ん?それじゃ1組に何の用だ?」
一夏の疑問は尤もだが、恐らくは一夏に会いに来たのだろう。
しかし彼女はそんなことおくびにも出さずに胸を張り小さく笑みを浮かべる。
「それはね。宣戦布告しにきたのよ。」
「宣戦布告ですって?まさか、同じ代表候補生の私に?」
宣戦布告という言葉に真っ先に反応したのはオルコットだった。
「違うわよ。」
「なっ!」
オルコットの言葉はあっさりと否定され驚愕の声を上げるが周りからは「そりゃそうだろ」という目線を向けられ、萎んでいった。
「アタシ、2組のクラス代表になったの。だから専用機を持ってるのは1組だけじゃないのよ。」
「そっか!代表候補生だから専用機が...!」
谷本が真っ先に理解して声を上げる。
その驚きの声にふふん、と満足げな表情になっていた。
しかし、後ろからヌッと人が現れた。
それを見た1組の全員は後ろに指を向け軽くビビる。
その様子を見て鈴は不思議そうな表情へと変わる。
「何よ?」
「いや、その....。後ろに....。」
恐る恐るといった様子で一夏が声を上げる。
「おい」
「ピャッ!?」
聞き覚えのある声だったらしく可愛らしい悲鳴をあげると震えながらゆっくりと後ろを向く。
「ち、千冬さん....。」
「織斑先生と呼べ。それともうすぐSHRだ。教室に戻れ。」
「は、はい!また来るからね一夏、逃げるんじゃないわよ!」
千冬の指示に大慌てで返事をしてクラスに戻っていく。
帰り際にちゃっかり一夏に言葉を残しながら。
「それではSHRを始める。全員席に着け。」
そんなこんなありながらも千冬の一声で今日も1日が始まる。
♢
時間も昼になりメシを食うために食堂に向かう。
周りにはヤンと本音、不機嫌な箒とセシリアに挟まれた一夏がいる。
午前は箒とセシリアは朝の鈴と一夏の関係に意識を割きすぎて全く授業に集中できずに何度も千冬から出席簿によるありがたい一撃を受けていた。
結果として不機嫌なのだ。
「待ってたわよ。」
そして目の前には食堂の前で待ち伏せしていた鈴がいる。
「お前何やってんだよ....。」
「あらカズキじゃない。いたの?」
わざわざ待ち伏せしていた鈴に思わず呆れていると失礼なことをほざいてくる。
「いたの?じゃねーよ。お前には一夏しか見えてねぇのかよ。」
「ちょっ⁉︎ 」
イラッとしたので軽く焦りそうなことを言ってやる。
この程度で一夏が気付くなら苦労してないだろうに、顔を赤くして露骨に焦る。
チラリと一夏を見るもやはり全く気付いておらず「腹減った」などと呑気なことを言っていた。
この姿に鈴もため息を吐き一緒に食堂に入る。
食事を取ってきて席に着く。
今日はうどんとかしわ飯のセットだ。
これが最高なのだ。
全員座ると鈴に関する話が始まる。
「と、そんな訳で鈴とは中学の時の同級生でセカンド幼馴染だ。」
幼馴染にセカンドもクソもないだろ、なんて少し呆れながら麺を啜る。
本音とヤンも「セカンドって何?」なんて話しながら食べている。
ちなみに一夏の隣に座っている鈴はその話を得意げな表情で聴いている。
が、納得がいってない人間はここに2人いた。
箒とセシリアである。
「それで2人はどういう関係なのだ⁉︎ 」
「ま、まさか付き合っておられるのですか⁉︎ 」
箒とセシリアは2人仲良くテーブルを叩き正面に座っている一夏と鈴に詰め寄る。
「ち、違うわよっ!」
顔を真っ赤にしながら否定する鈴。
ラブコメや純愛ものの漫画なら男の方も顔を真っ赤にしながら否定するところであろうがここにいる男は一夏である。
「そうだぞ。オレと鈴はただの幼馴染だ。」
「...... 」
動揺することなくバッサリと否定する。
ここまでの会話や態度、そして恋する乙女の勘から鈴が一夏に気があることを察知していた2人は途端に同情するような視線を鈴に送ることになる。
「....何よ。」
「いや....。」
「大変ですわね。」
恋敵のはずがここに新たな友情が生まれた瞬間である。
オレは何を見せられてるんだろう。
「そういえばカズキは朝に鈴と会ってるんだよな。」
3人の様子なんて気にすることなくデリカシー皆無の鈍感野郎はこちらに話を振ってきた。
「ああ。鈴が迷子になっててな。職員室に連れて行った時にな。」
するとオレの話を聞いた鈴がジト目になりながら話に入ってくる。
「素直に連れて行ってくれなかった癖に恩着せがましそうに言わないでよ。」
「素直に連れて行ってくれなかった?」
そして面倒なことにヤンが反応する。
「そうなのよ。私が声かけたら逃げたのよコイツ。」
「スルーしたらお前が追いかけてくるからだろ。」
「何もしてないのに逃げるアンタが悪いでしょ。」
「あんな形相でダッシュで追いかけられたら誰だって逃げるわ!」
「無視したアンタが悪いでしょ!」
「誰もが助けてくれると思うなよ!」
少しヒートアップして軽い口論になるも基本的に周りはオレに対して白い目を向けてきていた。
「カズキ...。」
特にヤンはかなり呆れた目でこちらを見ていた。
くっ、そんな目で見んじゃねーよ!
「と、とにかく。オレはあの時、面倒なことに巻き込まれたくなかったからリスクを回避しようとしただけだ。」
「逆に面倒ごとにしてるからリスク回避どころか自ら突っ込んでいってるじゃないか...。」
「うるせぇ!」
ヤンから口撃を受けるハメになり鈴はその様子を見て勝ち誇っているかの様に笑みを浮かべている。
腹立つな....!
ここでこの話は終わり、思い出した様に鈴が話を切り出す。
「そういえば、一夏って専用機持ってるんでしょ。」
「ああ。セシリアに負けてヤンとカズキにはボコボコにされたけどな。」
「じゃあさ、私が教えてあげようか?近接系のIS乗りだし教えれることはあると思うわよ。」
鈴め。かなり自然に一夏を誘いやがった。
箒やセシリアよりも一枚上手だ。
一夏としては願ってもないことだし久しぶりにあった友人と接する機会であるため二つ返事で承諾しようとするも、箒とセシリアが割って入る。
「一夏には既に私が近接戦を教えている!」
「アナタは2組で今度戦うことになる敵でしょう!」
「アタシは一夏に聞いてるの。」
鈴は割って入ってきた2人の目を見据えて言い返す。
3人で視線を交わすも一夏が決めないことには何も決まらないので自然と3人の視線は一夏に集中する。
一夏は気まずそうにしながらコチラに視線を寄越してくる。
助けを求めてるのだろう。
「すまんがオレはパス。生徒会でクラス代表戦に関する仕事があるんでね。」
「僕もパスかな。用事があるし。」
しかしながらオレには仕事があるためバッサリと切り捨てる。
それにそんな面倒臭そうな厄介事に首を突っ込む気はない。
ヤンも同じようなもんだ。
まぁ、途中で簪のところに行くのだが。
バッサリと断られたことにガックリと肩を落とす。
すると本音が一つ提案してきた。
「それなら3人で教えればいいんじゃないの?」
思わぬ方向からの助け船に一夏は驚きながらも心の中で拝み倒しながら本音の方を見る。
「結局おりむーが成長するためでしょ〜。それなら少しでも吸収出来ることを吸収した方がいいと思うんだ〜。」
「確かにそうだ!」
本音の助け船に嬉しそうに声を上げる一夏。
3人は不満を隠せてはいないが妥協点であろうし言ってることは正しいので渋々受け入れることとなる。
その様子に一夏はほっと一息つくことが出来ていた。
そんな様子を見ながらオレはコイツはこれからこんな感じで女子に振り回されることになるのかと少しザマァと思いながら出汁を啜った。
はい、前書きで書いた通りです。
遅れてすみませんでしたぁぁぁあああ!
卒業式に行ってたり資格試験に向けた勉強で忙しかったんです!
hoi4とかやってないですよ!EU作って満足してたりしませんからね!