ソラを駆ける衛士   作:タリズマン

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不定期とは言ったが更新ペースが不定期すぎでは....?



第二十五話

生徒会室ではキーボードを叩く音と紅茶を飲む音だけが聞こえている。

今はクラス代表戦におけるトーナメント表と使用する機体に関する書類を作っている。

それに合わせてクラス代表に関しては学校のラファールと打鉄の一時的な専有権を与えられカスタムも許可されているため、その辺の申請書類の処理もやらなくてはならないのだ。

 

「そういえば、カズキくん。」

 

「ん?」

 

アリーナのしように関して各クラスに配布する書類をwordで作っていると不意に楯無から話しかけられる。

 

「国連軍の駐屯部隊に当日の警備について確認したいんだけど。」

 

「オレに確認しろってことか?」

 

「ええ。そっちの方が楽だし。」

 

警備か。

一応、IS学園の駐屯部隊は歩兵中隊を中核とし対空ミサイルや対空砲、装甲車に警備艇などを装備しており航空機や暴徒に備えたもので大規模な攻撃に備えてる訳ではない。

日本の中枢の眼と鼻の先にあるIS学園に大規模な多国籍軍を置くわけにはいかないという政治的な判断もあるのだが、小規模な戦力に対処するための警備戦力しかない。

 

「了解した。後で中佐に確認しに行くよ。」

 

「よろしくね。あ、そのまま今日は上がって大丈夫だから。」

 

「この書類完成したら基地に確認しに行ってそのまま上がっていいわけだな。」

 

「そ。」

 

「そりゃ、ありがたい限りだ。」

 

終わりが見えると格段にやる気が上がるものだ。

オレは一つ伸びをするとギアを一つ上げてキーボードを叩きだした。

 

 

さっさと書類を完成させると楯無に確認してもらい基地へと向かう。

警衛に中佐と会えるかを確認して中に入る。

部屋に着くと秘書官にコーヒーを入れてもらって休憩に入っているグリーヴァス中佐がいた。

 

「中佐、失礼します。」

 

中に入ると秘書官の女性の下士官が会釈をして退室した。

 

「それで、なんの用だ?」

 

「はっ。生徒会会長からの要請で今月末にあるクラス代表戦の際の警備に関して確認したいとのことでして。」

 

ふむ、と考え込む中佐。

すると少し待ちたまえと、一言告げると内線で電話をする。

5分ほど待っていると基地の第101警備中隊の中隊長である七瀬大尉が入室してきた。

 

「中佐、こちらが現在の警備計画です。」

 

「ありがとう。...センドウ大尉、これが警備計画だ。」

 

中佐は七瀬大尉から受け取った書類の中身を軽く確認するとコチラに差し出してきた。

 

「ありがとうございます、中佐、七瀬大尉。」

 

目を通すと警備中隊は二個小隊を抽出してアリーナ内外の警備にあたらせる予定らしい。

あとはいつも通り基地で待機し対空警戒並びに基地での警備任務にあたるようだ。

 

「この二個小隊は緊急時の避難対応のためですか?」

 

「そうだ。観客席に重装備の歩兵を入れるわけにはいかんから観客席に兵を入れるつもりはない。せいぜい出入り口とその周辺がメインになる。」

 

ライフルを装備した兵が後ろに並んでいると試合を楽しめないだろうし配慮しているのだろう。

 

「コチラを会長に見せても?」

 

「構わん。だが見せた後は焼却処分してくれ。この計画書に関しては学園の警備部門と理事長にのみ共有するものだから外部に漏れるのは困る。」

 

極力外部へ漏れるリスクを避けたいのだろう。

 

「了解です。」

 

「ああ、それと。」

 

書類を受け取り退室しようとするも中佐に話しかけられる。

 

「聞いての通り我々ではアリーナ内部での非常時に即応できない。その為内部での対応に関しては君に一任する。」

 

「は?」

 

思わず聞き返してしまう。

 

「センドウ大尉とウォーカー中尉に関しては有効的に運用するためにエレメントを組んでもらっているが正式な部隊として君らを編成させてもらう。コールサインはどうするかね?」

 

いきなり隊を新たに編成すると言われても正直困る。

 

「すみませんが、部隊名に関してはシャムロックと話し合ってからじゃ無いと....。」

 

そう言って持ち帰ろうと考えたがその時ふとシャムロックの昔所属していた部隊の名前を思い出した。

 

「ガルーダ...。」

 

「ガルーダ......インド神話に出てくる聖鳥のことか?」

 

軽く呟くとそれを聞き取った中佐はなんとガルーダが何か知っているようだった。

中佐の方を見ると中佐は少し照れ臭そうに頬をかいた。

 

「神話を調べるのは好きでね。...それにしてもガルーダ、ガルダか。いいんじゃないか戦神ヴァーユ率いる軍勢を蹴散らすような強さを持つ鳥だ。中々いいじゃ無いか。」

 

ガルーダという名に関して中佐からはかなり高評価のようだ。

シャムロック、ヤンもガルーダという隊の名は気に入ってたようだし良いだろう。

 

「それでは我々は以降ガルーダ隊として行動します。」

 

ガルーダ隊との呼称を決定すると中佐は満足げに頷く。

 

「それではスターク並びにシャムロックを今後ガルーダ隊と呼称する。コールサインはガルーダ1とガルーダ2だ。ガルーダの名に恥じぬ働きに期待する。」

 

「はっ!」

 

 

カバンに入れて無くすなんて考えたくも無いので書類をISの拡張領域にぶち込んで帰宅する。

こういう時に拡張領域ってのはありがたい。

しかし基地から寮に帰り着く頃にはどっぷりと日も沈み暗くなっていた。

晩メシはたまにはいいだろうと基地で食べてきた。

 

寮に入り部屋に向かっていると見覚えのあるツインテールが走ってきていた。

 

「鈴じゃねーか。廊下走ってるの千冬に見つかるとどやされるぞ。」

 

そういい走ってきた鈴を受け止める。

 

「カズキぃ....。」

 

何故かは知らないが目に涙を溜めながら見上げてきた。

 

「......取り敢えず場所変えるか。」

 

部屋に連れて帰るのはアレだし屋上のいつもの場所に連れて行こう。

 

途中で飲み物を買って屋上へと連れて行く。

椅子に座り一口お茶を飲むと泣いていた理由を話し始めてくれた。

 

事の発端は一夏が箒と同室であるということらしい。

この話を聞いた鈴は部屋へと押しかけて箒に交代するか私も住ませろと中々の無茶を言ったらしい。

無論断られることになったが、ここからが問題だった。

鈴は中学時代の別れ際に告白していたらしい。

日本でお馴染みの「毎日味噌汁を作る」というものをアレンジして言ったらしいが、その事を確認すると一夏は忘れていたならいざ知らず奢ってくれるものであると勘違いしていたのだ。

激怒した鈴は思わずビンタをかまし逃げ出してしまったということらしい。

 

「なるほどな。」

 

「ホントにあんな勘違いはしないでしょ...」

 

涙はすっかり止まった鈴は愚痴をこぼす。

 

「とはいえ、一夏だろ。付き合いのそこまで長くないオレですらわかるぐらいに鈍感なんだから、ストレートにいえばよかっただろう。」

 

オレはそう指摘するが鈴は顔を赤くしながらしおらしくなると小さい声で答える。

 

「それは....恥ずかしくて....。」

 

「朝と昼間の勝ち気な姿はどこいったんだよ。」

 

「仕方ないでしょ!恥ずかしいものは恥ずかしいんだから!」

 

先ほどのしおらしい姿はどこへやら。

赤かった顔をさらに赤くしながら机を叩きコチラに対して大きな声を上げる。

 

「偉そうなこと言ってるけどそう言うアンタはどうなのよ!そういうことあるのっ!?」

 

「あるぞ。」

 

「へ?」

 

恐らくはそんな経験ないのに偉そうに語りやがってと思ってしまっていたのだろうが、残念ながらちゃんと経験はある。

 

「元々、婚約者だったんだが改めて本気で好きになっちまってな。思い切って告白じみたことをやったよ。」

 

「...ちなみになんて言ったの?」

 

すると興味津々という感じで身を乗り出しながら続きを促してくる。

 

「長ったらしくいうのは苦手だから手短に「改めてお前を好きになった。」ってな。それだけさ。」

 

懐かしいな。

京都の桂川での花火大会を2人で見に行った時だったっけな。

 

「照れたりとかはしなかったの?」

 

「そりゃ照れはあったさ。ただ照れて伝えられないってのはなんか...勿体ねーじゃん。」

 

「...... 」

 

本当に勿体ないと思う。

無論オレのように婚約してる状態と片思いの状態では全然違うのかもしれないが、伝えられずに後悔する方がオレは嫌だ。

 

「お前の勝ち気な部分でガンガン押せばいいだろ。むしろ告ってフラれたって絶対に振り向かせてやるってよ。」

 

「!」

 

コイツの勝ち気はいいところだと思う。

だからこそ素直になりきれない連中を追い抜いてあのバカを振り向かせてやればいいのだ。

 

「中学で離れることになってからもずっと一途に想い続けてたんだろ?いい女じゃねーか。オレは好きだぜ、そういうの。」

 

「っ⁉︎ 」

 

オレはそう言って笑ってやる。

コイツは一途に想い続けてやっと手に入るかも知れない場所に来れた。

なら後は突っ走るだけだ。

....ところで顔を真っ赤にする要素はどこにも無かったと思うんだがコイツはなんで赤くなりながら口パクパクさせてんだ?

 

「どうした?なんかオレ変なこと言ったか?」

 

「いや、別に... 」

 

そう言いながらも胸を抑え小声で何かブツブツ言っている。

 

(なんで会って間もないコイツにこんなドキッとしてんのよ、アタシ!)

 

「?」

 

オレはよくわからないままお茶に口をつけ、何気なく空を見る。

 

「まぁ、なんだ。」

 

「なによ?」

 

「その...当たって砕けちまったら愚痴ぐらい聞くさ。」

 

「砕けること前提に話さないでくれる?」

 

精一杯の慰めというか応援だったのだがジト目で見られることになる。

しかしジト目を止め軽く笑うと勢いよく立ち上がる。

 

「.....よしっ!弱気なのはアタシらしくないわよね!それなら存分にアンタに愚痴らせてもらうわよっ!」

 

「存分にか....。まぁ言った手前いくらでも聞いてやるさ。」

 

鈴の言葉に思わず苦笑いが溢れるが励ましとはいえ言ったことには違いない。

その言葉を聞いた鈴は見た限りでは今日一の笑顔を見せながらオレに宣言する。

 

「まずは一夏に謝って存分にアピールしてやるんだからっ!」

 

その綺麗な笑顔に見惚れてしまったのは内緒だ。

 

 

すっかり元気になった鈴と別れ部屋に帰ると楯無が薄着でベッドに寝転がりくつろいでいた。

 

「おかえりなさい。今日は遅かったわね。」

 

「まぁ色々あってな。あ、はいコレ。」

 

オレは不知火の拡張領域から書類を取り出しベットの横にある机に置く。

 

「ん?ああ。警備配置のやつね。」

 

「そ。七瀬大尉に用意してもらったんだ。中身見終わったら返せよ。処分しとくから。それと質問はシャワー浴び終わってからにしてくれ。」

 

「はいはーい。」

 

書類を軽く振りながら返事を返してきた。

そんな楯無を横目に着替えを取り出しオレはシャワーに向かう。

服を脱ぎ軽く畳みシャワー室に入る。

熱いシャワーを浴びながら中佐との話を思い出す。

 

「アリーナ内部においては一任する、か。」

 

アリーナ内部で起きるような非常事態とはなんだ?

内部にテロリストが混じってる事だろうか。

それだとカバーすべき範囲が広すぎて対処しきれない。

せめてオレとヤンを間反対に配置するか...?

後で楯無に相談してみるか。

護衛や警備ならアイツの方がよく知ってるだろ。

ヤンとも打ち合わせをしないといけないな。

 

「はぁ...。忙しくなるな...。」

 

こんな有様なのにテロなんざごめん被りたいものだ。

 

 

シャワーを浴び終えまだ体が熱いため半裸で出てくる。

前までは男の半裸なんて見慣れてなかったのか狼狽はせずとも顔をほんのりと赤くしていた楯無だが、一月も経てば慣れたのか顔色一つ変えずに普通にくつろいでいた。

冷やしておいた麦茶をコップに注ぎベッドに腰掛けている楯無の向かいに腰掛ける。 

 

「それで、なんか疑問点はあったか?」

 

「そうね。アリーナ外周への警備隊の配置は学生に対する配慮ってことは理解したけど、アリーナ内部での緊急対応はどうするつもりなの?」

 

その質問はちょうど良い。

どのみち話すつもりだった話題だし。

 

「内部に関してはオレとヤンの2人で対応することになってる。ここの詳細は詰めてく必要があるが、指揮に関してはオレに一任されてるから変更はしやすい。」

 

「なるほどね。....でも2人だと対処しきれないんじゃ無いの?こういうのは質も大事だけど何より数が必要よ。」

 

そこなんだよなぁ。

どう考えても数が足りない。

もしテロが内部で発生した場合、生徒の混乱が間違いなく生じる。

そんな中で2人、それも配置を考慮すれば1人で対処することになる。

間違いなく数が足りない。

そこでだ。

 

「オレとしては指揮系統の混乱に繋がりかねないが、IS学園が保有してる警備課の方から人を借りたいと思ってる。」

 

オレの言葉に思案する楯無。

指揮系統が重複することは避けなければならない。

つまりは国連軍が指揮を取るのか、それとも学園側が指揮を取るのか。

コレをはっきりさせなければならないのだが、少し問題がある。

オレの言っている学園の警備課というのは生徒同士の決闘が加熱しすぎたりした際に止めに入るISを装備した教師のことだ。

場合によっては強力な戦術兵器と化すISの指揮権を互いにそう易々と渡すわけにはいかない。

よってオレの提案はなかなかの無茶振りなのだ。

 

「.......わかったわ。生徒の安全のためだし....その辺りは織斑先生や理事長に確認を取ってみる。」

 

「すまんが頼む。協議の日程が立てば教えてくれるとありがたい。」

 

「わかったわ。」

 

こういう事に関して楯無は本当に頼りになる。

生徒会でのサボってる姿と行き過ぎたシスコンを何とかすれば"先輩"と呼んでやるものを...。

 

「....なんか失礼なこと考えてない?」

 

「考えてねぇよ。ほら、読み終わったなら返せよ。」

 

軽く睨みながら女の勘とかいうやつで内心を軽く読まれたオレは誤魔化すように楯無の手元にある資料を取り上げ拡張領域にしまう。

 

「あっー、誤魔化した!絶対っ、失礼なこと考えてたでしょー⁉︎ 」

 

その様子を見て失礼なことを考えていたと確信に至ったのか、コチラを指を差しながら怒りの声を上げる。

 

「考えてねえよ。....って、オイ!引っ付くな!暑いから脱いでんだよ!お前がくっ付いたら暑いだろうが!」

 

「知っててやってるのよ!何考えてたかお姉さんに言ってみなさいな!」

 

「お前は年下だろうがっ!何がお姉さんだ!」

 

楯無を無視して麦茶をもう一杯飲もうと立ち上がると、後ろから引っ付いてギャーギャー騒いでいる。

なまじ後ろから引っ付いているため振り解けない。

チラッと横を見ると立ち上がってすぐだったためベッドがある。

 

(これならイケる...!)

 

オレは楯無の腰をしっかり掴むと一言「踏ん張れよ」と声をかけると、そのままベットへダイブした。

 

「へぶうっ!」

 

楯無が変な声を出したがこれでなんとかなった。

そう思って腰から手を離すとそのままオレの左腕を掴み捻り上げて関節技を極められる。

 

「いだだだだたっ!」

 

「さぁ、上は取ったわよ!なんか失礼なこと考えてたでしょ!何を考えてたのか言いなさい!」

 

「馬鹿がっ!オレはお前に対しては大体いつも失礼なことを「ふんっ!」あだだだだっ!」

 

言い切る前に更に力を込められ苦痛の声を上げる。

だがっ、純粋な筋力量ではオレの方が上!

さっきとは違いそこそこ広いベッドの上だから強引にいっても怪我の心配はほぼ無い!

 

「ふぬっ!」

 

「なっ⁉︎ 」

 

腕に力を込め無理やり腕を伸ばす。

その力に驚愕する楯無だが、左腕を掴んだままでいる楯無の腕を掴み素早くうつ伏せから仰向けの体勢になった。

が、楯無はオレの自由になった左腕を抑えにかかり、互いに手を持った状態で拮抗してしまう。

 

「「ぬぐぐぐぐぐぐぐっ!」」

 

オレは一旦わざと力を抜き肘を落とすと手を振り解き楯無を抱きしめる。

そのまま枕側に寝返りを打ちオレが上になる。

 

(オレの勝ちっ!)

 

内心でオレは勝ち誇る。

 

「........何....やってるの?」

 

すると横から声が聞こえた。

 

........横?

 

壊れた機械のようにぎこちなくオレと楯無が横を向くと....。

 

顔を真っ赤にしてこちらを見てる本音が立っていた。

 

落ち着け...冷静になれ....冷静に今の状況を考えるんだ。

 

 

 

ベッドの上で互いに息を切らし頬を上気させた男女。

 

そして男が女にのしかかり押し倒している。

 

 

 

ふむ......。

 

「ちち、違うのよ本音ちゃん!」

 

「本音っ!お前は勘違いをしている!」

 

慌ててオレと楯無は本音に叫ぶ。

しかし本音は顔を真っ赤にしながら後退りする。

 

「だ、大丈夫...喋ったりしない...から.....。」

 

そう言うと本音はいつもののんびりさからは全く想像がつかないような素早さで身を翻す。

 

「し、失礼しましたぁぁあああああああ!」

 

「「待てぇえええええええええええ!」」

 




今回は鈴と楯無がメイン回です。
鈴は個人的に普通に好きなキャラで出番を増やせたらな、なんて考えています。

前書きでも書いたけど更新ペースがめちゃくちゃだな....。
早く出来すぎた時は少し時間をあけての投稿の方がいいのかな?

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