ソラを駆ける衛士   作:タリズマン

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お久しぶりです。
今回は7000時を超えて少し長くなりましたが、どうかお楽しみください。



第四十四話

ついに始まったタッグマッチトーナメント。

ほぼ全ての学生が参加することもあって4日かけて行われるイベントで、警備隊は打ち合わせをみっちり行いブリーフィングを済ませ配置に着く。

タッグマッチトーナメントでは卵たちの品定めのためにIS競技チームや開発会社などのIS関連の重役が世界中から集まる。

お陰様でオレたちIS部隊にはあまり関係ないが警備面で他にも気を使う必要が出ており、警備隊は大忙しのようだ。

 

通用口にいながらタブレット端末を開く。

アリーナには入れなかった生徒向けに学生の端末で各試合の中継や終わった試合の動画を見ることができるようになっているのだ。

その機能を利用して現在の試合を見る。

今は一年生の部、その第二試合が行われている。

3組のレベッカ・キャリー、ルナリア・スヴェンペア対4組のパク・アユン、5組のニーナ・キャロラインペアである。

一年であるため少し動きはぎこちないが緩急をつけた戦いをレベッカ、ルナリアペアが進めており順当に行けばこのまま勝利できるだろう。

 

『HQより各隊へ、定時連絡。各隊状況知らせ。』

 

HQからの定時連絡が来たため意識を画面から離す。

 

『こちらタンゴ1-1。定時連絡、異常なし。』

『シエラ1-1、同じく異常なーし。』

『ロメオ1-1、異常なし。』

『こちらデルタ1-1、定時連絡。VIP並びに周辺状況問題なし。』

 

配置についている各隊からの報告が続く。

シエラとロメオのテキトーな報告が上がっていく。

 

「こちらガルーダ1、アリーナ内異常なし。」

 

『こちらHQ、全隊異常なし了解。各隊、現状を維持せよ。』

 

そう言うと定時連絡が終わり再びタブレットに目を戻すと、試合が終わっていた。

そこにはパク、ニーナペアが2人してカメラにピースを向けていた。

 

「はあっ⁉︎ あそこからどうやって勝ったんだよ!絶対面白い試合だったじゃん!クソッタレ!」

 

予想とは全く違う画面の向こうに思わず驚きの声をあげ同時に見られなかったことを嘆いた。

 

『スターク、丸聞こえだよ。』

 

オレの嘆きの声に反応したヤンが反応する。

どうやら無線を繋ぎっぱなしで丸聞こえだったらしい。

 

『こちらシエラ2-4、どうしますか?そんなに盛り上がれるなら賭けでもしますか?』

 

『そりゃいいな。タンゴ1-7は乗ってやるぜ。』

 

『タンゴ1-4も同じく!....スタークの旦那は?』

 

他部隊の連中がそれに便乗して賭けをするかの話をしだした。

全くコイツらは....。

そう呆れながら答えてやろうと口を開いた瞬間、別のやつから無線が入る。

 

『タンゴ2-1より今アホなこと言った奴らへ、とりあえず口を閉じた上で、作戦終了後に何が起こるか覚悟して震えてろ。』

 

『げっ、隊長....。』

『暇なんですよっ!堪忍してください!』

『そーだ。そーだ。』

 

『やかましいっ!全く....。ガルーダ1もアホやってないで集中してくださいよ。』

 

タンゴ2-1からのアホどもへのお叱りがあった後、心底呆れたといったような声を上げる。

 

「それもそうだな。VIPと全校生徒の前でハエの如く落ちたくはないからな。」

 

『はっはっはっ、違いない!』

 

オレがそう戯けてみせると、タンゴ1-4が笑い声を上げる。

そんなに笑うなよ。

 

『バカなこと喋ってないでいい加減に任務に集中しろ!このバカどもっ!』

 

ほれみろHQに怒られちまったじゃねぇか。

 

 

「全くバカだなアイツは。」

 

無線で行われているバカみたいなやり取りを聞いて思わずニヤける。

バカみたいなことを話し笑い合う。

そんな様子を見ているとスウェーデンでの「ニドヘグ作戦」を思い出す。

あの時も極秘作戦であるにも関わらずバカみたいな軽口を叩きながら進む部隊があった。

アメリカ空軍の"アイテール小隊"を中核とした長距離打撃群。

あまりにもくだらない軽口に思わず眉を顰めたが、彼女たちは凄まじい活躍を見せた。

誰よりも苛烈に戦い、誰よりも戦友を守った。

機密ではあるがカズキがレーダー士官ではなくISに乗って戦っていたことはこの時から知っている。

共に戦ったIS部隊と一部の歩兵部隊しか知らないが、奴の軽口は周りで緊張していた連中の緊張をほぐし訓練通りに戦うことができるキッカケになった。

 

正直、アイツが撃墜されたと聞いた時は耳を疑った。

が、その襲撃のおかげでまたあのバカと戦えることは素直に嬉しかった。

無論、隊長と離れることは辛かったし、隊長のふと見せる少女の姿を間近で見れなくなったことは私にとって耐え難い苦痛であるが。

 

なんだか思考がおかしな方向へ向かっているな。

気を取り直そう。

そう思い軽く頭を振るといつぞやの自分のように顔を顰めるアリシアが目に入った。

 

アリシアは優秀なパイロットだが兵士としてはいささか若さが抜けない。

良くも悪くも生真面目すぎるし自分の腕に絶対の自信を持ってしまっているのだ。

尊敬する上官の推薦でここに来たと言うこともあるのだろう。

 

「チック、どうかしたのか?」

 

わかってはいるがあえて声に出して尋ねる。

すると忌々しそうに口を開いた。

 

「作戦中にこんな軽口を叩くなんて信じられませんっ!それに....サボってるじゃないですか!」

 

サボってることはあながち否定できないな...。

 

「サボってるということは否定できんから後で叱るとしてだな。....軽口自体は悪いことじゃない。」

 

まるで裏切られたかのような表情を浮かべるアリシアだが、ひとまずそれは置いといて話を続ける。

 

「軽口を叩くというのはな、聞いてる奴は案外緊張がほぐれるものだ。実際にそっちに意識がいって手の震えが止まってるぞ。」

 

「そ、それは....武者震いです!」

 

武者震いなんてよく知ってるな。

さてはコイツも私の同類(オタク)か....?

 

いかん、また思考が脱線した。

 

「武者震いも緊張の一種だぞ。」

 

「うっ....。」

 

「まぁ、真面目な奴にとっては信じられん光景だろうな。任務中に賭け事を始めようとするなんてな。」

 

整備兵と共に賭けポーカーなんてものをやっていた何処ぞのバカを思い出す。

あれを見た時は血管がはち切れそうになったが、奴に唆されて以来ハマってしまっている自分に思わず笑ってしまう。

しかしそのおかげで黒兎隊の整備兵たちともだいぶ打ち解けることができたし、整備兵の不満点などを洗い出すこともできた。

真面目なのは良いことだが、時には不真面目なことをやらないと見えないものもある。

 

「だが、副次的効果があることに目を向けるべきだ。だからHQも注意は行き過ぎた時にやるにとどめているだろう?」

 

「それは....。」

 

「まぁ、私も気づいたのは去年ぐらいの話だがな。」

 

「えっ?」

 

驚いたように目を見開くアリシア。

カズキと出会う前の私なら同じ反応をしただろうな。

そう考えていると個人回線でカズキから通信がきた。

 

『クラリッサ。』

 

ラウラ隊長の試合が始まるようだ。

私がそちらに意識をやると視界の端にアリーナ内の様子が映った。

わざわざ私に学生でしか見れない映像を送ってきたのだ。

 

「すまん、助かる。」

 

私が礼を言うと笑い声が聞こえた。

 

『ははっ、良いってことよ。戦友の頼みとあらばこれぐらいやるさ。それにオレは』

 

「不良軍人か?聞き飽きたぞ。」

 

『ありゃ?お見通しか。』

 

その言葉に軽くため息をつく。

 

「どの口が言う。何度も貴様から聞いたことだ。」

 

『そうかい。....おっ、始まるみたいだぞ。』

 

その言葉で映像に意識を割く。

映っているのはラウラ隊長と篠ノ乃束の妹である篠ノ乃箒。

そして相対するのは織斑一夏とシャルル・デュノア。

 

「隊長.....。」

 

思わず溢れた言葉は誰の耳にも届くことなく消えていった。

 

 

歓声が響き渡るアリーナ内で4人は相対する。

 

ある者は戦う意味もわからないままただいるだけ。

またある者は自分を友という理由だけで助けてくれた男を支えるため。

またある者は眼前にいる友の仇である者を倒すため。

またある者は眼前の憎むべき敵を倒すために。

 

「逃げなかったか。」

 

「おう、来てやったぞ。」

 

一夏は臆する事なくラウラに挑発を軽く流す。

眼前の敵を見据える。

単純な技量ではおそらくラウラの方が上。

だが諦める理由にはならないし負ける理由にもならない。

ましてや言い訳にもならない。

敵と称してはいるが一夏には憎しみはなかった。

無論、鈴やセシリアに傷を負わした怒りはあるし、理不尽とも言える怒りをぶつけられたことも記憶に新しい。

しかし、"織斑千冬"という共通の人に憧れた同志という感覚もあった。

そして何よりもカズキやヤン、前回のテロで戦った国連軍の兵士を見ていた一夏にはラウラの行動は軍人として逸脱しているし、どう考えてもおかしい。

その為に凄まじい違和感を持ち始めていたのだ。

 

とはいえ仇は仇だし、千冬に憧れる者の一人としてあのような力の使い方を許容するわけにはいかなかった。

その決意が手に篭り雪片に力が入る。

 

「ふん、威勢だけは一人前だな。」

 

そう嘲るラウラを見据える。

 

「お前は煽る事しかできないのか?千冬姉はそんな事教えないだろ。」

 

「貴様ッ....!」

 

逆に挑発してやると鋭い目で睨んでくる。

煽る割には煽られるのには弱いんだな、なんて少し場違いな思考をしつつも思考はクリーンで今までにないぐらいに落ち着き集中していた。

 

「威勢だけかどうかはこの勝負で見せてやるよ。」

 

「ふんっ。」

 

忌々しげに鼻を鳴らすラウラに対して雪片を構える。

 

 

 

 

気に入らない。

眼前で威勢よく吼えるこの男が気に食わない。

尊敬する教官、織斑千冬の弱みで、その状態に甘んじる軟弱者。

こんな男、教官にふさわしくない。

 

私に織斑一夏の話をする教官の顔がチラつく。

普段決して見せることのない穏やかな表情。

その顔は決して私に向けられることはなかった。

理解などしたくはなかった。

理解できなかった。

教官が戦いから身を引く原因となった男が。

教官が世界一の称号を逃す原因となった男が。

そしてそんな男に向ける優しげな微笑みが。

 

なぜ、わたしはこんなにもがんばったのに。

そんなよわいおとこにわらうんだ。

なぜわたしにはむけられないのに。

 

あんな男、必要ない。

叩き潰す。

轢き殺す。

 

そんな奴、手ずから心を折ってやろう。

2度とそんな威勢を吐けないぐらいに。

 

そして手に力が入る。

 

 

 

2人の闘志は手に、そして眼に入る。

 

そしてカウトダウンが始まる。

各々が構え闘志が籠もる。

互いに譲れぬ考えをもとに武器を構える。

 

カレウトダウンがゼロになった

 

「ぶっ倒す。」

「叩き潰す。」

 

瞬間2人はぶつかり合う。

プラズマ手刀と雪片弐型がぶつかり合う。

一合、二合と切り結ぶ。

 

その間、シャルルは箒が邪魔できぬように牽制射を仕掛ける。

 

「くっ...!」

 

元々近接特化の乗り手である箒には回避運動が手一杯であった。

そして同時に移動して射線を確保したシャルルは一夏の援護も始める。

 

それを察知していたラウラはすぐさま回避と同時に移動して射線に一夏を被せようとする。

 

「そんなもの....なっ⁉︎ 」

 

その動きを読んでいたかのように一夏はすくさま真上に飛んだ。

一旦、箒への牽制をやめたシャルルがすかさず狙い撃つ。

 

予想していなかった動きに動揺していたラウラに対して直撃するに思えわれた弾丸は命中前に停止する。

 

「コレがAICか。」

 

「厄介だね。」

 

AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)とは、ISの慣性制御能力であるPICを利用した能力であり、指定した範囲に触れた物体を停止させることができるものである。

コレによりシャルルの放った弾丸はすんでのところで停止したのだ。

 

「その程度か?」

 

嘲笑いながらレールカノンを照準するラウラに対して危機を察した一夏はすぐさま退がる。

その瞬間、牽制射から解放されていた箒が一夏に斬りかかる。

照準していたラウラは思わず舌打ちを飛ばす。

 

一夏は箒に対して近接戦では油断ならない相手と捉えている為こちらに意識を割かざるをえない。

しかし、ISでの戦闘経験は一夏の方が高くそこで差が出た。

ある程度体に合わせてあるとはいえ、ISと生身では当然リーチや感覚が変わってくる。

箒はそこに合わせることがまだ完全でなかったのだ。

 

「くっ!?」

 

思わず声を上げる箒に対して一夏は冷静だった。

一対一の戦いではない状況をしっかり認識していた一夏は前衛と後衛の役割分担を明確にしていたのだ。

上段に振り上げた箒の刀を銃弾が弾く。

シャルルの援護射撃である。

 

「なっ⁉︎ 」

 

心の中で一夏は箒に謝罪しつつも一太刀を浴びせる。

さらにもう一撃といったところで突如、箒が飛んでいった。

 

「邪魔だ。」

 

ラウラである。

ワイヤーで箒を捉え投げ飛ばしたのだ。

一夏とシャルルが突然のことに呆然としている中、ラウラはレールカノンをシャルルに放ち一夏に迫る。

 

一夏はなんとか受け止めるが無防備な体勢に近かった為勢いを殺しきれず吹き飛ぶ。

 

「一夏っ!ッ⁉︎ 」

 

「余所見とは余裕だな。」

 

ラウラは吹き飛ばされた一夏に意識をやってしまったシャルルに襲い掛かる。

しかし、シャルルが得意とする高速切替により近接ブレードにて防がれる。

同時に勢いを殺す為に後ろに飛ぶ。

 

「ぐっ⁉︎ 」

 

思わず苦悶の声が出るが口元には笑みが浮かんでいた。

 

「?......何っ⁉︎ 」

 

今度はラウラから驚愕の声が出る。

シャルルはラウラからの一撃を受ける際に近接ブレードと同時にショットガンを取り出し至近距離で構えていたのだ。

閃光が迸る。

しかしラウラは冷静にAICを使い銃弾を止める。

至近距離だったのが幸いしてギリギリ散弾が炸裂する前に止めることができた。

ふんっと鼻で笑いながら切り払おうとする。

 

「おらぁっ!」

 

「ぐっ⁉︎ 」

 

瞬間、一夏が瞬時加速で現れた。

AICを起動しその上でシャルルを叩き切らんと一夏に意識を回さなかったことが災いし、ラウラは一撃をまともに受けてしまう。

 

「忘れてないかっ!コレはタッグマッチなんだぜっ!」

 

一撃をまともに受けたまらず後退したラウラにそう吼える。

一夏にとって先ほどのタッグであるはずの箒への行いは許せることではなかった。

アレはタッグを守るための行いではなく、邪魔者を退かすための行いだった。

事実投げ飛ばされた箒は突如としてきた急制動と衝撃に受身が取れておらず、しばらく立ち上がれずにいた。

ある種それの意趣返しであった。

 

「一夏、事前の調べ通りだね。」

 

「ああ。畳み掛けるぞ。」

 

一夏の隣にきたシャルが声をかけた。

この2人は事前に徹底的にラウラ、そしてシュヴァルツェア・レーゲンを調べ上げていた。

国家代表候補生は公式で戦うことがあり記録映像は多く残っている。

そのためそこから洗い出した結果、2人はあることに気がついた。

 

AIC使用時に別方向からの攻撃があった際は必ず回避している、と。

 

つまりAICは一目標に対してしか使用できず多方向からの同時攻撃には弱い。

 

加えて同じようなタッグマッチ形式の試合ではタッグを当てにすることなくそれぞれで戦う。

当人の技量もあってかそれでも普通に勝てるからだ。

さらに今のラウラは一夏を潰すべき存在かつ、弱いと認識しているため、意識が疎かになりがちなのだ。

 

今までの一夏ならこんな調査なんてしなかっただろうが、情報を集めるだけ集めて戦うカズキやヤンの姿を見ていた一夏は段々と変わっていったのだ。

 

「貴様らぁ.....!」

 

視線をラウラに戻すと一夏を今までにない形相で睨みつけていた。

それを見ると一夏は瞬時加速で一気に距離を詰める。

 

「舐めるなぁ!」

 

「舐めてねぇよ!」

 

正面から来た一夏を避けるという選択肢はラウラにはなく、その攻撃をプラズマ手刀で受け止めようとする。

すると一夏は突如飛び上がる。

 

「同じ手をっ!」

 

先ほども見ていたため、後方にいるであろうシャルルを探す。

そこにはアサルトライフルを構えるシャルルがいた。

すぐにレールカノンを向けると、上から衝撃を受ける。

 

「ぐあっ⁉︎ 」

 

今度はシャルルが囮であり一夏が本命であった。

もう一撃を喰らわそうとする一夏にAISを発動させると今度は正面から衝撃が来た。

目線を向けるとそこにはアサルトライフルを発砲するシャルルがいた。

衝撃に耐つつ一夏をワイヤーブレードで弾き飛ばし、一夏に向けてレールカノンを発砲する。

 

ラウラはもはや冷静さを失っていた。

 

無傷で圧倒すると考えていた格下に二撃を加えられただけではなく、翻弄されている現状に混乱していた。

 

一夏はレールカノンをまともに食らい後ろへと飛んでいく。

それをカバーするかのようにシャルルは前進する。

手に持つのはアサルトライフルである。

 

ラウラは舌打ちしながらAICを使用しつつ回避行動に移る。

そんな中でもさらに距離を詰めてくるシャルルに対し、レールカノンで応射する。

 

距離が縮まるとワイヤブレードで捉えて自機の方へと引っ張る。

シャルルは急な衝撃に思わずアサルトライフルを落としてしまう。

 

「くっ⁉︎ 」

 

苦悶の声を上げながらこちらへと向かってくるシャルルに対して、少し落ち着きを取り戻してきたラウラはシャルルを叩き切らんとプラズマ手刀を構える。

 

そしてふと思った、あの男はどこだ?

 

その疑問が生まれ直後視界の端にその男が映った。

手にはアサルトライフルを持ちこちらに照準を向けている。

事前情報では奴の装備に遠距離武器などはなかったはずなのに。

....っ!

先ほどデュノアが落としたアサルトライフルを拾ったのか!

その考えに至ったラウラはシャルルを一旦離して一夏に向けてレールカノンを構える。

 

しかし、一夏は回避することも恐ることもなく発砲した。

それをAICでいなしつつレールカノンを発砲した瞬間、敵機接近のアラートがなる。

 

「なっ⁉︎ 瞬時加速(イグニッションブースト)っ⁉︎ 」

 

シャルルが瞬時加速(イグニッションブースト)にて急速に接近し懐に潜り込んできていたのだ。

 

「言ったでしょ?コレはタッグマッチなんだよ。」

 

そう言われるとラウラの腹部に何かがコツンと当たった感触がした。

直後、ラウラに凄まじい衝撃が襲い掛かる。

 

衝撃の正体はシャルルの乗るラファール・リヴァイブ・カスタムⅡの左腕シールド内に装備されているパイルバンカー、"灰色の鱗殻(グレー・スケール)"。

通称<盾殺し(シールド・ピアーズ)>である。

単純な攻撃力なら第二世代機最強とさえ言わしめた一撃をまともに受けたラウラは己の機体の残存SE(シールドエネルギー)を見て驚愕する。

もはや残りわずかとなったSE(シールドエネルギー)では負ける可能性が高い。

どこか冷静な自分の思考がそう判断していた。

 

「私が....負ける....?」

 

思わず溢れた言葉。

 

自分がそんな言葉を発したことに混乱した。

 

負ける?

こんな軟弱な男に?

格下と嘲笑っていた相手に?

 

ありえない。

 

負ける?

負けたら私はどうなる?

 

もういらないのか?

 

混乱状態に陥ったラウラの思考はぐるぐると回り続ける。

そんな中どこかで声が聞こえた。

ただ一言「勝ちたいか?」と。

 

ラウラの思考はすぐにその言葉に答えた。

 

"勝ちたい、勝たなければならない"

 

そう返すと視界は黒く染まっていき、こう聞こえた。

 

「織斑千冬のようになりたいと言うのであれば叶えてやろう。」

 

その言葉を最後にラウラの意識は暗闇に閉ざされていった。




タッグマッチトーナメントが始まりました。
そして最後にはラウラの意識がなくなりましたね。
一体何がっ...!? (すっとぼけ

今回は戦闘パートが長く少々苦労しました。
戦闘パートに関して何かアドバイスがあると助かります。
他にもご意見、御感想、こんなエピソードが見てみたい等あれば感想欄にて教えて下さい。(露骨な感想稼ぎ)。

アンケートを取っていた年表に関してですが書き出すと凝ってしまってなかなか纏まりません。
無論、優先は本章の方ですから年表のせいで更新が遅れることはあり得ないのでその点はご安心を。

それでは。
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