ソラを駆ける衛士   作:タリズマン

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はい、およそ1ヶ月お待たせしました。
ちゃうねん、データ容量気にせずYouTubeが見れる環境が悪いんや。
確かに佐賀とか千葉とか旅行して満喫してましたけど...。

.........本っ当にすみませんでしたっ!


第四十八話

土日を挟んで週明け、猛スピードで諸々の手続きと根回しを終わらせようやくシャルが女子として登校できる日が来た。

それに合わせるようにラウラも退院し復学するようだ。

まぁ、ラウラは検査入院がメインで怪我をしてるわけではないので入院期間がそんなに長くなかったと言うこともあるのだが。

 

ちなみにタッグマッチトーナメントはどうなったかと言うと、ラウラの件はあくまでも事故として処理されたものの危険が生じる可能性が残ってるため中止された。

とはいえ学生の大切な機会を失わせる訳にはいかないとして一回戦だけは全て行われた。

そのためタッグマッチ"トーナメント"では無くなってしまったのだが。

そんなことはどうでもいい。

 

現在、我がクラスの女子からは悲嘆に満ちた声が上がっていた。

 

「シャルル・デュノア改めシャルロット・デュノアです。色々事情があって男子として入学してきましたが本当は女の子です。改めてよろしくお願いします。」

 

他でもないフランスの貴公子と思われていた人物がまさかの姫君であったからだ。

 

「なんでぇええええ⁉︎ 」

「貴公子のふりをしていたボクっ子女子.....イケる。」

「帰ってきて。」

「まさか女子であったとは....この李白の目をもってしても...。」

「佳子、気をしっかり持って李白さんは帰してきて。」

「わァ......ァ....。」

「さめざめと泣かないで!ほら、ハンカチ。」

 

阿鼻叫喚の地獄絵図であった。

混乱のあまり李白になってる奴もいれば、ボクっ子でもイケるかもと気が触れ始めてる奴もいる。

挙句の果てに泣き出す奴までいる始末。

ひたすらツッコミを入れたり世話してる相川が哀れになる。

そんな中「えへへ。」と少し苦笑いしつつ頰をかいているシャル。

あざといな。

 

「おい!静かにしろ!」

 

そんな中、千冬の一喝が響く。

すると一気に教室は静まり返る。(泣いていた生徒は静かに泣き続けている)

流石は千冬。

そう思いつつ教壇に立つもう一つの小柄な影に目をやる。

そこには申し訳なさそうな顔をしつつ緊張が見て取れるラウラの姿があった。

 

「今までの無礼な態度を謝りたい。」

 

そう簡潔に言うと勢いよく頭を下げる。

その姿にクラスの皆は驚く。

 

「そ、それなら話しかけづらいなぁなんて思って関わろうとしなかった私たちだって悪いし...。」

「そうそう!」

「ほら、ボーデヴィッヒさんも頭あげてよ!」

 

驚くと同時にそんなラウラに慌てながら自分達にも非があるといった感じで頭を上げるように促す。

そんな中でも罪悪感が凄まじいのか未だに頭を下げ続けるラウラ。

 

「そんなに頭下げ続けるならこっちにも考えがあるよっ!」

 

そんなラウラに対して谷本が叫んだ。

何をするのだろうと目線をやると、谷本は勢いよく立ち上がり頭を下げた。

 

「色々と"うわぁ..."って感じで内心ドン引きしてました!ごめんなさい!」

 

谷本、それフォローとちゃう。

追撃や。

 

「私も正直、孤高って感じをひしひしと感じてて近寄る気なかったです!ごめんなさい。」

 

続けて夜竹が立ち上がると頭を下げて謝罪する。

しかしながら相変わらず謝ってる内容は酷いものである。

いや、もはやこれイジメでは?

ほらラウラが涙目になってきてるよ。

千冬も見てないで何とか言ったらどうだ。

 

そう思うも、周りの女子が次々と立ち上がると頭を下げ出す。

 

多分彼女たち的には互いに悪いよねって雰囲気に持ってこうとしてるのだろうが、内容は基本的に"ラウラが悪くね?"と思える内容であるためラウラにひたすら追い討ちを決めているようにしか見えない。

一夏やヤンもやや顔を引き攣らせて苦笑いを浮かべることしかできない。

この状況にどう突っ込んで収拾をつければいいのかわからないのだろう。

ちなみにオレも分からん。

 

「も、もうその辺でよろしいのではないでしょうか⁉︎ 」

 

流石に善意でフルボッコにされるラウラが哀れだったのだろうか、見るに見かねたセシリアが助け船を出す。

 

「そ、そうだね。お互い色々悪かったってことでいいじゃないか!ねぇ、カズキ!」

 

これをチャンスと感じたのかヤンはオレにパスを飛ばす。

 

「そ、そうだな。ほら、仲直りも兼ねて新たに増えたというか、女子になった奴と心を入れ替えた奴の2人を改めて歓迎しようや。な。」

 

少々早口になってしまった気がするが取り敢えずこれで場は落ち着く。

するとオレの言葉に何か思いついたのか谷本が目を輝かせる。

 

「そうだね!それなら、せっかくだし2人の歓迎会、改めてやろうよ!」

 

谷本はこう言った催しが好きらしいし、谷本ならではのアイディアなのだろう。

クラスからは"賛成"の声で溢れるなか、相川がボソッと呟いた。

 

「......お金なくない?」

 

どうするか、何をするかと声が大きくなっていたクラスが一瞬で静まり返った。

それもそのはず。

クラス代表が決定した時に祝賀会兼クラス会としてパーティを開いたのだが、結構パーっと使ってしまっているらしいのだ。

加えて結構仲の良いクラスである1組ではクラスメイト同士で女子会を開いていることもあるらしい。

そのため我がクラスは現在、基本金欠である。

 

そのことを理解するとクラスは一気にざわつく。

 

そんな有様に助け船を出したのはヤンだ。

 

「それなら僕達、成人組に任してよ。」

 

その声に皆がヤンの方を向く。

 

「僕達はしっかり給料貰ってるからそこそこお金あるしね。ねぇ、カズキ。」

 

「そうだな。それにせいぜい仕送りと酒ぐらいにしか金使わないから、幾らか余裕あるしな。それと....。」

 

オレがそういうとニヤッと笑みを浮かべながら視線を千冬に向ける。

千冬は嫌な予感を感じ取ったのか目を逸らした。

 

「織斑先生ぇ。アナタのとこの愛弟子がクラスに受け入れられようとしてるんですよぉ。少しは出してくれてもいいんじゃないですかぁ?」

 

わざとらしく語尾を伸ばしながら千冬にも金を出すように促す。

アイツの弟子に関することなのだから当然だろう。

逃れられないことを察したのか、はたまたラウラのためなら仕方ないと考えたのか、ため息を吐いた。

 

「........わかった。いいだろう。」

 

この言葉に一気に沸き立つクラス。

堅物の人間がこういった感じに甘くなるとその分、喜ばしく思えるのだろう。

 

「やったぁ!」

「持つべきものは理解ある担任だね!」

「これで解決したね!」

「そうと決まれば.....?」

 

「「「「「パーティーだぁ!」」」」」

 

 

とはいえ、2度も女子に囲まれながら行うパーティー(他クラスの女子も気付いたらいる)に参加するのはごめん被りたい。

同じ考えに至ったのであろうヤンが"せっかくだから女子だけでやるといい"と言ってくれて女子からのブーイングは多少あったものの、滅多にできないクラス全員での女子会という甘美な響きに釣られて、結局別れることになった。

 

「というわけで、こっちはこっちで楽しもうや。」

 

時間は放課後となりオレ、ヤン、一夏の三人は寮の屋上で、飲み物や菓子、テキトーに作ってたツマミ(一夏作)を囲んでいた。

 

「「「乾杯っ!」」」

 

オレとヤンはビールを、一夏はジュースであるがグラスをぶつけ合いそして一気に煽る。

各自シャワーを浴びた後に集まっている為、火照った体に冷えたビールの組み合わせができており最高だ。

そして一夏が用意してくれたツマミに手を伸ばす。

 

「うん、うまいっ!」

 

「ホント。一夏の作るものは美味しいね。」

 

一夏の作ってくれたツマミは厚揚げをピリ辛く煮たものやチーズや、野菜など様々なものを肉で巻いたものなど豊富な種類のものがあり飽きない。

そして何より美味い。

オレもヤンも思わず感嘆の声を上げ、忘れずにビールを流し込む。

 

「鈴の言う通り本当に美味そうに食うな。」

 

そんな様子を一夏は微笑みながら見てきた。

鈴から聞いていたようでどこか納得しているようだ。

 

「よく千冬にも作ってやってんのか?」

 

「ああ。千冬姉は基本的に家事が出来ないからメシ作るのは俺の仕事だったからな。」

 

こんなに上手く作れてポンポンとツマミを作れるのは普段から作ってるからだろうと尋ねると、微笑みを浮かべられ圧倒的母性を一夏に見せつけられる。

金稼いでるとはいえ、千冬さんさぁ.....。

こんな弟がいるのに生活力皆無の汚部屋を築き上げちまうんだよ....。

 

内心で千冬に呆れつつも宴は続く。

一夏の千冬に関する愚痴やオレたちの愚痴、色恋沙汰など色々と話題には事欠かなかった。

そんな中、ふとヤンが溢した。

 

「そう言えば一夏。」

 

「ん?」

 

「昨晩は大浴場使えたろ?僕たちは仕事があったせいで入れなかったからさどうだったかなと思ってさ。」

 

ヤンがそう尋ねるとなんだか一夏が目を泳がせ始めた。

オレたち2人は何があったのかと訝しむ。

だが男風呂でオレたちがおらず貸切状態である以上、そんな焦りを見せるようなことなど起こるはずもない。

 

......いや、待てよ。

 

「ヤン、ひょっとして...。」

 

「僕もちょっと思ったんだけどさ....。」

 

どうやらヤンもオレと同じ考えに至ったらしい。

オレとヤンは頷き合い、一夏を見つめる。

 

「な、なんだよ?」

 

「いや、お前ひょっとして....。」

 

 

 

 

「一夏と風呂に入ったぁ⁉︎ 」

 

「ちょっと!声が大きいよっ!」

 

パーティ会場として使わせてもらってる食堂に箒の素っ頓狂な声が響く。

まぁ響くと言っても周りの喧騒が大きくかき消されていたが。

 

「と、殿方と一緒に入浴なされるなんて....破廉恥すぎますわ!」

 

「セシリアも声が大きいってばぁ!」

 

顔を真っ赤にしてそう非難するのはセシリアである。

周りにいた本音は顔を赤くして口をパクパクさせ、鈴と清香は頬を赤くさせながらもその大胆さに驚きを隠せないでいた。

 

こうなった理由は男衆と同じで昨日の風呂に関して"ようやく入れたんだな“という風呂好きな箒ならではの言葉に対し、多いに目を泳がせてしまったシャルに起因している。

無論、その話に参加していた箒、セシリア、鈴、本音、清香は訝しみ追求をすると一夏の入っている大浴場に突入して一緒に入ったことを自供したのだ。

 

「まぁ、あの朴念仁を振り向かせるにはそれぐらいやったほうがいいのかもしれないけど...。」

 

「大胆すぎるよね。」

 

そんなシャルに鈴と清香は呆れ半分感心半分といった具合に嘆息する。

ちなみに本音は顔を赤くして"はわわわわわわわ"と混乱から帰ってきていない。

 

「ボクだってそんな気はなかったんだけど一夏が入ってるのに気付かずに入っちゃったんだってば!」

 

シャルは顔を赤く染めながら必死に弁明するが、鈴と清香からは白い目線を向けられ、セシリアと箒からは追及を受ける。

 

「なら回れ右して出ればいいだけでしょうっ!」

 

「仕方ないでしょ!混乱しちゃったんだから!」

 

「混乱してその道に行くのは....その....ムッツリだったのだな。」

 

「うっ⁉︎ 」

 

セシリアの追撃と箒からのムッツリ判定を喰らい流石にダメージが大きかったのかシャルは崩れ落ちた。

 

「ボクムッツリじゃ無いもん...。」

 

結構しっかりとダメージを受けたシャルであったが、追撃は続く。

 

「ムッツリでしょ。」

「いや、行動起こしてるからもはやムッツリではなくただのスケベでは無いのですか?」

「それもそうだな。」

「3人とももうやめてあげなよっ!」

 

各々の皿にあるものを摘みながら追撃を加える3人に思わず清香は止めに入る。

そして本音にも何にかいってもらおうと後ろを向くと、

 

「こ、混浴....気付かないフリしていけば....いやいや、ダメだよそんなの...。」

 

頬を染めながら完全にポンコツと化した本音の姿があった。

そうムッツリは別のところにいたのである。

役に立つのが誰もいない...!

思わず内心でボヤくが眼前の地獄はどうにもならない。

もう考えることを半ば放棄していると不意に声をかけられた。

 

「一体何をしているのだ?」

 

後ろを振り向くと小柄で美しい銀髪の少女がいた。

そうラウラである。

 

「ボーデヴィッヒさん...!」

 

清香はようやく少しはまともな人が来たという事実に感動しつつも何とか気を取り直す。

視界の端にある混沌はあえて無視してラウラに全て話す。

話し終えるとラウラは真面目な顔で"なるほど"と呟く。

 

「そのぐらいやるものでは無いのか?」

 

マトモだと思ってた人間からの思わぬ裏切りに打ちひしがれるが清香は諦めない。

 

「いやいや!やらないよ!」

 

ラウラの言葉を否定するも首を傾げながらラウラは続けた。

 

「私は恋というものがよく分からないからなんとも言えんが、要するに愛している相手にアピールをしたいのだろう?それならばそれぐらいするものでは無いのか?」

 

眼前にいる少女の明後日の方向に吹き飛んでしまっている羞恥心と倫理観に関して、小一時間問い詰めたいところだが清香はそれをグッと堪える。

しかしラウラの口は止まらない。

 

「私の副官が言っていたぞ。男を捕まえるのに一番手っ取り早いのは既成事実を作ってしまうことだと。」

 

急にブッ込まれた発言に固まっていると、ラウラがコチラを覗き込むように見つめ首を傾げる。

すると何か合点がいったように頷くと再び口を開いた。

 

「ここは女子校みたいなものだし分からんか。....要はセッ「言わなくていいからっ!」そ、そうか?」

 

既成事実という言葉を理解できていないと誤解したのか、どストレートにとんでもないことを口走りかけたので慌てて遮る。

何教えてんだよその副官、とまだ見ぬ副官に呪詛を飛ばしつつラウラの肩に手を乗せて目線を合わせる。

 

「いい、ボーデヴィッヒさん。そういう事は普通は堂々というものでも無いし、手っ取り早いかもしれないけどそれは捕まえることに関してだけであって恋愛とかでは無いからね!わかった⁉︎ 」

 

「あ、ああ。わかった。」

 

そのおかしな倫理観を少しでも修正すべく発言と意識に関して注意する。

ラウラは清香の想像以上に素直に頷いた。

 

「それと!その副官さんの言うことを全部鵜呑みにしないこと!」

 

「だ、だがクラリッサは優秀な副官で私の姉のような存在でな...。」

 

それと、おかしな知識を思った以上に純粋なこの少女に教え込んだ副官に関しても注意を促す。

が、ラウラからの信頼度が高いらしく今回は素直に頷く少し言い淀む。

 

「わかった⁉︎ 」

 

「わ、わかった。」

 

さらにずいっと顔を近づけながら圧をかけると少したじろぎながらも頷いた。

ホッと一安心し、すっかり忘れていた5人の方を向くと、顔を赤くしていた。

 

「既成事実....いや、そんなもの一夏に効くわけ...。」

「既成事実ということは...つまり...。」

「カズキと....セッ......。」

「ボクと一夏で...っ〜〜〜〜〜〜⁉︎ 」

「やっくんと....?きゅう....。」

 

全員が頬を赤く染め悶えているという、先ほどとは方向性の違うカオスが生まれていた。

なんなら1人どんな妄想をしてしまったのか分からないが意識失って倒れてる。

 

清香はその状況をもう無視して、眼前のラウラに抱きついて頬擦りをして癒しを求めるのであった。

そうして疲れ切った声で一言をこぼした。

 

"もうやだ"

 

その疲れ切った声によく分からないが哀れみの感情が溢れてきたラウラは清香の頭をそっと撫でた。




1ヶ月以上、大変長らくお待たせしました。
詳しい言い訳は活動報告でやろうと思います。
本当にすみませんでした。

はい、というわけでこの第四十八話をもって本章は完結です。
次回から少し閑話を挟んだのちに臨海学校編に入ります。
次話は今回よりも早く投稿できると思いますのでごゆっくりお待ちください。
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