言い訳は後書きに記載しますがとりあえず一言。
大っ変お待たせしました。
申し訳ありませんでした。
IS学園の寮の前に腕時計で時間を確認しつつ人を待つ1人の男がいた。
ジーンズに白いTシャツ、その上から緑のシャツを羽織った赤毛の男。
「遅いなぁ...。」
ヤン•ウォーカーである。
約束の時間から10分ほど経っても姿を見せない2人に思いを馳せながらスマホを取り出す。
そこには「オシャレして行くから先に行ってて」と部屋を追い出されて以降既読すらつかないメッセージ画面があった。
オシャレに時間がかかっているのだろうし、仕方ないと思いスマホをしまう。
普段から天真爛漫な本音とクールな簪、この2人がどのような服装で来るのか考えながら時間を潰していると、寮の正面玄関の扉が開く。
視線を向けると簪と本音の2人がいた。
「やっくん、ごめ〜ん!」
そう言いながら駆け足でこちらに来る本音は、水色のスカートに首元がVカットで大きく開かれている白いノースリーブ。
胸元が広めなのでそのたわわな胸が強調されている。
一瞬胸に視線が行きかけたが慌てて隣に移す。
そこには本音の隣で息を整えている簪の姿があった。
簪はシンプルに白いワンピースでこちらもノースリーブで涼しげな装いだ。
肩を大きく出しており簪の白い素肌が大きく露出している。
「ヤン、遅れてごめん。」
2人揃って申し訳なさそうにしている。
「いいさ。レアな私服を見れたし役得ってことでね。」
そう言うと本音は照れたようにはにかみ、簪はジトっとした視線をヤンに向けてきた。
ヤンはそんな視線に気がつき、簪に問いかける。
「ん?どうかしたのかい?」
「....ヤンってそういうキザっぽいことすぐ言うよね。そうやってすぐ女の子を誑かしてるの?」
「してないよっ⁉︎ 」
あんまりな物言いにヤンは思わず食い気味に否定するも、肝心の簪は「ふーん。」というだけで疑惑の視線は変わってない。
更なる抗議の声を上げようとするヤンがあまりにも必死でそれが面白かったのか、はたまた最初から揶揄うつもりだったのか簪は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ま、ヤンが女たらしかどうかなんてどうでもいい事は置いといて...。」
「どうでも良くないよっ!」
そんな中、本音はかつてのいつも雰囲気が暗くイライラしていた簪がヤンを揶揄って笑っている様を見てとても嬉しい気持ちになる反面、危機感に襲われていた。
"このままではやっくんを取られてしまう"
それを防ぐ為には距離感を縮めねばならないと、空回りとヤケクソが混ざりながら本音は決めた。
今回のお出かけでアピールしよう、と。
♢
学園からモノレールに揺られ街に出てバスに乗り換えてレゾナンスへと向かった。
出発した時間も遅かったこともありまずは食事に向かった。
フードコートの方が色々揃ってていいかと考え向かったが、週末ということもありかなり混み合っていた為断念して回れ右をすることとなる。
本音は食べる方だが、あくまでも甘いものに目がないと言うだけで食事をガッツリと摂るわけではない。
簪に関しては前までゼリーやカロリーバーで食事を済ませていたことから分かる通り、元々少食である。
ヤンの場合は食べることには食べるがたいして動かなければ量はいらない。
以上のことから三人はうどん屋で手早く食事を済ませ目的の水着を買いに向かった。
水着屋に来る途中で喧嘩があったと言う話を聞き物騒なこともあるものだと話しながら水着屋に辿り着いた。
「うわぁ〜!」
水着屋に着くと目に映る色とりどりの水着を見て本音が歓喜の声を上げる。
レゾナンスの水着売り場に来たのは初めてのようで、考えた以上に種類が豊富で嬉しいのだろう。
簪は一見いつもと変わらないが心なしか目が輝いているように見える。
やはり女の子である以上、可愛らしいものは好きなのだろう。
ヤンはそんな2人を微笑ましげに眺めていた。
「それじゃ、選んできなよ。」
「うん。ヤンは待っててね。」
ヤンは2人を送り出した後に待つべく辺りを見渡す。
その言葉を聞いた簪はヤンに待っておくように伝えると店の中に入って行こうとする。
そんな2人の腕にそれぞれ手が伸びる。
「ん?」
「え?」
何事かと思い腕が伸びた方向を見ると頬をぷっくりと膨らませる本音がいた。
「どうしたの本音?」
不思議そうに簪が尋ねると、呆れたような目を向けてくる。
そんな本音に困惑していると本音が口を開いた。
「ここまで来たら普通はやっくんに選んでもらったり、試着を見てもらって感想もらったりするところじゃないのかな?」
拗ねたようにそう言う本音に2人は困惑する。
確かに恋人同士のデートならそう言うこともあるかもしれない。
が、ここにいる異性との関係性はあくまでも友人関係。
"普通"と言うなら待つのが正解であると2人は考えていた。
それに加えて簪は"それなら自分を巻き込むのではなく単独で行けやヘタレめ"と辛辣な考えが胸中をよぎった。
「む〜〜〜......」
とはいえ幼馴染であり長い付き合いの簪だからこそわかった。
こうも唸り声をあげるほどの状態になった本音は梃子でも動かないと。
「はぁ....。ヤン。」
「.......嫌な予感がするけど一応聞こうか。」
諦めた簪はヤンに声をかける。
対するヤンは声をかけられたことに嫌な予感をひしひしと感じつつも聞く体勢を整える。
正直、耳を塞ぎたいがそうもいかない。
「一緒に来て。」
「.......だよねぇ。」
話の流れからそうくることをなんとなく察していたヤンは、思わず出てきそうになるため息を堪え声を絞り出す。
本音は簪の言葉に嬉しそうに顔を明るくさせ、期待の眼差しをヤンに向ける。
そんな眼差しを横目で確認すると、断ると言う選択肢は最早ヤンに残されてはいなかった。
「わかったよ。....僕も着いていくよ。」
そう言うと本音は嬉しさと喜びによりだらしなく口元を緩め笑った。
そして簪とヤンの2人の手を引きそのまま店内へと消えていった。
店内に入り真っ直ぐビキニのコーナーへと向かう。
シンプルなデザインのものからフリルのついたもの、ハイレグの大胆なものなど多種多様なものがあった。
「それじゃあ、とりあえず何着か見繕ってくるね。」
そう言うと簪はいたって冷静を装いながら、それらの中から自分に合うものを選び始めた。
年頃の女子が仲の良いとはいえ、男性が見てる中そういったものを探すのにはやはり抵抗と羞恥心があるのだろう。
とはいえ探し始めなければ不自然だし、離れてしまうと本音が自分以上の羞恥で死にかねないと理解していた為に離れることもできなかった。
「ど、どうしよっかなー。」
簪がチラリと横目で自分の親友を見ると、改めてこの状況に対して恥ずかしさが出てきたのか顔を赤くさせながら棒読みで何かのたまっていた。
なら最初から「海でのお楽しみ」みたいなこと言って後から見せればよかったのになどと恋愛弱者に内心呆れ返った。
一方で件の恋愛弱者はと言うと。
「(ど、どうしよ〜〜〜〜っ⁉︎)」
ノリと勢いで連れ込んだは良いものの、何も考えずにこの状況を作り上げてしまった為焦りまくっていた。
巻き返しを図るためにアピールしようと思ったけど、今更になって恥ずかしくなってきちゃったのだ。
「それで、本音はどういったものを着るつもりなの?」
「うひゃあっ⁉︎ 」
そんな焦りまくってる状況の中、ヤンが耳元に顔を寄せて尋ねてきた。
思いもしない位置からの声に本音は思わず声をあげて肩を跳ねさせる。
「そんなに驚かなくたっていいだろう。」
そんな本音に驚きながらも若干いじけたように言うヤン。
「いや、それは、その〜。」
まさか驚いた理由を馬鹿正直に言うわけにもいかずしどろもどろしているとスッと助け船が来た。
「.....これ、本音に似合うんじゃない?試着してくれば。」
「かんちゃん...っ!」
数着の水着を持った簪がヤンと本音の間に割って入るように来た。
これ幸いと簪に飛びつき水着を受け取る本音。
その水着の構成など見ることなく試着室に向かう。
「ほら、ヤンも。」
「え?僕もかい?」
「当たり前でしょ。ここで着いていかないなら何のために来たかわからないでしょ。」
「.......それもそうだね。」
「私も水着を決めたらそっちに向かうわ。」
「了解。それじゃ先に向かってるよ。」
ヤンはそう言うと本音の後を追い、更衣室へと向かった。
その後ろ姿を見送ると、簪は二人して世話が掛かるとため息を一つ溢し水着を選び出した。
♢
そんな中、水着を片手に飛び込んだ本音は水着のラインナップを見て頭を抱えていた。
まず1枚目、明らかに通常のビキニに比べて布面積が小さい白いビキニ。
あえて言うなら絶対に守らなければならない場所しか守れてない。
守備力が最低値に限りなく低い代物だった。
「助けてやるか、みたいな表情してこんなもの渡してくるかんちゃんの情緒大丈夫かな...。」
思わず親友のことが心配になるような代物だった。
続いて二着目、こちらも白いビキニだがトップスは普通のビキニだ。
さっきのは自分を動揺させるためのネタだったのか、と納得してアンダーに目をやると思わず天井を見上げた。
ただのビキニではなく、そこにあったのはハイレグの水着。
なぜここまで際どいものを渡してくるのだろうか?
ひょっとしたら彼女から、自分は痴女とでも思われているのかと割と本気で心配になってきた。
そして三着目。
目にした瞬間本音は思わず膝から崩れ落ちた。
そこにあったのは一枚の水着。
そう、上下に分かれていないのである。
これだけ聞くと競泳水着のようなタイプを思い浮かべるかもしれないが、そんな生易しいものではなかった。
そこにあるのは見事なV字型の水着。
そうV字型である。
グラビアか海外のえっろいセクシー美女しか着なさそうな、大胆に胸元が開いている代物である。
それを見て本音は決意した、「買い物が終わったらかんちゃんと話をしよう」と。
そして最後。
唾を呑み込み、覚悟を決めて最後の水着を見た。
しかしそこにあったのは拍子抜けするような代物だった。
胸元がリングで止められているせいで谷間が見えてしまうのは少し恥ずかしいが、チューブトップのようなタイプのものでない限りそこが見えてしまうの仕方がないため許容できる。
アンダーに関しても、サイドを紐で結ぶタイプではなく普通に履くタイプのものだ。
布面積もちゃんとあるし、鼠蹊部の角度も問題はない。
他のものは断固として却下だが、この最後の水着ならと思い試着し始めた。
♢
一方で試着室付近に着いたヤンは、本音のサンダルを見つけいる場所にあたりをつけ前にあるベンチに腰掛けていた。
声を掛けようかとも考えたが、試着室の中からハンガーかける音と衣擦れの音がしたため着替えているのだと察して待っていることにしたのだ。
そうして本音を待っていると、彼女が出てくるよりも先に簪が水着片手にやってきた。
「あれ?本音はまだ出てきてないの?」
「そうだね。衣擦れの音が聞こえたから着替えているんだと思うけど。」
ヤンがそう言うと簪の視線が急に冷たくなった。
「女の子が着替えてる中、耳を澄ませてたのね。.....スケベ。」
唐突に罪を着せられたヤンは腰を浮かせながら慌てて弁明しようとするが、簪がクスッと小さく笑うと揶揄われてることに気がつきため息を吐くと椅子に座り直した。
「冗談だよ。本音の様子見てくるからちょっと待ってて。」
簪はそう言うと試着室のカーテンの隙間に顔を突っ込んだ。
急なことに驚いていたが、そんな僕の状態を知ってか知らずか何か本音と話しているようだ。
若干揉めているようだったが少し経つと、顔をカーテンから引っこ抜いた簪がため息を吐きながら隣の試着室へと消えた。
(どうしたのだろうか...?)
試着室に消える前の本音の様子を見る限りだと、水着を見せるのが今更になって恥ずかしくなったのだろう。
女心というのは難しい物だと再認識しつつ、手遊びをしながら時間を潰す。
すると、ふと付き合う前のリーナと出かけたときのことを思い出す。
あの時はロンドン防衛戦が終わった直後で休暇を与えられた時だ。
水着ではないが、あの時は物欲しそうに綺麗な白のワンピースを眺めていたリーナの手を引き店に入って試着させたのだ。
口では「気にしないで。」なんて言うくせに後ろ髪を引かれるようにチラチラと視線を送っていたので、思わず手を引いたのだ。
試着すると美しい銀髪と美しいスタイルによく似合っており、僕も店員さんも大絶賛だったのだがすぐに元の軍服姿に戻ってしまった。
後から聞くと「自分には似合わないと思ったし何より異性にそんな姿を見せるのが恥ずかしかった。」とのことだ。
思えば本音もそんな感じなんじゃないだろうか。
自信が持てないとかそういうことではなく、異性との交友自体少なく抵抗があるのではないだろうか。
それならばそれを克服する第一歩じゃないか。
なら、僕はその手助けをしよう。
若干空回りしているような気もするが、ともかくもヤンは一つ決心すると立ち上がり本音のいる試着室へと向かう。
「本音。」
「うへっ⁉︎ ...ど、どうしたのやっくん?」
ヤンが本音に声をかけると中から何やら変な声が聞こえたが、気を取り直した彼女から返事が返ってくる。
「いや、試着が終わったかと思ってね。僕の意見を聞くために連れてきたんだろう?見ないと意見のしようもないからね。」
「........。」
本音としても自分が連れてきてしまったし、かつ想い人に見せたいという気持ちもあるが、どちらかというとヘタレである本音には恥ずかしさの方が先行してしまい、自分の姿をヤンに見せることを躊躇ってしまう。
ヤンはヤンで流石にカーテンを開けるわけにもいかず、どうするか悩んでいた。
すると隣の試着室のカーテンが勢いよく開かれる。
驚いたヤンがそちらを向くとフリルのついた黒いビキニに身を包んだ簪がいた。
黒いビキニに普段外に出ない事から色白な素肌が強調されている。
そんな簪だが、やはり異性に見せるのは恥ずかしいのか頬を染めている。
「........どう、かな?」
簪は普段はクールでありヤンに対しては呆れ顔やジトっとした視線を向けてくることが多い。
その簪が恥ずかしそうに自分の腕を掴んで隠そうとしつつも見せるために出てきたので隠し切っていないうえ、モジモジと身をくねらせている。
あまりにも初々しいその姿に思わずヤンは固まってしまう。
「.............!よく似合ってるよ。」
再起動に若干の時間をかけつつ、ようやく出てきた感想はありきたりな台詞でなんともいえない雰囲気が漂う。
しかしそれを断ち切るかのように簪が隣の本音に語りかける。
「わ、私は見せたんだから本音も見せてあげなよ。」
そう呼びかれた本音はついに覚悟を決めた。
というよりここまでチキンになっておきながら先を越されてしまった悔しさからの意地である。
「むぅ〜〜〜......っ!」
若干のための後にシャッと勢いよくカーテンを開く。
顔を真っ赤にしながら立つ本音にいつものホワホワとした笑みはなく緊張に固まった表情を浮かべていた。
その姿に今までの気まずさはなく、ヤンと簪は思わず笑ってしまう。
「ちょっと笑う事ないじゃん!....そんなに似合ってないの?」
笑われたことに抗議の声を上げるがその後に不安になった本音の顔を見てヤンと簪は慌てて止める。
「そんなことないさ。....よく似合ってるよ。」
「やっぱり私の見立てに間違いはなかったよ。.....にしても久しぶりに見たけど大きく育ちすぎでしょ。」
視線が一瞬胸にいきつつもありきたりな台詞しか出てこないヤンであったが、簪は自分の見立てによほど自信があったのか自信げに鼻を鳴らす。
その後に自分の胸に手を当て黒いオーラを出しながら何か呟いたが。
そんな二人の視線の行き先に気がついた本音はカーテンを勢いよく閉じてしまう。
「あ.....。」
ヤンはすぐに閉じられてしまったことに若干の残念さを覚えつつ声を上げてしまった。
その声をバッチリ聞いた簪はジロッといつものようにヤンに視線を向ける。
視線に気がついたヤンは彼女の方を向くと一言。
「大丈夫。まだ成長期でしょ。」
瞬間、視認できないほどの速度で平手が飛んできた。
「今のは自分が悪いな」と甘んじて凄まじいスピードの一撃を頰にもらった。
なお、平手により鳴り響いた凄まじい音に着替えていた本音が「ぴゃっ⁉︎ 」という可愛らしい悲鳴をあげたのは全くの余談である。
いかがでしたでしょうか。
書いていて思ったのですが本音を少しめんどくさい子にしすぎちゃったかなと思い悩んでおります。
そんなことより遅すぎんだろと言われるでしょうが少し言い訳をさせていただきたい。
まず、先日というにはだいぶ前ですが祖父が亡くなりましてそちらの遺品整理等の手伝い、なにぶん親戚の中では数少ない男手ですので動員されていました。
加えて何より仕事です。
仕事が終わればほぼ寝る時間しかない上に海外でしたので書く気力も体力も時間もありませんでした。
じゃあ休暇中はどうなんだよという話ですが.....その、仕事のストレスを糧にルビコン3で独立傭兵をしてしまっていまして.....はい、申し訳ありません。
というか最近言い訳してばっかだな....。
そんな感じですが最近少し仕事が楽になってきましたのでその間だけでも投稿ペースを向上させるつもりではあります。
この調子だと完結までにどれだけ時間がかかるのかわかったものではありませんし...。
とりあえず間章はここまでで次話からは本編に戻りますのでお待ちいただけると幸いです。
それでは。