いやマジで一月一話ペースだといつ完結すんだよって感じなのでこの調子でやっていきたいです。
あ、それと今回は下ネタを多分に含んでおります。
ご注意ください。
束やディーダたちの登場で場は混沌となり、かなりの騒動となってしまったが落ち着きを取り戻した。
「あの噂ってやっぱり…。」となにやら悪いうわさが再燃してしまっている気もするが、カズキはあえてそれを無視した。
ディーダたちはその後、かわいい物好きな少女たちに囲まれ、“優しいお姉さん”がたくさんできることとなった。
束は千冬と何やら話し込んで旧交を温めていたが、気づけばビーチで遊ぶ自由時間は終わりをつげ旅館に戻り、夕食と相成った。
とはいえ特筆して言うこともなく、平穏(とある英国人がわさびを丸々口に放り込み悶絶したこと以外)に終わったし、しいて挙げるとしてもうまい肴があるにもかかわらず酒が飲めなかったことが不満だったことぐらいしかないので割愛する。
♢
「あぁ、旨かったなぁ…。」
一夏は湯船につかりながら先ほど食べた夕食を思い起こす。
カズキもつられて先ほど食べて夕食を思い起こす。
天ぷらもさることながら、鯛やマグロの刺身が絶品で日本酒を口が求めてしまい、得も言われぬ渇きを覚えていた。
「日本酒が欲しかったな…。」
ついぽろっと溢してしまう。
昔では考えられない台詞に我ながら贅沢になってしまったと、自嘲する。
昔、つまりかつて戦っていた世界では日本酒は超高級品であり、政界の重鎮や武家の重鎮ぐらいしか手に入れることができないという話を聞いたことがある。
…なぜか香月副指令は持っていたが。
オルタネイティブ4の責任者ということもありどこかから手に入れてきたのだろう。
自分たちは合成のアルコールを常飲していたため、一度隊長と日本酒をご相伴に預かったときは心の底から感動してしまい、それ以来あのクソまずい合成酒を飲めなくなってしまったのは笑える話だが。
なんて昔のことを思い返していると同じく湯船につかっているヤンが呆れたように視線を送っていた。
「なんだよ?」
「アルコールの虜になってしまった我らが隊長に呆れてるだけさ。」
「あのなぁ、酒は紀元前からの…」
「『人類の友なのだからその友を手放すことなんてオレにはできない』、聞き飽きたよその台詞。」
呆れたようにため息をつく。
そんな中、空気を読んだのか読めてないのか、一夏がふと思い出したように声を上げた。
「そういえば露天風呂もあるみたいだから行ってみようぜ。」
この旅館には素晴らしいことにてんねんおんせんであり、かつ内湯だけではなく露天風呂までついているのだ。
「いいね、露天風呂なんて初めてだ。」
露天風呂という部分に反応してヤンが賛成する。
心なしか目が輝いている二人に少し呆れながらカズキも同意し、露天風呂に向かう。
「うわぁ…。」
外に出て感嘆の言葉を漏らしたのは、ヤンだった。
そこに広がっていたのは岩石を多用して作られた露天風呂でありオランダ出身のヤンからしたら、部屋の畳にも興奮していたことだしこれ以上なく日本を感じられる光景だったのだろう。
改めて湯船につかる。
夏ということもあり体は冷えていないが、全身から感じる温かいお湯がこれ以上なく気持ちよかった。
三人して顔が緩み切っていた。
そんな中ふと一夏がヤンのとある一点を凝視していることに気が付いた。
「どうした一夏?」
「いや、やっぱデカいなって思ってさ。」
そこでナニを意味しているのか気が付きいやらしくを浮かべた。
「多感な時期だから気になっちまうか。」
「い、いやそういうわけじゃねぇけど⁉…けどさ、西洋人のサイズはデカいとはとは聞いてたけど改めてみるとやっぱデカいなって。」
「君たちは人のモノ見て何を話してるのさ…。」
呆れたようにヤンがツッコミをいれる。
思えばこの時点で話を変えていればよかったのだが、温泉に頭が緩み切っていたのか三人の頭からはあることがすっぽ抜けていた。
柵を隔てた向こう側がどこなのかを。
♢
『それを言うなら君たちだって中々に良いモノを持ってるじゃないか。』
誰かのつばを飲む声が“女湯”に響く。
気が付いたのは偶然だった。
みんなで露天風呂に入っていた時に女湯は女湯で猥談というかパイ談で盛り上がっていたのだが、ちょうど話が途切れたタイミングで向かいの男湯から扉を開ける音とヤンの感嘆の声が聞こえたのだ。
すると女子たちはまるで口裏を合わせたかのように全員が口を閉ざした。
恋バナでも始まらないかと期待していると、“デカい”とか“ナニ”とかいう単語が聞こえてきた。
最初は何か理解できなかったが、思春期の女子たちは察しの良い者から続々と気が付いて顔を赤くしていった。
しかしながらそれでも聞き耳を立てることは誰一人として辞めようとはしなった。
『そうか?…それなら全員起立』
『え?』
『まぁいいけど。』
柵の向こう側から湯船から立ち上がった水音が響く。
『やっぱヤンのはデカいな。』
『とはいえ結局重要なのは勃った時じゃない?』
“たつ”って何が⁉
思わず声を上げそうになるが必死に抑える。
『確かに一理あるな』
『測ったことは?』
何人かは既にいろんな意味でのぼせてしまったようで涼む用のベンチや床で倒れ伏している。
『…一応ある。』
『面白半分に測ったことならあるよ。』
『つまり全員わかってるってことだな。』
どこかから思わず生唾を飲み込む音が聞こえる。
というかカズキはいざ知らず一夏もヤンも測ったことあるんだ。
鈴は内心でそうひとりごちると、チラッと簪と清香を見る。
簪は呆れたような表情をしながらもしっかりと聞き耳を立てており、清香は対照的に顔を真っ赤にさせながら口元を手で押さえていた。
そんな二人の姿を見るとなんだか落ち着いてきた。
『せーので言うのもなんかアレだしな。順繰りで言うか。』
『どういう順番?』
『ヤンはメインディッシュだから最後として、オレか一夏か。』
『それなら俺からでいいか。この中では一番小さいと思うし。』
「いいぞぉ」なんていう軽い返事が聞こえると一夏が大げさに咳払いをした。
それを合図に
『俺はギリ14cmいかないぐらいだな。』
『日本人平均よりデカいぐらいか。』
『そう考えると普通にいいサイズじゃないのかい?』
とうとう具体的な数値が出てきてしまった。
14cmというと普段使う定規よりも小さいぐらいであり、簡単に想像がついてしまう。
今は何でもないただの友人だが、改めて一夏も男なのだと再認識させられる。
男どもは軽い冗談でも吐くように口に出しているが、そんな生々しい情報を聞いたこっちは気が気でない。
圧の強まっていた三人組のほうを見ると、箒は顔を真っ赤に染めてうつむいている。
純朴な反応である。
対する欧州の金髪二人組は小さな声で「14cm…。」とつぶやら手を下腹部に当てながら顔を真っ赤にしていた。
もはや隠してもいないスケベな二人を一瞥すると、耳を澄ませる。
順番的にはカズキの番だ。
『じゃあ次はオレだな。』
来た!
清香も顔を真っ赤にしながらも聞き逃すまいと耳を澄ませた。
あちら側では「待ってました!」などと合いの手を入れているが、こちらは心臓をバクバクと脈動させていた。
ひょっとしたら周りに、なんならあちら側に聞こえているのではないかと思えてしまう。
『オレは16より少しデカいぐらいだ。』
『おぉ、デカいな。』
16超え⁉
まさかまさかの定規を超えてきた⁉
一夏の感嘆の声が聞こえるが、そんなの気にしている暇はなかった。
それはすぐ傍にいた清香も同じようで口をパクパクとさせやがてパタッと倒れてしまった。
慌てて清香を支えゆっくりと寝かせる。
そこではたと思い起こす。
一夏は日本人標準サイズということらしいのでまだわかるが、それよりも大きいカズキがデカいと明言していた。
それもしなびている状態を見ての発言だ。
もし、元気になったらどんな化け物急なサイズになるのか想像もつかない。
それに気が付いたのか簪からつば飲み込んだのどの音が聞こえた。
そしてついに来た。
『それではウォーカー先生、発表お願いします。』
何やらかしこまったカズキのしゃべり方にイラっとしたが、それよりも気になる事があるので耳を澄ます。
『僕のサイズはね、19だ。』
ひゅっ、と隣で息を吸う声が聞こえた。
奥に見える本音は数値を聞いた数秒後に死んだ。
絶句したのだ。
『デッッッッカ!!!!』
『バケモンかよ…。』
『わざわざ聞き出しておいてドン引きするのはひどくない?』
一夏の驚愕した声とカズキの若干引いている声が聞こえた。
やはり同性からしてもデカいんだと、なにやら意味の分からない安ど感を覚えた。
『でも、やっぱり俺が一番小さいのか。』
そう一夏の気落ちした声が聞こえた。
『安心しろよ一夏。重要なのはブツのデカさじゃない…テクニックだ。』
思わずツッコミそうになった。
励ますにしてもそこじゃないだろう。
なんと言うか…こう、なんかあるだろう。
『テク…ニック…?』
一夏も一夏で何やら衝撃を受けたような声を上げていた。
鈴と簪は心の底から思った「頼むからヤン、そこの馬鹿二人を止めてくれ」と。
『そう、テクニックさ。』
頭を抱えた。
止めるどころかなんだか乗り気なまである。
その後しばらく男側の猥談は続き、“焦らし”だの“相手に感じるところをしっかり探して”だのと具体的で生々しさあふれる言葉が聞こえてきた。
簪と鈴は二人して静かに誓い合った。
“理不尽だとはわかっているが一発ひっぱたこう”
♢
男しかいなったこともあり、久々の猥談は大いに盛り上がり楽しく心地の良いひと時を過ごした。
この後どうするかを話しながら部屋に向かっていると、顔を赤くしている女子学生とすれ違った。
長風呂でのぼせてしまったのかとも思ったがどうやら違うらしい。
そのことに気が付いたのは簪と鈴の二人と出くわした時である。
顔を赤くしている女子たちに気が付き訝しんでいると、二人に出会い何かあったのかと聞こうとした。
すると二人して顔を赤くしながら流れるように鈴はオレに、簪はヤンに腰の入ったすばらしいボディブローを繰り出した。
唖然としていた一夏は二人からボディブローを食らった。
文句の一つでも行ってやろうと顔を上げたが、その後飛び出してきた言葉で文句はどこかへと吹き飛んでしまった。
「ああいう話はせめて部屋でやんなさいよっ!!!!」
そこでようやく思い出した、露天風呂の男湯と女湯は柵で遮られているだけだということを。
ヤンも何やら小言を言われているようだったが、我々男衆は丸聞こえであったことに大ダメージを食らった状態で二人が立ちさるのを見送った。
結局、意気消沈した状態で解散した。
「アッハッハッハ⁉」
「そんな笑うことはないだろ。」
隣で腹を抱えて笑っているのはラーノチカだ。
ラーノチカとは話すことがあったため風呂上りに会う約束をしていたので、意気消沈したままではあったが会いに来たのだ。
だが異様にテンションの低いオレを訝しんで聞いてきたのだ。
半ば頭が回っていなかったために全部ぺらぺらと喋ってしまったのだ。
「あー、笑った笑った。」
目じりに浮かんだ涙を指で拭うと、今までのふざけ切った表情が一変し真剣な表情に変わった。
オレも意識を真剣なものに切り替えた。
「オレを呼んだ目的は旧交を温めることでも、ましてや逢引のお誘いでもないんだろ。…本題は?」
そう問いかけると深く重いため息を吐き出し、話し出した。
「最近のうちの情勢は知ってるか?」
「いや、ひょっとして政変でも起きたか?」
「…。」
冗談めかして言うとラーノチカは苦虫を嚙み潰したような苦い表情になった。
「は?冗談だろ?」
思ってもなかった反応に冗談であってほしいという思いがあふれ出した。
しかし、彼女の表情は変わらなかった。
「クリミア危機は知ってるな。」
「そりゃあな。」
クリミア危機とは、ウクライナ領の黒海に面するクリミア半島で起きた紛争のことだ。
クリミア半島はロシア帝国時代からロシアにとっては重要拠点であり数少ない不凍港の一つであった。
しかしソ連崩壊後に独立したウクライナ共和国が領有した。
だがウクライナ系よりもロシア系住民が多く親露派が多い地域であった。
そして2016年2月、クリミアで発生していた反政府活動が過激化し、ついにはクリミア共和国を名乗り独立を宣言したのだ。
当然ウクライナはこれを鎮圧すべく軍を動員したのだが、それに対し戦車などで重武装したロシア義勇軍(ロシア正規軍)が参戦した。
思わぬ苦戦を強いられることとなったが、当時ポーランド陸軍の将軍であったブラスコヴィッチ少将が部下を引き連れ義勇軍として参戦し、辛くもウクライナ側が勝利した紛争である。
しかし、それと何の関係があるというのか。
「クリミア危機後、軍を贔屓していたスコルノヴィッチ大統領が暗殺され、開明派のニカノール大統領が政権に就いた。」
「それで?」
「焦るなよ。…スコルノヴィッチ大統領は大ロシア主義者で知られている人物だったし、軍も贔屓してくれるから軍としては都合がよかったし人気もあった。しかしニカノール大統領は大ロシア主義を否定し、軍の予算を削ったうえで経済を優先させた。結果的に冷遇を受けた軍は前々からこれを計画していたのだろう。」
「なるほどな。予算を削られ自分たちの信奉してきた思想が否定されたことで暴発した、ってことか。」
よくあることだ。
古くは古代ローマから似たようなことあった。
軍人とは平和を愛する者も多いがそれ以上に自分たちの持つ力を信奉し、得てして大義の名のもとにその力をふるう。
「そして二週間前、ニカノール大統領は自宅で拘束され以降所在が不明だ。所在は私の同志が現在調べているがあまり芳しくはないようだ。」
「なんだとっ⁉」
思わず声を上げてしまう。
そんな話聞いたこともなかった。
「FSBのパトリチェフ長官に情報を託され、私はモスクワを脱出した。」
「そしてアメリカまで何とかたどり着いたところで提督に会ったわけか。」
こくりと頷くと、懐からスキットルを取り出し口をつけた。
飲まなきゃやってられないのか、口を潤すためかは分からないがおそらくは前者だろう。
「それで結局のところお前はオレに何をしてほしいんだ?」
純粋な疑問を叩きつけるとラーノチカはいくばくかの逡巡ののちに答えた。
「…助けてくれと言ったら笑うか?」
おずおずとらしくもなく聞いてきた。
「アホか」
「そう、だよな。お前は国連軍の軍人で立場もある。…すまない馬鹿なことを聞いたな、忘れてくれ。」
そういい立ち去ろうとするアホの首根っこをひっつかむ。
「早とちりしてんじゃねぇよ。…らしくねぇけどさ、テメェにそんな顔されて“はい、忘れました”で済ませられる訳ないだろ。」
「だ、だがおまえにも立場が⁉」
「人の立場気にしてられる状態かよ。第一そんなこと気にするならオレにこんな話持ってくんじゃねぇ。」
「うっ…それは、そうだが…。」
しゅんと落ち込んだ表情を見せるラーノチカ。
そんな表情を眺めながら施行を巡らせる。
手を貸すと言ってしまったが、正直ノープランだ。
軍の大ロシア主義、長いから拡大派でいいか。
拡大派の連中が実権を握ったということはウクライナとの開戦は秒読みだろう。
だがウクライナはEUの準加盟国であり、東欧の大国(地域大国)であるポーランドとは安全保障条約を結んでいる。
仮にポーランドの本格介入があればNATOも腰を上げざるを得なくなる。
そうなってしまえば米露の全面戦争に発展してしまう。
それだけは防がなくてはならない。
しかし止めるにはどう考えてもニカノール大統領の身柄をこちらで確保する必要がある。
だが居場所すらもわかないとなると手立てがない。
「とりあえず手を貸すって言った以上手を考えておくから、今日はいったん休め。」
「休んでなどいられるか!」
ひとまず一旦解散して考えようと問題を棚上げし、休むように言ったがラーノチカはすぐにそれを拒否した。
いまだモスクワに実質的な軟禁状態になっているであろうFSBの仲間たちを思ってのことだろう。
自分だけが、という意識がどうしても湧いてくるのだろう。
何もできない自分に嫌気がさしているのか顔をゆがめていた。
その顔を両手で挟み込み、こちらを向かせる。
「気持ちはわかるが今は休め、長期任務だって経験してんだろ。休めるときに休むのは鉄則だろ。為すために今は休息をとっておけ。」
「…
しぶしぶといった感じで返事をしたラーノチカに一発デコピンをかますと、涙目で睨みつけてきたが無視すると踵を返して立ち去る。
米露開戦となれば確実にこの日本にも戦火が及ぶ。
「やらせるかよ…。」
戦争を知らずに生きてきたあいつらにわざわざ地獄を見せてやる必要などない。
あいつ等の笑顔を失わせてたまるか。
そう思うと自然に口から言葉がこぼれ出ていた。
とりあえずこっそり持ち込んでいる酒でも飲んで気分を少し晴らそう。
今の気分を示すかのような重い足で部屋に向かった。
いかがだったでしょうか。
下ネタに関してはその、シモの話で無邪気に盛り上がる男どもを書きたかったのもありますし、生々しい話でわちゃわちゃしてる女子を書きたかったからです。
顔真っ赤にしながらそういう話に耳を傾けちゃうのいいよね!(突然の性癖開示)
それとまじめな話ですが、今話において我々の世界の歴史との違いが垣間見えました。
簡単に言えばクリミア紛争は起きたもののウクライナ側の勝利で終わり、ロシア国内の反体制派によってロシア大統領(我々にとってのプーチン)が暗殺されてしまった感じです。
この状態における問題はいくつか存在しています。
まず、勝ってしまったがゆえにウクライナ側の危機感が欠如し、楽観論が蔓延してしまっていること。次に、暗殺後の選挙で勝ったとはいえ暗殺によって拡大派の前大統領が倒れたことで、同情論と仇討ちに燃えている勢力が存在していることです。
これらの問題は後々の世界を大きく動かしていきますが、それはもう少し後の話となります。