双子の妹がキャンプにハマりました   作:トロホルモン

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 ルーキーランキングに載りました。ありがとうございます。
 オリジナルストーリーになります。あの子が登場します。


第3話

 

 なでしこ行方不明事件の翌日。

 朝ご飯を食べ終えた俺は母から明日から学校だから新しい制服を一度着ておきなさいと言われて、一度自分の部屋に戻ってから制服に着替えてみた。

 

「こっちの学校の制服もブレザーか」

 

 俺は制服を着ながらボソッと呟いた。この間まで通っていた浜松の学校でもこれと同じブレザーの制服だった。そう言えば最近は学ランをあまり見ないよな。

 制服は少し大きめだったけどそこまで気にする必要はない。他におかしな所は無さそうだったから大丈夫そうだな。教科書と学校指定の鞄は昨日届いていたみたいで、さっき母さんに渡された。取り敢えず時間割通りの教科書や筆記用具などを鞄に入れて明日の学校の準備も出来た。さてと、着替え直した後はランニングにでも行こうかな。

 

「お兄ちゃん助けてー!」

「嫌だ」

「話を聞いてから断ってよー!」

 

 突然ノックもせずに妹のなでしこが俺の部屋に勢いよく入ってきた。

 

「それで、何のよう?」

「荷解きが全然終わんないから手伝ってー!」

「昨日も助けただろ。姉ちゃんに頼めよ」

「お姉ちゃんにお願いしたら怖い顔をして断られて」

「それで俺の部屋に来たのかよ。自分一人でやろうとは思わないのか?」

「やったけど全然進まない、助けて!」

 

 なでしこは必死にお願いしてきた。俺はふと考えた。もしも俺がここでなでしこの荷物の荷解きを手伝わずそのまま終わらなかったら、またなでしこは俺の部屋に泊まろうとして来るだろう。そしてまた布団を取られてしまう……。今回は風邪をひくことはなかったが2日連続となると風邪ひきそう。

 

「わかった手伝ってやる」

「ありがとうお兄ちゃん」

 

 折れた俺はなでしこと一緒になでしこの部屋に向かった。なでしこの部屋にはまだたくさん段ボールが積まれていて、いくつかは開いているがまだ中身は入っていそう。

 

「取り敢えず使う荷物はそのままで、使わない荷物を押し入れにしまう」

「うん、わかった」

 

 なでしこに聞きながら荷物をいくつか押し入れにしまい始めた。

 

「……いや、使わない荷物多すぎ。引っ越す前に減らせって姉ちゃん言ってただろ!」

「だってどれも大切な思い出の品だから捨てられないよ。お兄ちゃんはどうなの?」

「捨てるかリサイクルショップに売るかとかした」

「お兄ちゃんってドライだよね」

「俺の思い出は形よりも記憶の方を大事にしてるんだよ」

 

 そう言いながら俺はなでしこの手伝いを続けた。荷解きは昼前まで続いた。途中なでしこが漫画を読み出してサボったりアルバムを見つけては手を止めたりしたが、その度になでしこにアイアンクローをした。

 

 

 

 ⬜︎

 

 なでしこの荷解きをしていたらお昼ご飯の時間になっていた。荷解きはまだ終わってないが後はなでしこだけでも出来る量だったので、俺は昼からは一人でやれと言った。なでしこもそれに了承して一緒にリビングに下りてお昼を食べた。お昼を軽めに食べた後、俺はランニングウェアに着替えてからストレッチをして家を出た。姉ちゃんに県外へ出るのを禁止されたから、今日は下の方ではなく学校や富士山とかがある上の方に向かった。昨日と同じように南船駅の方に行ってから、そのまま富士川沿いを上流へ向けて走り出した。

 

 途中でなでしこが好きそうな焼きそば屋があって写真を撮って送ったら凄い反応してた。今から食べに行くとか言ってたがまだ荷解きが少し残ってるし、姉ちゃんから今日の外出禁止令が出てたから今日は行く事は出来ないだろう。それにしても、さっき昼飯を食べたばっかなのに食べようとするとはな。流石なでしこって所だな。

 

 そして富士川の上流へ走っていると前の方から茶色い毛玉みたいなのがこちらに向けて走って来ていた。……よく見ると犬だ、犬種はたぶんチワワだな。緑色のダウンジャケットを着ていて可愛らしい。良いとこの飼い犬なのかな?近所に居たゴールデンレトリーバーは服なんか着ずに庭で元気に駆け回っていたな。

 ってか、背中からリードみたいなのが見える。コイツ逃げて来たのか?……取り敢えず捕まえるか。俺は走るのをやめてしゃがんでから真っ直ぐに走って来てるチワワを捕まえる構えを取っry

 

「わふぅー!!」

「ぐへぇ!!」

 

 チワワは更にスピードを上げて俺の腹に激突した。俺は変な声をあげながらとチワワを身体全体で受け止めて捕まえた。

 こ、コイツなかなかやるな。このチワワの異名はこれから『激突王』にしよう。

 

「すみませーん。私の犬でーす!」

 

 すると飼い主らしい人がこちらに走って来た。女性なのに短めの黒髪でニット帽を被り、ダウンジャケットやマフラーに手袋と防寒対策はバッチリっといった服装をした人だった。うちの家族の女性陣は全員髪の毛長めだし、綾乃もロングヘアーだ。そうそう、昨日のキャンプをしてた人も大きめのお団子ヘアーだったけど、お団子をほどいたロングヘアーになりそう。……俺の周りにショートヘアーの人居ないな。

 飼い主さんがリードを握るのを確認すると俺はチワワを放した。チワワは体温調節をしながら飼い主さんの足元に行った。

 

「ちくわを捕まえていただきありがとうございます」

「いいえ気にしないでください。……えっ、ちくわ!?」

「はい。この子の名前はちくわっていいます」

「わふぅ」

 

 このチワワの名前はちくわって言うのか。なかなか個性的な名前だな……その名前をつける方もつける方だな。この飼い主さんもなかなか個性的そうだな。

 

「あの、その格好で寒くないんですか?」

「よくこの格好で走っているからまだ大丈夫ですね。だけど、山梨の方が寒いですね」

 

 山梨は思っていたよりも寒い。浜名湖で走っていた時は風は強くて寒かったな。静岡は山梨よりも気温が寒いらしいな。

 

「もしかしてつい最近に山梨に引っ越して来たんですか?」

「はい、昨日引っ越して来ました。あと、明日から本栖高校に転校する予定なんです」

「えっ、私も本栖高校に通っているの」

「そうなんですか。学年は一年生です」

「私と同じだね。もしかすると同じクラスになるかも」

 

 ちくわの飼い主さんは見た目から学生みたいだったけど、同じ年だったんだ。

 

「そう言えば自己紹介がまだだったね、私の名前は斉藤恵那。同じ年みたいだから敬語じゃなくていいよ」

「わかった。俺の名前は各務原やまと、そっちも敬語じゃなくていいよ。転校したらよろしく斉藤」

「うん、よろしくね各務原くん」

 

 斉藤と自己紹介をしてから少しちくわの散歩に付き合った。途中でちくわは歩くのをやめて斉藤に向かって軽く鳴くと、斉藤はちくわを抱っこして散歩しだした。ちくわは寒いのが苦手らしく、冬の散歩は途中で抱っこするらしい。とある歌に犬は雪の中で庭を駆け回るとか言ってたから寒さが苦手ではないと思ってたけど、犬にも寒さが苦手な奴も居るんだな。近所に居たゴールデンレトリーバーは寒さなんてへっちゃらみたいな顔をしてたけどな。斉藤に抱っこされているちくわはぬくぬくとしていて、顔が緩んで幸せそうな表情をしていた。

 

「私の家はあっちだからもう行くね」

「あぁ。また明日学校で会えたらよろしく」

「こちらこそよろしくね」

 

 そして斉藤と別れた。俺は軽く屈伸をしてアキレス腱を伸ばしてからまたランニングを再開した。

 

 

 

 ⬜︎

 

 ランニングを終えた俺はお風呂に入ってからリビングに行った。リビングではなでしこがソファーの上で寝転がりながら携帯をいじっていた。

 

「もう荷解きは終わったのか?」

「うん、ばっちり」

「ばっちりじゃねーよ。ばっちりなんだったら俺に頼らずに一人で出来る物だよ」

「ごめんなさーい」

 

 そう言ってからなでしこはまた携帯と睨めっこを始めた。初めての携帯だからってもう依存してるのか?

 

「なにそんなに携帯と睨めっこしてるんだ?」

「昨日のキャンプしていた人から電話が来ないの」

 

 どうやらなでしこは昨日連絡先教えたお団子ヘアーのキャンプ少女からの連絡を待っていたらしい。昨日今日とで連絡して来るとは限らないだろう。あっちもキャンプしてたから。それに今日は家に帰るからそれで忙しいのかも知れない。

 

「あっちも何かと忙しいんだろ。気長に待ってたらいつか連絡くるよ」

「そうかな。アヤちゃんだったら直ぐに返事してくれるけど」

「綾乃は友達だからだろ。あっちは赤の他人だ、連絡するにも色々と躊躇うんだろ」

 

 そう言ってから俺は冷蔵庫に向かってお茶を取り出して飲んだ。なでしこはいまだに携帯と睨めっこしながら「むむむ」と何か唸っていた。これ以上何を言っても無駄だと思った俺はお茶を冷蔵庫にしまってから自分の部屋に戻った。

 






次回は原作どおりに学校に行きます。

たくさんの評価ありがとうございます。
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