双子の妹がキャンプにハマりました 作:トロホルモン
沢山の評価ありがとうございます。
なでしこの荷解きを手伝った翌日。
「お兄ちゃんはやくはやく!!」
「そんなに急がなくても遅刻しないから。それとちゃんと前を向け、また転ぶぞ」
俺となでしこは本栖高校へ向けて歩いていた。家から駅までは少し距離が離れているから自転車で行き、駅からは電車で向かう事になっていた。家から駅までだろうが、家から学校までだろうが普通に走りで行けるけど、弁当がぐちゃぐちゃになるからやめた。お昼をパンにして走って登校したら陸上部の顧問に目をつけられたからやめた。この高校でも目をつけられるのが嫌で目立つ行動は取りたくないので、普通の学生らしく登校する事にした。
それとなでしこが電車を降りて駅を出て数歩目で転びそうになったが、俺が慌ててなでしこを受け止めたので転ぶ事はなかった。
「大丈夫大丈夫!」
そう言ってなでしこは一人で走って行ってしまった。周りにいた同じ本栖高校の制服を着た生徒から視線を集めていた。取り敢えず視線は無視して一人歩き出した。浜松にいた時でもこんな事よくあったからな、気にせず無視しておけばどうにでもなる。俺は一人なでしこを追うように学校に向かった。
「ねぇ、あの人カッコよくなかった?」
「あんなカッコいい人うちの高校に居たかな?」
「居ない居ないよ。居たら入学当時から有名になってるよ」
「さっき居た女の子って彼女かな?」
「でもお兄ちゃんとか言ってたから兄妹じゃない?」
「兄妹にしてはあまり似てなかったね」
なでしことやまとが居なくなった後に女子生徒達がヒソヒソ話をしていた。やまとは知られていないが結構モテている。静岡に居た時でもモテていたが、やまとからのミステリアスな雰囲気とオーラで話しかけてくる事はなかった。
それと、なでしことやまとは二卵性なのであまり似ていない。
⬜︎
無事に学校に着いた俺は、上履きに履き替えてからまず職員室に向かった。職員室の場所は事前にお便りで知らされていた。先になでしこが行っているから話を済ませてあるだろうな。そんな事を考えている内に職員室に無事に着いた。
「失礼します」
「あっ、お兄ちゃんこっちこっち!!」
先に職員室に来ていてこっちに手を振っているなでしこの側には、女性の先生が居た。俺はなでしこの方に近寄った。
「あなたが各務原やまとくんね。今日から私があなたの担任になります」
「はい、よろしくお願いします」
どうやらこの人が担任の先生なのか。
「あの先生、この学校の部活にキャンプする部活はありますか!?」
「えーっと……登山部がありますね」
「と、登山部ですか?」
「はい。うちの登山部はよく山登りをしてきまして、毎月何処かの山に登っています。他にも登山の為に体力作りをしたり、もしも遭難した時の為にサバイバルの勉強や体験をしたりしてます。それとキャンプもするのでテントを建てる練習などをしていますよ」
「本格的な登山部なんですね。よかったななでしこ、お前体力もあるしキャンプもしたがっていたから登山部に入部したら?」
「………私はもっと緩いキャンプが良いです」
まぁなでしこには本格的なキャンプよりも、緩いキャンプの方があっているだろうな。サバイバルとか一番向いていない。サバイバル関係なくお腹いっぱいご飯を食べてしまうタイプだからな、なでしこはテントを建てて焚き火をしてキャンプご飯をのんびり作って食べたりとわいわいした方が向いていそうだな。
「それなら野外活動サークルですね。キャンプをしたいと言ってサークルを作られたらしいですよ」
「野外活動サークル‼︎私そこにします!」
なでしこは野外活動サークルに入部する事を即決したらしい。まぁ、本人がそれで良いのならいいけど。俺は部活に入るつもりはなく、バイトをする予定だ。昨日走って居た時にアルバイト募集の紙を貼っていたコンビニがあったから今度応募する予定だ。
そんな事を考えているとチャイムが鳴った。
「それでは各務原さんはあちらの女性の武田先生の所に行ってください。各務原くんは私の担任しているクラスなので着いて来てください」
「分かりました」
「それじゃあお兄ちゃん、またね」
「先生に迷惑かけるなよ」
「かけないよ〜」
俺はなでしこと別れて先生の後について行き職員室を出た。
少し歩いてから教室に着いた。先生がドアーを開けて入っていき、俺はその後に着いて行き教室に入った。教室の中に居た生徒全員が俺に注目してる……あれ、あそこにいる青みがかかった黒髪の女子は何処か見覚えがあるな。あっちも何故か凄く驚いた顔をしてる。口がポカンっと開いて固まっている。
「今日からこのクラスの一員になる各務原くんです。それじゃあ各務原くん、自己紹介をしてね」
「わかりました。静岡の浜松から転校して来ました各務原やまとです。趣味はランニングで、よく浜名湖で走っていました。残り少ない二学期と三学期の間よろしくお願いします」
俺は簡単に自己紹介をした。クラスは一瞬しんっと静まってから拍手が起きた。なんだったんだ今の間は?
「それじゃあ各務原くんの席はあそこに空いてる席が君の席だからそこに座って」
「わかりました」
俺はそう言ってから空いている席に向けて歩き出した。自己紹介が終わって自分の席に向かって歩いているだけなのにさっきから視線が俺に集まってるよ。もういいだろ、前を向けよ前を。空いている席の隣を見ると、見覚えのある女子が座っていた。まさかお隣さんになるとはな。
「よろしく」
「えっ、よろしく」
突然俺が声をかけた事によってその子は驚きながらも返事を返してくれた。その子の声を聞いて思い出した、この子本栖湖でなでしこを助けてくれたお団子ヘアーの子だ。今日はお団子ヘアーを解いていて分からなかったな。
そして朝のホームルームがはじまった。
⬜︎
1限目の授業が終わって休み時間。転校してからの初めての休み時間だ。転校して最初の休み時間に起きるのは質問責めなのだが……
「・・・」
誰も来ない。周りからの視線は物凄く感じるのに誰からも話しかけられない。俺は珍獣か猛獣か何かなのか?気分はもう動物園の檻の中にいる動物のそれだ。
よし、ここは俺から話しかけよう。隣は本栖湖で出会ったキャンパーさんだ。一度話した事があるから他の人よりも話しかけやすいだろう。
「あの、一昨日ぶりですね」
「うおっ‼︎」
するとキャンパーさんは弄っていたスマホを落としそうになっていた。そして落とす事なく見事にキャッチした。なんだか悪い事をしたな。取り敢えず謝っておこう。
「すみません、突然話しかけてしまって」
「いいえ。友達とメールして居て夢中になっていたので。一昨日ぶりですね、まさか同じ年だったなんて」
「そうですね、私も同じ年とは思いませんでした。あと、同じ年なので敬語じゃなくていいですよ。さっき自己紹介もしましたが各務原やまとです」
「わかった。私の名前は志摩リン。よろしく各務原」
「よろしく志摩」
俺は志摩と簡単な自己紹介をした。周りからの視線は更に集まったような気がする。
「さっき同じ歳って思わなかったって事は私を年下だと思ったの?」
「見た目からすると年下だと思ってたけど、一人でキャンプをするくらいだから年上なのかなって思った」
俺は正直に話すと志摩は驚いた顔をして居た。
「そんな事初めて言われた」
「そうなんだ。志摩こそ俺の事どう思ってたんだ?」
「絶対に年上だと思った。なんか年上って感じのオーラみたいなものが見えたから」
「そんなスピリチュアルなもん出てないよ」
「いや出てる。だからみんな各務原の所に来ないんだよ」
「マジかよ」
志摩からの言葉にショックを受けた。そんなスピリチュアルなもの俺から出ているとは思わなかった。だから前の学校の時でも話しかけてくる奴は居なかったのか。
「そう言えば妹が志摩からの連絡を待ってたぞ」
「またキャンプしようってやつか。暖かくなってから連絡しようと思ってた」
「たぶんなでしこの方から志摩に会いに来ると思うぞ。同じ学校に居るんだから」
「えっ、同じ学校?各務原の妹なんだよな?」
「あぁ。“双子”の妹だ」
「えぇ‼︎双子なのに全然似てない!!」
「二卵性だからな」
「まだ運転してたお姉さんの方が各務原に似てる」
「俺は姉ちゃんによく似てるって言われるからな。そう言えば志摩は部活に入ってるのか?」
「いや、入ってないけど」
「そうなんな。てっきり野外活動サークルとかに入ってると思ってた。なでしこもその野外活動サークルに入るって張り切っていたから」
「あそこはノリが苦手だから。もうアイツ部活を決めたのか、早いな。各務原は何処か部活には入るの?」
「いいや、入る気はない。アルバイトをする予定」
「なら私と同じだ。私はもうアルバイトをしてるけど」
「何処で働いてるんだ?」
「本屋」
「本が好きなんだ」
「ソロキャンでよく本を読んで過ごしてるから」
いつの間にか志摩と打ち解けていて、そんな話をしていたらチャイムが鳴り次の授業になった。
ルーキーランキングで一位とりました〜。
ありがとうございます。
次回は放課後になります。