双子の妹がキャンプにハマりました 作:トロホルモン
なでしこと転校して来た日の放課後
無事に転校初日を終えた。授業の方は浜松に居た時の高校の方が先をやっていたから余裕でついていけた。休み時間は隣の席の志摩とだけ話していた。時々トイレに行って帰ってくると志摩の方に沢山の生徒が集まっていた。志摩って結構人気者なんだな、見た目はちっちゃくて可愛らしいし、シマリンって苗字と名前を続けて読むと何処かのゆるキャラみたいな名前にも思える。志摩ってモテるんだろうな。俺が帰って来たと分かると直ぐに志摩に集まっていた人達が全員散った。一人残った志摩の方みると疲れた顔をしていた。俺は『人気者は大変だな』と声をかけると志摩は嫌そうな顔をして『全部お前の所為だ』と言い返された。俺はその言葉に理解が出来ずに軽く謝っておいた。
そして放課後になり俺は荷物を鞄に纏めていた。志摩はせっせと荷物をまとめていた。そんなに慌ててどうしたのやら?
「それじゃあ私は委員会があるから」
「委員会だったのか。あぁ、また明日」
志摩に別れを告げると同時に放送が流れた。
『一年の各務原やまとくん、各務原やまとくん。ホームルームが終わり次第職員室まで』
何故か放送で俺が呼ばれてしまった。何故初日から放送で呼ばれないといけないんだよ。なでしこと一緒に呼ばれるのなら転校して来たばかりだから説明とか色々とあると思う。なのに何故俺一人名指しされるんだよ。俺、何もしてないけど!?
「何か悪い事でもしたのか」
「聞くのなら疑問文にしてくれ、もう志摩の中でやったって確定してるじゃないかよ。今日はトイレ行く以外は教室に居ただろ」
「各務原の事だから知らないうちにやらかしているかもな」
「だから何もしてない。おい『ざまあみろ』みたいな顔をするな」
「今日のお前が居なかった時に私に苦労をかけた仕返しだと思え」
そう言って志摩は荷物を持って教室を出て行った。俺が居ない時に志摩に苦労をかけさせてしまったのか?全く覚えがないんだけど。
そんな事を思いながら俺は荷物を持って職員室に向かった。
⬜︎
「し、失礼しました」
俺はそう言ってから職員室を出た。職員室に呼ばれた理由は部活の事だった。陸上部の顧問の先生に呼ばれて部活に入ってくれと言われた。陸上部の顧問の先生は浜名湖マラソンに参加していて俺の事を知っていたようで、どうにかして陸上部に入れようとして来た。俺は断ったがせがんで来て全然諦めてくれなかった。やっと職員室から出られたところだ。
さてと、これからやる事がなくなったな………。そうだ、ここの図書室でも行こう。貯めていた本も全部読んでしまったから新しい本を読みたいと思ってた。図書室に行って本を借りに行こう。
「何処だろう図書室って」
数分ほど歩いていたら図書室を見つけた。図書室に着くまで廊下で凄く注目を集めてしまったな。転校生だから目立つのか?
俺は扉に手をかけて図書室の扉を開けた。すると中には志摩と……昨日出会った斉藤が居た。斉藤は志摩の背後に立って志摩の髪の毛を弄っている。
「志摩と斉藤?」
「あれ、各務原くんだ。本当に転校してたんだね」
「えっ、斉藤と各務原って知り合いだったのか?」
「うん。昨日ちくわの散歩をしてた時にね。リンも知り合いだったんだ」
「今日メールで話した奴だよ。各務原の所為で私は大変だった」
「なるほど……これは確かに。なるほど、噂になってた転校生って各務原くんだったんだね」
すると斉藤は俺をジロジロと見てきた。何が確かになんだよ。それと噂ってなんだ?
「噂ってなんだよ。それと転校生なら妹まで居るんだけど」
「あれ、妹って各務原くんってリンと同じクラスって事は一年生なんだよね?」
「あぁ、双子なんだ。まぁ、似てないけど」
「各務原くんの妹ってどんな子?」
「うーん……一言で言えば犬みたいかな?」
「おい、外にその妹が居るぞ」
「あっ本当だ」
「どの子?」
「あそこのピンク髪の奴」
「本当だ、各務原くんと似てないね」
図書室の外の中庭でなでしこが学校指定のジャージに着替えて何か棒みたいな物を持っていた。なでしこの他にサイドテールの女子と眼鏡をかけた女子の二人がいて、三人で楽しそうにテントを建てている。もう野外活動サークルに入部したのか。
「っと出来た。クマヘアー」
「おぉ、見事なクマ団子だな。取り敢えず一枚」パシャ
「おいやめろ、それと撮るな」
斉藤は志摩の髪の毛でクマを模したお団子ヘアーを作っていた。見事なクマヘアーだな、自然と携帯を取り出して写真を撮ってしまった。
写真を確認すると志摩と斉藤のツーショットを撮っていた。斉藤はきちんとピースを取っていた。
「名付けてクマリン団子」
「三重県志摩限定商品『クマリン団子』だな」
「おい勝手にお土産にするな」
「クマリンってご当地のゆるキャラみたいだね」
「確かに。志摩市のゆるキャラか」
「勝手に私をゆるキャラにするな。それと何故志摩限定なんだよ」
「でももう志摩市にゆるキャラが居るみたいだよ」
「本当だ。クマリンはゆるキャラにはなれなかったな……残念だな」
「残念だね」
「残念がるな」
俺と斉藤がボケて志摩がツッコミをするという漫才みたいな事をしてしまった。………出会って2回目なのに仲良くなるなんて初めてだな。
「あっ、各務原くんの連絡先教えてよ」
「わかった」
俺は携帯を取り出して斉藤と連絡先を交換した。ついでに志摩とも。初めて家族と幼馴染の綾乃以外の奴と連絡先を交換したな。まさか転校して当日で友達が二人も出来るなんて、静岡に居た時には思わなかったな。
「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」」」
外から悲鳴が聞こえてきた。外を見るとテントの骨組みの棒が折れてなでしこ達が大騒ぎをしていた……。
「テントってああなっちゃったらどうするの?」
「買い替えになるのかな?」
「まぁ〜メーカーに送って修理かな。こんなパイプがあれば一応は応急処置はできるけどね」
志摩は携帯を見せながら説明してくれた。なるほどな。志摩はキャンプ慣れしてるからこんなトラブルが起きてもいいように調べてあったんだな。
「こういうの?」
「なんであるんだよ」
「それっぽい物がそこの落とし物箱に置いてあったよ」
「なんとタイミングの良い事を」
「リン、これを持ってって助けてあげなよ」
「えぇ〜」
「うわー、すげぇ嫌そうな顔」
斉藤が志摩にそう尋ねると、志摩は凄く嫌そうな顔をしていた。野外活動サークルに苦手意識があると言っていたから関わりたくないのだろう。
「じゃあ各務原くん、一緒に行こ?」
「あぁ、いいよ。じゃあ志摩行ってくるよ」
「うぃー」
そう言ってから斉藤と一緒に図書室を出てなでしこ達が居る中庭に向かった。
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