ヤンデレは世界を救う ─ホロライブ・オルタナティブ外伝─ 作:らっくぅ
何回、死に続けただろうか。
最初の頃は、倒そうと足掻いていた。どうにかしてこの螺旋を終わらせようと。
しかし、いつしか諦めていた。自分が死ぬことでその世界が平和になるのなら、どうせ倒せないのなら、犠牲になり続けよう。そう思った。
人との関わりは極力絶った。関わろうとする者は全て拒み、ただ奴の下へ向かい続けた。
いつしか、感情と呼べるものは死に絶えていた。
死ぬ為に生きていた。死ねば別の世界で転生し、またそこで死ぬ。それが当たり前で、それが全てだった。
だから。
君は、僕の全てなんだ。
目を覚ますと、見慣れているようでどこか違う風景が目に飛び込んできた。
またいつものように、並行世界に転生したのだ。
「…」
やる事は変わらない。
彼──ゼノクロスを見つけ出し、戦いを挑むだけ。そのきっかけとなるゼノクロスのアンドロイドを見つけ出せれば、あとは流れ作業だ。そいつらを破壊し、現れて来たゼノクロスに惨殺される。そうすればこの世界は平和となり、自身は新たな世界に転生する。
それが、この世界群の平和を維持する為の儀式だった。
スメラギは立ち上がる。
あまりボーッとしていると、また「彼女達」がやって来る。彼女達は
スメラギが降り立った地は不思議な光景だった。
見たこともない異形の植物が鬱蒼と茂り、森を形成している。
恐らくは魔界だろう。今となってはどうでもいい情報が頭に浮かぶ。
早々にここを立ち去らねば。
こんな所に奴らがいるはずもない。スメラギは常に邪神の力を微弱ながら垂れ流している為、ただじっとしているだけで勝手に奴らの方から向かって来てくれるだろうが、そんなのを悠長に待ってはいられない。
自分のような異物のせいで世界の平和が脅かされているような気がするからだ。
自分がこの世界にいる限り、世界は滅びと隣り合わせだ。だから早く消えろ。死んで別の世界へ行け──そう言われているようでならなかった。
スメラギは頭を振り、ネガティブな思考を外へ追いやる。
同時に、未だにそのような考えが頭に浮かんでしまう自分を嗤った。とうに『人間』を捨て、秩序を維持する装置と成り果てたはずだろうと。
(……早く見つけよう)
森を抜け出すべく、スメラギは歩み出した。
だが、どんな時でも障害というのは現れるものだ。
「グオオオオオォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!!!!!」
それは目の前にいる巨大な魔物、ではなく。
「……」
「ぇ…」
その奥にいた、そしてそんな見るからに凶暴な生物に牙を向けられた
緑髪の少女であった。