ヤンデレは世界を救う ─ホロライブ・オルタナティブ外伝─   作:らっくぅ

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投稿遅くなってすみません…大枠はもうできてるんです細かいとこでつまづいてるだけなんですゆるして()

ところで、先日見た夢でかわいいオリキャラを作ったので、いつかその子を登場させたいです。今のところ別作品での登場予定


7話 逃避行⑷

「それで…これからしばらくここに居続けるのですか?」

 

「ああ。ただ衣服とか必需品を買う為の金は必要だから、どこかで稼がなきゃいけないな」

 

 出来るだけ切り詰めて生活を送っていくにしても、るしあの貯金ではせいぜい1週間程度が限界。さらに言えば、この生活は世界を転々としながらも続けていくとすると、ある程度の貯蓄はあった方がいい。

 

「傭兵ですか?」

 

「それしかないね。それも採集とか護衛みたいな小さい依頼じゃなくて、報酬の多い魔物討伐系だな」

 

 どんな仕事も受け付けている、いわば何でも屋みたいな位置付けの傭兵だが、花形はやはり戦闘クエストだ。魔物退治から世界規模で活動するテロリストの討伐、果ては世界存亡を賭けた化け物との戦争など、このご時世武力で解決しなければいけない事案は山ほどある。

 

 故に『傭兵』。彼らはそもそもが武力の専門家なのだ。

 

 そしてその専門性の高さから、支払われる対価も相応のものになっている。少しでも腕に自信のある奴はとりあえず傭兵になれ、とまで言われた時代もあったくらいには。

 

「アルヴィアスの傭兵として動くのは目立ちすぎる。フリーでクエストを請ければ少しくらいは隠れられるはず」

 

 とはいえ、傭兵をまとめ上げ、殺到する依頼の窓口役を買って出た傭兵組織なんてものが覇権を握っている現在、それを介さないフリーの傭兵が請けれる依頼は少なく、そしてパッとしたものがないのも現実。

 

 しかし2人で、それも著しく低コストで生活するのだから、そんな寂れた業界の隅で働いても全然問題はなかった。

 

 スメラギは街のネットワークスペースで依頼を探すことにした。もちろんカドモニに居場所を特定されない為だ。

 

 貨物輸送の護衛やパトロールといったノイズを流し見つつ、目的のクエストを探す。

 

 フリーの傭兵に任されるクエストなんて大体が小型の魔物討伐で、報酬も寂しいものだが、たまに「当たり」が入ってくる事がある。

 

「あ、あった。これだよるしあ」

 

「魔物の巣の駆除?」

 

 大型の魔物討伐に比べたら数段落ちるが、危険な分報酬が高く設定されているのだ。少額のものをちまちまやるよりも、それなりのものをこなした方が少ない行動回数で済む。スメラギはそう考えたのだ。

 

「わざわざフリーに要請するくらいだから人里離れたところのクエストは少ないけど、どうせすぐ終わるだろうし目立つ事は無いんじゃないかな」

 

「バレないのは良い事ですけど、魔物の群れをたった2人で相手するなんてちょっと無理があるんじゃ…」

 

 たった2人、という言葉にスメラギは少し引っかかったが、かと言ってるしあを1人廃屋に置いておくのも不安があった。いつカドモニに発見されるか分からない以上、身動きは取りやすい方がいい。

 

「魔物の群れと言っても小型だけだろう? なら俺1人であらかた倒せる。るしあは撃ち漏らしたやつだけ狩ってくれればいいよ」

 

 その言葉でるしあは、そういえば、と思い出す。この人は科学でも魔法でも説明のつかない、不可思議な力を持っていたのだ。凶暴な魔物すら見ただけで恐れをなして逃げたあの『力』なら、巣を破壊するくらい簡単にできる気がした。

 

「問題といえば、使っただけで世界中にその存在が知られてしまう事だけど…()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で、スメラギ達は比較的都市から離れた場所を選び、極力人目を避けつつ記された先にたどり着いた。

 

「蜂、かぁ…」

 

 郊外に隣接する林には、木を丸々呑み込むくらい巨大な蜂の巣があった。

 

「スメラギさんは虫大丈夫ですか?」

 

「嫌いではないけど…積極的に触ろうとは思わないね」

 

「るしあ全然虫触れますよ。じゃあ…パパッとやっちゃいましょう!」

 

 それに頷いて応じると、スメラギは手のひらから蒼白の球体を生み出す。

 

「ROOM」

 

 半透明の球体はブワッと広がり、スメラギとるしあ、そして巨大な蜂の巣を包み込んだ。

 

「silent。これでこの空間で起こる事が外に漏れる事はない。もちろん『力』の波動も」

 

「そんな使い方もできるんですね…」

 

「昔覚えたんだ。ナノアーマーは随分前に戦闘で使う事ができなくなったから、邪神の力(これ)一本で戦わなきゃいけなくてね」

 

 スメラギの『力』を察知したのか、蜂の巣から人の拳よりも大きな蜂が続々と飛び出してきた。

 

 確かこいつらはワスプという名の魔物だ。小型の魔物の中でもさらに小型。数匹なら一般人でもどうにか倒せるレベルの生物だ。とはいえ通常は十数匹で群れをなして攻撃してくる上、針には猛毒がある為、プロの傭兵と言えど油断できない相手だ。

 

(…)

 

 無意識のうちに目の前の相手の情報を脳内から引っ張り出してきた自分に思わず呆れてしまう。今回そんな情報は全くの役立たずだというのに。

 

 

 

 スメラギは鉤爪のように五指に力を入れると、腕を大きく振り上げ、そして空間を引っ掻いた。

 

 たったそれだけで。

 

 

 

「!!!??!!!?!!!??!!?」

 

 グッッッシャァァッッッッ!!!!!!!!! と。

 

 距離、範囲、原理。前提なんか全部ぶっ飛ばして、滅紫の嵐がシンプルな結果だけを残した。襲いかかってきたワスプ諸共、その巣や周囲の木々まで粉々に粉砕していったのだ。

 

 

 

「……」

 

 すごい、と単純な感想すらるしあは口に出せなかった。思えば実際にその『力』が他者に向けられた瞬間を見るのは初めてだった。

 

「るしあ、後頼める?」

 

「…あ、はい! 任せてください!」

 

 スメラギが言うには、『力』は調整が難しく、小柄な敵相手だとどうしても破壊力の方が優ってしまうらしい。その為、残党狩りにはるしあの小規模な魔法が有用であった。

 

「えへへ…」

 

「どうしたの?」

 

「あ、えと……今までスメラギさんに頼りっぱなしだったから、何かを任されるのが嬉しくて…ち、小さな事なんですけどねっ」

 

 るしあは〈魔炎(グレスデ)〉で火の球を放ち残ったワスプを狩りながら、顔を赤らめてそう話す。

 

 スメラギは何と答えるべきか分からず、

 

「…そっか」

 

 とだけ答える。

 

 

(……)

 

 何だか不思議な気分だ。誰かを守るなんていつだってそうだったし、その為に自分の身を削るのは当たり前だった。だから、守るべき対象には頼りたくないし、さらに言えば不干渉でありたい。そう思っていた。

 

 今の状況は完全にその逆だ。だと言うのに悪い気は起きない。それどころか…

 

(…いや、よそう。この子が勝手に懐いているだけだ…僕までそれに流されるべきじゃない)

 

 

 

(だっていつかは…)




前回あたりからやたら地の文の説明が長いのは、最近またとあるを読んだ影響です。
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