糸を紡いで   作:主食は梅と白米

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2話

 

「レン、私今から遊びに行くけど、エテアさんの邪魔しないんだよ。約束できる?」

「…ん」

若干不機嫌なレンを見て内心で頭を抱える。レンはいわゆるおばあちゃん子ならぬお姉ちゃん子なのか、他の子とはあまり遊ばなず一日のほとんどの時間を私と過ごしている。他の子とも遊ぶといえば遊ぶのだが、私が居るのを知ると一直線で向かって来て遊びに誘うのだ。断ると拗ねてしまい少し困っている。私としては同年代の子と遊んだ方がいいのではないかと思い他の子と遊ばせる為きっかけ作りに勤しんでいるが中々実らない。

 

「…帰りにお菓子買ってくるから楽しみにしておいてね」

「うん」

「いってくるね」

「いってらっしゃい」

 

************************

 

「バッ!…ビックリした?」

 

見慣れた背中から音を消して近づき、肩に手を置いたと同時に少し大きな声を出す。

 

「…もう慣れたよ」

「そっかぁ」

 

最初のうちは驚いて悲鳴を上げたり、チャクラ糸が途切れたりしたのになぁと思いその子の正面に座る。

 

「帰りにお菓子買って帰らない?」

「…僕おかねないよ」

「なら付き添いお願い」

「いいよ、そんなにあのお菓子好きなの?」

「ううん。弟がね、買って帰ると喜ぶの」

 

レンは甘いものが好きだ。エテアさんからはあまり買うなと言われているが、レンがあまりにも幸せそうに嬉しそうに頬張って食べるものだから、つい買ってしまう。あの顔が見られるならと。レン相手だとどうも甘くなってしまう。

 

あ、と声を出して満面の笑みで喋る。

「ねぇサソリみて、私チャクラ糸5本も出せるようになったんだよ」

 

そう言って得意げにチャクラ糸を5本出す。

本来のマチのように糸を操りたくて、でも方法がわからなくて、そんな時に会ったのがサソリだった。公園の端っこで木で作られた人形を操っていた彼を見かけた。彼女(マチ)のように半透明の糸で、人形を操る彼を見て思わず声をかけたのが始まりだった。声をかけるとサソリは心底驚いたように目を見開いて何度か瞬きをすると小さく笑い承諾してくれた。

そこから彼とは友達ともチャクラ糸を教えてくれる先生とも言えるような関係が続いている。チャクラを使いすぎて無くなると死ぬことだったり、チャクラは誰にでもあることなどチャクラのことを多岐に渡り教えてもらった。最初は聞かれたことだけ答えるようなスタンスだったサソリだが何度も会ったおかげかなんとか打ち解けられて、最初に比べるとかなり口数が増えた。意外だったのはかなりのおばあちゃん子だったりすることとか。喋っていると頻繁に出てくるのが、サソリの祖母であるチヨという名前。内容が傀儡関連ということもあり、サソリからよく聞かされる。なんでも傀儡のエキスパートであるチヨさんは、前の大戦で一人で城を落としたというとんでもない武功をもつらしい。

 

私は歴史関係はあまり明るくないのでそんな人いるの!?すご!とサソリを質問攻めにして聞いてた。サソリ曰く、最初に話しかけられた時に操っていたのはチヨさんがサソリの為に作った人形らしい。ちなみに、傀儡じゃないのかと聞いたところ、仕込みと言われる武器を内蔵してないため傀儡じゃないらしい。

 

「凄いねもうそんなにできるんだ…今度人形使って練習してみる?」

サソリから凄いと言われ、頬が緩む。目標にしてる人に認められたら嬉しくて、でも素直になれなくて喜びは見せず何でもないように振る舞う。

 

「まだサソリみたいに10本出せてないからいい」

「5本出せるならいいと思うけど、マチちゃんがそう言うなら」

「うん」

 

一通り練習した成果を話すと手元に集中する。

聞き手の人差し指から順にチャクラ糸を出していく。中指人差し指と続き、片手の指全てからチャクラ糸を出すことができた。が、6本目であるもう片方の人差し指からは出ない。右手から出していたチャクラ糸を消して、左手に集中する。右手ほどスムーズにはいかないものの、小指を除いた4本指からチャクラ糸を出せた。右手と同じ要領でしているが、実際にはしているだけで出来ていないのだろう。頭では解っているが、中々実行できない。深呼吸をして焦りを落ち着かせる。今度は左手の小指にのみ集中してチャクラ糸を出す。

 

(一本ってなったらできるけど、複数同時にってなると出来ない…。)

 

今度は左手の人差し指薬指からチャクラ糸を出す。2本のチャクラ糸が出たのを見て、一旦糸を切る。次に親指中指小指と3本に集中してチャクラ糸を出す。成功したのを見てほっと胸を下ろす。実はこの方法サソリから教えてもらったもので、準備体操みたいでオススメらしい。絶対準備がじゃないという言葉は飲み込んだ。サソリを天才だと思った瞬間だった。

まぁ、そんなこんなをしていると疲れてくる。チャクラを使ってるし集中力もだんだんなくなってくる。

集中力もかけてきて、チャクラの量も少なくなっているためこれ以上やっても無駄だなと思いサソリをみる。両手から二体の人形を自分の体の一部かのように操るサソリを見て、息を吐く。それはサソリと日差しとは違った明るさをもつチャクラ糸と映えて一枚絵のように見えたからかそれとも、彼の技術の高さをみて劣等感を感じたからか。何でそれをしたのか断定できない、前者だったのかも後者だったのかも、あるいは両方なのか。でも、確かなことは、悔しい。

サソリは私と同い年なのに、なんなら私の方が精神年齢が上なのに私がうまく言葉にして表せない時も代弁していってくれたりと察する力も頭もかなり良い。あと顔も良い。目は大きいし顔は小さいし、顔の配置も整っていてかなり良い。将来有望だろうなと思い見てる。そしてなにより、チャクラ糸の扱いがとんでもなく上手い。手先が器用ということがあるかもしれないけど、それでも上手い。以前本で読んだ、傀儡操演劇を見たいねとか言ったら後日サソリが操演して見せてくれた。子供のお遊びというレベルではなかった。それぐらい凄かった。なんというか、完成されていたのだ。これ以上手を加えられないと思ってしまうほど。ほんと凄いなぁ。

 

「マチちゃん、休憩?」

 

じーと見ていたのに気づかれて声をかけられる。そりゃガン見されたら誰だって気づくか。

「うん、疲れたし集中力も切れちゃって…」

 

「多分、マチちゃんチャクラ量が少ないか、チャクラ糸出す時にチャクラを使いすぎちゃってるんじゃないかな」

 

「使いすぎてるって言われても、少なすぎたら切れる…」

「……マチちゃんもチヨ婆様から教えてもらう?」

 

遠慮がちにサソリから提案される。

たしかにチヨさんはサソリからの話を聞く限り歴戦の忍だ。そんな人から教わったらかなり良くなると思う。思うけど、いや、怖そう。なんたって先生は歴戦の忍だ。絶対怖い。聞く限り優しい人なんだろうけど。そんな度胸わたしにはない。よってサソリには悪いけど断らせてもらう。それになにより、意地を張りたいお年頃なんだ。

 

「ううん。もうちょっと自分で頑張ってみる」

「わかった。頑張ろうね」

「うん」

 

サソリは察しがいいから気づいたのかもしれないけど、優しいから気づかないフリをしてくれているのかもしれない。それか本当に気付いてないか。

私の我儘に付き合ってくれるサソリに内心で感謝を告げた。

暫くサソリの手元を見ていると、サソリから苦情が入った。そんなに見られると集中できないらしい。サソリも集中力きれてきたの〜?と揶揄ったらむっすーと頬を膨らませて拗ねた。それがレンが拗ねた時と重なって頬を突いたら、怒られた。二度としないから許してと謝ってなんとかなったが、くっそ可愛かった。また今度忘れた頃にしようと思って、拗ねたサソリを脳裏に思い浮かべて少し笑った。

「やっぱり反省してない!」

「してる!すごく反省してるよ!!」

 

************************

 

日が暮れる前にお菓子屋さんに行ってお菓子を買った。お菓子屋のおばちゃんから仲良いわね〜とニコニコしながら言われ、割引された。金欠だったので有難い。子ども二人が仲良く手を繋いできたんだからそれはそうかと納得して、店を出た。また来ようと思う。

 

帰りにお昼の時のお詫びにサソリにお菓子を渡すと、るんるんで帰っていった。家に帰ってレンにもあげると、それはもう見てるこっちまで幸せそうに食べていた。ほんと可愛いなぁ。

その後エテアさんに夕食前に何を食べているんだと怒られた。私もレンもコッテリ怒られると、夕食に招待された。泣きべそをかいているレンに好物の肉を一切れ上げる。次はバレないようにしようね!

そんな思いを込めて微笑んだ。レンは私に見向きもせず俯いて肉をもぐもぐ食べてた。

 

(しばらくお菓子屋買うのやめよ…)

 




仔サソリかわええ!!かわええよな!?
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