二つのコスモス~続・新世紀エヴァンゲリオン 第二部・夏のペンタグラム   作:VIA MEDIA

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第十三話・驚天動地

 司祭「今宵、白キ満月ノ下、我等ガ願イ、成就セリ。偽リノ時ヲ排シ、真実ノ時ヲ取リ戻サン。『原初ノ暗黒』ノ神ヨ、我等ガ命ノ全テ、御身ニ捧ゲン。願ワクバ、我等ガ望ミ、聞キ届ケ給エ」

 

 五人の男達は椅子から立ち上がった。

 

「御身ノ手ノ内ニ」

 

「御国ト」

 

「チカラト」

 

「栄エアリ」

 

「永遠ニ、尽キル事ナク」

 

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

 

「イイイイイアアアアアウウウウウエエエエエ」

 

「アアアアアドオオオオナアアアアイイイイイ」

 

「エエエエエヘエエエエイエエエエエエエエエ」

 

「アアアアアグウウウウラアアアアアアアアア」

 

「我ガ前ニ、Hastur」

 

「我ガ前ニ、Cthulhu」

 

「我ガ前ニ、Yog−Sothoth」

 

「我ガ前ニ、Shub−Niggurath」

 

「逆ペンタグラムハ四囲ニ燃エ、光柱ニ暗黒ノユニカーサル・ヘキサグラム輝キタリ」

 

「御身ノ手ノ内ニ」

 

「御国ト」

 

「チカラト」

 

「栄エアリ」

 

「永遠ニ、尽キル事ナク」

 

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

「AMEN」

 

 北は出入口のドアを開けた。司祭は祭壇中央に置かれたガラスビンを手にすると、それを捧げるように眼前に持ち上げてドアから外へ消えた。他の四人もそれぞれの前にあるキャンドルを吹き消すと、司祭に続いて外へ消えて行った。

 

 +  +  +  +  +

 

第十三話・驚天動地

 

 +  +  +  +  +

 

「起立! 礼! 着席!」

 

 第壱中学校の今日の授業は終わり、女子はそれぞれ帰り支度を始めたが、男子には一向にその気配がない。無論彼等の「お目当て」はナツミである。

 

「はい。……みなさん、どうもありがとうございます。これからなかよくしてくださいね♪」

 

 転校初日からこれだけ男子にちやほやされれば、普通ならもっと高飛車になってもおかしくないのだが、ナツミはそんな様子を微塵も見せずに終始笑顔で応対している。それがまた男子にはたまらないようだ。

 

(へへーっ、ケンスケのやつ、うりこむ勇気がないようね。……ま、しかたないか。男の子って、いざとなるとからっきしだめなんだから……)

 

 アスカはナツミの隣でニヤニヤしながらケンスケの様子を窺った。ケンスケは訴えるような眼でこちらを見ている。そこで、

 

「はいはい、そこまでそこまで。あんまりたかったら八雲さんがかえれないわよ。今日はここまでね。はいっ、みんなもかえりじたくしなさいね♪」

 

「なんだよ惣流、……じゃますんなよ……」

 

と、男子の一人が不満そうに漏らしたが、アスカはどこ吹く風で、

 

「ねえヒカリい、八雲さんに週番の説明してあげてよお♪」

 

 帰ろうとしていた時にアスカにいきなり振られたヒカリは、

 

「えっ? ……ええ……」

(アスカ、なに言ってんだろ。あしたにでも説明しようと思ってたのに。……ま、いいかな……)

 

と、怪訝そうな顔でこちらにやって来た。アスカはニヤリと笑い、

 

「だってさ、どうせ昼休みも男連中がむらがって話できなかったんでしょ。放課後でわるいけど、ちょうどいいから、今、説明したげたら♪」

 

 こうなると男子生徒もなすすべがない。一人、一人と離れて行き、それぞれ帰り支度を始めた。

 

 ヒカリはナツミに向かって、

 

「八雲さん、委員長の洞木ヒカリです。よろしくね♪」

 

「はい、よろしくおねがいします。ほらきさん♪」

 

「週番の話なんだけど、まだクラスのこともあんまりわからないだろうから、来週から入ってほしいのよ、って言いたいとこなんだけど、来週からはお休みでしょ。だから、とりあえず今週はクラスのようす見といてね。お休みがおわって、学校がまた始まったらおねがいするわ」

 

「はい、わかりました♪ そのときまたよろしくおねがいしますね♪」

 

「ありがとう。じゃ、わたしはこれで。またあしたね♪」

 

「はい、またあした♪」

 

 ヒカリが帰った後、アスカは、

 

「さて、と。八雲さん、あたらめてよろしくね。あたし、あなたとおなじIBOのチルドレン、惣流アスカ・ラングレーです♪」

 

 ナツミは明るく微笑み、

 

「はい、お名前は知りませんでしたけど、このクラスにIBOのチルドレンがいらっしゃるとは聞いてました。これからよろしくおねがいしますね♪ そうりゅう先輩♪」

 

「あ、……うん。……よろしく♪」

(ちょっとかわった言葉づかいする子ね。……でも、ま、はじめてだからね)

 

と、一瞬戸惑ったアスカの様子など気にも留めずに、ナツミは、

 

「先輩、ほかのチルドレンのみなさんを紹介してくださいよ♪」

 

「え? あ、ああ、ほかのメンバーね。……ええと、トウジのやつはかえっちゃったか……。

 

ええとね。一人さ、ジャージ着たやつがいたでしょ。そいつが鈴原トウジ、って言ってね、フォースよ。あとのメンバーはみんなのこってるから紹介するわ。

 

……あ、それよりもさ、よかったらいっしょにかえらない? 歩きながら紹介するからさ♪」

 

「はい。ありがとうございます♪ よろこんで♪」

 

と、ナツミが言ったので、アスカは、

 

「シンジー、レイー、渚くんー、いっしょにかえろうよね♪ ……じゃ、八雲さん、行きましょ♪」

 

「はい♪」

 

 既に帰り支度を終えた三人は出入口の所で待っている。アスカはそちらを一瞥した後、ケンスケの様子を窺ってみた。

 

(あーあ、ケンスケのやつ、うったえるような、いたいけな目しちゃってさ……)

 

 アスカはケンスケにニヤリと笑いかけると、ナツミと共に席を離れた。

 

(神様仏様アスカさまあ……。よろしくたのんますよお……)

 

 ケンスケはアスカとナツミの後姿に「熱い視線」を注いでいた。

 

 +  +  +  +  +

 

 IBO情報部室。

 

トントン

 

「どうぞ」

 

と、言う加持の言葉に応え、入って来たのは五大であった。

 

「失礼するよ」

 

「あっ。これは本部長、わざわざどうも」

 

「ここが情報部か。なんとも殺風景だねえ。……少しは飾ったらどうだ。花とか、絵とか。……この部屋なら、鉢植えのピラカンサスなんかが合いそうだな」

 

「はあ。……なにしろ朴念仁の男所帯なもんですから、ついつい、そんな事には無頓着になりまして……」

 

「はははは、そうか。それは失礼した。……ところで、加持君だったな。君は今朝の挨拶に出席しなかったのかね」

 

「はい。役付だけが集合と伺っておりましたもので」

 

「お、そうか。確かに君は事実上の『情報部長』だが、まだ役は付いていなかったんだな。そう言えば、情報部の方は碌に態勢も整っていない状態で、君一人に任せ切りだったんだな」

 

「はい。仰る通りですが、別にそれ自体は何とも……」

 

「では、本日只今を以て、君を情報部長に任命する」

 

「えっ? 私をですか?」

 

「そうだ。何か問題があるかね? IBO本部の管理職の人事は私の専権事項だぞ」

 

「いえ、もちろんそう言う訳ではございません。いきなりでしたので少々驚きまして」

 

「わははは、何を言うか。君程の男が、いきなり、と驚く程の事でもあるまい」

 

「はあ……。はい、では、謹んで拝命させて戴きます」

 

「手続の方は葛城総務部長に指示しておく。それから、スタッフ人事に関しては君に一任する。予算の範囲ならどんな人間を使っても構わんから、存分にやり給え」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「この際だからざっくばらんに言おう。君の事に関しては、内務省から事情は全て聞いている。心配はいらんよ」

 

「えっ? ご存知だったんですか」

 

「京都を舐めてはいかんぞ。君も京都人脈の底力は良く知っているだろう。ま、これは冗談だがな。はははは」

 

「はあ……」

(この男……。ただの元大学教授じゃないな……)

 

「ネルフの副司令だった冬月君も京都では大学教授だったな。『蛇の道はヘビ』だよ。はははは」

 

「前副司令をご存知だったんですか」

 

「おお。よく知っているぞ。ま、我々の間では少々評判はよくなかったな。今はさる山寺の執事らしいが、彼にはネルフの副司令よりもその方が向いているだろう。……それはさておきだ、君の任務は世界中のIBO各支部との情報交換及び旧ネルフが蓄積した情報の管理だ。重責を担わせる事になるがよろしく頼む」

 

「了解致しました」

 

「ま、IBOはネルフとは違う。保安諜報部の連中は一掃されたし、最早余計な政治ごっこに足を突っ込む必要もない。ゼーレの残党の心配もなかろう。しかしネルフ時代に蓄積された情報と技術には極めて危険なものも多い。そのあたり、管理をしっかり頼むぞ」

 

「!………」

(こいつ……)

 

「どうしたね?」

 

「いえ、いらしたばかりなのによく事情をご存知ですので、少々驚きまして」

 

「まあ、知っている、と言っても、君の事は内務省から詳しく聞いたからだし、ゼーレの事や補完計画の真相に関しては君の調査報告書を読んだ程度だよ」

 

「はあ、なるほど、そうでいらっしゃいましたか」

 

「保安諜報部に関しては、組織の性格が大きく変わったから、こうなったのもある意味においては当然だ。まあ、彼等には同情すべき点もあるが、それも結局は身から出た錆、彼等の『カルマ』と言うもんだよ」

 

「はい、なるほど」

(!……。『カルマ』だと……。なんでこんな言葉をサラッと……)

 

「ま、こんな仕事を引き受けたとは言っても、私は元はただの大学教授だ。技術的な事はそこそこ詳しいと自負しているが、『政治』の事はわからんよ。私が知っているのはこの程度だな。はははは」

 

「そうですか。どうもおみそれ致しました」

 

「では私はこれで失礼するよ。まだ現場回りが残っているんでね」

 

「ありがとうございました」

 

「今後もよろしく頼む。……ああそれから加持君。一つだけ言っておこう。京都は言わば伏魔殿、まさに『魔界』だよ。わはははは」

 

「!………」

 

 +  +  +  +  +

 

 帰る道すがら、ナツミはアスカに、

 

「先輩、みなさんを紹介してくださいよ♪」

 

 アスカは少し苦笑し、

 

「うーん、その先輩ってよびかた、どうもしっくりこないな。ともだちなんだから、アスカ、ってよんでよ」

 

「はい♪ じゃ、わたしのことも、ナツミ、って呼んでください。アスカ先輩♪」

 

「先輩はいいって、……うふふ。じゃ、ナツミ、紹介するわね。こちらが碇シンジ、サードチルドレンよ」

 

「碇シンジです。よろしく」

 

「よろしくおねがいしまーす♪ いかりさん」

 

「ど、どうも……」

(うけこたえもすごくかわいいよなあ。……でも、あんまりあいそよくすると、またアスカにどなられるしなあ……)

 

「こちらが綾波レイ、ファーストチルドレンよ」

 

「綾波レイです。よろしくね、八雲さん」

 

「よろしく、あやなみさん♪ ナツミ、でいいですよ♪」

 

「はい。じゃ、ナツミちゃん、わたしもレイでいいわ」

 

「はーい♪ レイさん」

 

「こちらが渚カヲルくん。フィフスチルドレンね」

 

「渚カヲルです。よろしくね。ナツミちゃん」

 

「はーい♪ よろしくおねがいします。なぎささん♪」

 

「はい。……と、言うわけで、紹介おわり」

(うふふっ、渚くん、ちゃんと名前でよんでる♪)

 

 ナツミは一礼し、

 

「どうもありがとうございました♪ みなさん、これからよろしくおねがいしますね♪」

 

 アスカは笑って頷き、

 

「うん、よろしくね♪ でもさあ、ナツミも本町一丁目だったとはねえ。あたしたちのすぐ近所じゃない」

 

「ええ、IBOで手配していただいたアパートなんですよ。みなさんとご近所でうれしいです」

 

「よかったら気楽にあそびにきてよね。大歓迎だから♪」

 

「はい。ありがとうございます♪」

 

 分かれ道に来たので、カヲルは、

 

「それじゃ僕はここでね。また明日」

 

 シンジとレイは、

 

「またね」

 

「また明日ね」

 

 ナツミは明るく、

 

「はーい。またあしたもよろしく♪」

 

 アスカはいつもと同じ調子で、

 

「またあしたね♪」

 

 カヲルは手を上げて去って行き、四人はまた歩き出した。

 

 少し経って、アスカがナツミに、

 

「さて、と……。ところでねえナツミ、あんたはなんでシクスにえらばれたの?」

 

「うーん、それがわたしにもよくわからないんです。ついこの間、ええと、11月のおわりごろだったかな、学校の先生からいきなり話を聞かされて、びっくりしちゃったんですよ」

 

 それを聞いたレイが、

 

「へえー、で、ナツミちゃんのご両親はなんて言ったの?」

 

「わたし、両親とは早く死にわかれて、ずっと親戚のうちにあずけられてたんです」

 

「あら……、わるいこと聞いちゃった。……ごめんね」

 

と、バツの悪そうなレイに、ナツミは、

 

「いえそんな。気にしないでください。……それで、おじさんもおばさんも、とてもよくしてくれてたんですけど、やっぱりなんとなく肩身がせまくて……、だから、先生からこの話聞いて、ちょっとまよったけど、結局、来ることにしたんです」

 

 アスカは、軽く頷き、

 

「ふーん、そうだったの。……でもさ、不安じゃなかった?」

 

「やっぱり不安でしたよ。でも、来てみたら、初日からこうやっておともだちもできたし、今はとってもうれしいです♪」

 

 その時、丁度分かれ道のレイは、微笑んで、

 

「うん、ま、これからもなかよくしましょうね。じゃ、わたしはここで。また明日ね」

 

 ナツミは相変わらず明るく、

 

「はーい、またあしたよろしく♪」

 

 シンジとアスカも、

 

「じゃまたね、綾波」

「バイバイレイ♪」

 

 レイが去った後、アスカは、いよいよ、と言った顔で、

 

「……さて、と、ねえナツミ、いきなりへんなこと聞いてわるいけどさ。あんた、初日から男の子にモテモテだったじゃない。……どう、ウチのクラスに好きなタイプいる?」

 

 その様子を見たシンジは、

 

(おっ、アスカさっそく聞いてるな……)

 

 ナツミは少し首を捻り、

 

「うーん、まだ来たばっかりだから、よくわからないんですけど……」

 

と、言うのへ、シンジが意外にも、

 

「そうだよねえ。やっぱりまだわからないよねえ。……でもさ、ぱっと見た感じで、いいな、って思う人いない? たとえばさあ、メガネかけてて、いろんなことよく知ってる人とかさあ……」

 

 アスカは心の中で舌打ちした。

 

(バカシンジのやつ! よけいなこと言って……)

 

 しかしナツミは、あっけらかんと、

 

「そうですねえ、ばっと見た感じ、……うん、そうだ!♪ しいて言えば、いかりさんみたいな人かな♪」

 

「ええっ!? ……僕?!!……」

「!!!!!!!……」

 

 呆気に取られているシンジとアスカを尻目に、突然ナツミが、

 

「あっ、ここだここだ。じゃ、わたしのアパートはこの先だからここで失礼しまーす♪ アスカさん、いかりさん、じゃ、またあしたよろしく♪」

 

「えっ? う、うん。……さよなら。また明日……」

 

「バイバイ、ナツミ……」

 

 シンジとアスカは、引きつった笑顔でそう言うしかなかった。

 

 そして、ナツミの後姿が消えた後、シンジは恐る恐る、

 

「ねえアスカあ」

 

「…………」

 

「アスカってばあ」

 

「……なによ……」

 

「……ど、どうしよう……。ねえアスカ、どうしたら……」

 

「シンジい……、かえったら、たっぷり話があるからねっ!!!」

 

と、言って、アスカは早足で歩き出した。

 

「あ、アスカあ、先に行くなよお。ちょっと待ってよお。ねえアスカあ……」

 

 +  +  +  +  +

 

 IBO本部長室(旧司令室)。

 

 呼ばれてやって来たミサトに、五大が、

 

「さて、と。葛城君にはまた御足労願って悪いな。現場を回った結果、君に連絡する事が出来たのと、少々気付いた事もあるんでね」

 

「いえ、なんでしょう? ……あ、その前に少しよろしいでしょうか?」

 

「何だね?」

 

「はい、清掃業者の方は現在作業中でして、本日中には本部長室が使用可能となる予定です。お仕事中に申し訳ありませんが、この旧司令室に間もなく荷物を運び込む事になると思います」

 

「うむ、ありがとう。運び込むのは一向に構わん。助かるよ。……どうもここは落ち着かなくてな。ははは。……それだけかね?」

 

「はい。私の方は以上です」

 

「了解した。……さて、こっちの話はだな、そろそろ来るはずなんだが……。おっ、来た来た」

 

 ミサトが振り返ると、やって来たのはマヤである。

 

「主任研究員の伊吹です。参りました」

 

「あら、マヤちゃん。いえ、失礼、伊吹主任」

 

 続いて青葉と日向もやって来た。

 

「失礼します。主任研究員の青葉です」

 

「主任研究員の日向です。お呼びでしょうか」

 

 五大は四人を見回し、

 

「これで全員揃ったな。まず葛城君に連絡だ。本日、情報担当の加持リョウジ君を正式に情報部長に任命したので手続を頼みたい」

 

 ミサトは驚き、

 

「えっ!? 加持君を、いえ、加持をですね。……はい、了解致しました」

 

 五大は続けて、

 

「総務部は葛城君が部長だし、情報部も加持君に任せた。後は、技術部なんだが、前担当者の赤木博士が辞職したため、技術部の責任者は空席になっている。それで、技術部長を選任したいと思っているのだが……」

 

 ここまで聞き、マヤ、日向、青葉の三人は、

 

「!………」

(えっ?! もしかして、この三人の中から……)

 

「…………」

(もしかして、僕らの中から……)

 

「…………」

(マヤちゃんか、日向か、……もしかして俺ってことも……)

 

 しかし、五大は淡々と、

 

「率直に言おう。私が調査した結果、前任者の赤木博士を含めて、旧ネルフの技術部のレベルは低過ぎる。到底、現在のスタッフから部長を選任する事は出来ない」

 

「!!!!!……」

「!!!!!……」

「!!!!!……」

 

 技術部の三人は絶句したが、すかさずミサトが、

 

「本部長、失礼ながら申し上げます」

 

「何だね?」

 

「私達はネルフ時代から精一杯やって参りました。いきなりレベルが低過ぎると仰られても納得出来ません。理由を御聞かせ下さい」

 

 五大は表情を変えず、

 

「わかった、理由を言おう。……3機のエヴァンゲリオンとマギの基本設計思想、及び、運用と改善に関しての君達の実績を勘案し、更に本日現場を視察した結果、その結論に達したと言う事だ。正確に言うと、『技術レベルそのもの』よりも、君達の『発想』と言うか、『思想』と言うべきもののレベルが低いと言うのが適切だろうとは思うがな」

 

 ミサトが、

 

「エヴァとマギに関しての『発想』と『思想』のレベルがですか?」

 

と、聞き返したのへ、五大は、

 

「そうだ。ではまずエヴァに関して言おう」

 

と、言った後、マヤの方を向き、

 

「伊吹君、私の質問に答えたまえ」

 

「はい、なんでしょう」

 

 マヤの顔は、やや緊張していた。

 

 続く

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